- 1 名前: ◆mRM.DatENo 投稿日:2006/07/05(水) 22:35:48
-
━━━━━説明━━━━━
こちらは三国志世界でバトルロワイアルが開催されたら?というテーマで、
sage進行で進められている、全員参加型リレー小説スレッドです。
参加する三国志武将がお互いに殺しあっていき、生存者一名となったときにゲーム終了となります。
感想&質問など、何かあったら雑談スレへ ↓
第七回三国志バトルロワイアル開催議論スレ
http://hobby8.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1139309873/
説明は>>2-10のどこかにあります。
たぶん>>2 「アイテムの説明」「首輪の説明」「フィールドの説明」
たぶん>>3 「お願い」
- 2 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/05(水) 22:36:33
- ━━━━━アイテムの説明━━━━━
※参加者は、【フィールド略地図】【全参加者名簿】【鉛筆】【水とパン2日分】【懐中電灯】
【腕時計】を基本アイテムとして支給されています。
基本アイテムのレス末表示は特に必要ありません。
※参加者は不確定要素として、通常は単に【アイテム】と呼ばれる武器アイテムを、
各自1つづつ支給されています。支給された武器アイテムの制限はありません。
※参加者は、スタート時には普段着以外の、全ての装備を没収されています。
━━━━━【首輪】の説明━━━━━
※参加者は全員、耐ショック・完全防水の、銀色の【首輪】を付けられています。
※【首輪】には主催者用の、生存判定用高性能心電図・位置確認用発信機・爆殺用高性能爆薬が、
標準装備されています。
※【首輪】は、不正に外ずそうとしたり、禁止エリアに侵入すると爆発し、参加者を死に導きます。
最後の死亡者放送から100レス超過以内に死亡者が無い場合、全員の首輪が爆発します。
(以上の首輪に関しての情報は、参加者にも公開されています。)
━━━━━フィールドの説明━━━━━
※ フィールドは、下記地図を縦30キロ・横20キロ程度の範囲とする、後漢〜晋の支配地域を領域
としたミニミニ中国大陸です。
参考資料 → http://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/3952/tizu.html
※ フィールド内の禁止エリアは、およそ300レス毎に1州づつ追加されていきます。
※ フィールド内に参加者以外の人間や、アイテム以外の強力な武器装備は存在しません。
※ 参加者には、『死亡者放送』『禁止エリア放送』のみ公開されます。
- 3 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/05(水) 22:37:26
- ━━━━━お願い━━━━━
※ 一旦【死亡確認】表示のなされた死者の復活は認めません。
※ 参加者の死亡があればレス末に、必ず【死亡確認】の表示を行ってください。
※ 又、武器等の所持アイテム、編成変更の表示も、レス末に下記フォーマット、
もしくはリストの形式に従って行ってください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
@武将名[健康状態に被害があったときにはその状態]【アイテム】
※(状況変更)
例: @司馬懿[左腕怪我・腹痛]【戟、弁当箱、女物の服】
※ 女物の服着用中
≪好敵手/2名≫
張飛【M16サブマシンガン】&馬超【鉄槍】
※ 長安に向かいます
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
※ 新規参加武将は100人に到達後、次の死亡者リスト表示まで登場した者までとします。
※ 複数にわたる話(名前欄に「○/○」記載)は、3時間以内に最後まで連続で書き込んでください。
※ 本スレは800レスまたは480KB になると書き込みを中止して引っ越します。
※ 最低限のマナーは守るようお願いします。※
★出されたご飯は残さず食べる。
(新しいお話を書く方は前からのお話を読んで無理のない設定にして下さい)
★転んでも泣かない。
(お気に入りのキャラが思わぬ展開になっても気持を切替えて次に進みましょう)
★おいらのギャグには大爆笑する。
(いろんなネタが出てきても、なるべくおおらかな気持で見てあげましょう)
- 4 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/05(水) 22:38:01
-
しかしそれまでは、俺達は走り続けなければならない。
――そのように生まれついたようだ。
- 5 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/05(水) 22:38:49
- 曹操は、薄ぼんやりとした寝覚めの中に違和感を感じていた。
何か、空気が違うのだ。許昌の邸宅でもなければ陣中の幕舎でもない、ましてや幼少を時期を過ごした生家でもない。
知っているようで、まるで知らないこの場所は──?
劉備が目覚めたのは、いつか参じたことのある洛陽の宮廷だった。
……だが、記憶にある場所とは何かが違う。虚ろで、そして肌に焼き付くほどの禍々しい空気が充満しているのだ。
そして百人ほどの武将達が、この空間にひしめき合っている。
孫策は首にまとわりつくような感覚に、思わず舌打ちした。
見れば、周りの連中にも銀色の首輪が付けられている。一体これは何なのか?
なぜかはわからないが、彼にはこの首輪がひどく不吉な物に感じられるのだった。
- 6 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/05(水) 22:40:12
- 眠っていた武将が次々と目覚め始めると、あちこちで諍いが始まった。
何せ敵味方全て一緒くたにしているのだ。各々が状況を理解できないこともあって、各所で怒号も飛び始めた時だった。
「皆、静まれ!! 陛下の開会宣言が始まるぞ!!」
いつの間に出てきたのか、妙な金属製の武器を構えた兵士達が玉座の周りに集っている。そして。
「はっはっは、皆元気で良いではないか。朕は嬉しいよ」
諸将を睥睨するように、ゆっくりと現れる人影。
皇帝の正装に身を固め、現れたのは後漢最後の皇帝、献帝だった。
「……!?」
献帝を知る者からは、ざわめきが漏れる。が、献帝の傍らに立つ兵士が不意に武器を構え、威嚇の発砲を行った。
「静粛にせよ! 陛下の御前であるぞ!!」
その武器──『機関銃』の轟音が響き渡り、本能的に危険を感じ取った武将達は口を閉ざした。
「そうそう、撃ち殺されたくなかったら黙っていた方が長生きできますよ」
幾多の猛将達ですら黙り込む光景を見て、献帝は満足そうに頷き、玉座に座った。
「さて……今日、諸君に集まってもらったのは他でもありません」
射るような殺気に満ちた視線を飛ばしてくる呂布を見て、献帝の口の端がさらにつり上がる。そして。
「この国はすっすりダメになってしまいました。そこで今日は皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます」
ざわ……と武将達の周りの空気が揺らぐ。そしてその波は大きくなり、やがて「ふざけるな」だの「何を言う!」等といった声が出始める。その中で一際、大きな声があった。
「陛下、なぜこんな事をなさるのです!」
気骨の老臣、司徒王允。董卓暗殺を謀った漢の忠臣である。
- 7 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/05(水) 22:40:56
- 「王允か。何か朕に言いたいことがあるみたいだね。いいよ、言ってごらん」
献帝は顔色一つ変えずに、王允に向かって冷笑を浴びせる。
「このような事をして何になります! いくら陛下といえども、意味もなく殺し合いをしろなどと、私は従えませんぞ!」
主君に向かって堂々と諫言を行う王允。護衛兵が彼に向けて銃を構えるが、献帝はそれを止めさせた。
「そうか、君なら正直に従ってくれると思ったんだけどね。仕方ない」
貼り付けたような笑みのままで、献帝が指を鳴らす。すると。
ピピピピピピピピピ……
「な、なんじゃ、儂のこの首輪が鳴っておる?」
王允の首輪から甲高い機械音が響き始め、やがてそれが大きくなっていく。
「ああ、周りの人は一応離れておいた方がいいですよ、危ないから」
献帝の声を聞き、周囲の武将が一斉に王允から飛び退る。
そして献帝が合図を送ると……。
「陛下、何をなさ……!!!!」
ボン、と嫌な音を鳴らして爆発が起き、まるでこの奇妙なゲームの開会を告げるように、王允の首が高々と宙を舞う。
そして間抜けな音を立てて、その首が地に落ちる。
ざわめきが、今度こそ完全に止まった。
- 8 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/05(水) 22:41:35
- 「おっと、ついつい殺ってしまいました。主催者が手を下すのは本来ルール違反なんですが……まあ、順序が省けましたね」
──この首輪は主催者の意志一つで爆破できます。余計なことはしない方がいいでしょう。
その言葉で武将達から反抗の意志が薄れたのを見て、献帝は玉座から立ち上がりさらに続ける。
「この殺し合いには、特別扱いも忠も義も情も信もない。ただ殺し合いだけがルールなのです。最後の一人になるまでね」
天を仰いでから、さらに続きを低く言う。
「君達は良い臣下ではありませんでした。むしろ悪い臣下でした。この意味がわかりますか、名軍師の郭嘉君?」
名指しで一人の将を指名する献帝。郭嘉と呼ばれた男が、億劫そうに答える。
「漢をダメにしたのは俺らのせいでもあるってことだろう?」
不作法な言葉遣い、やる気のなさそうな面構えのまま、郭嘉がそう言って献帝を睨む。
「そうです。君達が愚かだから漢はダメになったのです。だから殺し合いなんですよ?」
「最後の一人まで殺し合って……生き残った優秀な将には首輪を外してあげて、この世の全てを与えましょう。だから頑張って殺し合ってくださいね」
私からは以上ですと言って、献帝は玉座に座り直す。
やがて幹部らしき男が出てきて、ルールの詳細を説明し始めた。
- 9 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/05(水) 22:43:19
- 「さあ、それでは順番に一人ずつここ洛陽を出て行ってもらいましょうか。先ほど説明があったとおり、それぞれ違った道具の入った鞄を支給しますからね。
……皆さんが扱ったことのない銃器でも、おぼろげに使用のための記憶があるでしょう? どんどん殺し合って、朕ともう一度会いましょうね」
献帝が手を振るが、誰も答えようとする者はいなかった。
一人一人が順番に名前を呼ばれ、鞄を支給される。
「あ、そうそう。皆が出終わった時点でここ洛陽は禁止区域になります。居残って王允みたいにならないように気をつけてくださいね? はい、では一人目からどうぞ」
一人二人と武将が出て行くのを見て、三国無双と謳われた呂布は忌々しげに……しかしどこか嬉しそうな目で戦いの始まりを待つのだった。
【王允 死亡確認】
【曹操、劉備、孫策、郭嘉、呂布 生存確認】
【ゲーム開始です】
- 10 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/05(水) 23:20:51
- 于禁は名前を呼ばれるや否や、洛陽城を脱兎のように飛び出していた。
そしてすぐさま、近くの茂みに飛び込む。
「・・・だいたい100人くらいはいたな。するってえと」
俺を蔑み死に追いやった、奴らもいるだろう。
献帝は忠も義もないと言ってた。なら俺のやることは決まってる、復讐だ。
魏の五将軍にまで数えられた俺を没落させた奴ら、みんな殺してやる。
洛陽には東西南北に四つの門がある。きっと奴は南か東に出るはずだ。
ぶっ殺してやる・・・。曹丕め。
AK47カラシニコフを構える。これでどいつもこいつも蜂の巣にしてやるんだ。
于禁は血走った目で呟く。何が不忠だ、何が詞だ。
みんな、みんな撃ち殺してやる。
@于禁【AK47カラシニコフ】
※乗り気です。また、恨みのある武将を徹底的に狙います
- 11 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/05(水) 23:44:36
- 一番最初に城を出る
それがどれだけ有利なのかを彼は知らなかった
そして彼の支給品を駆使すれば、開始数分後には
参加者の大半は死んでいたであろう事に気づいていなかった
そして彼は不運な事に・・・漢字の読み書きができなかった
@阿会喃【DEATH NOTE(何らかの制限あり?)】
※とりあえず南蛮へ・・・
- 12 名前:1/2 投稿日:2006/07/06(木) 00:20:10
- 洛陽の西、長安に至る道。
目の前に人体の形を留めていない、肉の塊のようなものが転がっている。
それを見下ろして、返り血にまみれた魏延が、満足そうな顔をしていた。
──元々、俺には落ち度なんかなかった。
まあ……確かに裏切りはやったかもしれない。だが、裏切ったのは蔡瑁に韓玄。どっちもゲスだ。劉備に仕えてからは俺はまともだった。
だというのに、あの儒者崩れの軍師──諸葛亮のせいで、俺は反骨の将扱いされた。
献策したって通らない。真面目に戦ってもろくに報償も出ない。
俺を抜擢してくれた劉備とは偉い違いだ。
そして俺を追い詰め、最後はあんな形で俺は散った。諸葛亮に付き従った楊儀に姜維、そして馬岱。必ず復讐してやる、待ってろよ。
王平は原形を留めないくらいにバラバラにしてやった。洛陽から出発した時に俺に後ろ姿を見せたのが運の尽きだ。
奴は銃を持ってやがったが、俺の武器……ハルバードで致命の一撃を食らわせ、後はいびりながらとどめを刺してやった。
ふん、最後は「さっさと殺せ」なんて言うもんだから、余計にいたぶってやったぜ。
- 13 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/06(木) 00:21:14
- 奴の武器は「M37ショットガン」という武器だった。まあ、強力な武器のようだし折角だから有効に使わせてもらおうか。
近くの川で身体を洗い、これからどうするか考える。
俺が探す奴らならどうするか……きっと奴らなら地元の蜀に行くに違いない。
歩きながら考える。どうせなら待ち伏せして襲撃し、後は弄くり回しながらじわじわいたぶろう。
なら要衝に行くのが一番だ。どこに行くか?
しばらく考えた後で、魏延は蜀の喉元である漢中へ向かって歩き始めた。
【王平 死亡確認】
@魏延【ハルバード、M37ショットガン】
※基本的に索敵必殺の構え。漢中に向かいます。
- 14 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/06(木) 00:23:19
- 禰衡は農業用の長いスコップを右手に握り、ぼんやりと考えていた
「(全く。上も気が狂ったらしい。
この馬鹿げた催しでアホな奴らが調子に乗るのは目に見えてるのに)」
くだらない、と心中で悪態を吐く。
―そういえば と呟いて禰衡は頭を上げた。
「(孔融も居たような)」
自分が認めた数少ない"人間"の中の一人。
曖昧だった記憶が鮮明になってくるのを感じる。
「(とにかく…話がしたい。会わなくては)」
@禰衡【農業用スコップ】
※孔融を捜すようです
@孔融【???】生存確認
- 15 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/06(木) 00:45:47
- 俺の名は董衡。太陽の下でしか生きる事ができない男
(そして俺の名は董超。月の下でしか生きる事ができない男)
え?なぜかって?
董衡&董超「玉手箱を開けたらこうなってしまったのだ!!!」
さて、直し方の分かる人を探さなきゃ・・・
董衡&董超[一心同体(朝昼夕方は董衡、夜は董超が活動)]【空き箱・偽造トカレフ】
※医者or仙人を探しに揚州へ。月のない夜になると2人ともあぼん
- 16 名前:>>15を訂正 投稿日:2006/07/06(木) 00:50:01
- 俺の名は董衡。太陽の下でしか生きる事ができない男
(そして俺の名は董超。月の下でしか生きる事ができない男)
え?なぜかって?
董衡&董超「玉手箱を開けたらこうなってしまったのだ!!!」
さて、直し方の分かる人を探さなきゃ・・・
董衡&董超[二心同体(朝昼夕方は董衡、夜は董超が活動)]【空き箱・偽造トカレフ】
※医者or仙人を探しに揚州へ。月のない夜になると2人ともあぼん
- 17 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/06(木) 03:30:19
- 「馬鹿な・・・こんな場所で戦う奴があるか!」
鞄を受け取り、城を出た瞬間から命が狙われる事は分かっていた
が、この光景を目の当たりにした瞬間、怒りがこみ上げた
城の前で大激戦を繰り広げているのである
顔見知りは何人かいる
朱霊、淳于瓊、曹仁、曹洪そして・・・曹操
恐らく、曹一族を一網打尽にしようと考えた者達が手を組み、襲ったのであろう
「こんな場所で戦うとは・・・城から強力な武器を持った者が現れれば、全員死ぬぞ」
@沮授[軽いめまい]【手榴弾×3】
※巻き込まれたくないので北へ移動しました。
生存確認:朱霊【?】・淳于瓊【?】・曹仁【?】・曹洪【?】・曹操【?】、
※曹仁、曹洪、曹操は囲まれている為、逃げられません
襲撃者はまだ数名いる様子。銃器を所持しているものは皆無
- 18 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/06(木) 13:53:43
- 「りょ、りょ、りょ…呂布だー!」
「むん!」
「ぎゃーーーー!」
一太刀で真っ向から切り下ろされたのは、呂範であった。
呂範にとっては、呂布と順番が近かったのが不運と言えよう。
「さて…こんなザコが相手では物足りないな。もっと手ごたえのあるヤツを探さなければ」
呂布の手に握られているのは、かつて壮絶な一騎討ちを演じたこともある関羽の得物…青龍偃月刀だった。
「関羽か…確か洛陽で姿を見たな。できればヤツともう一度勝負したいものだ…」
呂布は偃月刀を一振りして血を払うと、あてもなく南へと歩き始めた。
@呂布【関羽の青龍偃月刀】
※南へ
@関羽【???】 生存確認
【呂範 死亡確認】
- 19 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/06(木) 14:18:33
- 誰かの思惑に乗せられるのは面白くない。
だが、己の才覚を試せるというのは悪くない。
ザックに手を突っ込めば冷たく重い銃の感触。
曹丕は唇を歪めるようにほくそ笑む。
「とうさま!」
自分を父と呼ぶ幼い声に曹丕は弾かれたように顔を上げた。
荷物を受け取る人々の波をかき分け、小さな人影が一心に曹丕を目指してやってくる。
「とうさま!とうさま!」
曹丕の腕に無邪気に飛び込んできたのは、しかし彼の息子ではなかった。
末の弟、曹幹。
曹幹の小さな背に背負われたザックからは小首を傾げた鳩が顔を覗かせている。
四つの無垢な瞳に見つめられ、殺戮ゲームへの暗い欲望が急速に萎えていくのを感じた。
その柔らかな髪を撫でてやりながら、曹丕はいつかも言った言葉を繰り返した。
「…とうさまではない。私は、お前の兄なんだよ」
《パパじゃないよお兄ちゃんだよ/2名》曹丕【銃器?】曹幹【白い鳩】
※困惑中。まだ城の中なので入り口付近の騒ぎにも干禁にも気づいていません
- 20 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/06(木) 14:28:13
- 孫権が城を出たとき、そこはすでに血みどろの争いが繰り広げられていた。
最初こそ曹操派と反曹操派の二分になって争っていたようだが、血を浴びているうちに敵味方などどうでもよくなった者が現れた。
その一人が淳于瓊だった。彼は城から出てきた孫権を見つけるや、持っていた太剣を振りかざし襲ってきたのだ。
一方孫権はというとバックから武器を出してすらいない状況だったので、ただ淳于瓊の攻撃をかわし逃げるしかできなかった。
走り、追いつかれ、右に避け、左に避け、後ろに飛び避け、そして大樹の幹にぶつかった。
絶好のチャンスと見て再び襲う淳于瓊。が、背後から何者かに斬りつけられ、倒れ込み絶命した。
「周泰……!」
驚喜の表情を向ける孫権に対し、かすかな微笑みで返す歴戦の猛将。そして口を開いた。
「殿、一緒に……」
パン!
乾いた銃声が鳴り、周泰の言葉が途切れる。直後、彼の頭部は爆発した。
「………!!!」
孫権はあまりのことに反応ができず、熱風と爆片を顔に受ける。とっさに目をつぶったが、瞼の上から爆片が右目を貫いた。
「う……ぐぁあ!」
あまりの激痛に右目を両手で押さえ悶え苦しむ。
ここから離れなければいけない―――こんなところからは―――
- 21 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/06(木) 14:29:02
- 十分ほど経ったか、孫権は左目を開けた。右目は開けようとしても感覚がなく、視覚もなかった。
目の前に淳于瓊の斬死体と、頭部がない死体が十字型に折り重なっている。頭部のない死体が周泰だと気付くのに数秒を要した。
周りを見回す。少し遠くの所で激戦は続いていた。周泰はあそこからの流れ弾に当たったのだろう
……そう思うと悲しみがなだれ込み、泣きたくなってきた。
―――だけど泣いてはいけない。ここで泣きべそをかいていては、周泰に申し訳が立たん。
――まずは生き延びることが優先だ。周泰が救ってくれた命、やすやすと殺させてはいけん。
孫権は形見である日本刀を拾うと、ひとまず難を逃れるためそばの林へ駆け込んだ。
バックの中を確認すると、妙な服を発見した。説明書を見ると、あの恐ろしい銃弾を防げる防弾チョッキなる物であるらしい。
孫権は元から着ていた服の下に防弾チョッキを着込むと、とりあえず南へ歩き出した。
揚州ならば、多くの呉の臣が集まるだろう。周泰のような忠臣を集めて、周泰が殺された元凶である献帝に報復するのだ……そう決意して
@孫権[右目負傷・失明]【防弾チョッキ、日本刀】
※もと呉の臣を集めるため揚州へ
【淳于瓊 周泰 死亡確認】
- 22 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/06(木) 22:16:06
- 「百人か」
名簿を一瞥した夏侯覇は何ともなしに呟いた。
「まぁ雑魚はどうでもいい」
一番の問題は呂布、関羽、張飛といったあたりか。
このレベルの相手ではまともにやっても勝ち目はない。
「まともに…か」
確かに普通の武器では無理だろう。だが、彼の手にはドラグノフが握られていた。
(俺があの連中に勝つ可能性があるとすれば、これか)
磨き上げられた銃口が光る。
だが、何の策もなしに突撃するのは馬鹿げている。
それに、初めて銃を握るのに、訓練もなしで本命を狙うほど天才でも自信家でもない。
「まずは…ここが戦場だという認識の無い奴から消していくか」
狙撃手は溶けるように茂みに消えた。
@夏侯覇【ドラグノフ・スナイパーライフル】※隙のある者から狙撃。洛陽の西5キロほどの地点。
- 23 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/07(金) 07:15:26
- 『諸葛孔明、なんと素晴らしき男であったか。常世ではゆっくり教えを請いたい』
いつか呟いたはずのその言葉を、石に腰掛けた男―司馬仲達―は今ふたたび呟いた。
少し離れたところでは、ロープで足をつられ逆さまになった男がわめいている。
軍師然とした自分をみて、おそらく与しやすしと襲い掛かってきたのだろうが
司馬仲達の支給品『ロープ』で仕掛けた宙吊りの罠にかかりその姿に至っているのだ。
(この私が何の用心もなくその場に留まっていたとでも思ったか?)
「百人・・・果たして大多数が阿呆どもか・・・まあ、それはそれで厄介だが」
臆病に近い慎重さ、かつ自惚れとも言える自信を併せ持つ司馬仲達は少し考え込む。
が、すぐに考え込むのをやめ、宙吊りになっている男―刑道栄―に近づく。
(・・・考え込んでいても仕方がない。今ここにまた敵が来たら
武器を持たぬ私では少々太刀打ちできそうもない。今は、場所を移すか)
「お前から、武器を頂いてな」
そう呟くと、司馬仲達は刑道栄の頭の先に落ちている剣のような物を拾う。
「は・・・はは、お、おい!待てよ!ほんの遊びだったんだ!殺す気なんて・・・・がぇべっ!!」
何が起こるか予測した刑道栄の必死の命乞いは、彼の首が切り離されたと同時に止まった。
この戦場で生き残るためには何が必要だ?
戦場を全て己の庭、人を全て己の駒と扱えるほどの神威の頭脳か?
極寒、灼熱、暴風、激痛、快楽、苦悩、心蝕、恐怖に耐えうる完璧超人の心身か?
命を投げ打ってまで助け合う事のできる刎頚の友か?(そんなものはないのかもしれないが)
「諸葛孔明。現常どちらでもないこの世で、今お前にその答えを請おう」
自分が生き残ることはできるのか?それはわからない。
だが、彼はただ生前?の最大の宿敵、いや天敵に、今一度智を挑まんとしていた。
「あ、でも蜀の奴らに見つかったら殺されそうだな・・・どうしよう・・・隠れながら行こうかな・・・」
@司馬懿【シャムシール・ロープ】※諸葛亮を探す。隠れながら五丈原へ。
【刑道栄 死亡】
- 24 名前:1/2 投稿日:2006/07/07(金) 20:03:03
- 新城の森林地帯の一角で一人の女性が途方に暮れていた。
「どうしてこんな事になってしまったの…?私は何もしていないのに…」
その女性、蔡文姫はぽつり、と泣き言を漏らしながら天を仰ぐ。
「天はどうして私の家族を奪うのですか?」
涙を流しながら天に向かい恨み言を言う彼女の脳裏には匈奴の夫、左賢王と、二人の子供、
そして魏に戻ってからの夫、董祀との思い出が巡っていた。そして彼女は悟っていた。名
だたる猛将がひしめくこの殺し合いの中、自分が生き残れる確立は0に等しいことに。
(これから起こる地獄の中、私では到底生き延びる事はできない。ならば、いっそここで
…)
そう考え、蔡文姫が首輪へと手を伸ばしたその時。
「やめろー!!」
怒声と共に一人の青年が蔡文姫へと飛び掛り首輪へと伸びる両手を捕らえた。
「は、話してください!生きてこれから起こる地獄を見るよりも、この場でいっそ…」
「馬鹿な事を言うな!」
怒声と共に蔡文姫の頬を張り手が襲った。衝撃と痛みに言葉を失う蔡文姫の顔を強引に自
分へと向けさせる青年。そしてその時、彼女は初めて青年の顔を見た。その青年は今にも泣き出してしまいそうな顔でこちらを見ていた。
「僕は貴方の事は知りません。しかし、だからといって自らの命を、一人の、尊い命を絶
とうする貴方を見過ごすことはできません。何卒、何卒そのようなはやまった真似をして
は…」
「しかし、このような世界で私は…」
「このような世界だからです!僕は、僕は…こんな世界で貴方のように死ぬ人を出したく
はないんです。諦めず生きてさえいれば何とかなる。僕の義理の父がそうでしたから…だ
から、だから自ら死ぬような真似は…」
地面に頭をこすりつけながら訴える青年を見やる蔡文姫。答えは既に決まっていた。
- 25 名前:2/2 投稿日:2006/07/07(金) 20:10:38
- 「それで、どちらに向かうのですか?」
新城の森林を歩きながら蔡文姫が青年に問いかける
「このまま西へ、成都ならば僕や義父の知り合いもいるでしょうから。」
「成都…といいますと貴方は蜀の…?」
その質問を聞いて、青年は慌てて蔡文姫に告げた
「自己紹介が遅れて申し訳ありません。僕は蜀の劉備玄徳の養子、劉封と申します」
「まぁ、劉備様の…私は蔡文姫と申します。これからよろしくお願いします」
互いに自己紹介をし終わった後、不意に蔡文姫が尋ねた
「一つ質問してよろしいでしょうか?どうして見ず知らずの私を助けてくれたのです
か?」
その質問に劉封は少々気恥ずかしそうに答える
「その、何といいますか、蔡文姫殿がとても悲しそうな顔していたので、ついほっとけずに…、それと」
そう言うと劉封は目線を逸らしながら続ける。
「実は僕の母は、僕の若い内に亡くなっていまして、その、蔡文姫殿にどことなく母上の
面影があったもので…」
そう言って恥ずかしそうに笑う劉封に蔡文姫は遥か遠くにいる息子の姿を重ねていた。もし自分の息子が成人となり、この場にいたのであれば、きっと彼と同じように止めてくれただろう。
「いやぁ、恥ずかしい話をしてしまいました」
はっはっは、と笑う劉封に微笑みながら蔡文姫が首を横に振る
「いえ、子どもという者はいつでも母に甘えたくなる物ですもの。私でよければ、いつで
も甘えていただいてよろしいのですよ?」
その言葉に耳を真っ赤にする劉封
「な、いきなり何を…そ、そういえば支給品を確認してませんでしたな。今の内に見ておきましょう」
そういって照れ隠しをしながら自分の支給品の李典棍と書かれている武器と蔡文姫の支給品、ボーガンを確認している劉封に蔡文姫もまた自分の息子の面影を見るのだった
<<親子の面影/2名>>劉封【李典棍】蔡文姫【ボーガン・矢×20】
※現在新城、成都に向かってます。ゲームには乗ってません
- 26 名前:1/3 投稿日:2006/07/07(金) 20:49:16
- 生きていた頃は日々の糧として山賊暮らしをしていた彼にとって
今回の事など横光三国志における自分の扱いの様にどうでもよかった。
かつて己を殺した男に対しての復讐の念もないわけではなかったが
死したとき植えつけられた「勝てるわけねえ」という圧倒的な敗北感と
山賊時代の己の友が崇拝してやまなかった男の同僚である事(後で知った事だが)を考えると
「復讐なんて考えても無駄なだけだな、それよりゃあまた山賊でもやっか」
という短絡的、かつ楽観的な将来の展望に復讐の念はかき消されていった。
そんな彼が、大きなバッグを持って城から出て行ったときのことだ。
彼が太陽の光を眼にした瞬間、爆音が辺りに響き渡った。
「げえっ!」
何が起きたのかもわからないまま、とりあえず彼は言いなれた気がする驚声をあげる。
瞬間、少し離れた所にいた1人の男が彼に向かって『黒光りする筒状の何か』を向ける。
開催の時寝ていた彼にはそれが機関銃だと知るはずがない。
玩具か?と一瞬彼は思ったが、筒状の物を己に向けた男の羅刹の様な形相と
次の瞬間響いた『タタタタ』という軽い、しかしなぜか恐怖を覚える音に
そんな考えは吹き飛んだ。
「あわわ!」
言いなれた気がする言葉を発すると同時に、彼は必死にどこかへ走り出した。
彼は走った。とにかく、必死で走った。何も考えなかった。
あの羅刹の男が黒い筒を向けて追ってきているかと思うと
後ろなんてとても振り返れなかった。
- 27 名前:2/3 投稿日:2006/07/07(金) 20:50:20
- どこまで走っただろうか。自分が今どこにいるのかさえもわからない。走りすぎた。
もう少し遠くまで行けば、海が見えるんじゃないかと思うほど走った気がする。
実際はそれほど走ってはいないのだが。
羅刹の男は追ってこない。
もしかすると、自分なんてどうでもよかったのかもしれない。
安心した彼は激しい呼吸、咳き込みと同時に、ふと一言発した。
「な・・・なんなんだよ、ありゃあ・・・」
爆音。黒い筒。羅刹。そして、殺意。
かつて生きていた頃にも殺意と殺し合いはあったが、あれは違う。
あんな筒を向けられたら、あれはただの惨殺だ。圧倒的な力による殺戮だ。
思い出してもゾッとする。自分が弱くなってはじめて感じる何か。
あるいは彼自身山賊であった時略奪した村民も、それを感じたのだろうか。
「うおおーッ!すまねえ!すまねえッ!」
そう考えると、彼にも自戒、自責の念が押し寄せる。
だが、その念と同時に『もしかしたら、俺にもあの武器が?』という考えが浮かぶ。
「へ・・・へっへっへ・・・だとしたら・・・俺の時代が・・・」
自責の念はどこへやら、彼は己のバッグを開けた。
だが中には黒い筒はない。どこを探しても無い。かわりに服のようなものが出てきただけだ。
「つ、筒は!?俺様の黒筒・・・」
『そんなものねーよ』と彼が思うまで、少々時間が必要だった。
太陽を眺めながら落ち込む。この平野に誰もいなかったのが彼のせめての幸福だろうか。
涙を流しながら、彼は己の支給品である『ナース服』を手に取り、咽び泣く。
「こんな服・・・こんな服なんて・・・こんな服なんてよぉ・・・」
だがどうした事だろう。『意外とこれ、悪くないんじゃね?』な発想が出てくる。
ピンクに輝くキュートなカラーが彼のハートを直撃したのだろうか。
涙が止まった彼に、『第二の人生』が描き出された気がした。
- 28 名前:3/3 投稿日:2006/07/07(金) 20:50:57
- 「そうだ・・・俺は嫁さんを探そう!この服が似合うくらいとびっきりのべっぴんさんを!」
もう彼の頭の中に山賊も趙雲も羅刹も献帝もいない。
彼―裴元紹―の頭の中には、ナース服を来た『理想の嫁さん』が住み始めていた。
@裴元紹【ナース服】※理想の嫁さんを探す。現在地は江夏の辺り。
爆音、羅刹の男等は>>21の激戦区の誰か
- 29 名前:1/2 投稿日:2006/07/07(金) 20:53:46
- 司馬孚は城を駆け足で出た、しかしすぐに立ち止まり、
木の上に登り考えをめぐらせていた
「うーん、どうやってこの馬鹿げた戦いを生き残るか
・・・やはり一人よりチームを組むほうが
生き残る確率は上がるだろう、しかし」、
(私はいずれ献帝を倒さねば、それに乗ってくれる人が何人いるだろうか、
まぁ考えているのは、私だけじゃ無いだろうな、)
そんな事考えるより、どうやって生きる残るかの方が今は優先だ
まず鞄の中の武器を見てみるか・・・ゴソゴソ
吹き矢・・・か悪くないな、ならば早急に
仲間を捜さなくては、そう。
そう思っているうちに木の下から声がした
「おーい木の上のあんたチームを組まないか」
まずいと思ったが、なんだチームを組もうって事か
しかし油断は禁物だ、司馬孚は声の主にばれないよう
音を立てずに吹き矢に矢を挿し入れた、しかし初めて聞く声だな、
いったい誰なんだ、と思いつつ、司馬孚は警戒しながら木を降りた。
しかし、誰もいない、まさか罠?、そう思った瞬間に、背後から
銃声が聞こえ、銃弾が飛んできた、司馬孚は警戒していたものの
左腕に銃弾が当たり激痛が走る、司馬孚はそのまま痛みを堪えて
走り二発目はギリギリ外れた、いったい誰なんだ、いやそんなこと
よりも逃げることが大切だ。
- 30 名前:2/2 投稿日:2006/07/07(金) 20:54:34
- 司馬孚は逃げて森の中に入った、こっちも相手も飛び道具だが、
あの飛び道具はこっちの吹き矢とは全然威力が違う、
なら隠れながら戦う方が有利だ、司馬孚はすぐさま木に登った、
そして相手がこっちが何処にいるのかつかめてないのを見ると、
「お前はいったい誰なんだ」
「俺は甘寧だ、今の声でてめぇの居場所がわかったぜ、ありがとよ」
と言い発砲してきた、司馬孚は甘寧が喋っている
間足を踏み外して落ちていたので間一髪助かった、痛みを堪え気を抜かずすぐ逃げた。
まずい、こいつは明らかに乗り気だ、逃げつつ司馬孚は思った、
ここで司馬孚は右にそれた、ここは森だしばれることはないだろう、
思ったとおり甘寧は真っ直ぐに突っ込んで行った
「ふー、なんとか助かった、まさか本当に乗り気なやつが居たとは、
人はこうも変わってしまうものなのか、まぁ奴がもとの世界でどんな者だったかは知らんが、
いや知ってるか、甘寧・・・海賊かよ、運が良くて助かった」
ここに暫く潜伏しよう、仲間捜しは体力を回復させてしてからだ。
@司馬孚[左腕銃創・疲労・腰痛]【吹き矢(矢10本)】※洛陽の近くの森に潜伏中
@甘寧【ジグ・ザウエルP228】※荊州方面に進んでいる、会った奴は片っ端から殺す
- 31 名前:1/2 投稿日:2006/07/07(金) 22:37:59
- 最初はゲームに乗るつもりだった彼だったが、そんな思いはもう消え失せた。
本当の父に会わせてやろうか。この幼い弟を。
曹丕は曹幹の小さな手を握って外に出た。その暖かさに知らず笑みがこぼれた。
確か父は東門から外に出たはずだ。
しかし。曹丕はわずかに目を伏せる。
自分が父の元に出向いたとしても父は自分を信じるだろうか。
心残りだったろう末の息子を連れていれば…いや、それすらも策と取られるかもしれない。
父の信頼する臣下、例えば夏侯惇とか郭嘉だとかに託したほうがこの子のためか…。
「とうさま?」
きゅっと眉根を寄せた曹幹が曹丕を見上げている。
「とうさま、どこかいたいの?」
「…いや」
確かめるようにその手を握り返して、曹丕は微笑む。
「何でもないよ」
- 32 名前:2/2 投稿日:2006/07/07(金) 22:38:55
- 曹丕は駆けていた。曹幹をかかえるように胸に抱いて。
東門を一歩出るとそこは地獄だった。
曹一族に恨みを持つものたちの待ち伏せだったのか。今のところ銃を持っている者がいないようなのが唯一の救いだが…
そう思った次の瞬間、遠くで乾いた銃声が聞こえた。決して安心はできない。
曹幹を抱いた曹丕は圧倒的に不利だったが、
逆に言えば曹幹に呼び止められ出発がやや遅れたせいで直接襲撃に巻き込まれずに済んだとも言えた。
無差別な殺戮劇から逃れるように曹丕は南へと走る。
右手には銃を握って、左腕には幼い命を抱えて。
だがその先に待つ復讐の狩人の存在に彼はまだ気づいていない。
《パパじゃないよお兄ちゃんだよ/2名》
曹丕【スコーピオン】曹幹【白い鳩】
※曹繰やその臣下を探しています。基本的に戦闘はしません。
曹幹を抱えて全力疾走。一応の目的地は許昌。干禁には気づいていません。
- 33 名前:1/2 投稿日:2006/07/08(土) 04:15:09
- 郭嘉は北を目指していた。
何故自分がこんなにも北へと魅かれるのかは解らない。だがどうしても北に行きたい。行かねばならない気がする。
何かに吸い寄せられるように郭嘉の足は急ぐ。
「郭嘉殿!」
郭嘉の意識にかかっていた霧がその声で晴れた。
誰だ。ここはどこだ。状況は。俺の武器は?
急速に回り出す郭嘉の頭脳。しかし戸惑う郭嘉に構わず彼は言葉を続ける。
「貴方はどうしていつもそうなんですか!
畏れ多くも陛下に対してまであのような言葉遣いを…」
そうだ。こいつは陳羣。いつも俺の不品行を口やかましく…
陳羣も困惑していた。
郭嘉がふらふら歩いていた。
ああまたあんな風にだらだら歩いてあの人は。そう思ったら声をかけていた。
先程の態度だって何だ。陛下に向かってあのような…
待て。
陛下は何と仰った?
ちょっと 殺し合い をしてもらいます
ようやく二人は思い出した。
今は、異常事態なのだ。
だがどうしたことだろう。郭嘉がふらふらしていて陳羣が小言を言う。
それは彼らの日常そのものではないか。
それが可笑しくて、笑ってしまった。
- 34 名前:2/2 投稿日:2006/07/08(土) 04:16:05
- ひとまず茂みに身を隠し、二人は武器を確認する。
郭嘉のザックには小型のリボルバー。軽く小さいため服の下に隠し持つことにする。
陳羣のザックには閃光弾が5発。不思議な既視感を覚えた。理由は解らない。
これは殺し合いだ。
ふらふら歩いていた郭嘉だって撃ち殺されていたかもしれないし
不用意に声をかけた陳羣だって不意打ちで切り捨てられていたかもしれないのだ。
そう思うと、手の中の冷たい鉄が鈍く重みを増した気がした。
現実を把握しなければ、日常を忘れないようにしなければ。
その手段として一番効果的なのは、二人共にいることのようだ。
互いに気に食わぬこの男が今は必要らしい。皮肉なことに。
《不品行と品行方正/2名》
郭嘉【S&W M60 チーフスペシャル】陳羣【閃光弾×5】
※郭嘉の希望により北を目指します。理由はよく解っていないようです。二人とも記憶が混乱気味の様子
- 35 名前:1/2 投稿日:2006/07/08(土) 06:02:11
- ――あのときの魏延の顔が、今も脳裏に強く焼き付いている。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
遡る事数刻前。
姜維は間も無く呼ばれるであろう順番を待っていた。
彼はこんなもの――最後のひとりになるまで殺し合い――には、まったく乗り気ではなかった。だから一部の者が抱いている
ある種の期待とか高揚感といった物は心に皆無で、むしろ強烈な苛立ちと、幾許かの不安に包まれながらの待機であった。
首輪の存在が著しく癇に障る。ただでさえ邪魔な物が、ましてや目の前で爆発などされて、より一層忌々しい物に思えてくる。
「そこで、今日は、皆さんに、ちょっと、殺し合いを、してもらいます……か……」
献帝の言葉を何度か反芻する。言葉の意味は解るが、意図が解らない。
例えば説明の通り、優秀な者が生き残ったとして、ではその者はひとりでその後どうするのだろうか?
本当は、我々の知らない理由が何処かに――
そこで思考が微かな音に遮られた。先に呼ばれた魏延が去り往くところだった。出て行く際に一度だけ振り向き、眼が合った。
ぎらりと光る双眸から放たれた凍て付く視線に、背筋を絡め取られた。
「次に逢った時は必ず殺す。そしてその対象はお前だけじゃない」
と、彼の目がそう言っていた。
その視線の意味を正確に悟る。【対象】に諸葛亮が含まれる事も。一刻も早く合流しなければ互いに危ないと、直感した。
ややあって、今度は姜維が呼ばれ、表に出た。どうやら付近に魏延がいないことに、つい安堵してしまう。
身を隠す場所を確保して落ち着くと、不意に手渡された鞄の重みを覚えた。中にはそこそこの重量の物が入っているようだった。
- 36 名前:2/2 投稿日:2006/07/08(土) 06:03:30
- 取り出してみると、中に無色透明の液体が入った瓶だった。しっかりと密栓されている。片の掌に収まるかどうか、という大きさ。
中身の液体は何なのかが明記されている様子はない。ただの水かも知れないし、何かの劇薬かも知れないが、今はそれを知る由はない。
――これは武器……なのか?
余り役に立つようには思えない。普通の得物や、あの高性能な飛び道具を持っている連中もいるというのに。
もし、他の何かが手に入る前に、殺意を抱く誰かに遭遇してしまったら……?
ここは認めようが認めまいが、既に『殺し合い』の場だ。誰一人として信用など出来る由もない!
心底から抱いてしまった恐怖を思考から払い落とすかのように頭を振り、小瓶を鞄に収めた。
せめて、私はあの人を信じよう。
「先ずは、丞相を捜して合流しましょう。そしてふたりで協力して真実に迫ってみせます。
“最後のひとりになるまで殺し合い”なんて、私は御免です」
ひとり呟く声は、他の誰の耳にも届いてはいない。
@姜維【謎の液体が入った小瓶】
※諸葛亮と合流するつもりでしたが、城から出てくるところを見逃してしまったようなので捜しています(西に移動中)。
戦闘は極力回避する方針で、常に潜伏気味。(また、このゲームの真の意図が気になっています)
@諸葛亮【?】生存確認
- 37 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/08(土) 12:14:07
- 一体何なんだこの状況は。殺し合いだと?何故そんなことをしなければならない!
理不尽さへの怒りや恐怖。彼の中に渦巻いていたそれらは城を一歩出た途端に吹き飛んだ。
狩る者と狩られる者。そこにいたのは只の獣だった。
手に手に武器を携えた野獣。追いつめられている弱き獣。
そのか弱き獲物とは…曹繰!
それを認識した瞬間、彼、張繍もまた支給された山刀を握って獣となった。
めちゃくちゃにその刃を振り回した。梢が無駄に落とされて散る。
曹繰が脅えて逃げる。待て待て。共に楽しもうではないか。
愉快だった。愉快で愉快で震えが走る。
本当は自分はずっとこうしたかったのかもしれない。
ずっとあのチビを叩き斬ってその臓物を引きずり出してやりたかったのかもしれない。
いや確かに恨みはあったかもしれない。恐怖だって抱いていた。でも自分は何もそこまでは!
自分は人だ。獣ではない。まだ人だろう?まだ?ではいずれ獣になるのか。もう獣なのか?
わからない。わからないのだ。私はどうしたらいいのか。
自分が今恐ろしいのか幸せなのかさえわからないのだ。
わからない、わからないのだ…誰か教えてくれ、私はどうすればいいのか、そして私は何を望んでいるのか。
教えてくれ、誰か、賈ク…賈文和!
@張繍【山刀】
※ くるっている ※
賈クの呼びかけがあれば正気に戻るかもしれません。
@賈ク【???】生存確認
- 38 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/08(土) 14:56:22
- よくはしゃぐ、元気な獲物だった。
一発目は外れてしまった。
逸れたその弾丸は一人の忠実な臣下の頭とその主の青い瞳を抉ったが、それは彼の知るところではなかった。
もし知ったなら彼は幸せそうに微笑んだだろう。それは何よりでした、と。
あるいは悲しそうに笑ったかもしれない。殺せたのは一人だけでしたか、と。
獲物は必死で走っていた。彼の唇は優しい微笑を形作る。
昔から、逃げ足だけは早い方だった。
でもいけません、このライフルの射程から逃れるためにはもっともっと頑張って走らなければ。
それを許す私ではありませんけれど。
さて、じっくりと狙いをつけなければ。
空の箱のお礼に、貴方に死を贈りましょう。
黒光りする銃身とガラス玉の瞳が、鈍く輝く。
私は漢室最後の忠臣、荀文若。
逆賊どもには等しく死の裁きを。
@荀イク【ガリルAR(ワイヤーカッターと栓抜きつきのアサルトライフル)】[洗脳されている?]
※今は混乱に乗じて曹繰を狙っています。劉備や孫一族、またゲームに乗らない者を狙います。
積極的にゲームに参加している者は殺しません。殺意はありますが冷静です。
- 39 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/08(土) 18:23:57
- 「え〜と、○○のガイドライン?へぇ〜、色々な魔法とかが使えんのか」
1ページ目「パルプンテのガイドライン」
「え〜と・・・パルプンテ!・・・何もおきねぇじゃねぇか!!!次だ次」
2ページ目「メガンテのガイドライン」
「ふむふむ・・・メガンテ!」
あぼーん
爆音と共に劉備股肱の臣・張飛益徳は五体を散らし死んだ
だが、パルプンテが発動している今、彼が優勝する可能性は0ではない
張飛 死亡確認
※メガンテ発生地(徐州)は焦土と化しました
奇跡をおこす魔法・パルプンテが発動しています
○○のガイドラインは持ち主が死んだ為、消滅しました
- 40 名前:議論スレより連絡 投稿日:2006/07/08(土) 20:05:49
- >>39は当然ながら無効です
- 41 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/08(土) 22:02:02
- 城の付近から少し歩いたとき、どこか遠くから声が聞こえた。
悲鳴、怒号、笑い声…この空気は確実に参加者達の精神を蝕んでいるのがわかる。
「狂ってる」
そう呟いた途端、スコップの冷たくて重い感触がいやに不快になった。
果たしてこの金属の塊で身を守ることはできるのだろうか?
…いや、守るのは自分の身だけでは無いかも知れない。
それに、何かあればこれで他の者の肉を抉ることにもなるかも――
そう思えば一層この武器が忌々しく思えるが
武器に対する思いはこの世界に対する思いでもあることに禰衡は気付かなかった。
「(孔融の行きそうな所を目指すか、どこかに居る適当な奴に聞くか。)」
あたりが薄暗くなってきた。これ以上ふらふらしていては危険かもしれない。
「(人は信用ならんがまともな奴に限っては情報源として最適かもしれん。)」
目測で動くよりは何か手がかりがあったほうがいいという一通りの考えをまとめ、
ふん、と鼻を鳴らして少しだけ満足そうな顔をした。
「あと、わしの天気予報は百発百中。今夜は満月な。」
@禰衡【農業用スコップ】
※孔融を捜していますが、どこに行くかは未定のようです
- 42 名前:1/4 投稿日:2006/07/08(土) 23:05:21
- (なるほど・・・打撃用の武器であるようだが、威力のほうはタカが知れていそうだな・・・)
やれやれ、と呟きながら、張コウは己の支給武器『竹刀』を片手で振り回す。
銃でも当たれば未来も今より明るいものになっていたのかもしれないが
こんな武器で希望を見出せるほど、彼は天才でも阿呆でもない。
(やっぱり天下をつかめる素質のある奴ってのは、こういうところからも違うんだろうな)
曹操殿の武器はなんだったのだろう。
それを知る術は今の張コウにはないが、なぜか立派なものに思えて仕方がない。
ため息を吐きながら近くの切り株に腰を下ろし、かつて仕えた主君『曹操』のことを考える。
曹操には威厳と気品があった。袁紹にも確かにそれはあったが、曹操とはまったく別物だ。
『天下を握りまとめられるのは、きっとこういう人物なのだ』
そう感じずにはいられない感覚だった。
それと同時に、自分にはその器が無い事を思い知らされる。
仮にこの殺し合いで自分が生き残って天下を握っても、その天下の行く末は・・・?
そこまで彼が考えた時だった。
「おう、殺すぞー」
瞬間、張コウの背筋に凍るような感覚が走った。
腰掛けた体制から反射的に飛びのき、近くにあった木の陰に隠れる。
(ちっ、オレとした事が!こんな時にのんびり耽ってる場合か!!)
自戒しながら、声がした方を木の陰から覗き込む。
一応竹刀もいつでも振れる様に持つが、相手が銃を持っていたら意味は無い。
だが、張コウの目の先にいる男は銃どころか武器と呼べるようなものを何一つ構えていない。
それどころか、髭も髪も服もぼさぼさ、にやにやとした顔。
まるで今で言う浮浪者のような格好をしている。あまりにも貧相な風体だ。
しかしその姿に、逆に張コウは奇妙な違和感を感じた。
『天下を握れる者の風格』を、曹操とは別種ながらもその男がまとっていたからだ。
他愛の無い一言で自分が異常に恐怖を感じたのも、おそらくそのせいだろう。
「・・・あんた、何者だ?」
用心を忘れない張コウのそんな一言に、貧相な男はひゃははと笑いながらこう答えた。
「俺様か?俺様ぁ大賢良師、張角様よ」
- 43 名前:2/4 投稿日:2006/07/08(土) 23:06:30
- (張角!?黄巾の乱の首謀者の、あの張角か!?)
思わず張コウは目を丸くする。
仰天するような一言だ。元を返せば、己が兵に志願したきっかけの人物ではないか。
「で、そこのお前さんはなんて名前だ?」
張コウの心を知ってか知らずか、あくまでのんびりした口調で張角が問う。
その問いに答えるべきか?張コウが迷っていると、張角は名簿を見ながらまた言い放った。
「ま、俺様の後からさほど時間もねぇで出てきたって事は・・・チョウ・・・の誰かってことか?」
「そんな事より、自分の命を心配したらどうだ?この糞虫以下の大悪党がッ!」
いや・・・違う。心の中で張コウは自分の行動を否定した。
『張角は油断している。ひょっとしたら、今飛びかかれば殺れるんじゃないか』
言葉など必要ない。飛びかかって殺せばいい。
例え自分の武器が殺傷力は低くても、喉などの人体の急所を狙えば殺すことは可能だろう。
殺戮ゲームに乗る乗らない以前に、『張角』という男は殺すべきなのだ。
ではなぜ飛び掛らないのか?それもわかっている。
唐突に現れた張角の武器は未知!あるいは恐ろしいものかも知れない!そんな恐怖が原因だ。
何より幻術を使えるらしい張角と、まともに対峙するのは馬鹿げている。
「糞虫以下の大悪党ってか?おめぇさん、なかなか言うじゃねえか」
頭をかきフケを撒き散らしながら、張角はひゃははと笑う。
「その糞虫以下の大悪党が、もしもこの殺し合いを終わらせるとしたらどうする?」
「・・・え?」
予想外の言葉だ。殺し合いを終わらせる?どういう意味だろうか?
戸惑っている張コウをよそに、張角は今までの不遜な態度が消え
別人であるかのように凛々しく、雄々しく、天を仰ぎ見て大きく叫んだ。
「蒼天既に死す!太平の世を築かんがため、俺は今より立ちて漢王朝を打ち滅ぼさん!」
- 44 名前:3/4 投稿日:2006/07/08(土) 23:07:44
- 叫んだ後、天を仰ぎながら張角は大きく息を吐いた。安堵のため息だ。
「・・・ひゃはは、どうやらこの程度ではこの首輪は爆発しないらしいな」
「不遜の一言だな」
張コウはただ一言呟く。だが、その言葉とは裏腹に張コウの心は少し躍った。
(確かに献帝を倒せば、この戦いは終わるのかもしれない・・・)
「・・・というわけだ。どうだ?おめぇさん、俺様と一緒にブッ潰さねぇか?王朝を、よ」
張角が誘いの言葉を投げかける。だが、張コウはそれを否定した。
「・・・御免だな。いや、オレじゃなくてもあんたと行動する奴はいないだろうよ。
同じ黄巾賊の仲間を探す事だな」
「そいつぁどうか知らねぇが、まあいいさ」
張角が、木陰に隠れている張コウに背を向ける。今なら殺せるかもしれない。
が、張角の話の内容に気を惹かれた彼はすでにその意志はなくなっていた。
「なぜ、オレに声をかけた?オレがお前を殺すとは考えなかったのか?」
去り際に、張コウは張角の背に疑問を投げかける。
振り返りらず、張角はその疑問に答えた。
「そんな武器をもらった奴は、人の話を素直に聞くかと思ってな」
「オレが他に武器を隠しもっているとは考えなかったのか?」
「そん時ゃ、俺様も応戦させてもらうつもりだったさ」
そこまで言うと張角は振り返り、まだ木陰に隠れている張コウに一言発した。
「ま、よく考えろ。100人全員殺すのがいいか、帝1人殺すのがいいかってのをな」
「やれやれ・・・まさか張角にあんな事を言われるとはな」
張角が去った後、木の陰で尻餅をつきながら張コウは軽く頭を抱える。
数で考えれば確かに帝は1人。側近あわせても100人はいかないはずだ。
戦を知らない者たちが相手なら、十何人かで武器を持てば太刀打ちできそうな気がする。
- 45 名前:4/4 投稿日:2006/07/08(土) 23:08:38
- 帝が持っていた、この首輪を爆発させるアレを奪取できれば・・・。
そこまで考えて、張コウは自嘲するように笑う。
あるいは自分も銃器を与えられていれば、今頃無差別に殺していたかもしれない。
戦いに不利な武器だからこそ、他と協力して生き延びる道を探そうとしているのだ。
それが武器次第で主張が変わるとは、世の中はなんと不思議なのだろう。
「まあ、いいさ。張角に会ったのも何かの縁だ。オレがそう考えたのなら、それでいい」
自分には天下を握る素質は無い、ならば天下を握る素質を探し、ともに帝を倒した後
その人間の下で将軍として働くのも悪くはない。だが張角と組む気は無い。
ならば、自分が認める素質とは誰だ?
一瞬袁紹の顔が思い浮かぶが、張コウは頭を振ってそれをかき消した。
認める素質はただ1人。決まっている、曹操しかいない。
「よし、曹操殿や夏侯惇殿、他の方々を探そう。
あとはこの話に乗ってくれるかどうかだが・・・」
洛陽城を西門から出た彼は、東門の騒乱に気づいていない。
夕日に変わった太陽を一瞥し、彼は曹操を探す。
その曹操がすでに騒乱に巻き込まれていることも知らずに。
@張コウ【竹刀】
※曹操や信用できる魏の人間を探します。現在地は洛陽西の森林。
@張角【???】
※ゲームに乗っていなさそうな人間、弱い武器を持っている人間に声をかけます。
現時点では打倒献帝。
【袁紹 夏侯惇 生存確認】
- 46 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/09(日) 01:24:16
- 運が良いときは、恐ろしいほど良い事が続くものだ
だが、悪いときは何をしても裏目に出る
こういうときは動かず、好機が巡ってくるのを待つのが良い
だって支給品が紙なんだもん
糞したあとの尻を拭くのには使えたけどな・・・
まぁいいや、南蛮に行けば仲間に助けてもらえるよ、きっと
@阿会喃【DEATH NOTE(あと9ページ)】
※DEATH NOTEのルール追加:1ページにつき、5人まで殺せます
所在地:新野
- 47 名前:1/7 投稿日:2006/07/09(日) 01:42:20
- 鞄を受け取り城を出る最中、楽進はこれからどうすべきかを考えていた。
この殺し合いの中、自分は何をすべきか。今までと同じように主君曹操の為にこの武を振るうか、
(それとも、自らの命を第一とし、この身修羅と化し、己が主君すら切って捨てるか…)
そんな考えが浮かんだ事に、ふと笑みが漏れた。そのような考えは、常に引いてはいけない一線にその身を置き、曹操軍の一番槍として闘ってきた楽進にあるまじき考えだからだ。
(我が身我が武は、曹操様をお助けする為にあるような物だ。そのような考えはこの楽進の考えではない)
ならばこの後どうするかも、自然と見えてきた。
(まずは身を隠し、この城の前にて殿、もしくは夏候惇殿や夏候淵殿と合流し、今後の方針を決めればいい。)
そう決心し、城から出ようとした楽進は足を止めた。今まで潜り抜けてきた修羅場で常に感じていた物、強烈な殺気が入り口から伝わってきたのだ。
(殺気、こちらに向けているにはいささか距離があるように感じられる。ということは、例の銃器とかいう物かも知れん。
これは、今の内に支給品を確認した方よさそうだ。)
そして、楽進は自分の支給品を確認するため鞄を開き中身を確認した。
- 48 名前:2/7 投稿日:2006/07/09(日) 02:03:17
- 一方、城門から少し離れた茂みに郭シ巳が潜んでいた。片手のニューナンブを持ちながら自分の幸福に酔っていた。
「まさか当たりを引いちまうとはな。これさえあれば呂布だろうと董卓の旦那だろうと…ククク」
自分の力では到底叶わない二人が倒れ付す絵が頭に浮かびいびつな笑顔が浮かぶ。
と、そのとき、郭シ巳は城門付近に人の気配を感じた。
「誰か来たな?ククク、早速俺の腕試しをさせてもらうぜ…」
そして待つこと2,3分、城門から人影が現れた。
「クカカカ!死ねぇ!」
茂みから飛び出し、有無を言わさずの速攻の不意打ち。
殺った!と満面の笑みを浮かべた郭シ巳。しかしその顔は驚愕の色へと塗りつぶされた。
「へ?ば、馬鹿な。たしかに当たったはず…」
「ふむ、なんとかなるものだ」
そう言いながら両手の双剣を構えなおす楽進。
郭シ巳の狙いが外れたわけではない。寧ろ正確だった。
げに恐ろしきは楽進。彼は、予め、敵が飛び道具で狙うとしたら、とシュミレートした結果、頭部と心臓と予想した。
そして郭シ巳が飛び出すと同時に支給された双剣を胸と頭の前に出し銃弾をはじいたのだった
「さて、覚悟はよろしいか?」
「ヒッ!」
楽進の迫力に押された郭シ巳は情けない声を上げながら逃げ出した。
(しかし、予想以上に弾速は早かったな。あれが敵にあればこちらの危機につながるが、こちらにあれば実に頼りになる)
そう考えるよりも早く楽進は駆け出していた。そんなことよりも、確実に一つだけわかっていた。
あの男はたぶん我が主君にも牙を向くだろう。ならば…
(殿の障害と成り得る者はこの楽進が排除する!)
- 49 名前:3/7 投稿日:2006/07/09(日) 02:04:26
- 数十分に及ぶ追いかけっこは森の中にある少し開けた場所で終わりを迎えた。
楽進「観念しろ。俺が追撃している間にもたくさんばら撒いたんだ。既に弾は残っていないだろう」
楽進がそう言うと、図星だったのか郭シ巳はへなへなとその場に座り込み、うつむいて一言「殺せ」
とだけ呟いた。
「無論そのつもりだ。殿の障害と成り得る者はこの俺が排除する」
そう言って双剣を持ちながら一歩一歩郭シ巳に近付いて行ったその時、城の方から怒声が聞こえた。それを聞いた瞬間、楽進は唐突に悪寒を感じた。
(なんだ?まさか、殿が…!?)
楽進が注意を逸らした瞬間、一発の銃声が鳴り響いた。胸が熱い。そう思いながら胸に触れた手を見るとその手の平は紅に染まっていた。
「ひっかかりおったな、馬鹿めが」
崩れ落ちそうになるのを堪えながら郭シ巳を見ると、そこには満面の笑みを浮かべた郭シ巳がいた。
「もう、弾は無いはず…」
「馬鹿が!この一瞬の為に最後の一発は残しておいたのよ!それも気づかず俺の演技にのせられるとは、この大馬鹿者が!
第一に、貴様ごときから逃げようと思えばすぐ逃げられたわ!」
そう言って高らかに笑った郭シ巳は楽進が傍らに落とした剣を拾い上げた
「クカカカカカ、俺を追い詰めた罰だ。自分の武器で惨めに死ね!」
そう言って郭シ巳は剣を振り下ろした。決着は一瞬でついた。
- 50 名前:4/7 投稿日:2006/07/09(日) 02:06:14
- 郭シ巳は三つのミスを犯した。
まず一つは本気で逃げなかった事。そうすれば楽進は>>17の騒ぎに向かっていただろう。
次は最後の一発で頭を狙わなかった事。どんな屈強な人間でも頭を打たれればそこまでである。
そして最後のミスは、彼は楽進という武将を見誤っていた事だ。
郭シ巳は剣を振り下ろした。しかしその剣が楽進の脳天を切り裂く前に楽進は郭シ巳に組み付き、その剛力で郭シ巳の骨を粉々に砕いていた。
決着は一瞬でついた。
その場には信じられないといった顔つきで血を吐き、倒れている郭シ巳と致命傷を受けながらも立ち尽くしている楽進がいた。
(勝つには勝ったが、このような失敗をしてしまうとは…私もまだ未熟というわけか…)
口から血を吐きながら自嘲を浮かべる楽進。彼の命もまた、尽きようとしていた。
(殿、お力になれず申し訳ありません…)
そんな事を思いながら楽進はその命を終えようとしてしていた。
「楽進!」
突如、自分を呼ぶ声に楽進が振り返ると、そこには、傷だらけの曹仁と曹洪がいた。
「おお、御二方、よもや、最後に貴殿らに会えるとは…」
そう言いながら崩れかける楽進を慌てて二人が支える
「しっかりしろ!楽進!」
「生憎、心臓をやられてしまいました。某はもう長くは無いでしょう…」
熱を失っていく体と胸から流れる血を見て、曹仁と曹洪は沈痛なおももちになる
「殿は…?」
「残念だが、敵に襲われはぐれてしまった。無事ならいいが」
心配そうな顔をする二人を弱弱しくも楽進が笑い飛ばす。
「何をおっしゃる。殿がしぶとい事は、御二方がよく知っておられるはず…」
「…うむ、そうだったな」
「ごきぶり並みだからな」
曹洪がそう言うと三人に笑いが漏れた。その時
- 51 名前:5/7 投稿日:2006/07/09(日) 02:07:41
- 「ここにいたか!」
声がした方に三人が顔を向けると血走った目で斧を構える朱霊がいた。
「しまった!」
「ひひひ、よくも俺を冷遇してくれたなぁ、ろくな物も持ってないてめぇらなんざぁ、俺様がぶっ殺してやる!」
狂気に飲まれた顔で朱霊が近づいてくる、いつもの曹仁と曹洪ならば朱霊にここまで追い込まれる事は無かっただろう。
しかし二人に支給された物はかみそりとゴム風船である。これでは斧相手に勝てというほうが無理である。
「くっ…!」
「ここまでか…」
絶望的な状況に覚悟を決めた二人。しかし、その後ろで楽進がゆっくりと、しかし、確実に立ち上がってゆく
「この二人は…やらせん…」
通常ならば立ち上がることなどはできる体ではない。だがそれでも楽進は立ち上がる。
「楽進!」
「無理だ!その体では」
止めようとする二人に、楽進は微笑ながらただ一言つぶやく。
「ここで…倒れる…は楽進に非ず…我が命…尽きるまで…我が殿の障害は…排除するのみ…!」
- 52 名前:5/7 投稿日:2006/07/09(日) 02:08:15
- それだけ言うと楽進は双剣を構え、朱霊へと突進した。
(天よ、この死に損ないに最後の力を!!)
「舐めるな死に損ないが!」
怒号と共に朱霊が振り下ろした斧を双剣で受け止める。楽進の傷口から血が噴出し楽進の顔に苦渋の色が浮かぶ。
「舐めるなはこちらの台詞だ未熟者めが」
その言葉と共に楽進は双剣で受け止めた斧は跳ね上げ空いた胴を双剣で薙ぎ払った。
「そ、そんな…こんな死に損ないに…」
それだけを言うと上半身と下半身に分かれた朱霊は地に転がった。そしてそれと同じく楽進も地に伏した。
「楽進!」
曹洪と曹仁が駆け寄る。だが既に楽進は事切れていた。最後まで主君の為に戦い、その顔に満足げな笑みを浮かべながら。
- 53 名前:7/7 5が二つorz 投稿日:2006/07/09(日) 02:09:44
- 「…これからどうする?」
簡易に作った楽進の墓に手を合わせ、曹洪が訪ねる。
「無論、孟徳を探す。奴に死なれたらこいつとて浮かばれん」
そう言って曹仁は楽進の墓を見た
「だな。じゃあ行くか。武器も手に入れたし。まずはどこに行く?」
「奴が行きそうな所…奴の家にでも行ってみるか」
「よし、じゃあ行くか」
そう言うと、二人は再度楽進に手を合わせ、目的地へと足を進めた。
【郭シ巳 死亡】【楽進 死亡】【朱霊 死亡】
【生存確認:夏候淵】
<<孟徳捜索隊/2名>>@曹仁【かみそり 双剣(やや刃こぼれ)】@曹洪【ゴム風船 斧】
※曹操の家に向かいます。現在地は洛陽
- 54 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/09(日) 10:33:19
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─────‐∧ ∧,〜 ────────────‐(; ´Д`) ────―─‐──‐
──−──‐( (⌒ ̄ `ヽ───_ ───────‐ / /─―/ヽ────―─‐
──―───‐\ \ `ー'"´, -'⌒ヽ──────‐| | 程 ‐─‐/ | | ─────―
―‐――──‐ /∠_,ノ _/_───‐―──―─‐| | /─―/ | |―────―‐
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────‐ 、( 'ノ( く `ヽ、 ―────―‐| /−─/|| | ──−───―
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───────────────────‐─────────―─────‐
「またつまらぬものを斬ってしまった・・・」
@徐庶[通り魔化]【斬鉄剣・首輪解体新書?】
※弱い者を狙います。長安に潜伏中
程普 死亡確認
- 55 名前:1/4 投稿日:2006/07/09(日) 11:03:11
- そう、あれは俺が知恵の重要さを知った三日後だったか―――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「なあ子敬ィー。何か天気いいしさあー。一日ぐらい勉強しなくたってさあー。
何か今日は乗り気じゃあないんだよー。槍の素振りしようぜェー」
「あのね子明。貴方はりっぱだ。『知恵の重要さを知った、俺に勉強を教えてくれ』なんて
なかなか言えることじゃあない・・・そして『史記』だってちゃんと覚えたじゃあないですか・・・。
教えたとおりやればできます、あなたならできるんですよ・・・。
いいですか、『国士無双』は誰です?」
「国士無双は、韓・・・韓、えと・・・韓信?」
「そうッ!やっぱりできるじゃあないですか!
もう楚漢戦争の勝者なんてわかったも同然ですよッ!」
「そーかッ!韓信ねッ!よしっ! 」
「やったー!子敬終わったよ、どう?」
「ン、できたの?ドレドレ・・・」
『始皇帝』
『 始 皇 帝 』
「何これ・・・・・・?」
「へへへ、当たってる?」ザ グ ゥ ! !「あぎゃアァァ―――ッ!!」
「このド阿蒙がオレをナメてんのかッ!何回教えりゃあ理解できんだコラァッ!
韓信って言っときながらなんで時代遡ってるんだこの・・・」
「 ド 低 脳 が ァ ー ッ ! !」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
- 56 名前:2/4 投稿日:2006/07/09(日) 11:04:02
- 「・・・子敬」
南門へ歩きながら、呂蒙は過去を振り返り友の名を呟く。
100人集められた場。その中には主君も、同僚も、敵も、そして我が友もいた。
自分が呼ばれたのはかなり後の方だ。ほとんど最後に近い。
だがその後には己の友、魯粛もいるはずなのだ。
・・・やはり、待つべきか。
そう思い、後から出るはずの己の友を待つべく、南門への道から洛陽城を仰ぎ見る。
おそらくは呉に向かうであろう友も、ここか東門から出るであろう。
帝はこう言っていた。『全員が出次第、洛陽は禁止区域にする』と。
であれば、魯粛が出てきたと同時にすぐさま呉に向かったほうがいいかもしれぬ。
(門前で待とう。城中ではあの側近どもが何をするかわからぬ)
そう思い、呂蒙は南門へと歩を進め、外へ出た。
だが彼がその先に見たのは、かつて『呂範』であった男の無残な死体だった。
「呂範・・・ばかな、呂範!!」
すぐさま駆け寄る。呂範は見事―というと不謹慎だが―なまでに一刀両断されていた。
何か、恐ろしい化物を見たかのような表情だ。眼は見開かれ、顔は恐怖に染まっている。
ふと、呂蒙の頭に自分のすぐ先に出て行った呂布を思い浮かべる。
あいつか?とも一瞬思ったが、呂範の死体を見ていると、何かが引っかかる。
この切り口は、見覚えがある・・・。
必死に呂蒙はおぼろげな記憶を辿る。どこで見たはずだ、と。
ややあって後ろから来た魯粛が、呂蒙を見つけ声をかける。
「子明、ここにいたのですか・・・子明?」
「子敬か、来たか・・・見てくれ。呂範が斬られた」
そう言って、呂蒙は呂範の斬死体を指で指す。魯粛もそれに声を上げた。
「むっ!これは、呂範!」
「子敬、この傷に見覚えは無いか?俺は、どこかで見たはずなのだ・・・」
言われた魯粛は屈み込み、真剣な顔で呂範の死体を見る。そして、目を見開いてこういった。
「・・・関羽。この切り口は、関羽の青龍偃月刀でしょう」
- 57 名前:3/4 投稿日:2006/07/09(日) 11:06:22
- 「・・・やはり、そうか。奴め、まさか俺を殺そうとしているのか・・・」
納得言った面持ちで呂蒙も考え込んでいた頭を上げ呟くが、魯粛が疑問の声を上げる。
「・・・なぜ、貴方を?」
「子敬。お前は知らぬと思うが、俺は奴に恨まれる覚えがある」
それだけ言うと、呂蒙は魯粛を見て、はっきりと言った。
「信念を持つ呉将が、この殺し合いなど乗るものか!
お前は呉に行き、他の皆と合流しろ。皆きっと呉国にいるはずだ」
「子明、貴方は?」
「俺は関羽を追う。奴とは、決着をつけねばならん。
まだ呂範は死んで間もない。きっと奴もこの近辺にいるはずだ・・・俺は行く!」
それだけ呟くと、呂蒙は南に向かって走り出す。
「あっ、子明!青龍偃月刀を持っていたからって関羽とは限らない・・・っておい、聞けよ!」
魯粛の静止も聞こえない。魯粛は大きくため息を吐いた。
「・・・まあ、いいか。すぐ気づくだろ、きっと」
なんとかなるだろう。そう思うことにした。
呂蒙が走り去った場所から視点を変え、魯粛は己の支給品である『圧切長谷部』を手に取る。
付属してある解説書によると、異国の支配者になるはずだった男が所持していた剣らしいが
その男に今は興味はない。
強いて興味と言うなら、なぜそんなものがここにあるのかという事ぐらいだ。
(剣術は確かに習得はしていたが・・・さて、これで銃器にどこまで対抗できる?)
戦闘への不安を胸中に浮かばせながら、手にした剣を真剣な面持ちで見つめる。
(そういえば、周都督もやはり呉に向かったのだろうか?)
圧切長谷部の美しい、魅入られてしまうような刀身から、魯粛は1人の男を連想した。
- 58 名前:4/4 投稿日:2006/07/09(日) 11:08:03
- 「ぬおお!どこだ関羽ーッ!!俺はここにいるぞーッ!」
絶叫しながら呂蒙は南に走り出す。己の支給品『捻り鉢巻』を着衣して。
(なんという素晴らしい頭巾!まるで心体が燃えるようだ!
勝てる!今の俺ならば、きっと関羽にも勝てる!!呂範、仇は討ってやるぞ!!)
門を出て一番最初に見た『呂範の死体』、心底にある『関羽への恐怖』。
この二つの要素から、今の呂蒙の思考回路はブチキレ寸前だった。
というかむしろ、ブチキレていた。
関羽を倒す。今の彼はそれしか考えていない。
『呉の大都督』、半分狂ってバカ丸出しであった。
転ぶか何かにぶつかるか、息が切れるか。
要するに走るのをやめれば、冷静に考え自分を恥じ、死ぬ事は無いだろう。
もっとも、呂布に追いつく前に、の話なのだが。
@呂蒙【捻り鉢巻】
※捻り鉢巻着用中。関羽を探すため南へダッシュ。狂乱中。走るのをやめれば元に戻ります。
@魯粛【圧切長谷部】
※とりあえず、呉へ。銃器所持者や強敵との戦闘は避ける予定です。
周瑜【???】生存確認
- 59 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/09(日) 16:20:09
- ふと我に返ると手が血で染まっていた
「なぜだ・・・私は狂ってしまったのか?」
私が狂い始めたのは、あの男と数刻前に出会ってからだ
仲間との絆を引き裂いた男、曹孟徳に!
奴と目が合ったとき、手にある残鉄剣が熱くなった
・・・それからの事は覚えていない
だが、見覚えのない本を持っているという事は奴を殺して
支給品を奪ったという事に間違いはないだろう
そして、この剣は呪われている
だが捨てるわけにはいかない。唯一の武器なのだから
「孔明、士元。俺とお前らは親友だよな・・・また昔のように語り合えるかな?」
@徐庶[精神不安定]【残鉄剣・首輪解体新書?】
※通り魔化は治まったようです。
曹操を殺したと思っていますが、実際は>>54で程普を斬っただけです
落ち着いたら旧友に会うべく荊州へ向かいます
龐統 生存確認
- 60 名前:59 投稿日:2006/07/09(日) 16:27:37
- ※訂正:【残鉄剣・首輪解体新書?】を【斬鉄剣・首輪解体新書?】へ変更します
- 61 名前:1/2 投稿日:2006/07/09(日) 18:19:06
- 見事な満月だ。
美しいが同時に恐ろしさも感じさせる月だ。
妙に月を近くに感じるからだろうか。重量感というか圧迫感というか、そんなものがある。
陳羣の記憶は徐々に鮮明さを取り戻しているようだったが、
郭嘉の思考は逆にどんどん霞がかかってきているような気さえしていた。
「貴方は、北への遠征中に亡くなられましたから…
北へ拘りを感じるのも、そのせいなのではないですか?」
そう言う陳羣も記憶がはっきりしているのはまだ若かった頃までだ。
「へえ、俺ってやっぱり長生きできなかったんですね」
自分の人生さえ茶化しているような郭嘉の返答に陳羣はムッとする。
「真面目に聞いてください」
「や、真面目ですよ?
ただ自分の死に様を人から聞くってのも妙な話だなって」
確かにそうだ、と陳羣も思ったが、自分の命を軽く考えているようなその態度にはやはり腹が立った。
「貴方の死を、それは多くの方が嘆いたのですよ」
曹操も、荀イクも、武官も文官もその才を惜しみ郭嘉の儚さを哀しんだのだと陳羣は言った。
しかし郭嘉はへらへら笑ってそれを混ぜっ返す。
「陳羣殿も嘆きました?」
「…さあ、どうでしょう?記憶がはっきりしませんので。
それよりいい加減に真面目に話を聞いていただけませんか」
「だから俺は真面目ですって。
しかし陳羣殿も随分都合よく記憶が欠落しますねえ」
笑いながらも郭嘉は考える。
- 62 名前:2/2 投稿日:2006/07/09(日) 18:21:21
- 記憶の欠落。それはやはり誰かの都合によるものなのだろうか。
自分のこの北への衝動も陳羣の言うような感傷から来ているものではない、と思う。
誰の都合か、といえば主催者しかありえないだろう。
主催者…つまり献帝?
『畏れ多くも陛下に対してまであのような言葉遣いを』
陳羣の小言が頭の中で再生される。
まあ確かにそうだ。あの時点で自分の頭も柘榴のように弾けていたっておかしくない。
自分の命がとりあえず今はあることさえも主催者の都合なのか?
そもそも主催者は献帝なのか…?
そういえば、と郭嘉はふと気になっていたことを口にした。
「冷静ですよね、陳羣殿。
今って結構異常事態だと思いません?」
陳羣は直球な郭嘉の問いに面食らう。
確かに驚くほど自然に自分はこの状況を受け入れて平然としている。何故?
「慣れてるんですか、こういう状況」
「…まさか」
困惑しながら陳羣は答える。
「慣れるほど、何度もあってたまりますか。…こんな状況」
そう、何度もなんて…あってたまるか。
《不品行と品行方正/2名》
郭嘉【S&W M60 チーフスペシャル 弾は5発】陳羣【閃光弾×5】
※現在地は洛陽北の森の中。夜の間は交代で休みます。夜が明けたらひとまず陳留を目指します。
※禰衡の天気予報どおり、明るい満月の夜です。
- 63 名前:1/3 投稿日:2006/07/09(日) 21:01:03
- 「っは、はぁ、はぁ、……はぁ……」
足ががくがくしてもうこれ以上は走れない。
彼は倒れこむように座り込み、近くの木に身を預けた。
息が整わない。血の色が目の前をちらつく。
あれが。あれが呂布か。
自分の生きた時代には既に伝説となっていた猛将。
己が国にも猛将、勇将と呼ばれる存在は数多く居たし、自分もその末席くらいには名を連ねているつもりで居た。
桁が違う。
―――あれはそんな生易しい言葉で表現できる存在じゃない。
気迫が違う。
―――自分が何人束になっても勝てるとは思えなかった。
世界が、違う。
―――まさに声を掛けようとしていた孫呉の仲間、呂範が目の前で斬り殺されたと言うのに、
ただひたすら逃げる事しか出来なかった。
それが恥ずかしいとさえ思えない。あれは違う生き物なんだ。人間が敵う相手じゃない。
凌統は長い息をつき、拳を握り締めた。
まだ震えが、止まらない。
- 64 名前:2/3 投稿日:2006/07/09(日) 21:04:27
- 「うわーっ!? ちょ、ちょっと、やめろ! どけ! どけってば!!
誰か助けろ! 助けて!? ぎゃああぁ」
突然悲鳴が聞こえて、凌統は身を竦ませた。
……しかし、どことなく間抜けな雰囲気の悲鳴である。
それに、同じ方向から聞こえてくる……あれは獣の鳴き声、というか犬?
さほどの危険はなさそうだと判断して、凌統は相手に気付かれないように、身を隠しながらそっと覗き込んだ。
なんだあれ。
感じていた緊張が急激に緩んでいく。
文官だろうか、自分とさほど変わらない年頃と見える青年が、大きな白い犬にのしかかられて半泣きでわめいていた。
もう一匹、仔犬がその周りを楽しそうに跳ね回っている。
放っておこうか、と思ったそのとき、頭の中に何か奇妙な既視感がよぎった。
犬。犬の母子。
姫様。握り締めた栗色の髪。
姫様の死体。陵辱の痕。
お上。復讐。復讐―――
「そ、そこ! 誰か居るんだろう!? 見てないで助けろ! 人の心が有るのなら!」
自分の中で膨れ上がりかけた何かが、上擦った青年の声で四散する。
気配は殺してたはずなのに、こんな文官(たぶん)に悟られるとは……
内心ちょっと凹みつつ凌統は木陰から出た。もちろん、警戒は怠っていない。
しかしその途端、
「うわっ!? 何だッ?」
さっきまで青年にのしかかっていた大きな犬が自分の方に飛びついてきた。
一瞬血の気が引いたが、ぺろぺろ顔を舐められ、どうやら犬は自分に危害を加えるつもりは無いらしいと悟る。
少し遅れて、その辺を跳ね回っていた仔犬も、体ごとぶつかってくる。
しっぽをちぎれんばかりに振って目をきらきらさせながらである。
……何で俺いきなりこんなに懐かれてんの?
- 65 名前:3/3 投稿日:2006/07/09(日) 21:09:55
- 「あー。とりあえず礼を言う。私は馬謖、字を幼常。お前は?」
「……凌統。字は公績」
礼を言う、と言っている割には態度デカいなこいつ。
ふんぞり返っている文官っぽい青年、改め馬謖を眺めて凌統は曖昧な笑みを浮かべた。
後ろには犬が2匹。何の因果か、すっかり懐かれてしまったようである。
「ふん。見たところそれなりに腕もたつようだ。私と行動を共にする事を許そう」
なんだこいつ。心底なんだこいつ。
あっけにとられて馬謖の顔を見つめた。
ふっ、と妙に得意げな笑みを浮かべられ、凌統は完璧に呆れた。
自分も知力に自信はないが、ここまでの馬鹿にはつきあってられん!
くるっと身を翻し立ち去ろうとすると、がしっと腕を掴まれ危うくコケそうになった。
「拾ったなら責任を持って面倒を見ろ! それが君子の行いというものだ!」
「拾ってない! 犬は拾ってもいいけど貴様は拾ってないわボケ!」
「拾え!」
「嫌だ!!」
「いま私を拾うと素敵な配給物のオマケつき!」
「要ら……それ何?」
うっかり目の前に突き出された黒っぽい板に興味を示してしまったのが、凌統の運の尽きだった。
<<既視感を追う旅/2名>>凌統【???、犬の母子】馬謖【探知機】
※どさくさでパーティ化。近づく人間を察知できます
- 66 名前:1/3 投稿日:2006/07/10(月) 00:01:56
- 「皆さんで殺し合いをしてもらいます」
あの言葉を聴いてから何時間が経っただろうか…。山々の間に太陽が沈もうとしている
「殺し合い、か…」
言って自分の口が自然と笑みを作っているのを感じた。
せっかく人がよこした援軍を、余計な事をするな。と、断った挙句、自業自得で死に、俺を蜀から追い出す原因を作った関羽。
あのままじゃどちらも殺されるからと脱走に誘ったが断り、挙句、俺を罵り蜀に残り、敬愛する義父殿に処刑された馬鹿な劉封。
蜀に戻るのを妨害し、俺の命運を絶ってくれた忌々しい司馬懿。
こいつらを俺の手で殺せるのかと思うと、ぞくぞくしてくる。
無論こいつらだけ殺して終わりじゃあない。俺はむざむざこんな所で死ぬ気は無い。
「最後まで残るのはこの孟達子慶だ」
そう言って俺は声を出さずに笑っていた。この戦い。俺は勝てる自身がある。
俺は傍らのスナイパーライフルを見やる。どうやらこれは超遠距離から相手を殺せる優れものらしい。
「これさえあれば関羽だろうが呂布だろうが恐れるに足りん」
と、そんな時、二つの人影が目に入った。
「あれは…」
その姿を確認した俺は歓喜に打ち震え。そして確信した。俺は幸運の星の元にいる事に。
「まさか、こんなに早く会えるとはな…劉封!」
益州で張っていれば関羽か劉封の奴はやってくるとふんでたが、こうも読みが当たるとは。
もう一人は女のようだ。遠目からだが中々の美人に見える。
「少しは愉しみも必要か」
劉封の馬鹿を撃ち殺し、あの女が逃げないように足を撃ち、慰み物にしてやろう。飽きるか、ここから動く時にでも殺せばいい。
「殺しの標的に、慰み物。つくづく俺はついている」
俺はこみ上げてくる笑いをこらえながら、スナイパーライフルを構えた。照準は劉封の脳天。自然と口角が釣りあがる。
「じゃあな劉封、あの世で精々悔しがれ」
そう言って引き金に指をかけた
- 67 名前:2/4一段落増えます 投稿日:2006/07/10(月) 00:05:47
- 「何やら物騒な事をしているようだな」
「!」
その一言に俺は全動作を停止した。声が聞こえたのは俺のすぐ後ろだ。
殺られる。頭の中は一瞬でその一言に埋め尽くされ俺は前方へ飛び退りながら反転し銃を構えた。
「そう、構える事もないだろう?武官の貴殿が文官の私の何を恐れる?」
よれよれの服に身を包み、ぼさぼさの髪と無精髭の小汚い顔をした男がへらへらと笑っている。
「……龐統」
「どうやら貴殿は乗った人間のようだな」
微笑を崩さずにいる目の前の男に俺はただならない物を感じた。
「貴様、何時からここにいた?」
「さて、何時ごろだったか?」
顎をさすりながらとぼけるこの男を注意深く観察するが、どこにも武器は見あたらない。
が、よく見るとこの男は手袋をつけている。
「その手袋が貴様の支給品か?」
「ええまぁ」
あまりにも潔い答えに俺は拍子抜けすると共にこんな奴が後ろに回っただけでわずかなりとも恐怖を感じたことに怒りがこみ上げてきた。
「どうやら、お前のは外れの様だな」
「何、使ってみなければわからんよ」
相変わらずの笑みを浮かべた減らず口に俺は奥歯を噛締めた。
間違いない、こいつは俺を馬鹿にしている。俺を馬鹿にする奴は許してはならない。劉封の馬鹿よりこいつを始末せねばならない。
「減らず口を叩くな龐統。貴様にはこの銃が見えぬのか?勝敗は明らかだろう」
銃口が自分を向いているにもかかわらず目の前の男は、少しも臆した様子はない。そして片腕をだらんと下げてこう言った
「それはやってみなければわからんよ」
その一言だけで充分だった。俺は憤怒の形相で引き金に指をかけた。銃声が響き、俺の眼前には血まみれの無様な死に様を晒すあの男が転がる…はずだった。
- 68 名前:3/4 投稿日:2006/07/10(月) 00:06:58
- 俺が引き金に指をかける瞬間、奴はだらんと下げた片腕を上へと振り上げた。その瞬間、右腕の感覚が瞬時にして消えた。
「へ?」
俺はその時自分でもわからない程、間抜けな顔をしていただろう。右腕は途中から無くなっていた。遅れて激痛が襲ってくる。
「な…お前、何を…?」
「だから言ったであろう?やってみなければわからないと」
自然と俺は今さっき振り上げられた龐統の腕を見た。よく見ると指の先から何か線のような物が見えている。
「ワイヤーギミックとやらが付いているようでな。ふむ、説明書通り腕ぐらいならば両断できるようだ」
そう言って自分の武器の説明をした龐統がこちらを見た。やばい、やばいやばいやばいやばいやばい。俺の頭が危険信号を送っている。
「さて、私はゲームにのったつもりは無いが、かと言って乗った人間を生かしておく気もない」
殺される。改めて俺はそれを実感した。
逃げなければ。どこへ?奴が来ない所、遠くへ。武器は?持たなければ殺される。奴の手の動きと共に、風きり音が聞こえる。殺される。だがさっきの様などこかが無くなったような感覚はない。外した。助かった。武器は回収できた。あとはこのままどこか遠くへ。
でなければ俺は殺される。
殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される。だから、だから遠くへ…
- 69 名前:4/4 投稿日:2006/07/10(月) 00:08:04
- 孟達を逃がしてしまった。やはり慣れない物をすぐに使うべきではなかったか。
「運が悪ければ私が地に伏していたかもしれぬな」
自分の運の良さに感謝しなければな、いや、それよりこれからどうするかだ。そう言えば劉封殿が来ているようだな。
「ふむ、味方は多いに越した事は無いか」
気づけば日が暮れてしまっている。この近くで野営をしているかもしれない。
「ならばこの辺り一帯を探してみるか」
ふと、空を見上げると満月がかかっていた。この月明かりの中、開けた場所にいるのは考えがたいな。
「しかし、いい月夜だ」
@孟達【スナイパーライフル】(右腕切断、精神錯乱状態)
※益州から北へ、とにかく龐統と遭遇したくないので益州の外へ
@龐統【ワイヤーギミック搭載手袋】
※とりあえず劉封達を探す。殺し合いには乗っていない
<<親子の面影/2名>>
@劉封【李典棍】
@蔡文姫【ボウガン・矢×20】
※無事益州に入りました。成都を目指します
- 70 名前:1/3 投稿日:2006/07/10(月) 14:27:11
- 貂蝉は木の幹にぶつかるように寄りかかるとそのままずるずると崩れ落ちた。
喉が灼ける。さっきぶちまけてしまった胃液のせいだ。
義父の死を前にして悲しみよりも生理的な嫌悪を抱いてしまった自分に罪悪感があった。
あんな陰惨な光景を目にしているのだからそれは仕方のないことだ。誰が彼女を責められよう。
まして彼女は武人などではなくまだ若い娘なのだから。だが彼女は自分が許せなかった。
しかしそれよりも強く彼女を突き動かしているものがあった。
恨みと憎悪。
義父は誰よりも忠臣であったのに。見せしめの為だけに殺された。あんな、あんな…!
義父の死に様を思い出してまた吐き気がこみ上げてきたが、もう胃液すら吐けないようだ。
口元を押さえていた手を離し胸元をぐっと掴む。
反対の手は憎しみのままに武器を求めて鞄を漁る。
「………?」
しかし彼女の鞄の中にあったのは刃や銃器ではなく繊細な装飾が施されている小箱だった。
恐る恐る蓋を開けてみる。
中には不思議なからくりが詰まっていて、それが透けて見えるようになっていた。
ゆっくりとそのからくりが動き出す。
するとどうだろう。その小箱から、微かな旋律が流れ始めたではないか。
- 71 名前:2/3 投稿日:2006/07/10(月) 14:28:26
- 驚いて貂蝉は蓋を閉めた。すると旋律も止まった。
だが何故か懐かしさを感じるその旋律を求めて、再び蓋を開けてみる。
機械仕掛けの箱が囁くように奏でる、優しい旋律。
貂蝉の頬を涙が伝う。
義父と暮らした日々が鮮やかに蘇る。
他愛のない日常。しかしもう戻らない穏やかな日々。
旋律に洗い流されるように恨みが、憎しみが消えてゆく。
…そうだ、恨みに任せて殺戮に走って何になる。それこそ父の敵である献帝の思うつぼではないか。
怒りや悲しみまで無くなったわけではない。
恨みや憎しみや嫌悪、そんなどす黒い感情だけが消え失せていた。まるで憑き物が落ちたように。
戦おう。義父を殺したこの不条理な世界と。
だけど、今だけは。
「…お義父さま…!」
月の光と不思議な旋律の中、貂蝉はただ、泣いた。
駆け寄ってきた足音に、司馬孚はいよいよ覚悟を決めかけていた。
この傷、そしてまだ酷く痛む腰。…逃げ切れまい。
しかしその足音は何かにぶつかったような音とともに止まった。
非常に近い。だがこちらには気付いていないようだ。
このまま身を潜めていれば助かるかもしれない。あるいは…いけるか…?
吹き矢を握る手に冷たい汗が滲む。
- 72 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/10(月) 14:29:08
- なぜ自分が100人の英雄の中の一人に選ばれたのか分からない
歴史に名を残すような事は何一つやっていないし
陛下に対して反旗を翻した訳でもない
それに自分は極一般的な地方の役人だと思う
そして目の前の男に対して何かが込み上げてきた
───言いたい、言わなければならない
そう本能が告げている。告げよう、この言葉を
「ワシ、韓玄だけど。」
@韓玄[記憶喪失]【項王の剣】
※痴呆が進んでいます。とりあえず、目の前の男に話しかけました
@韓遂【袁術陛下写真集『はちみつ』(初回限定版)】
※韓玄には興味ありませんが、武器に対して興味津々
- 73 名前:3/3 投稿日:2006/07/10(月) 14:29:59
- 甘寧との遭遇で司馬孚はこの異常な世界を身をもって実感した。実感しすぎてこの様だ。
殺さなければ、殺される…!
いやにさらさらした唾を飲み込み、吹き矢をそっと唇に当てようとした司馬孚。
そんな彼の鼓膜をくすぐるように微かな音が聞こえた。
…旋律?
その音色は司馬孚に染み込むように響いた。
彼の一族が害したまだ年若い皇帝たち。
いや違う。私も同罪だ。私が見殺しにしたんだ!
旋律に呼び覚まされる後悔の念。贖罪の思い。司馬孚の瞳に知らず涙が浮かぶ。
司馬孚はそっと吹き矢を下ろし空を見上げる。
…ああ、今初めて気がついた。今夜はこんなに美しい満月だったとは。
涙で、月は揺れている。
@貂蝉【オルゴール】
@司馬孚[左腕銃創・疲労・腰痛]【吹き矢(矢10本)】
※司馬孚は貂蝉に気付いていますが貂蝉は司馬孚に気付いていません。距離は非常に近いです。
- 74 名前:1/3 投稿日:2006/07/10(月) 15:15:26
- 「うーむ」
右目を隠して水面を覗いた。眼を隠した自分がいる。
左目を隠して水面を覗いた。同じように眼を隠した自分が見えた。
「うーむ」
結論は一つ。
水面に映った「俺」には両目がある。
年齢はおおよそ二十代の初めか、十代の終わりだろう。
周りを見渡すと、平和な風景が見えた。今にも作業帰りの農夫でも現れそうだ。
―しかし、夏侯惇にとっては、この風景が、若い自分が精巧な作り物のように思えた。
朝起きてみれば、いきなり訳のわからないゲームとやらに参加させられている始末だ。
夢かとも思ったが、不気味な首輪の触感と、主催者とやらの挨拶代わりの爆殺で現実だと認識した。
全てが作り物のようなこの世界だが、あの死体だけは絶対に作り物ではない。
長らく戦場に身を置いてきた自分が一番よくわかる。
武器は鈍色に光る棍棒のような物だった。
「…さてこれからどうするか」
「どうもしないさ。ここでお前は死ぬのだから」
「ッ!!」
言葉が聞こえるのと同時に何かが飛んできた。
辛うじてかわし、金属バットを構えた。
どうやら相当勘が鈍っているらしい。背後を取られたのに気付かないとは。
「お前は…高順か。俺を誰か知っているのか?」
「ああ…知ってるさ、夏侯惇」
「ご名答。とりあえず平和的に済ませる気はないようだな」
- 75 名前:2/3 投稿日:2006/07/10(月) 15:16:29
- 夏侯惇の双眸に闘志が漲る。
次の瞬間、闘いは始まった。
高順は狼牙棍、夏侯惇は金属バット。
武器はほぼ五分だったが、戦況は高順が押していた。
「ふん!」
「りゃあ!」
金属どうしの乾いた音が鳴る。
「どうした?動きが悪いぞ」
「貴様は戦場で無駄口を叩く奴だったか?余裕を見せていいのは敵が死んだときだけだ」
夏侯惇は言葉こそ強気だったが、明らかに非勢だった。
(ちっ!参ったな。ここまで鈍くなったとは)
半分呆れながらも舌打ちしたが、どうも狼牙棍の打撃を受けるので精一杯のようだ。
隙を見て反撃するが、あっさりとかわされ、危うく致命傷を受けるところだった。
そして、何度目の攻防だっただろうか。
「はァ!」
気合いを込めてバットで薙ぎ払う。
「くっ…」
受けた拍子で、高順の体勢が崩れた。すかさずバットを振り下ろす。
しかし袈裟切りにした金属バットは空振りし、頭から腰にかけてがら空きになった。
どうやら誘いだったらしい。
「終わりだ」
- 76 名前:3/4 投稿日:2006/07/10(月) 15:17:24
- だが―。
パァン!
銃声が響き、止めを刺そうとした高順にタイムをかけた。
「ち…流石だな。万が一に備えて、仲間を伏せているとは。
まぁいい。次に会うときは首を洗って待ってろ」
「せいぜいその時は無精髭をなんとかしておけ」
捨て台詞を吐き、高順は逃げ去った。
近くの森から、2人の男が出てきた。
(何者だ?さっきはただ単に俺を狙ったのが、外れただけかもしれん)
バットを中段に構え、反撃の体勢を取った。
「やぁやぁ助かった。危うくあいかt…もとい仲間を失うところだった」
「そうそう。人間みな兄弟。五族共和で大東亜共栄圏を…」
「戦時中か!」
すぱーん!絶妙なタイミングでツッコミが入った。
「まぁそれはともかく、仲間はいた方がいいからな」
「そうそう。(仲間を)欲しがりません勝つまでは!」
すぱーん!
「戦時中か!しかもいらないのか!」
どうやら、お気楽な連中らしい。おかげで一気に毒気を抜かれてしまった。
だが、不思議に憎めない奴らで、こいつ等は嫌いではなかった。
まだぎゃあぎゃあ騒いでいたが、咳払いを一つし、騒ぎを収めた。
そして、ひとついいか、と前置きして、
「さっき仲間がどうとか言ってたな。俺も実は仲間が欲しくてな。
どうだろう、ずっととは言わん。残り30人くらいまで同盟を組まぬか?」
「万歳!これで君も栄えある皇軍へいしd…」
「(また)戦時中か!」
すぱーん!の後に夏侯惇に向き直った。
「悪い、こいつたまに悪乗りしてな。非礼を詫びる。勿論、同盟は受けさせてくれ」
ネタから一転、まじめになった。だが、さっきまでのノリだと、かえって可笑しく思った。
- 77 名前:4/4 投稿日:2006/07/10(月) 15:20:04
- 「構わん。別にそういうのは嫌いじゃない。俺は夏侯惇、字元譲」
面白い。こんなゲームだからこそ、ネタに走るこいつ等が必要かもしれない。
「夏侯惇って、魏の大将軍だったよな」
「でも俺がデビューしたときは、もう亡くなってた」
「それにしちゃずいぶん若いな」
「もしや、なにか事情でも知ってるのか?」
夏侯惇は、いや、と首を振った後に、
「知らん。朝起きたらこうなってた」
と付け足した。
それから、ようやく自己紹介となった。
ツッコミのほうが“廖化”と名乗り、ボケのほうは“馬忠”と名乗った。
馬「俺は孤篤でもいいぜ。最近までそう名乗ってたからな」
廖「俺は…廖淳か。夏侯惇殿と字がかぶるから止めとこう」
惇「呼び名は元譲でいいぞ」
相談の結果、取り敢えず蜀を目指すこととなった。
《孤篤と廖淳と元譲/3人》
馬忠【グロック17】&廖化【鎖鎌】&夏侯惇【金属バット】
※馬忠は蜀のほうです。方針は蜀へ向かいます。ちなみに現在地は洛陽付近。
@高順【狼牙棍】※徐州方面へ逃亡。
- 78 名前:国 投稿日:2006/07/10(月) 17:06:17
- 「たれか、俺の傷を治しておくれよ……」
苦しそうな声につられ、貂蝉は辺りを見回した。
(声はすれども、姿は見えず……まるで、屁のようなお方ですねえ)
彼女が不思議がっていると、藪の中から一本の手がスーッ。
「ここだ! 怪我人はここにいる!」
貂蝉は、声の主へと呼びかけた。
「どなたですかあ? 一体、どこのどなたですかあ?」
「その前に、ここへ隠れてくれないか? 一人歩きは危険だからな」
指示されるまま、彼女は藪へ入り込む。
そこにいたのは、文官風の男であった。つけている首輪は、自分の
しているものと同じ――明らかにバトロワ参加者である。
「俺は、さっきの戦いで、左の腕を怪我してしまった。お嬢さん、傷薬は
ないか?」
「救急セットでしたら、持ち合わせておりますよ」
貂蝉は、かの男の左腕を取ってみた。
「何か、異物が入り込んだようですが……」
「鉄砲玉というらしい。それらを除去してくれないか?」
「かしこまりました」
彼女は救急箱を開け、まず銀色のメスを執る。そして左腕を切開し、
弾丸を皆摘出し、その傷口を石炭酸で洗い、ヨードフォルムを振りかけた。
- 79 名前:国 投稿日:2006/07/10(月) 17:07:10
- 「後は、この傷をふさぐだけです」
貂蝉は包帯を取り、傷口を圧迫するように、くるくるくるっと巻きつける。
これらの手術の間、かの男は、あまり痛みを感じなかった。
(じ、実に麗しいお方……み、見ているだけで癒されてしまう……)
彼は、貂蝉へ礼を述べた。
「ありがとうございます。それにしても、あなたは一体どちらさまで?」
「申し遅れました。私、王子師の娘で貂蝉と申します」
「何と! 王司徒のお嬢さんでしたか」
ここにおいて、かの男は漸く自己紹介を行う。
「私は河内の人で、姓を司馬、名を孚、字を叔達と申します」
「司馬叔達、と申されますと……もしや、仲達殿の弟さんで?」
「いかにも」
「なるほど、そういうお方でしたか……狙われるのももっともですねえ」
司馬孚は、重大な問いを忘れていた。彼女の美貌に気を取られ、すっかり
高揚していたのである。
「ところで、さっきの妙なる調べ……あなたが奏でていたのですか?」
「はい。この小箱に入ってございます」
貂蝉は、懐からオルゴールを取り出し、件の曲を再び聴かせた。
(ああ、何度聴いても癒される……)
司馬孚は、耳を澄まして聴き入った。心なしか、体の痛みと疲れとが、徐々に
抜けていく感じがする。
- 80 名前:国 投稿日:2006/07/10(月) 17:07:49
- 「叔達殿、少しは楽になられましたか?」
彼は、貂蝉の問いに答えて言った。
「はい、幾らか楽になりました。できることなら、ずっとこのまま、一緒にいたい
ぐらいです」
(まあ、何て白々しい台詞……)
半ば呆れながらも、貂蝉は、この貴公子を看護し続ける決意を固めた。
「かしこまりました。それでは、民家へ避難しましょう」
「貂蝉さん! 私、休まなくても平気ですけど……」
「いいえ、やせ我慢はよくありません。声を聴いても姿を見ても、疲労の
色が感じられます」
そして、くるっと向こうを向き、片手で自分の背中を指す。
「さあ、この上へお乗り下さい」
「貂蝉さん! 女の身ではつらいでしょう。私、代わりに負ぶいますから」
結局、司馬孚が彼女を背負い、民家を捜すこととなった。
<<しばてん/2名>>
@貂蝉【オルゴール・救急箱】
@司馬孚[左腕銃創・疲労・腰痛]【吹き矢(矢10本)】
※民家を捜して移動中。貂蝉を背負っているため、動きが鈍くなっています。
- 81 名前:1/2 投稿日:2006/07/10(月) 17:47:37
- 「親父、権何処にいるんだ、全くこれから俺等はどうなっちゃうんだ」
孫策は洛陽の近くの木に寄り掛かりながら呟いた、
さっき、洛陽の宮城の中で献帝が『ちょっと殺し合いをしてもらいます、』
と言い放った時、何故か孫策は嬉しかった、それは戦闘に自信があったから
なのか?、それとも殺し合いが好き?いや殺し合いが楽しい?
何故なのかは自分でも分からない、でも、この献帝が仕掛けた、分けの分からない
殺し合いに参加したくない、なら殺さなきゃいいだけだ、
等と自問自答している内に、王允の首が吹っ飛んだ、何故?王允は
嘗て都の近辺で暴虐の限りを尽くしていた董卓を連環の計で天誅してくれた、
命の恩人とも言える人何をしてやがる、孫策ははやる気持ちを必死に抑えた、
わざわざ今ここで献帝に突撃して、あの護衛兵の武器に蜂の巣にされる必要
はねぇ、それにこう思っている奴は俺一人とは限らない、そう考えつつも
しっかり説明は聞いていた、その後名前が呼ばれるまでに、知人を捜した
しかし親父と孫権しか見当たらなかった、暫くすると名前が呼ばれた、
孫策はバッグを受け取り洛陽を出た。
孫策は近くの木陰に隠れて(最初に喋った所)支給品を確認した、バックの中には光る
ブレスレット(´・ω・`)棒状の物でポキポキ折って端と端をつなぐと、光るブレスレットになる、と説明書
に書かれている・・・武器には使えない、不味いこれは早く仲間を見つけないと死ぬ、
これは殺さなきゃいい等ととかいう問題じゃねえな、全く俺は偉そうに何をぬか
してたんだ、そう嘆いているとそこに火炎放射器(の様な物)を持つ男が通り掛った、
孫策は作戦を思いついた、こいつでいいか、孫策は話しかけた、
- 82 名前:2/2 投稿日:2006/07/10(月) 17:48:17
- 孫策「おう、そこのお前」
?「なんだ」と言いながらそのおとこは火炎放射器(の様な物)を構えた
孫策「俺は孫策字は伯符だお前は?」
文醜「俺は文醜だ」
文醜はムスッとして言った、孫策は(ここは怒らそう)
孫策「お前、名前のとおり醜いな」
文醜「あ、お前この火炎放射器(本当は水鉄砲)で焼き殺すぞ」(騙してみるか)
孫策「止めとけよ、俺の武器爆弾って言って、火を付けると爆発するんだ」(騙しちゃえ)
文醜「そうか、じゃあ強い武器同士組まないか」(騙されたふり)
孫策「いいぜ」(やった!)
孫策「じゃあ出発すっか」
二人とも特に何も考えずに、南に進路を取り、数十分後洛陽の近辺の森に迷い込んでしまっていた。
そもそも二人とも何故スッポリと型にはまった様に騙されたり、騙されたふりをしたのだろうか、二人とも
とても気が合った様だ!、それはともかく危機感の足りていないコンビであった。
【文醜、生存確認】
<<騙し合い/2名>>
@孫策【光るブレスレット×10】
@文醜【水鉄砲(火炎放射器の様な形)】
※二人ともお互いの武器を勘違いしています、さっきまで
貂蝉と司馬孚がいた森で迷っています、戦う気が無く油断していいます
孫策は献帝の話を聞いていたころの気持ち等、とっくに忘れ去っているようです
- 83 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/10(月) 21:36:28
- 陳宮が支給された袋の中には漆黒の衣が入っていた。
袖や裾はたっぷりしていて、少し変わった形だが朝服に似ている。
折角支給されたものなのだから着てみることにした。
滑らかな絹の感触と手の込んだ草花の刺繍、縁飾り。相当上質な物だ。陳宮の心は躍る。
袋の中にはまだ何か入っている。
白い…これは裳だろうか?さっき着た漆黒の衣の下に着ける。
どちらも普通の朝服よりやや丈は短い。だが、こんな状況ではその方が動きやすくていいかもしれない。
厚く固い布で出来た胴鎧。気休め程度の防御力しかないだろうが、
なに、いくら重くて頑丈な鎧だったとしても結局自分は着れないだろう。かえって好都合。
すこしきつかったが、調節用の紐を弛めると大分楽になった。
あとは真紅の花飾りがついた飾り帯らしきものと、
銀の玉が連なり頂点にやはり銀の花飾りが揺れる、恐らく玉帯。どちらも腰に飾る。
そして変わった形の小瓶。取っ手がついている。
握ってみるとプシュ!という小さな音と共に清涼な芳香が漂った。
成る程、これならいちいち香を焚きしめなくとも良いわけだ。
上等な朝服を纏い常に香を絶やさない。
台所事情の苦しい呂布陣営では考えられない贅沢だ。
あ、なんか涙出そう…。
@陳宮【ゴスロリドレスセット(黒いワンピース、白いペチコート、コルセット、ヘッドドレス、ネックレス、香水)】
※とってもしあわせです。
- 84 名前:1/3 投稿日:2006/07/10(月) 21:52:38
- 陳到は汝南に至る間道を歩いていた。
「ひとまず知ってる場所に行かんことにはな。劉備様は蜀へ行かれるかもしれんが……」
不自然に縮小された中華。その外はどうなっているのだろうかという疑問もあったが、今の陳到にそれを確認するほどの余裕はない。
支給された武器──二丁の奇妙な銃を構えながら、彼は南へと歩いていった。
十分ほど歩いただろうか。空は夕闇に包まれ、陳到の歩む道も次第に暗くなっていく。月が出そうなのが不幸中の幸いであるが。
やがて林を通る道に差し掛かったところで、彼はぴたりと歩を止めた。
(いる……。一人、いや二人か)
五十歩ほど先に、何者かが隠れている。おそらくは待ち伏せだろう。
(フ……だが俺程度に悟られているようではまだまだか。この距離で仕掛けてこないということは飛び道具はないようだが。さて、どうしたものかな)
陳到は劉備軍の親衛騎兵隊を率いていた男である。趙雲に比するとされたその武才は、決して凡庸ではない。
早速この銃とやらを試してみるか。それとも相手を見極めてみるか。体力を消耗させたくはないので、無駄な戦いは避けたい。
そこで、足元にあった小石を二つ拾うと敵が隠れているとおぼしき茂みに投げこんでみた。
「痛っ!」
「ぐ……」
一投目で見事命中。声からしてどうやら知り合いではないようだが、この後どう出るか。
そう考えた陳到の足元に細長い何かが転がり、直後爆音と閃光を放った。
- 85 名前:2/3 投稿日:2006/07/10(月) 21:53:15
- 咄嗟に顔を庇ったとは言え、想定もしていなかった事態に一瞬動きが固まってしまう。
「うおっ、まぶしっ!」
その隙に、敵のもう一方が陳到に向かって驀進する。その手には、鍛え上げられた鋼鉄の剣。
暴風の如き一撃が、陳到に襲い掛かる。
「くたばれっ!!」
「何の!」
その斬撃をバックステップして回避する。間一髪だった。
そしてようやく視界が戻ってきた陳到は、銃を構える。確か「ガン鬼の銃」だったか。
「……くそっ、陰陽弾をくらえっ!!」
慣れない銃を乱射する。驚いた相手が慌てて距離をとったが、運良く急所に当たってくれれば御の字だ。
陳到に斬りかかってきた男は、二三発銃弾を浴びて転がるように逃げていった。
(さて、追うか?)
血痕が残っている。辿っていけばもう一人の居場所もわかるかもしれない。
敵はおそらく二人組。気配が少しばかり遠のいた。追撃して殲滅するのも手だが……。
長年磨いてきた勘が発言する。やめておけ、と。
「まあ、いいか。こっちは言われなくてもスタコラサッサだ」
あの二人があれ以上の武器を持っていないとも限らないしな。
それにしても、この銃を持つと自分がやたら馬鹿になるような気がするのだが。なぜなのだろうか。
「むう……」
自分を救ってくれた銃を見て、陳到は首をかしげた。
- 86 名前:3/3 投稿日:2006/07/10(月) 21:56:08
- 「ううう、痛いっ……早く、早くこの傷を何とかしてくれええっ……」
辛くも小集落に逃げ込んだ襲撃者の二人。孫呉の朱然と朱桓の二人組。朱然は陳到に撃たれ、重傷を負っている。
「朱桓、何をしている。お、俺の手当てをっ!」
「…………」
朱然との二人で、不意を突いて奇襲すればあの程度の敵、何とかなると思っていた。
自分の策が甘かったのか、敵が自分の知らない猛将だったのか。はたまた腕と脚を撃ち抜かれてもがいている朱然の腕が未熟だったのか。どちらにしても……。
「……右腕、左脚、それと左肘か。かなり出血したし、これじゃもう走れんしろくに武器も扱えんやろ。残念や」
「朱桓? ……な、何を言っている?」
「別にぃ。でもな、もうあんたが俺と共に戦うことはできなくなったってのは確かや、と思ってな」
言いながら、朱桓は剣を手にする。
「ま、まままさか、お前!?」
驚愕する『相棒』の声を聞きながら、鋼鉄の剣をかざす。月光に冷たげな刀身が映えた。
「まさか二人目の相手で同盟解消になるとは思わなかったわ。ま、足手まといにならん限り仲間でいるつもりやったし……要は相手を倒せなかったあんたの自業自得ってわけやな」
夜の帳に包まれたその地に、断末魔の声が響いた。
「やれやれ、諸葛瑾の時は少しはうまく行ったんやが」
結局逃げ切られて命までは奪えなかったが、諸葛瑾の道具は奪うことに成功したのが一戦目。さっきの失敗したのが二戦目。
膂力なら遥かに朱然を勝っていても、身の安全のために敢えて彼に近接武器を預けていたのも朱桓の策だった。
「まあええわ。さしあたり狩りのための道具は整ったんやから」
そう言うと、彼は朱然の遺体に手を振って集落を後にした。
【朱然 死亡確認】
@陳到【ガン鬼の銃(陰陽弾×50)】
※汝南〜予州方面へ。
@朱桓【鋼鉄の剣、スタン・グレネード×5、携帯型地雷×5(諸葛瑾の武器)】
※合肥方面へ。
@諸葛瑾【なし】
- 87 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/10(月) 22:22:20
- 関羽のザックには、かつて直に戦った男・呂布の愛戟が入っていた。
この戟を握って目を閉じれば、すぐにあの男の天下無双と言われた武勇が思い出せる。
名馬・赤兎にまたがり、この方天画戟を振るって無人の荒野のように戦場を駆け抜けていた。
数々の猛将をいとも簡単に斬り落とし、蟻を踏みつぶすように雑兵を殺戮していったあの男。
虎牢関で打ち合った時の感覚は今でも覚えている。どんな死角にめがけて振り下ろしても、呂布は瞬時に反応し跳ね返す。
その時の衝撃、手の痺れ、呂布の鬼神のごとき面容と殺気。関羽は長い生涯前線で戦い続けたが、あれほどの打ち合いは生涯をかけてただ一度のみである。
あの時は兄と弟の三人がかりであったのに、呂布は百合以上もの耐え続けたのだ。
―――呂布ともう一度会い、そして願わくば……
いや、俺は何を思っているのだ!
これではあの狂った帝の思惑のままではないか
俺がこの状況でやるべきことは、強き者との殺し合いではない。義兄と義弟を見つけ出して、ともにこの歪んだ世界から脱出することのはずだ。
では兄と弟は、どこにいるものか?
関羽はザックから地図を取り出し、広げた。地図に描かれている世界はまるで、もとの中華をそのまま縮小したようなものだ。
ならば今までのゆかりの地に対応する場所に義兄弟達は向かっている場所だ。
そうしてそのゆかりの場所とは、我ら三人にとって幽州タク県楼桑村のあの桃園に他ならない。
「兄者、翼徳、前世では先んじて死んでしまったが、この世では、必ずや3人で―――」
関羽は天を仰ぎ、洛陽を一瞥すると、北へ向かって歩き出した。
@関羽【方天画戟】
※幽州楼桑村へ。劉備・張飛と協力してゲームを脱出するつもりですが、乗る気も完全にないわけではないようです
【張飛 生存確認】
- 88 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/10(月) 23:24:33
- 暖炉の火が燃えている
初めて見るはずの文明の利器が懐かしくて仕方がない
そして、何かが、何かが俺たちの頭を駆け巡る
「不思議だな、貴様を殺したいが、今は敵だと思いたくない」
「ああ、俺もだ。なぜか貴様と決着をつけなければならない、そんな気がする」
吹毛剣を持つ男・華雄と七星宝刀を持つ男・孫堅は語り合っていた
「記憶の欠片が貴様と手を組めと言っている」
「ああ、俺もだ。そして最後の二人になったら、決着をつけろ、と」
記憶の断片が2人の記憶を蘇らせる
あの時は果たせなかった約束を果たせ、と
そして剣を重ねあい誓う。
「再び、我等が道を阻むものを全て斬り、約束を果たさん!」
<<二本刀リターンズ/2名>>
@華雄[第三回目の記憶が蘇っています]【吹毛剣】
@孫堅[第三回目の記憶が蘇っています]【七星宝刀】
※記憶が完全に消されていない者が数名いるようです
- 89 名前:1/3 投稿日:2006/07/11(火) 00:07:36
- 擁州の平原を一人の男が爆走していた。その爆走している男、楊儀の体力、そして疲労は既に限界に達していた。何故なら彼は開始地点の洛陽からここまでずっと走っているからだ。
だが彼は一向に止まる気配はない。何かに怯えたような表情で擁州を北へと爆走している。
その理由はこの殺し合いが始まった直後に遡る。
ゲームが開始され一人、また一人と参加者が荷物を受け取っていくなか一人の男の名に楊儀は反応した。
「魏延文長」
名前を呼ばれ立った男。かつて自分が蜀に謀反を起こしたと伝え、その後、自分の目の前で馬岱に切られた男を見た。
鞄を受け取りながらきょろきょろと辺りを見回している魏延と目が合った。その瞬間、魏延が凄惨な笑みを浮かべた気がし、楊儀の背筋が凍りついた。
その後、魏延が誰かを見た後に出てから、自分の番が来るまで陽儀の思考は、恐怖により停止していた。
その後名前を呼ばれ、鞄を手にした後、楊儀は他の蜀の武将が集まっているだろう成都を目指す事にした。
そして城でて数分後、変わり果てた王平の姿を見た。
「ひどい…ここまでされては誰だかもわからん。誰がこんな事を…」
そう言った瞬間に楊儀の頭の中で魏延が浮かべたあの凄惨な笑みが浮かび上がった。
(次は自分が殺される…)
無残な姿で転がっている死体が自分に置きかえられた脳裏に浮かぶ。楊儀の足は自然と北へと向かっていた。
(私とした事が!あの鋭い男なら大体の蜀の者が仲間を求めて益州に来る事を読んでいるに決まっているじゃないか!とにかく、別の所に逃げねば…!)
そして全速力で走る事数時間、現在に至る。
- 90 名前:2/3 投稿日:2006/07/11(火) 00:08:16
- 既に走れる筈のない体を生への執着と恐怖と気合だけで引っ張ってきたのだ。だが、それもここまでだった。何時間も走り続けた足がついに断末魔の悲鳴を上げた。
足に力が入らなくなり楊儀は前のめりに転んだ。
「げほ、げほ、オエェェェェ…」
酷使してきた体の全てが悲鳴をあげ、楊儀は嘔吐し、地に倒れ伏す。
それでも楊儀は逃げるように這って前へと進んでいく。
「嫌だ、死にたくない、嫌だ、あんなふうになるのは…」
同じ言葉を繰り返しながら楊儀は前へ前へと進んでいく。そしてふと前方を見た陽儀は嬌声を上げた。
「おお、小屋だ。あそこなら身を隠せる」
ガタが来ている体を引っ張りなんとか小屋に入り込み、厳重に鍵を閉めた。
「こ、これで、大丈夫なはずだ…」
その瞬間、楊儀は倒れこんだ安心した事もあり今までの疲労が一気に襲ってきたのだ。
「そういえば、まだ支給品を確認してなかった…今の内に確認せねば」
必死で意識を留めながら鞄を開けると中には銀色の四角い平たい箱と二本の黒い線が付いた物が入っていた。
「…何だ?これは?」
付属の説明書があったので読んでみる事にした
これはMDウォークマン。中には朕の選んだ曲が入っています。疲れた時にでも聞いてね。操作方法は下に書いてあるからby献帝
楊儀はよくわからなかったようだが、自分は今疲れている。まさに今使うべきと判断し、説明書通りに、イヤホンをセットし、スイッチを押すとある曲が流れてきた
- 91 名前:3/3 投稿日:2006/07/11(火) 00:10:11
-
踏み切りの側に咲く コスモスの花 揺らして
貨物列車が 走りすぎる そして夕日に消えてゆく
十四の頃の僕は いつも 冷たいレールに 耳をあて
レールの響き 聞きながら 遥かな旅路を 夢見てた
思えば遠くへ来たもんだ 故郷離れて 六年目
思えば遠くへ来たもんだ この先どこへ 行くのやら
歌詞にはところどころ意味がわからないところがあったが、まるで自分の心境を表している様に聞こえ、楊儀は一筋の涙を流し、深い眠りについた。
@楊儀【MDウォークマン】(疲労困憊、熟睡、体はまともに動かせません)
※現在擁州、とりあえず益州から離れたい
MDにはまだ曲が入ってます。一曲目は海援隊より「思えば遠くへ来たもんだ」
- 92 名前:1/2(楊儀ありがと〜) 投稿日:2006/07/11(火) 02:05:04
- 身体の脇を一陣の風が通り過ぎて行く。その風は、血と火薬の臭いがした。
この臭いが強くなって行く分だけ、人が死んでいるということなのか。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
姜維としては、魏延の行動に思うところがあった。
というのも、魏延が出てから自分が出るまで余り間がなかった筈なのに、魏延は『姜維を待っていなかった』。
つまり『先に出た誰かを真っ先に殺しに行った』、という推測である。
(――果たしてその推測は正しかったが、余りにも原形を留めてなかったからか、それとも慌てていたからか、
あるいは微妙に道を逸れていたか――とにかく姜維は王平を見逃していた。)
ということは、何れの方角にせよ、既に自分よりも遠くに行っているだろう、と仮定する。
その上で彼の行動目的を加味すれば、おそらくは皆が蜀を目指すと読んで待ち伏せを試みるだろう、という結論に至る。
不用意に近づくのは危険極まりないですが、かといって、その目的故に野放しにする訳にもいかず。
ならば、こちらは――先に回り込んで逆に待ち伏せをしたらどうでしょうか。全速力で行けば不可能ではなさそうです。
ですが、今の私には満足に戦える武器などありません。どう致しましょう……
- 93 名前:2/2(1レスで入らんかったorz) 投稿日:2006/07/11(火) 02:06:15
- ……などと考えていると、不意に人の呟く声が耳に飛び込んで来た。(>>23)
「諸葛孔明。現常どちらでもないこの世で、今お前にその答えを請おう」
聞こえてきた名前に耳を疑う。今、何と言った?
こっそりと影から覗き込む。そこに司馬懿がいて、足元に誰かの首が転がっている。……司馬懿が手を下したのだろうか?
その後続いて聞こえてきた言葉を姜維は聞き逃さなかった。
「あ、でも蜀の奴らに見つかったら殺されそうだな…どうしよう…隠れながら行こうかな……」
……そんなやたらめったら殺しませんよ、と姜維はそっぽを向きかけたが、直ぐに思い直す。
(彼は潜伏しつつ丞相を捜すつもりなのでしょうか。でしたら、暫く様子を見る事にしましょう。
もしかしたら、行く当ての見当が付いているのかも知れません)
隠れながら往く者、それを隠れながら後を追う者。そして――彼らを待つ者。
という図式が、朧ながらも出来上がりつつある……
@姜維【謎の液体が入った小瓶】
※(諸葛亮を捜す為に)司馬懿を尾行する事にしました。但し、可能であれば魏延より先行するつもりでいます。
- 94 名前:1/4 投稿日:2006/07/11(火) 10:17:28
- 夏侯和は焦っていた。
あの会場で一枚の紙片が兄達から回ってきた。
『長安にて集合されたし 夏侯淵』
いかにも無駄のない親父らしい文面ではないか。
だが、スタートしてからが大変だった。
妙な2人組(馬忠と廖化)に追い回され、撒くのにだいぶ時間がかかった。
早いところ長安に着かないと、確実において行かれるだろう。
「あの低脳どもめ…」
舌打ちして思い出した。なにせこの訳のわからない状況下で、
「グループを 組 ま な い か?」
しかも大声でだ。他に参加者がいたら蜂の巣だろう。
まぁああいう連中は早晩死んでいくが。
- 95 名前:2/4 投稿日:2006/07/11(火) 10:19:40
- ようやく長安に着いた頃には、燃えるような夕日が暮れようとしていた。
まるで血のような禍々しいオレンジだった。
しばらく城内を探した後、やっと城の玉座のあるところまで辿り着いた。
玉座には父、夏侯淵が座っていた―
―がそれだけではなかった。
何かの塊が二つ転がっている。
薄暗かったせいで、顔まではわからなかったが、明るいときならば緋色の水たまりも見えていただろう。
「お…親父だよな」
「ああ」
「そ、そいつらは?」
「季権と稚権だ。仲権は来なかったようだが」
夏侯和は絶句した。
「俺に襲いかかってきた。だから殺った」
まるで当然のように言った。
そう、きっとそうだ。集まったとたんに親父の実力を恐れ、殺そうとしたに違いない。
しかし、彼の思考は途中で遮られた。
- 96 名前:3/4 投稿日:2006/07/11(火) 10:21:37
- 「聞いてくれるか?」
「な…何だ?」
「俺は曹操様のため、漢王朝のためにずっと戦ってきた」
そう、そうなのだ。
父は、こと異民族に対しての戦闘では無敵に近い強さだった。
あの日、定軍山で戦死するまでは。
「最初、俺はもう一度曹操様と共に戦う気だった。だが、劉協の言葉を聞いて迷った」
「また、かつてのように戦うべきなのかを」
だが、それが何の関係がある?2人の兄が死んでいるのに?
「だから、俺はこうして決めた」
玉座から夏侯淵が立ち上がった。その瞳は、どんな闇よりも深い黒だった。
「矢を倒して、右に倒れれば、以前のように曹操様と共に戦い―」
まずい、やられる。そう思い、腰のベレッタを引き抜こうとしたが、遅かった。
一瞬早く、夏侯淵の矢が夏侯和の喉を喰い破っていた。
- 97 名前:4/4 投稿日:2006/07/11(火) 10:23:10
- 「―左に倒れればこのゲームに乗る、と」
その言葉を待っていたかのように、夏侯和は倒れた。
「容赦はせん。例え誰であろうとも」
三つの死体だけを残して、彼は長安の闇に消えた。
【夏侯和、夏侯恵、夏侯威死亡確認】
@夏侯淵【ベレッタM92F、弓と矢、トンプソンM1A1、発煙手榴弾】
※ゲームに乗ります。長安付近です。ちなみに夏侯淵の支給武器は弓と矢。
- 98 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/11(火) 11:42:42
- 本スレ70,71,73の貂蝉書いた者ですけど、どうしましょうか。
78-80さんに任せた方がいいのかな?
どちらにせよリストを纏めていただくまでは書き込まないほうがいいですかね。
- 99 名前:暴君登場 投稿日:2006/07/11(火) 13:00:22
- 「ぐわーっはっは!!! ほれ、踊れい!!!」
傲慢そうな声をあげて、遠くにいる人間に銃弾を撃ち込む肥満体の男。
「まず致命傷には至りませんが、少しばかり銃弾は受けたはずですね。あ、撤退しました」
そして、観測手を務めた狐のような顔をした小男。
天下にその悪を知られた、暴君董卓と奸臣李儒である。
彼らは『当たり』を引いていた。
董卓の武器は軽機関銃【FN−P90】である。
ライフル弾のような鋭い弾丸を高速で射出し、剛体ならば150m先の鎧でも貫き、逆に軟体──つまり人体ならば、体内で弾丸が暴れて通常の弾丸以上の破壊力を発揮する。
さらに軽便で命中精度も高く、この虐殺を日常茶飯事とした男には持って来いの武器であった。
李儒の武器は【RPG−7】だ。某不審船の搭載兵器と言えばわかりやすいだろう。
最大射程800m強、有効射程300mを誇る大火器は、当然10kg近い重さがあるので文弱な李儒にはやや扱いにくい。
だがその射程、そしていざとなれば董卓が扱うことで威力を発揮するに違いない。
遠距離のRPG−7、中距離のP90、そして近距離ならば馬騰一族に匹敵するほどの豪腕がうなるだろう。董卓にかかれば木の棒すら強大な兵器と化す。
「必ずや董卓様の手に勝利を」
やや動きが鈍い李儒が、董卓に忠誠を誓う。
「うむ。華雄の奴はわしにつく気はないようだ。かつての味方と言えど容赦なく行くぞ」
「……はっ!」
李儒が最後まで董卓に尽くすかはわからない。なにせこのゲームは一人しか勝者がいないのだ。
だが、今は李儒は董卓に付き従うつもりであり、また彼らによって被害を受ける将達が増えるのは確実と言えた。
《憎まれっ子世にはばかる/2名》
董卓【FN−P90】李儒[動き鈍い]【RPG−7(弾頭8発)】
※宛〜武関経由で長安を目指します。
@???[軽傷]【????】
※董卓に狙撃されて逃げました。
- 100 名前:▼生存者リスト パーティーの部(参加者非公開)▼ 投稿日:2006/07/11(火) 22:04:21
- <<パパじゃないよお兄ちゃんだよ/2名>>
曹丕【スコーピオン】曹幹【白い鳩】
<<親子の面影/2名>>
劉封【李典棍】蔡文姫【ボーガン・矢×20】
<<不品行と品行方正/2名>>
郭嘉【S&W M60 チーフスペシャル】陳羣【閃光弾×5】
<<孟徳捜索隊/2名>>
曹仁【かみそり 双剣(やや刃こぼれ)】曹洪【ゴム風船 斧】
<<既視感を追う旅/2名>>
凌統【???、犬の母子】馬謖【探知機】
<<孤篤と廖淳と元譲/3名>>
馬忠【グロック17】廖化【鎖鎌】夏侯惇【金属バット】
<<しばてん/2名>>
貂蝉【オルゴール・救急箱】司馬孚[左腕銃創・疲労・腰痛]【吹き矢(矢10本)】
<<騙し合い/2名>>
孫策【光るブレスレット×10】文醜【水鉄砲(火炎放射器の様な形)】
<<二本刀リターンズ/2名>>
華雄[第三回目の記憶が蘇っています]【吹毛剣】
孫堅[第三回目の記憶が蘇っています]【七星宝刀】
<<憎まれっ子世にはばかる/2名>>
董卓【FN−P90】李儒[動き鈍い]【RPG−7(弾頭8発)】
- 101 名前:▼生存者リスト ピンユニットの部(参加者非公開)▼ 投稿日:2006/07/11(火) 22:05:02
- @劉備【?】
@于禁【AK47カラシニコフ】
@阿会喃【DEATH NOTE【DEATH NOTE(あと9ページ)】
@魏延【ハルバード、M37ショットガン】
@禰衡【農業用スコップ】
@孔融【???】
@董衡&董超[一心同体(朝昼夕方は董衡、夜は董超が活動)]【空き箱・偽造トカレフ】
@沮授[軽いめまい]【手榴弾×3】
@曹操【?】、
@呂布【関羽の青龍偃月刀】
@孫権[右目負傷・失明]【防弾チョッキ、日本刀】
@夏侯覇【ドラグノフ・スナイパーライフル】
@司馬懿【シャムシール・ロープ】
@裴元紹【ナース服】
@甘寧【シグ・ザウエルP228】
@姜維【謎の液体が入った小瓶】
@諸葛亮【?】
@張繍【山刀】
@賈ク【???】
@荀イク[洗脳されている?]【ガリルAR(ワイヤーカッターと栓抜きつきのアサルトライフル)】
- 102 名前:▼生存者リスト ピンユニットの部(参加者非公開)▼ 投稿日:2006/07/11(火) 22:06:42
- @張コウ【竹刀】
@張角【???】
@袁紹【???】
@呂蒙【捻り鉢巻】
@魯粛【圧切長谷部】
@周瑜【???】
@徐庶[精神不安定]【斬鉄剣・首輪解体新書?】
@龐統【ワイヤーギミック搭載手袋】
@孟達[右腕切断、精神錯乱状態]【スナイパーライフル】
@韓玄[記憶喪失]【項王の剣】
@韓遂【袁術陛下写真集『はちみつ』(初回限定版)】
@高順【狼牙棍】
@陳宮【ゴスロリドレスセット(黒いワンピース、白いペチコート、コルセット、ヘッドドレス、ネックレス、香水)】
@陳到【ガン鬼の銃(陰陽弾×50)】
@朱桓【鋼鉄の剣、スタン・グレネード×5、携帯型地雷×5(諸葛瑾の武器)】
@諸葛瑾【なし】
@関羽【方天画戟】
@張飛【?】
@楊儀[疲労困憊、熟睡、体はまともに動かせません]【MDウォークマン】
@夏侯淵【ベレッタM92F、弓と矢、トンプソンM1A1、発煙手榴弾】
@???[軽傷]【????】
パーティーの部10組21名、ピンユニット41名を生存確認。計62名を生存確認。
- 103 名前:▼死亡者放送(参加者公開)▼ 投稿日:2006/07/11(火) 22:07:48
- ≪あ行≫1名(+1)
王平
≪か行≫6名(+6)
郭シ巳、楽進、夏侯威、夏侯和、夏侯恵、刑道栄
≪さ行≫3名(+3)
周泰、朱然、淳于瓊
≪た行≫1名(+1)
程普
≪は行≫0名(+0)
≪ら行≫1名(+1)
呂範
計12人の死亡確認。
■既出登場武将数:74名 ■未登場武将:26名(+α)
夕日の残光も完全に消え去ろうとする中、場違いなほどに明るい音を流しながら主催者の放送が始まる。
「ふふっ、諸将よ。殺し合いの調子はいかがかな? 順調に戦いが進んでいるようで、朕はうれしいぞ」
淡々と呼ばれていく死亡者の名前。そして12人の名前を告げた後。
「無事諸将の退出が終わったので、洛陽城一帯は禁止エリアにしたぞ。頭を吹っ飛ばされたくなかったら、くれぐれも入らないように。
それと、夜だからといって戦いがないなんて思わないように。では、次の放送でまた会おうぞ」
献帝の言葉が終わるとともに陽が沈みきり、中華は夜に包まれた。
- 104 名前:臥竜もいろいろ 1/2 投稿日:2006/07/11(火) 22:22:16
- 放送を聞くとはなしに聞きながら、諸葛亮は鞄に入っていた本に目を走らせていた。
彼にとってこの状況はさして異様と思えるものでもなかった。
暴徒から逃れあちこちを彷徨い、こうして月明かりの下書に親しむ。
とりあえずどこか落ち着ける家を見つけ畑でも持てばまったく彼の日常そのものだった。
彼が読んでいる本には『諸葛亮伝』とあった。
最初の章には『三国志正史』と銘打たれている。
自分の生まれや今の状況が淡々と記されている。さらにその先まで。
それによると、自分は群雄の一人である劉備に仕えたようだ。
少々意外だったが、意外すぎるというほどでもなかった。まあ、有りうる選択肢だと思った。
次の章は『三国志演義』。
こちらはなかなか愉快だ。炎を呼び風を起こして大活躍。
少々気恥ずかしいが、まあ悪い気はしない。
さらに『三国志平話』『世説新語』などなど。
それらの話は皆微妙に似通っていて微妙に違っていた。
自分の今までの経歴を正確に記しているものもある。
作り話としか思えない大仰なものもある。
だがこれらの話が事実かどうかは大した問題ではない。
どのみち今の自分に、ここに記されている未来が事実なのかなんて確認する術はないのだ。
- 105 名前:臥竜もいろいろ 2/2 投稿日:2006/07/11(火) 22:24:35
- だがそれがどんな内容であれ、書物というものには真実の一片が含まれている。
諸葛亮はそう考えている。
様々に描かれた自身の生き様を読み進めていた諸葛亮の指が止まる。
後半はほとんど読めない。恐らく異国の言葉だ。
表題だけならいくつか読める。『三國志?』と書かれた章はかなり数がある。“?”は読めない文字だ。
ただその『三國志?』の章は一章がやけに短かった。
“武力”“政治”といった単語の後ろに読めない文字(あるいは記号?)。それで終わりである。
『三國志孔明伝』『三國志曹操伝』なんて章もあった。
孔明伝はともかく何故諸葛亮伝の中に曹操伝が?“魔王”なんて物騒な単語も気になる。
他にも『泣?虫弱虫諸葛孔明』なんて表題にムッとしてみたり
『真・三國無双』『一騎当千』といった表題にいやそれほどでも、なんて照れてみたり。
挿絵も結構ある。
似ているもの、似ていないもの、美形なもの、変態っぽいものなど多種多様。
可愛らしい幼女の絵もあった。これはいったい誰の絵だろう?はわわ。
@諸葛亮【諸葛亮伝(色んな諸葛亮が満載。諸葛亮と直接関係ない事柄については書かれていない)】
※本にざっと目を通したら隆中の自宅へ。そこでゆっくりこの本を読み解くつもりです
- 106 名前:1/5 投稿日:2006/07/11(火) 23:07:54
- 「殺し合い、かぁ…」
益州のある小屋で劉備がぼやいていた。
「まさか劉章のおっさんまで乗ってたとはなぁ…」
劉備はこの小屋に来る前に蜀の武将がここを目指すとふんで成都へと向かっていた。そしてその途中で劉章、張任、王累、の一団と遭遇していた。
その時劉備はあまりよく考えずに劉章に声をかけた。
「おお、劉章のおっさん、あんたも成都を目指しているみていだな。どうだ?ここは一つ…」
一つの銃声が聞こえ、劉備の頬を何かがかすめた。劉章の持っていた銃から煙が上がっているのが見える。
「失せろ劉備!この益州は私の物だ!同じ劉性のよしみ、ここは逃がしてやる!だが今度会った時には命は無いと思え!貴様の部下も同様だ!」
全員から発せられる殺気に劉備は慌ててその場を逃げ出したのだった。
「蜀の皇帝、劉備玄徳ともあろう男が格好悪いぜ」
そう言って窓から見える満月を見て溜息を吐く。
「でも、支給品がこんなのじゃあなぁ…それにあれじゃぁ多勢に無勢だぜ」
そう言って自分の支給品である胡椒一缶を見て、また溜息を吐いた。と、その時、劉備は近くに人の気配を感じ取った。
(一人、いや、二人か…近くに夜露を凌げそうな場所は見あたらねぇからここに来る可能性が高い)
蜀漢の武将ならまだいいが、もし他の国の武将や劉章の配下だったら…。劉備の頬を冷や汗が流れる。
劉備は頭をフル回転させる。どうすればこの状況を打開できるだろうか。そうこうしている内に気配は近づいてくる。
- 107 名前:2/5 投稿日:2006/07/11(火) 23:08:42
- 「おいおい、俺はこんな所で終わるのかよ?雲長〜、益徳〜」
泣き言を言いながら自分の支給品を見ていた劉備は、その時、一つの作戦が浮かんだ。
「成功するかはわかんねぇが…いや、俺は運だけはいい!なんとかなる筈だ!」
そう言うと劉備は入り口の横へと移動し息を潜めた。しばらくして足音が聞こえてくる。やはりここに入るようだ。
劉備の心臓が激しく波を打っている。足音がすぐ前に聞こえ、そして扉が開いた。
(今だ!)
その瞬間、劉備は入ってきた人影に飛び掛り家へと引き込んだ。そしてできるだけ威圧的な声色に変えて間髪入れずに外にいるもう一人に脅しをかける。
「動くんじゃねぇ!俺の手には爆弾がある!」
そう入って引きずりこんだ相手を捕らえていない手にラベルが見えないよう胡椒の缶を持ち、外に見せる。
「仲間を助けたきゃ武器を置いていきな!じゃなきゃ、この武器で俺ごとこいつは吹き飛ぶぜ!こんな事はしたくないが、殺されるよりはましだからな!」
そこまで言うと捕らえていた人影が叫ぶ。
「蔡文姫殿!僕に構わず早く逃げてください!」
その声を聞いた瞬間、劉備は眉を潜めた。どこかで聞いた声だそして捕らえている人間を初めて確認する。それは自分がよく知っている人物だった。
「劉封!」
「義父上!?」
「り、劉封殿を離してください!」
意外な再開をして固まる劉備と劉封、そこに劉封を助ける為に意を決して突入してきた蔡分姫、蔡文姫の予想外の行動に蔡文姫を見て固まる劉義親子と、状況が理解できず固まる蔡文姫。奇妙な沈黙がその場を支配した。
- 108 名前:3/5 投稿日:2006/07/11(火) 23:09:24
- 「本当にすまなかった!」
そう言って土下座する劉備に劉封が苦笑して答える。
「もう、大丈夫ですから、面を上げてください義父上」
その後、少々場が混乱しながらも一通り落ち着いた。ちなみに蔡文姫にはもう夜の事もあって別室で寝てもらうよう頼み、別室に行ってもらっている。
「ところで義父上も成都に?」
「ああ、それなんだがな」
頭をぽりぽりと掻きながら劉備は劉章との出来事を話した。
「そうですか…それで、この後は?」
「そうだな〜、とりあえず幽州に行ってみようかと思ってんだ。あそこに雲長と益徳が来てるかもしれねぇ。ただ…」
そう言ってどこかうかない顔をする劉備の考えている事に劉封は大体察しがついた。
「こっちに来ているかもしれない皆が気になっている。違いますか?」
図星のようで劉備はばつの悪そうな顔をしながら一言「そうだよ」と言った。
「でもお前が連れてきた姫さんを危険な目に会わせる訳にもいかねぇからなぁ」
「ではしばらくはここを拠点にして周りを探してみては?雲長殿も益徳殿も幽州に義父上がいないとわかればこちらにくるのでは?」
「うーん…」
難しい顔をして寝そべる劉備。決して武勇だけならば二人が他の参加者に倒されるとは思っていない。
だが、今回は銃器という未知の武器に加えあの呂布がいる。いくら義弟達といえど一対一では無事ではすまないだろう。
放送でも自軍の王平や魏の楽進と言った名うての武将も既に亡くなっている。不安は募るばかりであった。
- 109 名前:4/5 投稿日:2006/07/11(火) 23:11:03
- と、その時、蔡文姫の部屋から綺麗な歌声が聞こえてきたそれは優しく、そしてどこか悲しげな歌だった。
「…綺麗な歌声だな…」
「…はい…」
聞きほれている劉封を見ると、劉備はついからかってみたくなった。
「惚れたか?」
「なっ、何言ってるんですか!そんなのじゃありませんよ!!」
「じゃあどんなのだ?」
劉備の顔に嫌な笑顔が浮かんでいる。そんな劉備を少し恨めしげな顔で睨んだ後。目を逸らしながら答える。
「その、母親みたいな感じと言いますか…」
その瞬間、劉備の顔から笑みが消え、かわりに後悔の色が現れた。
(…忘れていた訳じゃあなかったが)
劉封の母親、それを奪ったのは自分のような物だった。あの時、自分が来なければ劉封の母は死ぬ事は無かっただろう。あの時…
「義父上?」
劉封に呼ばれて劉備はふと我に返った。
「…すまなかったな」
劉封はその言葉の意味にすぐ気づいた。だが劉封は笑って答える。
「…昔の事です、ひきずらないでください。それにあの時義父上が来なければ、僕はその後、義父上を手助けする事ができなかったのですから」
そう言って笑う劉封の顔を見ていると申し訳ない気持ちでいっぱいになってくる。
「それだけじゃねぇ」
「え?」
劉備の言葉に劉封は首を傾げる。そう、劉備はもう一つ、劉封に謝罪してもしきれない事があった。
(どうして今の今まで思い出さなかったんだ…)
「俺は…俺は…雲長が死んだ後にお前を…あそこまで尽くしてくれたお前を…」
劉備の声は途中から涙声になっていた。
あの時、諸葛亮の進言で我に返ったときにはもう遅かった。最後まで自分を慕ってくれた義理の息子は首だけになっていた。
「義父上」
劉封が話しかける。
「先ほども、申しました、昔の事です、ひきずらないでいただきたい。それに、その謝罪だけで僕は充分です。」
「劉封、悪かった、悪かったなぁ…」
- 110 名前:5/5 投稿日:2006/07/11(火) 23:11:38
- そう言ってむせび泣く劉備を劉封が慰めていたその時
「きゃあぁぁぁっ!」
隣の部屋から蔡文姫の悲鳴が聞こえてきた。
「蔡文姫殿!?」
劉封は急いで扉を開けた。すると、そこには壁にもたれかかり窓を指しながら震えている蔡文姫がいた。
「どうした!?」
遅れて劉備が部屋に入る。
「おや、劉備殿もいらっしゃられたか」
窓から声が聞こえ、劉封と劉備が身構える。すると窓の方から溜息がもれる
「やれやれ、某の事をお忘れか?」
その声、その振る舞いに劉備の記憶がだんだんと甦っていく。
「ま、まさか…」
「やっと思い出されたか」
劉備に呆れながら答える男を月の光が照らしていくよりも早く劉備の声が上がった
「龐統!」
「やれやれ、あいかわらずですな」
そう言って驚喜する劉備に龐統は笑いかけた。
【劉章】【張任】【王累】生存確認
<<親子の面影+α/4名>>
@劉封【李典棍】@蔡文姫【ボウガン・矢×20】@劉備【胡椒一缶】@龐統【ワイヤーギミック搭載手袋】
※朝になってから行動方針を決める模様。現在益州
- 111 名前:望まぬ仲間1/2 投稿日:2006/07/11(火) 23:30:59
- 「こいつは貴様の参謀じゃねぇのか?」
目の前に転がる死体は紛れもなく程普のものであった
「ああ、簡単に死ぬ男じゃない筈だ。だがそれ以上にこれが気になる」
指で示したもの、それは鮮やかな斬撃の後である
これほどの剣の使い手がいる。そう思うと冷や汗がでてきた
「程普だっけか?そいつの仇はいずれ取るとして」
「まずは追跡者から殺すか」
彼らを付け狙う一人の老人に聞こえるように話した
力なき者なら逃げるだろう、しかし強き者なら・・・
「気づかれてたか、わしもまだまだ未熟だな」
- 112 名前:望まぬ仲間2/2 投稿日:2006/07/11(火) 23:32:00
- 現れた男には見覚えはない。が、老人だ
「爺さん、俺は老人を労わるタイプの人間だ。なんなら護衛でもしてやろうか?」
孫堅が言った事は本気だ。孫家100年の繁栄の為には人望を得ることが何よりも大切であった
信義を守り、老人・子供・女だけは殺さない、逆に守る
これは2人の暗黙の了解だ
「文台がそういうなら助けてやらない事もないぞ?」
できれば逃げて欲しい、これが2人の願いである
しかし・・・
「じゃ、お言葉に甘えさせてもらうぞ」
付いてきてしまった。
<<二本刀と錆びた刀>>
@華雄[ちょっぴり後悔中]【吹毛剣】
@孫堅[ちょっぴり誇らしげ]【七星宝刀】
@黄忠【コンバットナイフ】
※強き者を求め河北へ移動中です
程普殺しの犯人は、簡単に死なないと考えたので後回しです
黄忠は老人のふりをしています
現在地:陳留
- 113 名前:望まぬ仲間2/2を一部訂正 投稿日:2006/07/11(火) 23:34:03
- <<二本刀と錆びた刀>>
@華雄[ちょっぴり後悔中]【吹毛剣】
@孫堅[ちょっぴり誇らしげ]【七星宝刀】
@黄忠【コンバットナイフ】
※強き者を求め河北へ移動中です
程普殺しの犯人は、簡単に死なないと考えたので後回しです
黄忠は極一般的な老人のふりをしています
現在地:陳留
- 114 名前:がんばれ諸葛瑾 投稿日:2006/07/12(水) 00:30:24
- 禰衡は許都の方へ進みながらとりあえず陳留へ行こうと決めていた。
闇が濃くなってきたせいか視界は悪かったものの、彼の目は
文士風の男がうろついているのを捕らえた。
あまり見たことのない者だが、武器も持ってないらしいし、殺意のようなものは感じられない。
「おい」
「うぎゃああ!!?」
声を掛けられて飛び上がったのは諸葛瑾。
命こそ取られなかったものの、武器を取られてしまい途方に暮れていたのである。
とりあえず落ち着いて欲しかったので禰衡は諸葛瑾の襟を掴んで話かけてみた。
「孔融がどこに行ったか知らんか?」
「し、し、知らない!知らない!!」
混乱しているらしい。
「落ち着け!」といいながら襟を引っ張りあげると諸葛瑾は余計に慌て始めた。
「し、知らない!知らんわ!離せ!」
「本当に知らないのか?まあ、知らないならいいんだが…」
禰衡は何かを考え込むようにぶつぶつ口の中で呟いて、辺りを見回し、また諸葛瑾を見る。
「残念だがお前は連れて行けんなぁ」
「結構です!!」と叫ぶなり、諸葛瑾はどこかへ向かって走っていってしまった。
「どこにいるんだか。全く」
@禰衡【農業用スコップ】
※孔融を捜しながら陳留へ向かっています
@諸葛瑾[混乱している]【なし】
- 115 名前:1/3 投稿日:2006/07/12(水) 02:14:57
- 楊州の夕闇の中、平原を追いかけっこする二人の影がある。そして追っている方、朱桓が声を上げる。
「大人しく死ねや、ド阿呆!李典の名が泣くで!」
そして追われている方、李典が答える。
「うるさい!百選一計逃げるにしかずだ!」
朱桓が李典を追うのには訳がある。それは李典の支給品、SPAS12を見たからだ。自分が持っていない銃器、しかも少し前にその威力は朱然の身を持って実証している。
スタングレネードで視力を奪ったまではよかったが危機をさっちした李典は即座に逃げたのだ。そしてこの追いかけっこにいたる。
「ええーい!逃げるのも大概にせんといてまうぞ!ダボが!」
その言葉を聴いて李典が振り向いた。
「ああ、そうしよう」
そう言って振り向き様に李典はSPAS12の引き金を引いた。
だがそれは李典にとって危機的状況を迎えてしまった。
朱桓は李典が振り向いた瞬間、危機を感じ、横に飛びのき、疲労した状態で、走りながら発射してしまった事で李典は銃の反動でバランスを崩し転倒してしまったのだ。
(しまった!この李典、一生の不覚!)
「天佑我に有りやなぁ。ほな、逝ってみよか」
「そこまでにしておけ、休穆」
- 116 名前:2/3 投稿日:2006/07/12(水) 02:15:41
- 朱桓はその声に振り向いた。そしてそこに立っている男を見た。
「あ、あんたは…」
「これ以上の横暴はこの太史慈が許さぬぞ」
そう言って太史慈は素手で構えを取る。その姿に朱桓は少し不愉快になる
「子義はん、いくらなんでもそれはワイを馬鹿にしとるとちゃうんか?こちとら武器があるんやで?」
そう言って剣を構える朱桓を見て太史慈は鼻で笑う
「ふっ、お前ごときに武器など必要ない」
その一言で充分だった。その瞬間に朱桓は飛び出した。
「舐めるなやボケがぁ!」
「無駄無駄無駄……」
太史慈はそれだけ呟くと朱桓の剣を交わし、そのままボディに一発叩きこんだ
「ごふぅっ!」
その一撃でよろめく朱桓。そしてそこからは太史慈の独壇場だった。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無ゥー駄ァッッッッ」
太史慈の壮絶なラッシュで遥か後方に朱桓は吹き飛んだ。
「同軍のよしみだ。これからはこんな真似はやめるんだな。…やれやれだぜ」
それだけ言うと李典の方に向き直った。さて、ここらじゃなんだ。近くに小屋があるが。来るか?
李典は一瞬考えたが、ここにいる訳にもいかず、それに折角仲間ができるかもしれない。という理由もあったので着いていく事にした。
そして小屋に到着した直後、二人は死亡者の放送を聞いた。
- 117 名前:3/3 投稿日:2006/07/12(水) 02:18:50
- 「楽進…」
頭にどこまでも剛直で退く事を知らなかった男が浮かぶ。あまり気が会わなかったが、その武は心強かった。
「物思いに耽っている所悪いが」
太史慈が切り出す。
「確か、お前は曹操の部下だったはずだ。それが何故こんな所に?」
「…今回の敵は孫呉でも蜀漢でもない。故に他国を回り反対派を探そうと思ってな」
「それでわざわざここまでくるとはな。物好きもいたものだ」
そう言って太史慈は笑う。そして李典も笑って答える。
「重々承知しているさ。そこで質問だ。その物好きに力になって欲しいと聞かれたら、貴公はどう答えるかな?」
「いいだろう」
太史慈は笑って即答した。李典は一瞬驚いたがその顔はすぐ笑顔に変わった。
「笑顔で即答とは気持ちのよいお方だ」
そう言うとお互い声を出して笑った。
「そういえば貴殿の支給品は何でしたか?」
そう言うと太史慈は少々目を逸らしながら答えた
「いや、大したものじゃないんだが…」
そして太史慈は自分の鞄から数十冊の本を出した。
「何々?ジョジョの奇妙な冒険?」
「絵巻のような物だ。なかなか面白いし、鞄に詰めて殴れば武器にもなる」
「…あの男から剣でも奪っておけばよかったですな」
「あ」
そうして夜は更けていく。一方その頃、件のあの男は…
「ちくひょう、太ひ慈め…覚えとれひょ〜」
殺意の炎を燃やしながら復讐を誓うのだった
<<私議マンセー/2名>>
@太史慈【ジョジョの奇妙な冒険全巻】@李典【SPAS12】
※他にも仲間になってくれる人をさがしています。現在楊州
@朱桓【鋼鉄の剣、スタン・グレネード×4、携帯型地雷×5】
※合肥へ向かいます。太史慈に恨み。全身打撲顔面ぼこぼこ
- 118 名前:2/3修正orz 投稿日:2006/07/12(水) 02:21:33
- 朱桓はその声に振り向いた。そしてそこに立っている男を見た。
「あ、あんたは…」
「これ以上の横暴はこの太史慈が許さぬぞ」
そう言って太史慈は素手で構えを取る。その姿に朱桓は少し不愉快になる
「子義はん、いくらなんでもそれはワイを馬鹿にしとるとちゃうんか?こちとら武器があるんやで?」
そう言って剣を構える朱桓を見て太史慈は鼻で笑う
「ふっ、お前ごときに武器など必要ない」
その一言で充分だった。その瞬間に朱桓は飛び出した。
「舐めるなやボケがぁ!」
「無駄無駄無駄……」
太史慈はそれだけ呟くと朱桓の剣を交わし、そのままボディに一発叩きこんだ
「ごふぅっ!」
その一撃でよろめく朱桓。そしてそこからは太史慈の独壇場だった。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無ゥー駄ァッッッッ」
太史慈の壮絶なラッシュで遥か後方に朱桓は吹き飛んだ。
「同軍のよしみだ。これからはこんな真似はやめるんだな。…やれやれだぜ」
それだけ言うと李典の方に向き直った。
「さて、ここらじゃなんだ。近くに小屋があるが。来るか?」
李典は一瞬考えたが、ここにいる訳にもいかず、それに折角仲間ができるかもしれない。という理由もあったので着いていく事にした。
そして小屋に到着した直後、二人は死亡者の放送を聞いた。
- 119 名前:まけるな諸葛瑾 1/2 投稿日:2006/07/12(水) 16:34:34
- 半泣きで爆走する諸葛瑾。
朱桓らに武器を奪われ(>86)
禰衡に襟首掴まれ(>114)
踏んだり蹴ったりである。
もうとにかく必死。走る。逃げる。
進行方向には子供を抱えた男。(>32)
もしやあいつも何か企んでいるのでは?!
慌てて進行方向を変えたその瞬間。
パァン!
「ひええぇ!」
銃声が響いた。震え上がる諸葛瑾。
潜んでいた狙撃手(>10)は>32を狙っただけで
彼を狙ったわけではないのだがそんな事は知る由もなく。
ドンッ!
慌てて逃げた先でぶつかったのは捻り鉢巻も勇ましい呂蒙。(>58)
「あっ、子瑜どの!」
- 120 名前:まけるな諸葛瑾 2/2 投稿日:2006/07/12(水) 16:36:14
- ようやく止まって少し落ち着いた呂蒙。
しかし諸葛瑾は全然落ち着かない。
なんてったって最初に同じ呉の人間に裏切られているわけで。
「やあ、申し訳なかった、子瑜どの」
「ヒィ!」
諸葛瑾はガクガク震えながら後ずさり、どうにか立ち上がって脱兎の如く逃げる。
「あわわわわ!!」
「子瑜どの?子瑜どのーっ?!」
もう半泣きというか全泣きで逃げる諸葛瑾。
彼の未来に幸あれ。
でもその先には・・・呂布がいるけどね!
※干禁が曹丕に発砲したようです。
@呂蒙【捻り鉢巻】
※ひとまず落ち着いたようです。
@諸葛瑾[大混乱している]【なし】
※呂布がお待ちかねのようです。
- 121 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/12(水) 17:44:49
- 「今回の進入禁止エリアは洛陽一帯か。特に問題は無いな」
地図の洛陽に×印をつけると、参加者リストに脱落者の名に線を引く
「まだ1日しかたってないのに随分と死んだな。まぁ興味ないがな」
12本の線を引き終えると、豪華なディナーを食べ始めた
「全く、下々の者には時間の概念はないのか?夜中に騒ぐ輩が多すぎる・・・」
軽く愚痴をこぼしながらチキンステーキを食べているが、油断はしていない
誰かの気配がすれば、すぐに逃げる用意はしてある
優雅な生活を送るには、神経を使うのだ
「今夜は満月を見ながら一杯やるか。明日も一杯やりたいものだ」
許都の宮殿から満月を見ながら城にあった酒を飲みながら肴をつまむ
明日も満月だといいなと思いながら
そして夜は更けていく・・・
彼は幸運の持ち主であろう。最も目立つ場所にいながら
誰にも遭遇していないのだから
だが、余りにも目立ちすぎる為、誰も許都に近づいていなかっただけなのは秘密だ
@袁術【日本号】
※晩酌を済ませたら寝ます。誰かが来たらすぐに逃げますが
罠が十二分に仕掛けています
- 122 名前:1/3 投稿日:2006/07/12(水) 23:26:44
- 「荀イク…お前は朕の忠実な臣だ…お前は朕の障害となる者を…」
頭の中で帝の言葉が繰り返されている。私は帝の…漢王室の忠臣、それを脅かす全ての者は、誰であろうと生かしてはおかない。
そしてまずは貴方に犠牲になってもらいます、曹操様。ふふ、どうやらこのまま許昌まで逃げるようですが、私は、それをむざむざ逃がすような人間ではありませんよ?
そろそろ引導を渡してさしあげましょうか。おさらばです曹操様。
「叔父上?何をなさっているのですか?」
この声、ああ、公達じゃないですか、見てわからないんですか?そこらの愚鈍な人間じゃないんですからわかるでしょう?
「おやめください叔父上!こんなゲームに乗るなんていかがなされたのです!?」
おや?そんな事を言うとは貴方は乗っていないんですか?やれやれ、貴方まで帝に逆らうとは…では貴方も殺すしかないですね。
まったく、これでは曹操様が逃げてしまうじゃないですか。この罪は貴方の命で償ってもらうとします。
「叔父上…!?何故、銃を向けるのです!?」
わかりきった事を聞いてはいけませんよ公達。帝に歯向かった事を悔いながら死んでいきなさい。
「叔父…」
「さようなら、公達」
- 123 名前:2/3 投稿日:2006/07/12(水) 23:27:26
- ボンッ
荀イクが引き金に指をかけた瞬間、周囲は煙に包まれた
(煙幕…?まさか伏兵がいたとは…)
煙が晴れるとそこには既に荀攸の姿は無かった。
「やれやれ、また反逆者ですか」
そう言うと荀イクは溜息をついた。
「まったく余計な時間をくってしまいました。早く曹操様を追わないと」
それだけ言うと荀攸は曹操が向かったであろう許昌へと向かって行った。
その頃、荀攸は大男に担がれて走っていた。
「典韋殿!この辺りで降ろしてくだされ!」
「あいや、わかりもうした」
それだけ言うと典韋は荀攸を降ろした。
「助けていただいて感謝しております」
「いやいや、しかし一体どうしたのですか?あの文若殿の変わりようは?」
典韋は洛陽の北側で魏の出身者を探している所をちょうどあの場面に出くわしたのだった。
「わからん。ただいつもと様子が違うのは確かだった」
典韋の声に力なく首を振りながら荀攸が答える。まだ荀イクの変貌が信じられないようだ。
「よもや、呪いのような物でもかけられてるのでは」
「…うむ、私の支給品の銃のように帝は未知の技術を有している。可能性もなくはない。いや、きっとそうに違いない」
荀攸には信じられなかった。あの温厚な叔父がこんな腐りきったゲームに乗ったということに。
「して、これからどうなされます?」
典韋の問いにしばし考える荀攸。
「とりあえず許昌に向かおう、あそこならば殿に縁のある者があつまっているかもしれん。
(それに、叔父上も…)
「わかり申した。それではこの典韋、荀攸殿の盾になりましょう」
そう言って胸をたたく典韋は微笑ながら礼を述べる。
「ではいきましょうか」
(叔父上、この公達が必ず正気に戻して差し上げます)
決意を胸に二人が歩き出す。時に第一回放送の始まる数時間前だった。
- 124 名前:3/3 投稿日:2006/07/12(水) 23:28:01
- 【典韋:生存確認】【荀攸:生存確認】
<<決意胸に秘め/2名>>
@典韋【煙幕弾×4】荀攸【デリンジャー】
※許昌に向かっています
@荀イク【ガリルAR(ワイヤーカッターと栓抜きつきのアサルトライフル)】
※許昌に向かっています。洗脳の可能性有り
@曹操【???】
※許昌に向かっている?
- 125 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/12(水) 23:50:00
- 俺は闇の胡車児。張繍軍最強の忍者だ
コードネームは「蛇」。今は洛陽に潜伏している
首輪?そんなのは俺の忍びの術を使えばいちころさ
「こちら蛇、応答せよ」
ガガガ・・・ガガ・・・
「こちら高順。そっちは順調か?どうぞ」
ガガ・・・ガガガ・・・ガ
「ああ、劉協は気づいてない。このまま潜伏を続ける。どうぞ」
ガガガガ・・・ガガ・・・
「俺は計画通り弱者を狩る、今回の通信はこれまでだ。健闘を祈る」
ガガ・・・ガ・・・・・・
@胡車児【トランシーバーA1】
※洛陽に潜伏中。首輪に偶然火をつけたら機能が一時停止しました
今まで、火炎放射器等で死んだ参加者の首輪が
爆発しなかったのと関係があるかもしれません
@高順【トランシーバーA2】
※ある計画の為に、弱者を狩ります。南陽で仮眠をとっています。
- 126 名前:>>125訂正版 投稿日:2006/07/13(木) 00:05:15
- 俺は闇の胡車児。張繍軍最強の忍者だ
コードネームは「蛇」。今は洛陽に潜伏している
首輪?そんなのは俺の忍びの術を使えばいちころさ
「こちら蛇、応答せよ」
ガガガ・・・ガガ・・・
「こちら張燕。そっちは順調か?どうぞ」
ガガ・・・ガガガ・・・ガ
「ああ、劉協は気づいてない。このまま潜伏を続ける。どうぞ」
ガガガガ・・・ガガ・・・
「俺は計画通り弱者を狩る、今回の通信はこれまでだ。健闘を祈る」
ガガ・・・ガ・・・・・・
@胡車児【トランシーバーA1】
※洛陽に潜伏中。首輪に偶然火をつけたら機能が一時停止しました
今まで、火炎放射器等で死んだ参加者の首輪が
爆発しなかったのと関係があるかもしれません
@張燕【トランシーバーA2】
※ある計画の為に、弱者を狩ります。南陽で仮眠をとっています。
- 127 名前:夜の帳にふたり立つ 1/2 投稿日:2006/07/13(木) 04:11:30
- 夜の帳は何もかも総てを覆ってしまうものと思っていたが、
不安と狂気だけは覆い隠せないどころか尚一層煽るものだと、ある時気付いた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
……そろそろ雍州に入ったあたりでしょうか……?
まさか夜の間も移動し続けるとは思いもしませんでした……
諸葛亮を捜す何らかの手掛かりになるかもと思って司馬懿を付けていた姜維だったが(>>93)、
今はすっかり日が暮れてしまい、最早気配だけを頼りに追跡している状況だ。
というのも、司馬懿は何かを確信しているところがあるようで、夜になってもどんどん進んで行って
しまうものだから何かと困る。いや、困るのは専ら姜維だが敢えて突っ込むまい。
――さて、実は今しがた最初の死亡者放送があった訳だが(>>103)、それを聞いて姜維はふと考えた。そして気付いた。
『魏延より先に出た者』で『魏延が追いかけて行ってぬっ殺しそうな奴』に該当するのが王平しかいないことに。
ということは、ですよ。えーと……お、か、き……(と指を折って数えている)
……実は、案外近くに居たり……いや、走ったり停まられたりすればそれまでですし、
第一私も結構ゆっくりと移動してきたので、当てになりませんね。
と、魏延の現在位置について思案していたとき、不意に別の気配に気付いた。斜め右後方。
「……え、走ってくる!?」
正気か、と思った。この真夜中に、夜目でも利かなければ普通に歩くのでさえ苦心する筈なのに、
その人物と来たら、明らかに“走っている”速度で、しかし極めて静かに近づいて来る。何故あの速さで足音ひとつ出ない?
- 128 名前:夜の帳にふたり立つ 2/2 投稿日:2006/07/13(木) 04:13:00
- 警戒して木の陰に隠れて気配を殺す。
が、あろうことか、迷いなく真っ直ぐに近づいて来たのだ! こちらの姿が見えているとしか思えない。
万事休すかッ!? といよいよ身構えた時、これまた予想外に向こうはこう言ったのだ。
「よっ、やっと追いついたぞっと」
聞き覚えのある声に驚き、良く良く目を凝らしてみると、目の辺りを楕円形に近い物体で覆っている人物がいる。
彼には姜維が一瞬ぽかんとした顔をしたのが見えているらしい。顔の上半分を覆っていたものを外して、笑った。
いくら真夜中でも、これだけ至近距離でなら見知った人間の顔ぐらい判別できる。
「……馬岱?」
「どうやらアンタがこっちに行ったらしいって情報があってね。追いかけるの大変だったんだぜ?」
先程馬岱が着けていたのは、暗いところでも温度を察知して周りが見えるようになるものらしい。
彼は再びそれを装着しながら、便利は便利だけど、やっぱ武器がないとなぁ、と言ってまた笑った。
何故彼が姜維を追いかけてきたのかについては、やはり魏延がらみの件で、根本的な考えは姜維と同じ処――
先ず誰かと合流しないと危険――にあるようだ。
「どう考えても、一番恨まれてんのオレじゃん。……で、アンタはここで何を?」
「ああ、私はですね……って、あー!」
……司馬懿のことを忘れていた。思いっきり見失った気がする。
「ぐすん。私は丞相を捜しているんですけど……手掛かりを今まさに見失ったような」
「何もそんなに項垂れなくたってなぁ……悪かったよ、というかオレも捜したい……ん?」
馬岱が暗闇の中で蠢く人影を見つけた。指差して姜維に耳打ちする。
「あそこに誰かいる」
「……司馬懿どのでしょうか?」
「いや、何か違う気がする……もっとヤバそうな感じ……」
<<丞相を捜せ!/2名>>
@姜維【謎の液体が入った小瓶】
@馬岱【赤外線ゴーグル】
※司馬懿を見失いました(まだそれほど離れていません。ゴーグル越しなら見つかるかも……)。
雍州にいると思われます。(正確に把握出来てないようですが、禁止エリアからは抜けています)。
基本的に諸葛亮を捜すつもりですが、先ずは当面の問題を片付けるのが先決です。
(注:馬岱が見つけた『誰か』は司馬懿以外の既出の誰かです)
- 129 名前:その時がきても 1/4 投稿日:2006/07/13(木) 11:35:17
- 民家に飛び込んだ曹丕はどうにか鍵を閉め曹幹をそっと降ろした。
自分にまだそんな繊細な動きが出来ること自体が驚きだった。
次の瞬間、糸が切れたように崩れ落ちる曹丕。涙でくしゃくしゃになった顔で曹幹が寄ってくる。
「とうさま!とうさま!」
喉がカラカラで声も出ない。うん、と曹丕は頷きだけで返事をしたが曹幹の涙は止まらない。
「…大、丈夫、だ…」
唾をかき集めるようにして唇を湿らせそう言うと、ようやく曹幹はいくらか落ち着いたようだ。
仕草で静かにするようにと曹幹に伝える。
曹幹はこくこくと何度も頷いて懸命に涙を拭いしゃくりあげる声を抑える。
ようやく狂乱の中を抜けたかと速度を緩めかけた瞬間、突如一人の男が飛び出してきた。
凶弾が曹丕に襲いかかってきたのはそれとほぼ同時だった。
「ぐ……!」
右肩が熱い。心臓の音がうるさい。
「とうさま…!」
「ひええぇ!」
悲鳴が重なる。
曹幹の声に応えるように曹丕は曹幹を抱いた左腕にぐっと力を込める。
男はまたいずこかへ走り去っていく。
あの男が躍り出てこなければ凶弾は曹丕の心臓を貫いていたかもしれない。命の恩人と言えよう。
だが生憎、顔が長かったことくらいしか覚えていない。
- 130 名前:その時がきても 2/4 投稿日:2006/07/13(木) 11:36:39
- とにかく走った。弾丸がもう一発飛んできたが幸い逸れた。
威嚇のためにこちらも一発撃ち返す。
バンッ!
想像以上に強い反動が曹丕の足を掬った。たたらを踏むが耐えきれず地に転ぶ。
片手で、しかも曹幹を抱えながら撃つにはやはり無理があるようだ。
曹幹をくるむように庇いながらそのまま茂みの中を転がる。
ざざざざざ…草が鳴る。肩が脈打つように痛む。
肩の痛みなど今思い出した。銃など支えられるはずがないのだ。
しかし浮かぶのは笑み。痛みを感じる程度には、まだ自分には余裕があるようだ。
そして自分の腕のなかには、このぬくもりがある。
右肩の傷からはじくじくと血が滲み続けている。質の悪い傷になってしまったようだ。
服を裂いて固く縛ったが、自分の右肩を縛るのはとても困難だ。うまく手当できたかは解らない。
もともと白い曹丕の肌は失血と月明かりのせいで青白い。
酷く喉が乾いている。一気に飲み干してしまいたい衝動とは裏腹に舐めるように水を口に含む。
水は貴重だし、乾きすぎた身体にはこのほうがよいだろう。
曹幹にも何か食べるように促す。
曹幹は硬いパンを少しずつかじり、それを鳩にも分け与えてやりながら心配そうに曹丕を見る。
- 131 名前:その時がきても 3/4 投稿日:2006/07/13(木) 11:37:54
- 「とうさま…だいじょうぶ?」
「ああ」
「いたい?」
「痛くないよ」
「とうさまは、えらいですね。おつよいのですね」
曹幹が優しく曹丕の頭を撫でた。
庭で転んだ時などに女官にでも言われたのだろうか。
妙に大人びた言葉遣いが可愛らしく、また可笑しかった。
頭を撫でる手はとても小さいのに、何故か大きかった亡き兄の手を連想させる。
偉いな。頑張ったな、子桓。
自分を褒め労ってくれた数少ない人。
王太子として、皇帝として過ごすうちに忘れかけていた手。
そんな優しい感情をぶち壊すように、フィールドに死亡者放送が陽気に響く。
「とうさま。しぼうしゃ、ってなに?」
無邪気な曹幹の問いが痛い。
「…死亡者というのは、星になった人のことだ」
陳腐な比喩しか出てこなかった自分に苦笑する。詩人失格だ。
「とうさま、ぼくもほしになってみたいです!」
きらきらした、それこそ星みたいな瞳で曹幹は笑う。
こんな幼子でも、やはり人は遠く手の届かないものばかりを欲しがるのか。
「…お前はまだ幼いから解らないかもしれないが、
遠い輝きよりも、こうして触れあえる距離の方が得難いものなのだよ」
今度は曹幹の頭を曹丕が撫でてやる。
- 132 名前:その時がきても 4/4 投稿日:2006/07/13(木) 11:38:59
- 「だから、お前は生きなさい。お前の側にいてくれる人と共に。
…いつか私が、星になっても」
<<パパじゃないよお兄ちゃんだよ/2名>>
曹丕[右肩負傷・手当て不完全、疲労]【スコーピオン(残弾19発)】曹幹【白い鳩】
※現在地は宛の民家。明かりは点けていません。曹幹を休ませ曹丕は寝ずの番をします。
襲撃者が誰であるかは彼らは知りません。休んだら許昌へ。
※曹丕の傷はきちんと手当てをしないと悪化していきそうです。
- 133 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/13(木) 13:29:01
- >>354ど、どゆこと、ズガンとか別に多くないと思うんだけど
- 134 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/13(木) 13:45:07
- ドピュ・・・
「きゃぁ!なんでこんな汚らわしい物が出てくるの!?」
支給品のシャンプーの使用方法を読み、使ってみたら出てきたのだ
・・・精子っぽいのが。しかも良い香りだ
彼女は一応、生娘ではないのでそれを見た事はある
だが、誰のかも分からないそれを触る気など到底しない
「まさかこれって未来の子作りマシーン?これなら玄ちゃんの子供が作れるかも!」
だが、此処で試すのには少々恥ずかしい
どこか誰もいない様な場所を求め、夜中のうちに移動を始めた
@孫尚香【シャンプー(結構入ってます)】
※どこかで試す勢いです。現在地は汝南
- 135 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/13(木) 19:12:18
- 「久しぶりだな。貴様に斬られた恨み、忘れはせん!覚悟!」
潘璋は、なぜかこんな台詞を口走っていた。
「人違いではないか?…私は貴殿と面識はないはずだが…しかしむざむざ死ぬ気はない」
田疇は困惑していた。
友人でも探そうかというところに、いきなり斬りかかってきたのだ。
出来れば戦闘は避けたいところだが、そうは行かなさそうだ。
でも、私がいくら読書好きだからといって、この武器は無いだろう…
@潘璋【備前長船】VS@田疇【広辞苑】
※戦闘開始!潘璋は記憶の欠片が残っている模様。現在地は陳留付近。
- 136 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/13(木) 19:14:16
- 「ふ〜危ない。危うく死ぬところだったなぁ」
先程の銃撃で軽傷を受けたが、不意打ちを食らってこの程度で済んだことに感謝すべきだろう。そして、関興は支給品のラッキーストライクで一服した。
ザックを開けたときには、何かの間違いかと思った。
しかし、何処を探しても煙草と金属製のライターしか見つからなかった。
こんな装備じゃ生き残るのは至難だろう。
早いとこ信頼できそうな奴を探さないと。
@関興[軽傷]【ラッキーストライク(煙草)、ジッポライター】
※荊州方面へ。
- 137 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/13(木) 20:18:46
- ある日、森の中 熊さんに 出会った
花咲く森の道 熊さんに 出会った
熊さんの 言うことにゃ 南蛮人さん お逃げなさい
スタコラ サッサ〜サ〜ノ〜サ〜 スタコラ サッサ〜サ〜ノ〜サ〜
ところが 熊さんが 後から ついてくる
トコトコ トコトコと トコトコ トコトコと
南蛮人さん お待ちなさい ちょっと 落とし物
黒い表紙の 中ぐらいな 死のノート
あら 熊さん ありがとう お礼に 仲間になりましょう
ラララ ララララ ラララ ララララ
@阿会喃【DEATH NOTE(あと9ページ)】
※曹熊にノートを拾ってもらったお礼に仲間になりました
@曹熊[混乱中]【エクスカリパー】
※阿会喃を殺そうとしましたが、なぜか阿会喃の仲間になりました
- 138 名前:137一部訂正 投稿日:2006/07/13(木) 20:24:49
- <<最強と最弱/2名>>
@阿会喃【DEATH NOTE(あと9ページ)】
※曹熊にノートを拾ってもらったお礼に仲間になりました
@曹熊[混乱中]【エクスカリパー】
※阿会喃を殺そうとしましたが、なぜか阿会喃の仲間になりました
- 139 名前:国 投稿日:2006/07/13(木) 21:18:31
- 「しばてん」の二人は、いつのまにか宛県まで来ていた。
「叔達殿、あそこに家がございますわ!」
貂蝉が指をさしたのは、古びた一軒小屋であった。司馬孚がそれを眺めて言う。
「幸い、明かりはついていない……こりゃ、格好の休憩所だな」
「そうでしょう? では、他人が入らないうちに」
彼は無言でうなずくと、ゆっくりゆっくり歩いていき、やがて入口に達した。
「鍵は……かかっているのかな?」
司馬孚がドアを引いてみると、不思議なことに、ぎーっと入口が開いた。
「まあ、何て用心の悪い家……」
貂蝉もびっくりしている。
「えーと、燭台は……あ、ここだここだ」
司馬孚は腰の袋から、火打石を取り出して、カチカチカチッとそれを鳴らす。
「漸く、明かりがともりましたね……って、既に先客がいたのですか?!」
貂蝉がまた驚いた。たれもいないと思われた屋内に、親子連れと思われる
二人の男。しかも、自分たちと同じ首輪をつけている。
「これはこれは! 子桓殿とそのお子さんですね」
司馬孚の言葉に、彼と対面して座った、年の頃十ばかりの少年が反発して言う。
「パパじゃないよ、お兄ちゃんだよ」
「わしの末の弟じゃ。子ども扱いするでない!」
と、子桓殿と呼ばれた中年男がフォローした。親子の歳ほど離れているので、
兄弟には見えにくいのである。
- 140 名前:国 投稿日:2006/07/13(木) 21:19:12
- 「子桓殿、これはどうも相すみません」
司馬孚が詫びを入れて言う。続いて、暫く黙っていた貂蝉も口を開いた。
「あなた方……もしや、曹公のお子さん方で?」
「いかにも」
中年男が答える脇で、少年は彼女に興味を示す。
「お姉ちゃん、とってもきれいだね」
「ありがとう……ねえねえ、坊やは何て名前なの?」
「曹幹。で、隣のお兄ちゃんは曹丕」
「これこれ、他人を諱で呼ぶでない……こういう時は、名刺を渡すが礼儀じゃろう」
歳の離れた兄・曹丕にたしなめられ、かの少年・曹幹は、自分の名刺を貂蝉らに
手渡した。続いて、相手方からも、それぞれの名刺が手渡される。
「ほーお、仲達の弟じゃったか……ムムッ!」
曹丕は、司馬孚の腰についている、吹き矢セットに着目した。右肩を負傷させた
のは、あるいは彼かもしれないのである。
「貴様か、わしの右肩を襲ったのは?」
「滅相な! 僕はただ、休憩すべき場所を求め、ここまで歩いてきただけですよ」
司馬孚が弁解する脇で、貂蝉は曹丕を凝視した。布の巻かれた右肩が、返り血で
真赤に染まっている。
「子桓殿、右肩をどうなさいましたか?」
「たれかに傷つけられたのじゃ。貴様、加害者を知っておろう?」
「いいえ、我らは、あなた方に偶然出会っただけですが……実は、私、簡単な医術を
心得ておりますの」
- 141 名前:国 投稿日:2006/07/13(木) 21:20:38
- 「何と! 確実な処置ができるのか。この際、仇を探してはおれん」
命を大事にすべきだと、彼は貂蝉へ体を預けた。続いて、右肩の布がほどかれる。
「まあ、何て浅ましい傷跡……これには、叔達殿と同様の手当てが必要なようですね」
彼女は、また救急箱を取り出した。そして曹丕の傷を切開し、弾丸を皆摘出し、
その傷口を石炭酸で洗い、ヨードフォルムを振りかける。
「包帯も、新たなものに取り替えましょう」
仕上げに、救急箱の白布をくるくるくるっと巻きつけた。これで、確実な処置は
完了である。
「子桓殿、これであいこですね」
司馬孚は、左腕の傷を曹丕に見せて言う。
「そうか、貴様も負傷者か……やはり、彼女に治してもらったのか?」
「はい、私が治しました」
と、貂蝉が先に答えて言った。
「ほーお、実に心強い存在じゃな……どうじゃ、これから暫く、わしらと一致団結
せんか?」
「何ですと?!」
司馬孚が驚いたのなんの。ついさっき、加害者呼ばわりされた自分に、協力を
求めてくるとは。
「子桓殿、仇討ちはどうなさるので?」
- 142 名前:国 投稿日:2006/07/13(木) 21:21:17
- 「それは、この傷を癒してからじゃ。それよりは、わしらの仲間をもっと増やし、
逆らうやつらを皆殺しとすべきじゃろう」
「なるほど……この僕も、命を狙われている身。協力せぬ手はありませんな」
司馬孚がそっと手を出すと、彼は無言で手を重ね、がっちり握手を交わした。
「お兄ちゃん、許昌へ手紙出していい?」
曹丕は、曹幹の問いに答えて言う。
「よかろう。かの地には、わしらの仲間が、何人も移動しておるじゃろうからな」
「ありがとう! それじゃ、早速手紙書くね」
曹幹は衣の袖の一部を裂くと、何やら文章を書きつけ、それを白鳩の脚に結び、
許昌へ向けて発送した。
<<チーム文帝/4名>>
@曹丕[右肩負傷・疲労]【スコーピオン(残弾19発)】
@曹幹【白い鳩(飛行中)】
@貂蝉【救急箱】
@司馬孚[左腕銃創・疲労・腰痛]【吹き矢(矢10本)】
※現在地は宛の民家。只今、みんなで療養中。
※曹丕の襲撃者がたれであるかは不詳。
※先に出てきたオルゴールは、救急箱に同梱されていました。
※曹幹の白い鳩は、只今、許昌へ向けて飛行中。
- 143 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/13(木) 23:13:12
- 議論の結果>>138-142はスルーとなりました
- 144 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/13(木) 23:24:19
- 「あれ、ここはどこだ?」
曹操は暗闇で目覚めた。
思えばこの恐ろしげなゲームが始まった瞬間に襲われ、
やっと逃げ通せたと思ったら今度は張繍如きに襲われた。
ひたすら逃げまくった覚えはあるのだが
それ以後ぱったりと記憶が途切れている。
どうやらここは岩穴の中であるらしい。
逃げているうちに無意識に飛び込んだのだろう。
小柄な身体にコンプレックスを感じていたが、
こんな狭いところに隠れられるとは悪いことばかりではない。
ふと思い出して自分への支給物を出してみた。
チロルチョコとパッケージに書かれた四角い物体が大量に入った袋である。
ひとつ取り出して中身を取り出してみる。
*・゜゚・*:.。..。.:*・゜芳醇な甘い香り゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!
口に入れてみたら天国が見えたヽ(´▽`)ノ
「だからってこんなもの何の役にも立たぬではないか。。。」
とりあえずまともな武器を持った相棒が欲しいところだ。
典韋がいいな。許褚でもいい。
五歩譲って夏侯惇や夏侯淵や曹仁や曹洪でもいい。
あ! 息子の曹彰もいいかもしれない。
とりあえずしばらく寝て疲れを取ろう。
曹操はチロルチョコきなこ味と氷いちご味を二個ずつ食べてから寝た。
@曹操【チロルチョコ(残り95個)】
- 145 名前:女体化嫌いな方すみません 投稿日:2006/07/13(木) 23:41:37
- 「何故だ…?」
水面に映る自分を見て趙雲は狼狽する。水面に映る自分の姿は今までの自分とは似ても似つかない。というか性別まで変わっていたのだ。
「何の因果でこんな体になってしまったというのだ。私は男のはずだ!」
脳裏に昨日までの、まだ男だった、線の太い、どこぞの野球漫画の主人公のような自分の姿が浮かんでいる。
「よりによってこんな道具だし」
そう言って趙雲は自分の支給品であるメイク道具一式を見て溜息をつく。
「…しかも何気に美人だし」
そういいながら再度自分の姿を映し見る。端整な顔立ち、豊満な胸、キュッとくびれた腰、安産型の尻。自分だということはわかっていても、ときめいてしまう程だ。
だが戦いを生業にする趙雲にとってはこの、ボンキュッボンの。ナイスバディも邪魔な物でしかない。おまけに昨日まであった豪腕も、今や非力で華奢な細い腕になっている始末だ
「しかし、悩んでいても仕方ないか…このような身にはなれども、殿をお助けする事はできるはず!」
ガサッ
「何奴!」
茂みの音に趙雲が振り向くとそこには…
「…美しい」
両目をハートにした裴元紹が立っていた。
@裴元紹【ナース服】VS?@趙雲【メイク道具一式】(女体化)
※戦闘開始かどうかはわかりません。現在地は江夏近辺
- 146 名前:1/4 投稿日:2006/07/14(金) 00:26:35
- 「ちっ……まったく、まずい相手にぶち当たったもんだ」
大木を背にしつつ、甘寧は自嘲気味に呟く。
荊州は博望。複雑な地形のこの地で、宵闇の中甘寧はばったり徐晃と遭遇してしまったのだ。
当然戦闘となり、今は闇に包まれた森の中でお互いに探りあいをしているというわけである。
息さえ迂闊にできない。お互い使えば的となる懐中電灯は使えないのだから、後は気配を読み取ることで仕掛けるしかなかった。
この戦闘だけに限って言えば、甘寧の方が有利ではある。
甘寧の武器はザウエルP228。M−11とも呼ばれる高性能拳銃で、30m以内ならば精度の高い命中率を誇る。
対して徐晃の武器は刀だった。一対一で森林での戦いならわずかながら飛び道具持ちのほうが有利ではあろうが……。
「ありゃ、やべえ。下手すりゃ木ごと真っ二つだ」
徐晃の剣には、強い剣気を感じた。あれは相当の業物だ。持ち主ではない俺でさえはっとしてしまった。
「……」
時折吹く風で草木がなびくたび、緊張感が増す。戦い慣れていない人間なら平常心をあっさり失ってしまうだろう。
いや、奴に出会うまで身体の勘を失わせていた俺も戦いに呑まれていたのか?
「むう、しかしどうすっかね」
奴はおそらく50歩圏内にはいる。大きく動けるとは思わないので、おそらく木を背にして反対側、つまり俺の南側にいるはずだが。
白兵戦は……ダメだ。木に隠れながら突っ込んでこられると分が悪い。
それにこの9mm弾では、急所にぶち込まない限り一撃では仕留められない。
徐晃なら手足に数発喰らってもそのまま突撃してきてばっさり、ともなりかねない。
「……やれやれ、ちとカッとなってたか。俺も焼きが回ったな」
- 147 名前:2/4 投稿日:2006/07/14(金) 00:28:12
- 徐晃は慎重に木々の間を縫って歩いていた。
手には鞘に収めた名刀。いつでも斬れるように抜いておきたいが、月光で刀身が目立ってしまっては元も子もない。
気付かれずに近づき、叩っ切る。逃げる選択肢などない。なにせ、武器は変われどあれだけの猛将と戦う機会などそうはないからだ。
徐晃もまた、強者と戦えることを純粋に喜んでいたわけである。
(拙者の目指す道は、武の追求ただ一点也。甘寧殿、いざ一介の武人として勝負いたしましょうぞ)
武器──天叢雲剣を手にして、余計な音を立てないように草を払って進む。
不思議な剣だ。剣閃にほとんど音を立てずにすむし、まるで草が自ら斬られるように真っ二つになっていく。
そして慎重に歩を詰めていき、徐晃は相手を発見した。
(居ましたな、甘寧殿)
大木の陰に、衣服の端が見えている。気配も感じる。あの木の裏に隠れているようだ。常人なら気付けはしないだろう。
(どちらにしても、貴殿の殺気が漏れ出しておりますが。……さらばでござる、拙者の一撃を受けなされ)
柄に手をかける。こちらの殺気が伝わらないように。あくまで無心で。
「……っ!!」
激烈な居合い抜きの一撃が振るわれ、甘寧のいた大木は両断された。
- 148 名前:3/4 投稿日:2006/07/14(金) 00:30:24
- 「……」
「ぐ……な、なんと」
徐晃渾身の一撃が振るわれた後、刹那の間に銃声が三発発射された。
その弾丸は正確に徐晃の身体を突き抜け、臓腑を抉った。
「なるほど、拙者が未熟でしたな。……これならば敗北も致し方ない」
「そんなことねーよ。俺だって多分そうしてたし、斬撃が斬り落としだったり木が倒れてきたらそこまでだ」
下帯一丁の甘寧が複雑そうな顔で語る。
「衣服を木の枝にに引っ掛け撒餌とし、自らは伏せた形で……ぐっ、狙撃の体勢とは。殺気が漏れるのもわざとでござるか」
「ああ。俺ならどうするか考えた上での策だ。あんたは多分気取られる前に一撃の体勢……背後から大木ごと俺を斬れる最短距離で来ると思った」
真っ二つにされた甘寧の衣服が舞い散っていく。
「……いや、呉随一の猛将と同じ行動を取れるとは、悪くない」
片膝を突きそうになりながら、辛うじて全身を支え、苦悶の表情の中に笑みを作りながら、徐晃は剣を構える。
「さあ、勝負はまだ終わっておらん。拙者を地に伏せさせた時が貴殿の勝利でござろう」
「……わかった、いいだろう」
甘寧は再び銃を構える。
「もし殿にお会いしたら……戦いの最中で結構でござる、徐公明は殿に仕えて幸せだったと伝えてくだされ」
「面倒なこと押し付けやがるな、あんたも」
「ふふ、それくらいは問題ないでござろう。それに貴殿なら愚痴を言いつつもやる事はやってみせる人物のはず」
甘寧が苦笑いする。それを見て、最後の力を込めて徐晃は駆けた。
「されば……徐公明、参りますぞ!!」
- 149 名前:4/4 投稿日:2006/07/14(金) 00:31:57
- 「……ふう」
月光を浴びながら、甘寧は川縁で一息ついていた。
「ったく、面倒なこと押し付けんなっての」
言いながら、遺品となった剣を手にしてみる。
「いい剣だな……」
徐晃のザックにあった説明書には、邪気を払う剣と書かれていた。
確かに、少しばかり空気に呑まれそうだった自分の心も晴らしてくれたような気もする。
「まあ、結局殺り合うって点では同じだけどな」
試しに一閃。重さをさほど感じない。
確か会場には張遼もいたはずだ。あのヤローともう一遍戦ってみるのもいい。
張飛や関羽と戦うのも悪くない。三国無双の呂布だっている。
そう考えると、少しわくわくしてきた。徐晃の目指した事もこんな感じだったのだろう。
「よっしゃ」
気合を入れて立ち上がる、ほぼ全裸の甘寧。
「俺と戦えるくらい強い奴、豪傑、いつでも受けて立ってやるぜ!!」
月明かりを一身に受けて拳を上げる彼の姿は、まるで某拳王様のようだったとか何とか。
【徐晃 死亡確認】
【張遼 生存確認】
@甘寧【シグ・ザウエルP228、天叢雲剣】
※この世界で最強の武将になることを目指します。
- 150 名前:益徳の泣く頃にA1/2 投稿日:2006/07/14(金) 01:57:23
- 荊州の林の中を張飛は座り込んでいた。
「しかし、劉備の兄者はどっちにいったんだ?」
益州と幽州、劉備はきっとどちらかに向かっただろう。だがどちらに行っただろうか?
ゲームが始まって一時間弱、ずっとここで座り込んでそれを考えていたのだ。
だが、もともと張飛という人間は一箇所に留まって長時間物事を考えるような人物ではない。
「ええい!難しい考えはやめだ!まずは幽州だ!劉備の兄者はいなくても関羽の兄者はいるかもしれねぇ!」
頭を掻きながら、そう結論付け、張飛は幽州へと歩みを進めた。
歩くこと数十分、突然、張飛は何者かの気配を感じ、振り返った。
その場は開けた土地であったが特に人影は無かった。
「…気のせいか」
それだけ言うと張飛はまた歩きだした。が、人の気配は消えていない。
おかしい、そう思い、急に停止した張飛の耳はある音を感知した。
ぺた
自分以外の足音がした。やはり後ろに誰かいる。
「どこのどいつだ!こそこそ隠れやがって!」
憤怒の形相で後ろを向く、が、やはりそこには人影はない。張飛の頭は混乱した。
(どうなってやがんだ?足音はしたのに肝心の主がいねぇ…これはまさか…幽霊?)
そんな思考が頭をよぎった瞬間張飛の顔は真っ青になった。
(どうする?いくらこの張飛様でも、幽霊なんかとはやりあった試しはねぇ、しかもこんなのが聞くとも思えねぇ)
自分の支給品の鉈を見ながらそんなこと考える。しかし、気配はしても殺気などは微塵も感じられない。
(…もしかしたら、このゲームのせいで緊張で感覚が異常に反応してるのかもしれねぇ。いや、きっとそうだ!」
幽霊という考えを、頭の片隅においやり、張飛は小走りでその場を後にする。人の気配を背後に感じながら。
- 151 名前:益徳の泣く頃に2/2 投稿日:2006/07/14(金) 01:58:31
- そして、その張飛の真後ろから張飛は追跡している気配の主、賈クは安堵の溜息をついた。
賈クの装備品は光学迷彩スーツ、これが張飛が後ろを向いても誰もいなかった理由である。
(ふぅ、猪武者めあんな所で急停止するとは、これがなかったらばれる所だったぞ)
賈クは開始早々に支給品を装備し使えそうな武将を探し徘徊していた。そのとき丁度、座り込んでいる張飛を見つけたのだった。
(あれは、蜀の…。奴の事だ、必ず義兄弟と合流するだろう。ならばその後をつけ、奴等の武器を奪い、あわよくば冥土に送ってやるとしよう)
そして賈クの張飛に対するストーキングが開始されたのだった。
(このゲーム、勝つのは劉備でも曹操でも孫家の者達でもない!この賈文和よ!)
@張飛【鉈】(後ろの気配に内心怯えています)
※幽州を目指します。現在荊州
@賈ク【光学迷彩スーツ】
※張飛のストーキングをします
- 152 名前:明日のために 1/5 投稿日:2006/07/14(金) 03:54:25
- 参加者名簿を見ながら、郭嘉は考える。
線を引かれているのは死亡者の名前。
魏の将が、多すぎるのだ。
特に夏侯姓が目立つ。
呼ばれた順番が近いから、洛陽を出た直後に広範囲を攻撃できる武器で狙われたのか?
夏侯氏に恨みがある者の仕業か、あるいは…裏切り?
夏侯姓を持つ生存者―夏侯惇、夏侯淵、夏侯覇―の名前をちらりと見る。
いや、夏侯一族とは限らない。同じ魏将であることを利用して、隙を突いて、一気に…。
北へ行く道すがら、魏の誰かから情報の一つでも頂ければ好都合。
そう思ってここ、陳留へとやってきたが考えが甘かったか?
「あれは…満寵殿?」
陳羣に言われて郭嘉もそちらを見る。
一人の男がうずくまっている。確かに満寵だ。
「満寵殿!」
満寵はひどく苦しみのたうち回っていた。あまりの苦しみように陳羣が駆け寄る。
「満寵殿、どうなさいました!満寵殿!!」
陳羣には、満寵が一瞬笑ったように見えた。
うれしそうに?
かなしそうに?
「伏せろ!!」
郭嘉が叫び、チーフスペシャルが火を吹く。
伏せる陳羣、跳び退く満寵。二人の間を銃弾が駆け抜ける。
満寵が郭嘉をぎらりとした瞳で見た。その手には刃。
- 153 名前:明日のために 2/5 投稿日:2006/07/14(金) 03:55:52
- 満寵は郭嘉に肉薄する。
「陳羣殿!」
郭嘉の叫びに陳羣は弾かれたように膝を突いて身体を起こしザックに手を突っ込む。
来るはずの閃光に備えて郭嘉は手を翳す。
が。
「馬鹿野郎!陳羣っ!!」
陳羣は、凍り付いていた。閃光弾を握りしめたまま。
―本当にいいのか、これを使ってしまって―
―取り返しのつかないことが起きるのでは―
―…まさ…たまさ…た…さ…たまさいたま―
「ぐ、はっ…!」
満寵の刃が閃き郭嘉の脇腹の肉を抉る。
郭嘉は銃を取り落とす。
瞬間、未来を見通すと言われた瞳と今はガラスのように虚ろな瞳が交差する。
「わあああああああああああああ!!」
一拍遅れて飛沫いた鮮血に、陳羣の恐怖に似た躊躇いも飛んだ。
絶叫。炸裂する閃光が両者の瞳の中くらくらと瞬く。
震える膝を叱咤して陳羣は郭嘉に駆け寄りその腕をひっ掴む。
光。熱を持つ傷。流れ出ていく命の滴。
自分の腕を掴む陳羣の手。
感じるのはただそれだけ。
…痛いな。そんなに強く掴まなくったっていいのに…
…何をするにも、容赦ないなこの人…
そんなことを思いながら、郭嘉は意識を手放した。
- 154 名前:明日のために 3/5 投稿日:2006/07/14(金) 03:57:17
- 「申し訳ありません…!」
何度も何度も謝る陳羣にいちいち返事をするのも面倒だった。
別にいいよ、と一度だけ言って、後は黙って思考を巡らせていた。
満寵の変貌も気になったが、陳羣の様子も同じくらい気になった。
確かに陳羣は中央で政に関わるのが仕事だった。自分ほど前線馴れはしていないだろう。
だが先程のあの様子は異様だった。
躊躇う、なんて可愛いものではなく、もっと本能に刻まれた禁忌のような―
自分の水を使って郭嘉の傷を浄め、袖を破り止血に使う。
名家に生まれたとはいえ決して豊かではなく、
徐州にいたころなどは特に苦労をしていた陳羣はこれらの手当を器用にこなしたが
それで罪悪感が晴れることはなかった。
「…すみません。申し訳ありません。私の責任です…!」
脇腹の傷は致命傷ではなさそうだが大分失血してしまったようだ。
また郭嘉は元来身体の強い方ではない。傷口から厄介な病を得てしまうかもしれない。
ひたすら謝り、郭嘉の顔色もいくらか落ち着いた頃、陳羣はぽつりと言った。
「…これは、貴方が持っていてくださいませんか」
郭嘉は片眉を微かに上げて陳羣を見た。
傷は左の脇腹だ。確かに右手で弾を投げる程度なら支障はない。
- 155 名前:明日のために 4/5 投稿日:2006/07/14(金) 03:58:29
- 「私が持っているのでは、またいざという時に貴方にご迷惑がかかるかも…」
「あんた、武器も持たずにどうやって生き延びるつもりだ」
鋭い口調で郭嘉が陳羣を遮った。
「どう、って…」
「あんたは生きてくつもりがあんのか」
「…………。」
「答えろ!」
陳羣は、答えられない。
「甘ったれんじゃねえ!!」
郭嘉の拳が陳羣の頬を打った。傷に痛みが走る。
脂汗が額に浮かんだが郭嘉は意地でも痛そうな顔はせずに立っている。
陳羣は目を見開いたまま、そんな郭嘉を見ている。
「生きてくつもりがないんなら、今俺がてめえを殺してやる!俺が生き延びるためにな!!」
郭嘉の手が陳羣の首に伸びた。そのまま絞める。
郭嘉は、本気だ。
「か、くっ…か…っ…!」
「確かに俺は死に損ないだよ。武器も無くしたしかなり血も流れちまったしな。
でも今のあんたよりは絶対に生き延びる自信がある!だってな俺は、俺は、」
陳羣は酸素を求めてもがく。
こうして首を絞められてみれば、陳羣もまた浅ましく生に縋っている。
血を吐くような郭嘉の叫び。
「俺は、生きていたい…!」
…生きて、いたかった。
郭嘉の手が離れた。
陳羣はまだ荒い呼吸を繰り返している。
- 156 名前:明日のために 5/5 投稿日:2006/07/14(金) 03:59:31
- 酷い頭痛と目眩の中、陳羣はようやく解ったような気がした。
自分は、どこかでもう諦めてはいなかったか。
どうせ、今回も(今回も?)生き延びることは出来まいと。
だけど、だけどやっぱり自分は、死にたくない。
…生きていたいのだ。
「…生き、ますよ」
精一杯に力を込めた眼差しで、陳羣も郭嘉を見返した。
「…生き延びてやりますよ、絶対に。
少なくとも…貴方よりは、長く」
郭嘉はにやりと笑う。
「上等」
陳羣も、笑い返した。
「ええ」
ザックから閃光弾を二つ出し、郭嘉に手渡す。
「半分だけ、持っていてください。
私が生き延びるためにね」
それを受け取った郭嘉は皮肉っぽく笑って、こう切り替えした。
「陳羣殿も、せいぜい仕事してくださいよ。
俺が生き延びるためにさ」
互いに明日を、生き抜くために。
<<不品行と品行方正/2名>>
郭嘉[左脇腹負傷、失血]【閃光弾×2】陳羣【閃光弾×2】
※郭嘉の銃は満寵に奪われました。
※幽州を目指します。
- 157 名前:希望は絶望の序曲 投稿日:2006/07/14(金) 04:02:21
- 銃を拾い上げた満寵は満足そうに笑い、それを懐に仕舞った。
まだ少し目が痛む。
郭嘉の血がまとわりついた刃。まだ温かい鮮血を振り払おうとして、取り落とす。
「う、ぐ…!」
胸を押さえる。頭を掻き毟る。
痛い。頭。割れる。ああ。
…があんがあんがあんがあんがあんがあん…
ころせ…
ころしあえ…
ちゅうじつなるしもべ…
「がああああああっ!」
満寵は激しくもがき、痙攣する。
何かを掴もうとする。だが何も掴めはしない。
彼はただ、待っている。
『…公明…』
幼い頃からの友。彼が、きっと来ると。
『…公明…来てくれ、
……公明……!』
彼はまだ知らない。徐晃がすでに散ったことを。それは、
かなしきことか、
さいわい か。
@満寵[洗脳されている?]【刺身包丁、S&W M60 チーフスペシャル 弾は4発】
※正気と狂気の間で徐晃を待っています。
※通りかかった人間にはすべて襲いかかります。現在地は陳留。
- 158 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/14(金) 13:03:45
- 彼は昨夜の死亡者の報告を思い出していた
───曹操は死んでいない?
確かに斬った筈である。手には人を斬った感触がまだ微かに残っている
という事は、誰か別の者を斬ったのか?
だが、そんな事はどうでもいい。憎き曹操が生きている
それは断じて許せない。必ずこの手で始末する
そう心に誓い、曹一族が集まるであろう[言焦]へ・・・
いや、待て、慌てるな。これは曹操の罠だ
夏侯姓の者が死にすぎている。これは[言焦]は危険だという意味だ
ならば曹操は故郷に戻ろう等と考える筈がない
という事は・・・許都か業βだな。魏が誇る大都市だからな
「まずは近い許都へ行ってみるか。だが危険な臭いがプンプンするぜ」
彼の直感は正しかった。しかし、曹操は一人ではない
更に許都は、袁術が神算鬼謀の限りを尽くした罠が、大量に仕掛けられているのだ
@徐庶[追跡者化]【斬鉄剣・首輪解体新書?】
※許都へ向かいました。現在地は宛なので時間はそう掛かりません
- 159 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/14(金) 13:38:24
- >>138のスルーは無効です。138の書き手さん。申し訳ない
- 160 名前:奇人と殺人マシーン 投稿日:2006/07/14(金) 15:30:43
- 「君の為に往くのだぞ」
そうだ。わしも君も互いの考えを理解していた。
あの少し分かってくれたような、心底驚いたような顔は今でもよく覚えている。
歳は離れていたがやはり君は良き友だった。
だからこそ、こんな世界で死んで欲しくない。
陳留入りした禰衡は向こうの方から物凄い閃光と音がしたと思ったら
「…ッ!?」
何も聞こえない、見えない。そんな状況が5秒間ほど続いた。
ようやく感覚が戻ってきたころには自分の前に何者かが立っているのが見えた。
目の前にいたのは―酒糟。いや、違う。満寵だった。
刺身包丁を逆手に握り締めて、ひどく息を荒げて、微笑んでいる。
「………殺…す」「…」
禰衡は立ち上がり、逃げなくてはと思ったものの、
「ころして、や…る…」
血の付着した刃がぎらりと光り、禰衡の方を向いていた。
必死にスコップを両手で振り上げ、満寵の頭に叩きつける。
ここで死ぬわけには、いかない……
@禰衡[満寵に狙われてる]【農業用スコップ】
@満寵[洗脳されている?]【刺身包丁、S&W M60 チーフスペシャル 弾は4発】
- 161 名前:悲劇の幕開け1/3 投稿日:2006/07/14(金) 15:51:13
- 「爺さんは此処で待ってろ、後で迎えに来る」
孫堅、華雄の記憶が正しければ、似たような事が再び起きる
多数の参加者が死んだあの悲劇が
絶好の狩場だが、危険すぎる。だから黄忠が連れて行けなかった
「良い事を教えてやる。ワシの力は関羽に匹敵する」
二人は、この老人の戯言を信じた訳ではない
だが、その目は『戦いに臨む者の目』であった
人を殺すことを喜びとする者の目、そんな目だ
「俺たちは爺さんを守りきれないかもしれぬ。それでもいいか?」
黄忠は微笑み返す。守ってもらうほど自分は弱くないと
- 162 名前:悲劇の幕開け2/3 投稿日:2006/07/14(金) 15:57:49
- 駆ける。光を放った地へ向かい、ただ駆ける
早く殺し合いに参加したい。3人はそれしか考えていなかった
「今回も不思議な力に誘われているのか?」と、
誰かの意思で、自分たちは動いている。そんな恐怖に駆られながら・・・
すでに戦いは始まっていた。だが興醒めだ
たかが文官と文官風の男が二人戦っているだけだ
助けを求められれば、そいつに加勢してもいい
たが、次なる獲物を待つのが先決だ
「強い男の気配を感じねぇか、文台?おもしろうそうだな」
「気を抜けば死ぬぞ。注意深く辺りを見回しておけ」
誰かが近づいている。強き男が・・・
他にも誰かが近づいてきてはいるが、自分たちには遠く及ばないだろう
「早くあの光のもとへ・・・」
閻行は激戦区へ向かっていた
孫堅、華雄を恐れさせるこの男は生き残れるのだろうか?
- 163 名前:悲劇の幕開け2/3 投稿日:2006/07/14(金) 16:00:16
- <<二本刀と錆びた刀/3名>>
@孫堅【七星宝刀】
※強そうな獲物が来るのを待ちます。強い男の気配を感じています
@華雄【吹毛剣】
※強そうな獲物が来るのを待ちます。強い男の気配を感じています
@黄忠【コンバットナイフ】
※満寵の銃を欲しがっています。弓を持った者が現れれば、そいつを狙います
@禰衡【農業用スコップ】
※満寵と交戦中?<<二本刀と錆びた刀>>には気づいています
@満寵[頭部負傷]【刺身包丁、S&W M60 チーフスペシャル 弾は4発】
※禰衡と交戦中?頭部から軽い出血有り
@閻行【???】
※何かに導かれるが如く、光のもとへ向かっています。
- 164 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/14(金) 16:01:07
- >>163のタイトルを悲劇の幕開け3/3に変更です
- 165 名前:導かれるがままに・・・ 投稿日:2006/07/14(金) 16:32:22
- 韓遂あれから、なんだかんだで韓玄と手を組んだ。
痴呆の進んだ老人で無能だが、弾除けくらいにはなるどうと考えたからだ。
できれば西涼へは行きたくない。
馬超と仲違いしたままの韓遂にとっては危険な地である。
とりあえず長荊南へ向かっていた。だがその途上で出会った。
閃光弾の輝きに。辺りを短い間、光が包む・・・
「なんだ、なんだ!?爆発でも起きたのか?」
韓玄は無事か?と、ふと思い彼の方を見る。
「ワシ、行かないと・・・行かないと・・・」
何かを呟き光の方へ歩み始めている。
「おい待て、俺も様子を見に行くぞ。」
二人も何かに導かれ悲劇の地へ移動を開始した。
<<お年寄り's/2名>>
@韓玄[痴呆が進んでます]【項王の剣】
@韓遂【袁術陛下写真集『はちみつ』(初回限定版)】
- 166 名前:この醜き世界 1/3 投稿日:2006/07/15(土) 01:40:45
- 頭に衝撃。星が飛ぶ。
不快な耳鳴りがキーン…と満寵の頭蓋の中を駆け巡る。
不思議に少年のころに帰ったような満寵。
純粋だから?殺意だけは?
『伯寧』
ころせ、ころせと騒がしいノイズの中、公明の声が聞こえた気がする。
「酒糟喰らいが。酔っておるのか」
命のやり取りの合間でさえ禰衡の口からは毒がこぼれる。
誰だ?これは。
…公明じゃない。じゃあ、いらない。
満寵の脳裏に背景のように目の前の垢じみた男の情報が浮かぶ。
禰衡。不愉快な男だった。
酒樽を叩けとかなんとか言われたらしい。
後は、そう、
確か犬殺しとか豚殺しとか言われた、そう、
公明が…。
公明が、殺しで、犬…豚だったかも…ころす…
殺す、殺すのは僕、…僕が、犬を殺す…。
…殺してやるよ。薄汚い畜生が!
満寵が、最期の砦にしていた意識。
…徐晃に再び会うまでは、絶対に自分の意識を失うまい…
それは姿を変えて、友情から執着に、親しみから同一化に不気味に歪む。
ギャリッギャギャギャギャギャ!
嫌な音に両者顔をしかめる。
満寵が振りかざした包丁を運良く禰衡のスコップが防いだ音。
それは本能的に不快な響き。相入れぬ、胸糞悪い互いの関係を現す全て。
- 167 名前:酒は飲むべし・・・ 投稿日:2006/07/15(土) 01:42:23
- 許昌近くの森の中、暗闇にもかかわらず独り酒を飲んでいる男が居た・・・
夏侯楙「あーあーあーあー、やってらんねえっつーの。
さっきの放送で、聞き覚えある名前がずらずら流れやがる。
どいつもこいつも、馬鹿みたいに踊らされるなって言うんだよ。
酒が切れたら困るな・・・ これを使って、仲間でも作るか。
酒は生涯の友、飲みあって腹を割れば、一人や二人は心託せるやつがいるだろうよ。
・・・いつまでこの仮面を被ってられるかねぇ。」
【夏侯楙、生存確認】
@夏侯楙 【越乃寒梅】
※一緒に飲みあって、信じ合える仲間を求めています。
また、腹に一物隠しているようです。
- 168 名前:この醜き世界 2/3 投稿日:2006/07/15(土) 01:42:43
- 禰衡の脇を狙って満寵の膝が入る。しかし顔をしかめたのは満寵。
…汚いんだよ!畜生!
嫌悪感。まるで自分の膝から腐ってしまいそうな。
地に転がった禰衡はそれでも不遜な態度を崩しはしない。
「…醜いな。見るに耐えん。
この世は本当に、醜いものだらけだ」
禰衡の腑を狙って満寵は逆刃に構えたまま躍りかかる。
「喰われろ、犬が!!」
身体を捻るが、かわしきれない。
肉が削がれた。それこそ犬だか豚だかのように。
だが禰衡の足も満寵の腹を捉えている。
蹴り捨てた。屑だからだ。
「蛆が人の言葉で騒ぐな」
スコップを支えに禰衡は立ち満寵はバランスを崩し倒れる。
その時だった。
「正平!」
息を切らせながらこちらへやって来るのは、彼が唯一認めた友。
この腐った世界を彷徨ったのも、ただ彼に会わんがため。
『伯寧!』
満寵は、その時確かに聞いた気がしたのだ。彼を呼ぶ声を。
見た気がしたのだ。徐晃がこちらへやってくるのを。
でも―。
「正平、ここにい―」
「…騙したな!!」
膝を突いた満寵は懐から銃を出し包丁を捨てた右手を添える。
…死んじゃえよ。
…死んじゃえよ。
…死んじゃえよ…!
- 169 名前:この醜き世界 3/3 投稿日:2006/07/15(土) 01:44:45
- 視界が赤く染まる。
泣けない満寵のために、頭の傷口から溢れた血がその乾いた瞳を慰めたのか。
邪魔。イライラする。
満寵の憎しみを乗せた弾丸が跳ぶ。
それは、まるで、孔融の身体に吸い込まれるように―…。
@禰衡[脇腹負傷]【農業用スコップ】
※満寵と交戦中。<<二本刀と錆びた刀>>には気づいています
@満寵[頭部負傷、流血により視界悪し]【S&W M60 チーフスペシャル 弾は3発】
※禰衡と交戦中。頭部から出血有り。
※孔融に発砲しました。
※刺身包丁は満寵のすぐ側に落ちています。
@孔融[?]【???】
※満寵の狙撃を受けました。負傷の程度は不明。
- 170 名前:項王の再来1/3 投稿日:2006/07/15(土) 09:57:54
- 「待て、おい、待てって言ってるだろ!」
糞!奴の何処にあんな体力があるんだよ
俺は西涼を駆け続けていたから、体力は結構ある
なのに俺はもう疲れて走れない
「もう勝手に行け!俺は此処で休んでるぞ」
少し休んだら迎えに行こう。どうせ逃げて何処かに隠れてるさ
そう呟きながら木にもたれ掛かり、息を整える
───銃声が聞こえた
この音に驚いて韓玄も慌てて戻ってくるだろう
そしたら長沙に行って語り合おう
- 171 名前:項王の再来2/3 投稿日:2006/07/15(土) 09:58:45
- ──血と闘争を我に。殺戮と強敵を我に与えよ!
幾度となく頭の中で繰り返される言葉
精神面でも弱い韓玄である。精神に異常をきたしていた
そう、この剣を手にしたときから繰り返されている言葉が
彼を狂わせてしまったのだ
「ワシ、韓・・・韓・・・信?裏切り者・・・鯨布・・・」
表に最強の男の意識が表れ始める
すでに韓玄の意識は剣に呑まれ、自分が誰かも分からない
「血と闘争を我に。殺戮と強敵を我に与えよ!」
激戦区へ足を踏み入れたとき、完全に韓玄の意識は消えた
表を支配するは、最強の武人・・・西楚の覇王・項羽!
宿敵・劉邦の子孫を討つべく、彼は最後の一人を目指す
- 172 名前:項王の再来3/3 投稿日:2006/07/15(土) 09:59:39
- @項羽(韓玄)【項王の剣】
※韓玄は項羽の意識に支配されましたが、体の支配は不完全です
@韓遂【袁術陛下写真集『はちみつ』(初回限定版)】
※韓玄が引き返すのを待っています
閻行etc・・・は、まだ到着していません
- 173 名前:反逆の狼煙 1/3 投稿日:2006/07/15(土) 16:38:35
- 「お前、何故それを扱える?」
木の根元に座り込んで探知機を弄っていた凌統は、唐突に声を掛けられて顔を上げた。
「え?」
「その探知機、正直取扱説明書なしですぐに扱えるものじゃないぞ。
嫌がらせみたいに人間の直感の逆をいく操作を要求しているから」
馬謖は懐から探知機に付属していた分厚い説明書を取り出し、ばっさばっさと振る。
お世辞にも操作が単純とは言えないその機械を、凌統は平然と使いこなしていた。
「だってこれ前にも使った事が―――」
……使った事がある?
さらりと言いかけて凌統は動きを止めた。
まさか。こんな非常識な装置、初めて見たはずだ。
「前にも使った事がある、のか? ……それはいつだ。思い出せ」
相変わらず威丈高な口調ではあるが、妙に真剣な目付きの馬謖に問われて凌統はうろたえた。
しばらく頭を抱えて唸ってみたが、全く思い出せない。
「……無理」
「そうか。まあ馬鹿そうだしな、お前」
「殴るぞ」
「図星だったと認めるということになるな」
「……!」
むっときて立ち上がった凌統の足元に、仔犬が目を覚まして擦り寄ってきた。
きゅうぅん、と「ケンカはやめて」と訴えるつぶらな瞳に毒気を抜かれて、凌統は再び座り込んだ。
仔犬は凌統のあぐらを組んだ足に陣取って、再び気持ち良さそうに眠りにつく。
「だけど、こいつらを見たとき、何か変な既視感は覚えたな」
仔犬の柔らかい毛を撫でながら、凌統は呟いた。
「なんか、姫様、孫尚香様に関係してたような気がしなくも無い。
あと誰かをやっつけたいと思ってたような気がするけど、誰だか思い出せない」
「そうか」
しばらく沈黙が続く。
- 174 名前:反逆の狼煙 2/3 投稿日:2006/07/15(土) 16:41:22
- 「凌統、このゲームとやら、どう思う」
「どうって……腹立つ?」
「そうだな。最後に残った1人は生き残るというのも怪しいものだ。
そもそも何のためにこんなことしてるんだと思わないか?」
「……思うかも」
「たしかあの献帝らしき奴は『生き残った優秀な将には首輪を外してあげて、この世の全てを与えましょう』
と言っていた。だがそうすると献帝はどこに行くんだ? そもそも優秀な人材が死に絶えた世なんて
何の面白味のないと思わないか。お前の友だった将たちも大概死んでるんだぞ」
「確かに……その通りだな」
「ここまで聞いた上で、お前このゲームに乗れるか?」
「乗らない。けど……」
「もちろん襲われたらやり返す。だけど乗ってない奴も案外多いはずだ。……そこでだ」
ふふん、と得意げに人差し指を立てた馬謖だが、そのまま凍りついたように動かなくなった。
「……おい? どうした?」
馬謖は青い顔で凌統の脇にしゃがみ込むと、探知機の画面の明かりを頼りに地面に字を書いた。
(今気が付いたんだが この会話 献帝らに盗聴されてるかも)
「なにー!?」
(声出すな 私の首輪 王允殿みたいになってないか)
「誰だそれ」
(献帝に逆らってはじめに爆発した)
「あぁあの可哀相な爺さんか! や、とりあえず大丈夫っぽいけど?」
はあぁ〜、と息をついて馬謖はへたれこんだ。
「お前偉そうな割にびびりだな」
「やかましい黙れ氏ね! ……それはともかくとしてだな」
馬謖は再び地面に文字を書き始めた。
- 175 名前:反逆の狼煙 3/3 投稿日:2006/07/15(土) 16:48:21
- (乗ってない信用できそうな奴を集めて献帝を襲撃する
人数は不明だがあちらは基本的に雑魚と見えた
武勇に優れた将が数人居れば勝機はある)
(どうやってだよ あの城周辺禁止エリアだぞ)
(それは後で考える 乗ってなさそうで信用できそうな奴は居るか)
「そうだなぁ……周瑜様、陸遜殿、呂蒙殿あたりかな」
「そうか。こちらはやはり孔明様だろうか」
「ちょっと軍師系に寄りすぎてないか? 武将も必要だろ」
「孔明様たちを慕う奴に期待しよう。頭使ったから疲れた、私は寝る。お前見張りしろ」
「じゃんけんとか無しかよ」
「五月蝿い、天才の私に逆らうな。おやすみ」
「おやすみっておいどんだけ強引なんだよお前……寝首掻くぞコラ」
地面の字を掻き消して溜息をつく凌統をよそに、夜は更けていく。
聞こえるのは馬謖と犬たちの寝息、遠くに低い鳥の声だけの平和な夜。
しかし別の場所では、今まさに殺し合いが行われているのだ……。
【陸遜 生存確認】
<<既視感を追う旅/2名>>
凌統【???、犬の母子】馬謖【探知機】
※主催者側に攻め込む事を企んでいます。まずは仲間集め
※とりあえず諸葛亮、周瑜、陸遜、呂蒙との合流を目指します
※しばらくしたら馬謖を叩き起こして、交代で休憩を取ります。探知機で近づく人間を察知可能
- 176 名前:汝、昇竜なりや? 投稿日:2006/07/15(土) 17:36:53
- さて、彼らが求める奇才・孔明は隆中にいた。
小高い岡。豊かな自然に溶け込むように、その草庵はある。
庵も、畑も、野の花さえも全てがそのままだった。
だから諸葛亮も、そのままだった。
畑を耕して作物の世話をし、野草を摘み、近くの清流から冷たい水を汲む。
まさに地に伏し、寄り添い、その恵みを素直に受けて眠る竜。
これが臥竜岡に暮らす諸葛亮の、あるがままの暮らしだった。
農作業の後の心地よい疲れに包まれながら、諸葛亮は鍬を傍らに立て掛け汗を拭った。
まずは清水を一杯。乾いた身体にとっては天上の甘露にも勝る。
よく働いた身体をゆっくりと横たえると、爽やかな風が今日の業を労ってくれる。
諸葛亮はしばしそれに甘えて目を閉じた。
瞼の裏に浮かんでいるのは、参加者名簿。
徐庶やホウ統の名前もあった。兄、諸葛瑾の名前も。
諸葛亮は幼き日々、兄と過ごした日々に思いを馳せる。
確か、兄が洛陽から帰ってきたのは両親が相次いで亡くなり途方に暮れていた頃だ。
それから始まったのだ。家族の長く苦しい旅路が。
叔父を頼って落ち延び、戦乱に巻き込まれ、ついにその叔父も失った。
あれほど辛かった日々はない。
兄は、今頃どうしているだろう。
- 177 名前:汝、昇竜なりや? 2/3 投稿日:2006/07/15(土) 17:38:57
- 「…絶対ろくな目にあってないな」
確信して頷く諸葛亮。
げに恐ろしきは伏していようとも竜の眼力か。
いや単に身を持って味わった経験。
や、だってあれ絶対兄貴のせいだろ。
兄貴が洛陽の学校から帰ってきてからうちは踏んだり蹴ったりだったんだし。
俺の十代兄貴の不幸癖のとばっちり喰らったようなもんだよ。
あー、もう絶対ぇ兄貴には巻き込まれたくねええぇ。
諸葛亮、心の叫び。
再び頭に浮かぶ参加者リスト、そしてあの『諸葛亮伝』。
『諸葛亮伝』の中によく出てくる名前もあった。基本的には蜀の人間。
特に劉備、姜維、馬謖、魏延あたり。
魏延なんかに至っては何でそんなに嫌っているのか
(多分)自分のことだというのに不思議だ。
まあ何となく、って理由でも人を嫌うことは出来るし。
蜀以外では、司馬懿。
名前くらいは知っている。“司馬の八達”の一人だ。どうも自分の好敵手らしい。
目の敵にされて付け回されたりしたらかったるいなあ。そんな感じ。
起きあがった諸葛亮は傍らの『諸葛亮伝』に手を伸ばす。
読める場所はあらかた読み、内容も大体頭に入っている。
だが異国の言葉がどうしても解らない。もう少し調べてみる必要がある。
- 178 名前:汝、昇竜なりや? 3/3 投稿日:2006/07/15(土) 17:40:26
- ずらずらと続く読めない頁の一番最後。
後半部分で唯一読めるその頁には、こう書かれている。
“…此に記されし総ては等しく虚構であり、真実である。
何を虚とし、何を実とするか、それは彼のものの自由なり。
彼のものが選びし刻、実は成り虚は失せるだろう。
…汝、昇竜なりや?”
「つまり、この中のどれを“俺”の未来にするかは俺次第、ってわけか…」
パラパラと頁をめくる諸葛亮。
「…これとか、これも、“俺”としてアリなのか…」
いくつかの挿絵を見ながら、諸葛亮曰く。
「…むむむ」
ちなみに、彼がまだ読めない章には、こんな表題もある。
『三国志 バトルロワイヤル』
@諸葛亮【諸葛亮伝(色んな諸葛亮が満載。諸葛亮と直接関係ない事柄については書かれていない)】
※隆中の自宅でスローライフ。
- 179 名前:八重にはためく忠の旗 投稿日:2006/07/15(土) 21:53:18
- 侯選「さて、このゲームに乗っちゃった訳だが・・・」
張横「退くことは許されないだろうな」
成宜「いざ我ら、進み行くのは、いずこへか」
楊秋「くよくよ考えたところでどうにもならんだろう」
梁興「そうそう、オレ達は勢いが行動理念だから」
程銀「考えよりもまず行動!」
李堪「よし、まずは生き残りと行くか!」
馬玩「我ら旗本八旗、大義のためにいざ戦わん!」
侯選「随分とでかいかなづちだな・・・」
そう思う侯選の手には、北欧神話に出てくる鎚、ミョルニルが握られていた。
程銀(・・・これ、なんなんだろう)
そう思う程銀の手には、リンスとシャンプーがしっかと握りしめられていた。
このメンバーには、あまり生存の期待をかけてはいけないのかも知れない・・・
【成宜、程銀、侯選、李堪、張横、楊秋、馬玩、梁興、生存確認】
≪旗本八旗/8名≫
成宜【鉈】&程銀【リンスとシャンプー・10本ずつ】&李堪【味の素】&張横【スタングレネード15個】&
侯選【ミョルニル】 &馬玩【スポーツ飲料1.5リットル】&楊秋【AK−47】&梁興【ボウガン (残り30発)】
- 180 名前:馬超1/2 投稿日:2006/07/15(土) 22:50:37
- 袁譚・袁煕・顔良・郭図・許攸・朱霊・淳于瓊・辛評の旧袁家勢力の8人は、
洛陽東門前で合流するや、曹一族への復讐を誓ってそのまま待ち伏せすることにした
が、曹操等を囲んで激戦を引き起こしたわりには、殺せたのは無関係の者だけであり、朱霊・淳于瓊は討死した。
二人を失った彼等は、ひとまず東へ向かうこととし、その途上の小屋の中で脚を休めた。
「次に曹操どもが向かう場所はどこであろう?」と、リーダー袁譚
「やはり許昌であると……曹操のみならず、曹操の武将参謀はここに集まると思われますが」と郭図
「いいや、曹操がそのようなわかりやすい場所に行くとは思えん。奴は自分が狙われる身だということを自覚しているはずだ」と許攸
「ならば旗揚げの地の陳留か……曹一族や曹操の古参なら、ここに集まる可能性は高い」と辛評
やがて次の目的地は陳留と決まった。が、いよいよここを出ようとした時、袁煕は入り口の戸が開いていることに気付いた。
(ちゃんと閉めたはずなのに……)
訝しんで戸に近づくと、突如戸の外から黒い球体が目の前に飛んできた。
その物体は袁煕に驚く暇も与えず、まばゆい光を放った。
- 181 名前:馬超2/2 投稿日:2006/07/15(土) 22:51:44
- 爆風に身を晒しながら、馬超は呟いていた。
「ここまでとは…」
馬超が投げた、こぶしより一回り大きい球体手榴弾。それは小屋を全壊させる威力を発揮した。
ピンを取り戸の中に投げるや、大きな爆発が引き起こされた。
馬超はある程度距離を取って投げたのにもかかわらず、爆風に身を倒すこととなった。
爆発の衝撃に、小屋の天上はたちまち崩れ落ちた。
崩れ、大きな音を立て破片を飛び散らせ、それは馬超の体にもいくらか襲ってきた。
壁は割れ、砕け、倒れ、柱は一本を覗きすべて根本から倒れ砕けた。
そうやってほとんど崩れた後も、まだ炎は残っていた。藁を焼き、木材を焼き、土を焼き、火の粉ははるか天へ昇っていく。
馬超はそれらの様子を、しばらく食い入るように見つめていた。
やがて炎が下火となると、馬超は民家の跡へと近づき、瓦礫をどかす作業を始めた。
当然まだ熱いが、猛将の厚い手の皮には耐えられる程度だった。
木や石をどかし、出てくる5人分の死体。焼けこげたものや、潰れて原型を留めていないもの、ばらばらに四散しているものもあった。
その死体と死体の荷物を集め、荷物の中身を点検した。
6つあったアイテムのうち、サブマシンガンとダガーを取り、自分のザックにいれる。
それ以外の物は取るに足らぬ物か、爆発で壊れた物だった。
「さて、と…」
馬超はふらふらと、行くあてもなくその場を去っていった。
死体の数とアイテムの数の不一致にも気付かずに
馬超【高威力手榴弾(残り7個)、MP5、ダガー】
※殺すか殺さないかは気分次第。行き先も気分次第。
顔良[?]【なし】
※運良く脱出できたようです。裴元昭を撃った羅刹の男はこいつです。行き先は陳留?
【袁譚 袁煕 郭図 許攸 辛評 死亡確認】
- 182 名前:とても文学的な出会い(1) 投稿日:2006/07/15(土) 23:10:25
- 腹が減った。とてつもなく腹が減っている。
所構わずぐうぐうとみっともない音を発している我が腹は、
あまりの空腹に背とくっついてしまいそうだ。
わけがわからぬまま奇怪な世界に放り込まれてしまってから
どれくらいの時間が経ったのか……。
幸いにもたいした危機にも遭遇せず、
それどころか寂しいことに殆ど誰とも巡り会うこともなく、
何の展望も持たずにてくてくとひたすら歩き続けて数時間……
疲れた。
程よいところに見つけた巨岩にもたれかかるようにして座り込む。
相変わらず腹はのんきに鳴り続け、しかし周囲に食べられそうなものはない。
ふと、小さな物体が転がってきた。
草深い大地に埋もれるようにして止まったそれを慌てて拾い上げる。
逸る心を押さえつけ、震える指先で全体を覆っている紙を剥がすと、
茶色の四角形がころんと手の平に落ちた。
*・゜゚・*:.。..。.:*・゜なんとも芳醇な香り゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
貪るようにして食べる。甘くて実に美味しかった。
やっと生き返った気がするヽ(´▽`)ノ
- 183 名前:とても文学的な出会い(2) 投稿日:2006/07/15(土) 23:11:05
- 「美味いだろう」
背後から聞こえた声に驚いて振り返ると、
そこには小さな穴があり、ひとりの男が顔を覗かせていた。
「ちろるちょこと言うものらしい。なかなかいけるぞ。もうひとつ食うか?」
今度は桃色のそれを差し出してくる。
「どうも」
御礼を言うと遠慮無く手を伸ばした。こちらもまたウマイ。
「俺、超腹減ってて、マジ死ぬ寸前でした。助かりました」
「なに、困っているときはお互い様だ。お主の腹があまりにもうるさくて
それで起きてしまったくらいだからな」
「うわ、やっべえ。すみません。そんなつもりはなかったんですけど」
この奇天烈なゲームが開始されて以来はじめて人と話していた。
半ば夢の中にでもいるような気持ちで歩き続けてきたのだが、
ここに来てやっと身体に現実感が戻ってくる。
「あの、俺、陸機っていいます。あなた誰ですか?」
「陸と言うと呉郡の陸氏か?」
「そうです。祖父が陸遜で、父が陸抗って言うんですが。知ってます?」
「知ってるもなにも、陸遜の高名は魏にも鳴り響いていたぞ。関羽を撃退した手腕は見事だった」
「魏? 魏の方ですか?」
陸機は未だ岩穴から出てこない男の顔をまじまじと眺めた。
小作りの顔は地味だが、その眼光にはどこか大物めいた鋭さが感じられる。
ただ者ではなさそうだが、一体誰なのだろう。
「曹操だ」
「は?」
「曹操、字は孟徳。お主の時代にはもう死んでいるだろうから知らんかな。
一応魏の基盤を作ったんだが」
- 184 名前:とても文学的な出会い(3) 投稿日:2006/07/15(土) 23:11:41
- しししししし知ってるも何もそそそそそそそ曹操ってあの曹操!???
うわwwwテラスゴスwwwww
「すげぇ!」
陸機の叫び声に曹操は驚いて少し飛び上がった。
「曹操って! まじ? ほんもの? いろいろ読みましたよ。
あなたが注釈した孫子も読みました。詩も……
あ、俺も詩をやるんですが、かなり感銘受けました。
歩出夏門行が好きです。
〜〜老驥櫪に伏するも 志は千里に在り〜〜 いい詩だよなあ」
怒涛の告白に目を丸くしていた曹操だったが、次の瞬間彼は相好を崩して笑った。
「ははは、そこまで言われると照れくさいわ」
「握手してください」
「握手くらいいくらでもしようぞ!」
ふたりは腕をぶんぶん振り回してひたすら握手をした。
「ところで陸機よ。お主はどんな詩を詠むのだ?」
「作風は貴方の息子の曹子建殿に似てると言われてました」
「それは華やかでさぞかし優れた詩であったのだろうな。
ほれ、ちろるちょこはまだいるか?」
「ください」
新旧ふたりの詩人はちろるちょこを肴に心ゆくまで文学について語り合った。
それはこの殺伐とした状況にはまるでそぐわない、どこか優雅ささえ感じる光景だった。
≪ふたりの詩人/2名≫
曹操【チロルチョコ(残り92個)】
陸機【液体ムヒ】
- 185 名前:妖刀と名門1/3 投稿日:2006/07/15(土) 23:12:57
- 第一回放送の始まる少し前、袁紹は今後の方針について考えていた。
「…とりあえず、顔良や文醜達わが配下、それに孟徳やその配下なら、顔見知りを探すために、河北に向かう可能性が高い。ならば私は仲間を探すために河北一帯を周る事にするか」
そう言うと袁紹は洛陽にある、先ほど自分が出てきた城を見据える。
「…見ていろ、劉協。この袁紹本初が貴様に引導を渡してくれる!」
城を見据え、袁紹は啖呵を切る。
「む、いかんいかん、支給品の確認を忘れていた。」
そう言って、いそいそと自分の鞄を漁る。さっきまでの決めのシーンが台無しである。
「これが私の支給品か…あまり見ない剣だな」
そう言って袁紹は鞄から一振りの刀を持ち出し、鞘を抜いた。刀身が、鈍く、妖しい光を放つ。
「おお、これは何とも美しい刀身だ。まさにこの私の為にあるような剣ではないか…」
その刀が放つ光に魅入られる袁紹。
『殺せ』
「ん?」
どこからか声が聞こえる。
『俺を使って殺せ』
「…この剣が喋っているのか?」
袁紹には何故だかそう感じられた。
「いや、剣が喋るなど…」
『あんたの頭の中に語りかけてるのさ』
「ぎょぇぇぇぇぇ!」
刀からの返事にその場に刀を放り投げあとずさる。
『おいおい、こんな所で大声だしたら参加者に見つかるぜ?』
笑い混じりで聞こえてくる忠告に、袁紹は、内心怯えながらも正気に戻る。
「し、しまった。この私とした事が…!!」
『はっはっは、今頃、血に飢えた参加者がお前を探しているかもしれねぇなぁ』
それを聞いて袁紹は顔面蒼白になり、おろおろしはじめる。
『助かりたいか?』
その言葉に袁紹は反応した。この時、もしこの刀に表情があったとすれば悪魔の笑みを浮かべていただろう。
『お前が助かる方法は唯一つ。俺を手に、参加者を全て切り捨てていけばいい』
その発言に袁紹が異論を上げる
「全てだと?だが、ここには孟徳や私の配下が…」
『そいつらが乗ってないって保障はできるのか』
- 186 名前:妖刀と名門2/3 投稿日:2006/07/15(土) 23:16:00
- その言葉に袁紹は言いよどむ。
『こんな異常な世界だ。忠実な部下だって、生き残るためにあんたを狙ってるかもしれないぜ?』
その言葉に言い返せないのか袁紹は黙り込む。
『この狂った世界じゃ信じられるのは自分一人だけだぜ?だからさ、あんたもこのゲームに乗ればいいのさ。それこそが、あんたの助かる唯一にして絶対の方法さ』
袁紹は黙ったまま俯いている。もう少しでこいつは堕ちるだろう。そう思い刀はほくそ笑む。
『さぁ、俺を使って目に映る者全てを殺していこうじゃないか、俺と共に血煙の中、修羅となり生き延びよう。その後、ついでに主催者も切り捨てればいい』
「…お前の言いたい事はわかった」
俯いたまま袁紹が答える。堕ちた。刀は勝ち誇る。
「だが断る」
俯いていた袁紹の顔が上がる、そこには狂気の欠片も感じられない、強い意志の光が宿っている。
『なっ!?』
予想外の反応に刀が驚愕する
「ふん、大方そう言って、動揺した私を殺戮の道具しようと画策していたのだろう」
図星をつかれ、刀は黙り込む。
「この私を舐めるな道具風情が!この袁紹本初、道具に使われる気などさらさらないわ!貴様は私の道具だ!故に貴様は私のやる事に従う他ないわ!」
そう啖呵を切る袁紹に刀はしばし沈黙した。
『ふっ、ははは、はははははは!』
その沈黙を破り刀が笑い声を上げる。
- 187 名前:妖刀と名門3/3 投稿日:2006/07/15(土) 23:16:54
- 『気に入ったぜ!過去俺に取り付かれて俺の道具になる奴はごまんといたが、あんたみたいに道具にならず、あまつさえ俺を道具として使おうとする奴なんざぁ初めてだ!いいだろう。俺はこのゲーム、あんたと共にあろう!』
「ふん、わかればよいのだ」
刀の服従宣言に胸を張り答える袁紹。
『これからよろしく頼むぜ旦那』
「そういえば、貴様の名前を聞いてなかったな。何と申す?」
『俺の名か?俺の名は…村正だ。よろしくたのむぜ旦那』
こうして、過去幾人の参加者の心を乗っ取り殺戮者へと変貌させた妖刀は、主催者打倒を志す一人の男に心酔し、服従した。
@袁紹【妖刀村正】
※河北一帯を捜索し仲間を集めます
- 188 名前:ぬいぐるみと私 投稿日:2006/07/16(日) 00:11:24
- 夜も更けた中華の地で、陸遜は一人たそがれていた。
膝の上には獅子を模したぬいぐるみ。
別に彼の趣味というわけではない。それが彼への支給品だっただけである。
(妻なら喜ぶでしょうけど……、これで一体どうやって戦えというのか)
年の離れた妹のような幼な妻の笑顔を思い浮かべると、少しだけ心は慰められたが。
『レオ様』と名までつけられていたそのぬいぐるみは、何故かぬいぐるみの割にずっしり重い。
『こまったときにはレオ様ゴー! ってさけんでね!』と可愛らしい字で手紙が添えてあった。
叫んだ所でぬいぐるみがどうにかしてくれるわけもあるまい、と陸遜は溜息をつく。
すっかりやる気を失って、自暴自棄気味に歌を口ずさんだ。
おっやすみなさいとフクロウ啼くから〜
静かな湖畔の森の陰〜♪ かげ〜かげ〜かげっかげっかげ〜♪
@陸遜【レオ様(ぬいぐるみ)】
※やる気がありません
※丞相を捜せ!の比較的近くに居ます。>>128の後に戦闘が起こった場合、巻き込まれる可能性があります。
「蠢く人影」とは別物です
- 189 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/16(日) 00:35:14
- >>179
大変お手数ではありますが、旗本八旗の装備を以下のように変更したいと思います。
ご迷惑をおかけします。
≪旗本八旗/8名≫
成宜【ジャベリン】&程銀【付け髭】&李堪【味の素】&張横【クロロホルム】&
侯選【ミョルニル】 &馬玩【スポーツ飲料1.5リットル】&楊秋【AK−47】&梁興【投げナイフ20本】
- 190 名前:不思議の国の陳宮 投稿日:2006/07/16(日) 00:35:37
- 陳宮は、新しいお洋服がそれは素晴らしかったので、すてきな気分で歩いていました。
陳宮がはずむと、新しいお洋服も一緒にはずんでご機嫌です。
真っ暗な夜でも、陳宮はまるでうさぎさんのように元気です。
だってお空のまるいお月様だって、陳宮の新しいお洋服をいいな、いいなと見ているのですから。
そんなすてきな夜にぴったりな、楽しいお歌が聞こえてきます。
おっやすみなさいとフクロウ啼くから〜
静かな湖畔の森の陰〜♪ かげ〜かげ〜かげっかげっかげ〜♪
いったい誰が歌っているのでしょう?
不思議に思った陳宮がそうっと覗いて見てみると、
まあ、なんて可愛らしいぬいぐるみ!
なんて、やる気なさげな大都督!
@陳宮【ゴスロリドレスセット(黒いワンピース、白いペチコート、コルセット、ヘッドドレス、ネックレス)】
@陸遜【レオ様(ぬいぐるみ)】
※メルヘンな感じに遭遇しました。
※蠢く人影ではありません。
- 191 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/16(日) 01:29:50
- ふらふらふらふらふらふら
おぼつかない足取りで、夏侯楙は歩き続ける
夏侯楙「・・・とりあえず、森を出るかぁ。
こんな辛気くさいところにいたら根性まで腐っちまう。」
こうして、危険地帯へと足を進めるものが一人・・・
@夏侯楙 【越乃寒梅】
※森を出て、許昌都市部への移動を開始しました。
- 192 名前:袁劉1/2 投稿日:2006/07/16(日) 04:59:21
- 袁尚は冀州の林道を歩いていた。
彼は夜になるまでギョウ(鄴)にて父・袁紹を待ち続けていた。
しかし袁紹はギョウに来なかったのかいても気がつかなかったのか、父には会えなかった
父の居場所がわからない彼には、もうもはや頼るべき人間はいない。
袁尚はギョウを離れると、ふらふらと南へ歩き出した。
どこに行くかなど決めていない。だが、自分と袁家が没落していった華北の地にはいたくなかった。
林道に入ると、小太りの男がすでに前方を歩いていた。、
やたらキョロキョロと辺りを見回し、落ち着きがない。その脚取りは重く、ふらついていて、今にも倒れそうだ。
(ま、俺には関係ねえな)
袁尚は男から見えなくなるように、林の奥深くに入ろうとした。が、その前に男と視線があってしまった。
男は最初信じられないような驚きの目つきでこっちを見つめていた。
袁尚は慌てて視線をそらし、急いでこの場を離れようとしたが、男はそれより速く袁尚の方へ駆け走ってきた。
さっきまでふらついていたのが嘘のよう、男はあらん限りの猛スピードを出し迫ってきた。
「ま、待て! 俺は―――」
「助けてくださぁああい!!」
「……は?」
やがて男の小太りな体が袁尚に衝突し、袁尚は劉禅は袁尚が下敷きになる形で地に倒れた。
「ほんと助けてください! 困ってるんです!」
「うるせーよ!! まず俺の体からどけ!」
- 193 名前:袁劉2/2 投稿日:2006/07/16(日) 05:00:14
- 少し経ち、袁尚は男の身の上を聞くことになった。
男はどうやら、前世で恨みを持たれた輩に追いかけ回されたあげく、この林道に迷い込んだらしい。
道もわからず、その輩もこの林道にいるらしく、ビクビクしていたそうだ。
だから俺を道案内に、さっさとこの林を脱出したいのだそうだ。
最初は袁尚も苛立って相手にしなかったが、なおも劉禅が腰を低くしながらせがんでくると、
袁尚は自分が父に寵愛され誰もが自分にへりくだっていた時を思い出していた。
(思えばあの頃が一番幸せだったな………)
父が死んでからというもの、自分の人生は真っ逆さまに落ちていったのだ。
狡猾な曹操、馬鹿な兄、裏切る味方………
領地をすべて奪われ、極寒の烏丸の地に亡命し、果てには遼東まで行き、そこで騙し討ちにあった屈辱と生の終焉。
地獄よりも辛い、自分から全てが奪われていった日々。誰もが自分を見捨て、最後には味方していた兄にも軽蔑のまなざしを受けた。
もう一度、一からやり直せるなら。何度そう思ったことか。
そこまで思考が進んだとき、袁尚はハッとした。
この世の中なら……殺戮ゲームを名乗るこの世の中なら
また俺は帰り咲けるかもしれない。
それは優勝という方法ではない。たとえ俺が優勝しても、まだ上に帝がいる。帝がいる限り、おれの命は握られてるも同然だ。
仲間を集め、帝は倒さなければならない。そして俺が新たな帝になって、曹操にも兄にも、誰にも文句を言わせない存在になるのだ。
ならば眼中にいるこの男にも利用価値はあろう。
「お前、名前は?」
「ち……わ、私は劉禅、字は公嗣です」
「いいだろう劉禅、俺についてこい。その代わり、お前は生涯俺に服従するのだ!」
≪お坊ちゃんズ/2名≫
袁尚【モーニングスター】 劉禅【バナナ3本】
※林を抜け仲間を集めるようです。
劉ェ【諸葛弩】
※劉禅を狙ってます
- 194 名前:その虚ろを満たすものは 1/2 投稿日:2006/07/16(日) 09:17:02
- 「公達にも困ったものですね」
もう少しもの分かりが良いと思っていたのですが。
まあ、良いでしょう。
もし直接私に手を下せる機会があっても、あの様子ではきっと躊躇うでしょう。
その時に殺してしまっても良いし、可能ならばこちらから狙撃してもいい。
やはり、文官は危険です。
武官を血に狂わせるのは簡単だ。
だがそれなりに頭の良い連中は単純にゲームに乗ったりはしないし
ゲームの裏であるとか真意だとか、余計なことを気にし過ぎる。
仮に乗ったとしても、直接的な戦闘力はあまりない。
せめて、派手に踊ってもらわなければ。
ただでさえ、今回は乗り気でない者が多すぎるようであるのに。
何かシステムに狂いがあったのか?
危機感のない、暢気な的を二つ見つけたので狙撃の練習台にすることにした。
とくにそのうちの一人は皇帝を名乗った逆臣の血族だ。
粛正せねばなるまい。
突然の灼熱に孫策は何をする暇もなかった。
弾丸は右目を貫き、脳に達している。致命傷だった。
弾が命中した箇所も、その弾の射手も
弟のそれと同じであったがそれを知る術は彼にはない。
鉛玉が孫策の脳をかき乱し、
丁度かつての死にざまと同じように狂乱の中を彼は堕ちる。
- 195 名前:その虚ろを満たすものは 2/2 投稿日:2006/07/16(日) 09:21:41
- 「うおあぁああぅうぁああ!!!」
痛みと狂気に暴れる孫策。文醜がようやく現状を把握したのは、その頃だった。
「こんばんわ。よい月夜ですね」
暗がりの中から、荀イクは涼やかな声でそう挨拶した。
孫策の狂乱と荀イクの不気味な冷静さが奏でる不協和音。
「だ、ど、だっ…誰だ!!」
上擦った声で叫ぶ文醜。BGMは孫策の叫び。
「お、俺の武器は火を噴くんだぞ!!」
ふふ、と唇だけで荀イクは微笑む。
「どうぞ」
まるで客人に茶でも勧めるような口調だった。
「殺さなければ」
構える。
「あなたが死にますよ」
文醜が初めて知った冷たい、絶対の恐怖。
文醜は何事かを喚きながら背を向けて駆け出した。
荀イクの唇からこぼれたのは、憂いのため息。
「…使えませんね」
引き金を引く。
一発目で体勢を崩し、二発目で弾み、三発目で動かなくなった。
出来の悪い玩具のように痙攣を繰り返しながら孫策が逝ったのも、その時だった。
こんなところも気の合う二人だったようだ。
荀イクは空っぽなのだ。
あの時からずっと。
私を満たしてくれるのは、ただ陛下の御言葉だけなのだ。
【孫策 死亡確認】
【文醜 死亡確認】
@荀イク[洗脳されている?]【ガリルAR(ワイヤーカッターと栓抜きつきのアサルトライフル)】
※アイテムは放置。許昌へ
- 196 名前:見えない恐怖 1/4 投稿日:2006/07/16(日) 10:25:50
- 暗闇の中で微かに動く人影を木陰から見つめる4つの瞳。そのうち2つの瞳は、陰の姿が朧にしか見えていない。
その影は、長柄の武器と、持ち手のある細長いもの(おそらく献帝の護衛が持っていた『銃』というものと同種の
ものだろう)を持っている。
「……馬岱どの(註1)、見えますか?」
闇に視界を遮られている2つの瞳の持ち主――姜維が問う。
「んー、ちょっと待ってな、今確認するから……」
残り2つの瞳――馬岱は木陰から身を乗り出し、人影の横顔を良く観察する。50m程離れているようだ。
馬岱の瞳が一瞬大きく見開かれ、そして止まる。軽く歯の根が震える音。汗が額と背中に伝うのを感じる。
「おい……」
ぎりっ。歯噛みする音が不快に響く。もし周囲が明るかったら、その苦々しい表情も見えた筈だ。
「オレは、あいつはてっきり漢中に向かったモンだと思ってたがな……」
語尾に力が無い。
「え……それはその、まさか」
「そのまさかだ。畜生、ひょっとしてオレ達を追ってきたんじゃないだろうなッ!?」
その台詞が終わるか終わらないかの辺りで、影は振り向いた。
瞳と刃と銃身が、月明かりを受けて煌いた。
こちらに、気付いた。そして、唇だけで笑った――
気付かれた! いや、ずっと気付いていたのかも知れない。だが、姜維と馬岱はそのことについて思案する時間を
与えられなかった。影は銃を構えたまま、一気に距離を詰めながら立て続けに3発、発砲してきた。
1発目は届かない。2発目は明後日の方向に散る。3発目は射線上の別の木を穿つ。
そして――僅かの間を空けて放たれた4発目は正にふたりが隠れていた木の裏側に突き刺さる。
舌打ちして木を回り込んで来る影は、最早姜維の目にもその姿が顕になる程の至近に在った。
「魏延どの……」
とうとう銃口に捉えられた姜維の声は、上ずっていた。
(註1:前回何を間違えたか呼び捨てで書いてしまったので訂正しておきます……orzナニヤッテンダオレ)
- 197 名前:四面楚歌1/3 投稿日:2006/07/16(日) 10:26:22
- 目の前に突然現れた男、韓玄
そして、その男から感じる強い気
「御二方、ワシはあの男に恨みがある。任せてはくれぬか?」
何も言わず、孫堅は己が剣を渡す
信頼しているからではない。ナイフで戦うのは無謀だからだ
黄忠は七星宝刀を構え、韓玄と対峙する
まず動いたのは韓玄。相手を一刀両断にすべく垂直に剣を振り下ろすが
体がついてこなかった。簡単に防がれる
「韓玄どの、一撃必殺の剣とはこうするものですぞ」
唯強力な斬撃を黄忠は繰り出す
───楚歌だ・・・楚歌が聞こえる・・・
その刹那、韓玄の体は血に染まった
意識の支配を拒んだ韓玄の抵抗なのか
記憶が一時蘇ったのかは分からない
だが、致命傷であるのには違いなかった
「これまでか、止めを刺せ・・・」
韓玄は剣を投げ捨て、首を出す。その途端、強い気は消え失せた
それを不思議に思いながらも、剣を一閃させる
- 198 名前:四面楚歌2/3 投稿日:2006/07/16(日) 10:27:12
- 「不思議な男でしたな」
確かに不思議だった。韓玄でありながら韓玄ではない
そんな感じがした
だが、戦いは終わっていない
いや、始まってすらいなかったのだ
「何奴!」
華雄が叫ぶ。振り返れば、韓玄の遺刀を手に持った男がいた
その男の名は閻行。数秒前までは・・・
「先程の男とは違い、何とも使い易い」
今、最強の男が立ち上がった
- 199 名前:四面楚歌3/3 投稿日:2006/07/16(日) 10:27:44
- <<二本刀と錆びた刀/3名>>
@孫堅【七星宝刀】
※混乱中
@華雄【吹毛剣】
※混乱中
@黄忠【サバイバルナイフ】
※混乱中
@項羽(閻行)【項王の剣】
※同調率50%の
- 200 名前:見えない恐怖 2/4 投稿日:2006/07/16(日) 10:30:05
- 5発目は――
姜維は目を閉じた。覚悟、という言葉を強く意識する。心臓が耳元にあるかの如くに、己の鼓動を強く聴いた。
かつて過ごした時間の、様々な記憶が交錯する。その中で一際不快な記憶。
何か、異形の物が、私の身体を喰らい、赤くて、黒くて、
侵蝕して、私は融けて、取り込まれて、
……いや、こんな体験はなかった、なかった、はず――
かちっ。
5発目は、放たれなかった。
銃の機構が薬莢を伴わずに火花を散らす――空撃ちの音が響く。
その無機質な音に我に返った姜維はある事実にに気付く。そしてその身を翻す。
(……弾切れ……! この機を逃したら我々に後はありません!)
明瞭な視界を以って状況を把握した馬岱は、駆けた。
一方の魏延も銃が空になったことを悟り、一緒に支給された予備の弾の存在を思い出すが、真横から馬岱の体当たりを受けた為、
再装填は断念して白兵戦に切り替えることにしたようだ。
横転しながらも、斧とも槍ともつかない得物を構える。体勢を立て直し、今度は突進した為に倒れこんでいた馬岱に躍り掛かるが、
倒れたまま地を転がりかわす。刃は勢いを減らすことなく、方向のみを変えて襲い掛かり、姜維の鼻先を掠る。
――追い込まれている。現状、正直銃撃戦よりはマシだが、獲物が無い以上不利は覆せそうも無い。
“一か八か”、という言葉が、姜維の思考の扉を叩く。
次に魏延が得物を構え直したとき、姜維は鞄の中の円柱を握り、全力で投げた。
そちらの方にいる、と言う認識だけで、当てずっぽうで投げた。怯めばいい方だと思っていた。
魏延は目の前に飛んで来たそれを、反射的に長柄で薙いだ。
鋼とかち合った硝子の瓶は砕け、その内に湛えていた液体を飛散させた。辺りに異臭が漂う。
「ぐっ……ぐおおおおぉぉ……」
- 201 名前:見えない恐怖 3/4 投稿日:2006/07/16(日) 10:32:12
- 液体を顔と右腕に浴びた魏延が、突如その巨躯を折る。
「お、おのれ……何を……」
魏延が液体を浴びた顔と右腕を押さえて酷く苦しんでいる。見れば、皮膚に火脹れが出来、一部は削げて肉が露出している。
(……火傷? 少なくともこれは熱湯ではなかった筈……。 私はこんな大打撃を与えるつもりは――)
手にしていた得物も、液体を受けた箇所が薄く溶解している。
「何をしたッ……おのれ、おのれ……姜維ッ……!」
むしろ驚いたのは姜維の方だ。あれは、あの液体は、一体何だったのだ!?
あらゆる可能性が脳裏を巡る最中、身体が宙に浮いた。馬岱に抱えられたのだ。そのまま跳躍、疾走する。
魏延はなおも何かを呟きながら、よろよろとこの場を離れようとしている。とにかく、この顔と手を、
得体の知れない変な水を、どうにかしなくては。水場を捜さなくては。
既に姜維たちに対しては追いかける事よりも後で報復する事を考えている。
痛い。痛いのだ。顔が、腕が、焼ける様に痛むのだ――
暫く進んだ所で、裸眼でお互いの姿が目視出来ない距離を開けられただろうと判断し、馬岱は姜維を地に降ろす。
少し奥まった茂みに並んで座る。馬岱は全力疾走で、姜維は緊張で、息が弾んでいる。
何処からともなく歌声が聞こえるが(>>188)、今は直接害を為さない物を調べに行く気はなかった。
深いため息をひとつ。今回の件について、姜維は幾許か思案してみた。
どうも魏延どのは我々を追って――いや、現れた方向からすると、一度漢中まで行ってから戻って来たものと考えるのが
妥当なようです。ということは、我々が北寄りに進路を取っていた――図らずしてですが――ということを存じていた?
つまり、大勢を把握している何者かが情報を流している?
いや、だとしたら、馬岱どのの持ち物も把握しているでしょうから、夜間戦闘を挑んでくるのは不自然です。
ということは、1)不完全な情報しか持っていない物が流した 2)故意に不完全な情報の伝え方をした
と、考えられますね。でも、もしそうだったとして、何者が――
そこまで考えて、姜維はふと、もう一つ気になる事を思い出した。
記憶の走馬灯に挟まっていた、奇妙な記憶。あれは、何だったのか。
- 202 名前:見えない恐怖 4/4 投稿日:2006/07/16(日) 10:35:48
- 何か、異形の物が、私の身体を喰らい、赤くて、黒くて、侵蝕して、私は融けて、取り込まれて――
そこで、“私”は“死んだ”のでしょうか……?
軽く身震いする。そんな可笑しな体験などありえない。
そこで傍の馬岱に情報の流布について問うてみたところ、彼も似た様な事を感じていた。但し、情報以外の何か、
例えば武器や道具――も流れているかも知れない、という追加の見解付きだ。確かに。同意の意味で頷く。
「ときに、馬岱どの」「ん?」
鋭い夜の風を浴びながら、ひとつずっと引っかかっていたことをぶつけてみる。
「あなたが何故、私を捜し追って来たのか――いえ、前に「誰かと合流しないと」というのは聞きましたが、
どうして私なのでしょうか、と思いまして」
極僅かだが、馬岱の表情に影が落ちる。
「アニキがさ、何か乗り気っぽかったんだよな」(→>>181に至る)
重い声で呟くように答えると、その表情は姜維に伝播した。が、
「そうですか…………ありがとう」
「……へ?」
脈絡の無い礼に、まるで出会って声を掛けた時の姜維のような表情になる。
「いえ、こんな状況で、私を信じてくれた事、にです」
「はは……それはオレも。何の疑いもなく付き合ってくれてありがとうな」
ふたり揃って相好が崩れる。状況の凄惨さに似つかわしくない優しい笑いが漏れる。
――こんな感じだったからこの晩姜維は、結局あの奇妙な記憶の話を馬岱にし損ねたのだ。
<<丞相を捜せ!/2名>>
@姜維【なし】(いつぞやの記憶がある?)
@馬岱【赤外線ゴーグル】
※夜が明けるまで現在地点に駐留するようです。陳宮・陸遜・司馬懿とはおそらく未だニアミス状態です。
(なお、小瓶の中身は濃硝酸だった模様)
@魏延[右腕・顔面右側に火傷]【ハルバード(少し融けています)、M37ショットガン】
※この場を離れました(今は水を探しています)。傷をどうにかしたら漢中に戻るつもりのようです。もちろん復讐する気満々です。
- 203 名前:ワシ、韓玄だったんだけど 投稿日:2006/07/16(日) 14:22:00
- ワシ、韓玄だけど。
…我は項羽…
いや、ワシ韓玄だけど?
…血と闘争を我に…
わ、ワシ、韓玄なんだけどっ?!
…殺戮と強敵を我に与えよ…!
うひょー?!
あ、あ、あれは黄忠!
こ、黄忠、助けて、ワシ…
【韓玄 死亡確認】
※<<お年寄り's>>解散。韓遂はピンユニット化。
- 204 名前:董衡&董超&…? 1/3 投稿日:2006/07/16(日) 20:00:17
- 俺の名は董超。月の下でしか生きる事ができない男
(そして俺の名は董衡。太陽の下でしか生きる事ができない男)
さて、夜になりようやく揚州に着いたところで、俺は気付いた。
そもそもこのゲームに仙人・医者はいるのか?
(仙人つったら左慈に于吉、医者っつったら華陀やその弟子だろう?)
そうそうそいつら、参加者リスト参加者リストっと。
え〜っと、于禁、閻行……夏侯覇、華雄……黄忠、蔡文姫……
……………なんたることだ……………
俺達が入れたのが奇跡なような壮絶の顔ぶれの中に医者や仙人は存在していなかった!
(于吉も華陀も左慈もいねー! どうするよ兄弟)
どうするったって、どうしよもないだろ!
「動くな!」
背後から突然声が聞こえた。まるで脳髄まで響いてくるような、堂々たる音響だ。
首の背にチクリ、と冷たい感触があった。どうやら俺は刃物を当てられているようだ。
「自分の素性を明かし、荷物を地面に置け」
(ど、どうするよ兄弟!)
どうするったって、従うしかないだろ…
「俺は元魏将の董超だ。ゲームに乗る気もねえし、ただちょっと訳ありで仙人や医者を探してただけだ。
荷物も下ろすから、その刃どけてくれよ……」
といいつつ、おれはこっそり偽造トカレフを抜き取って服に隠しつつ、ザックを地面に置いた。
実際には使えねえが、脅しには使えるだろう。
「…………抜き取ったもんも置け」
ばれた。
- 205 名前:董衡&董超&…? 2/3 投稿日:2006/07/16(日) 20:01:57
- (ばっかやろう、お前のせいでますます相手の不信感が上がったじゃねえか!)
うるせーよ! ちっくしょう、前世といい今生といい、俺の人生報われねぇ……
「さっさと置け!」
「あいあい、わぁーったよ。ほれ、これでもう何もねえよ!」
偽造トレカフを地面に落とすと、相手はなお首の刃を当てつつ足で荷物を引き寄せた。
はあ、これで俺の人生も…
(ついでに俺の人生も…)
と、首に当てられていた冷たい感覚が不意になくなった。
「いいだろう。どこへでも行くがいい」
「へ? 殺さねえの?」
「だったら最初にお前の首を斬っている」
……まあ、そりゃそうか。
俺はそのまま数歩歩いて、後ろに振り返った。自分から荷物を奪った男を、一目でも見ないと気が済まない。
その男は長刀を持った大丈夫だった。胴長短足であったが、その広い体からはただならぬ威圧感がにじみ出ている。
顔は千切った布で右目を多い隠しており、もう片方は見たこともない青い眼をしていた。その角張ったアゴから、赤紫色の髭が生えている。
なんかどこかで……
(なんかどこかで………)
俺達が気が抜けたように男を見ていると、男が大きな口を開いて問いかけてきた。
「なんだ? なにか言いたいことでも?」
男は柔らかな微笑を浮かべ、その宝玉のような瞳で見つめてきた。
高貴で、優雅で、神聖ですらあるその表情に、俺は戸惑いを覚えたが、同時にその正体がわかった。
- 206 名前:董衡&董超&…? 3/3 投稿日:2006/07/16(日) 20:03:43
- 「あんた、江東の隻眼児、揚州の孫権だろう?」
(え、孫権!?)
「ふむ……」
男は腕を組み、すこし考える素振りを見せた。
「たしかに私は孫権だが、なぜわかった?」
「その碧眼紫髯と高貴な相は中原にも有名だぞ。でも、隻眼とは聞いてねえな」
隻眼、と聞いて孫権の表情にやや影がささる。なにかあったのだろうか? が、その影はすぐに取り払われた。
「で、まだ私に何かあるのか?」
「あんたが孫権とわかれば、ちょっと聞きたいことがあんだ。」
(え!? 何かあんの!?)
ばっかやろう。孫権といえば計略に長け知識もある。俺達を元に戻す方法も知ってるかもしんねぇだろ。
「まず俺の身の上を話そう。俺は実は、2人なんだが………」
董衡のこと、玉手箱の事、そして自分たちが二心同体であること、医者か仙人を探していることを話し、そのうえで孫権の見解を聞いた。
「で、この董衡って馬鹿と速く分離したいんですが、なにか知ってることとかは……」
(馬鹿はねえだろ! 俺一応上司だぞ!)
うるせーよ。こんな世界に上司も糞もあるか。
「それはにわかに信じがたいが……もとよりこの世界が異常だからな」
孫権はしばらく顔をしかめ、
「私は解決法は知らんが、医者を探していると言ったな」
「まあ、医者に診て貰えばなにかわかるかな……と」
「医者というわけじゃあないが、医術や易に詳しく、大変博学な者が私の臣下にいる。
奴はひねくれてはいたが、忠義は深かった。きっとこの揚州にも来るはずだ」
と、孫権は憂愁のような、後悔のような、そんな表情を浮かべ、北の方へと向いた。
「えっと、じゃあ、ここで待っててもいいですか?」
「………荷物は渡さんぞ」
【虞翻 生存確認】
董衡&董超[二心同体(朝昼夕方は董衡、夜は董超が活動)]【なし】
孫権[右目失明]【防弾チョッキ・日本刀・空き箱・偽造トカレフ】
※現在地は揚州。組んだわけではありませんが、一緒に虞翻(孫権は他呉臣も)を待ちます。
- 207 名前:1/2 投稿日:2006/07/16(日) 23:02:46
- 「ハァ…、ハァ…」
宛の道を走る一人の男の影がある。
「くそ、…なんて運がない。まさか、いきなり攻撃されるとは…」
その影の主、曹植は自分の運の無さを嘆いている。彼の右腕からは血が流れている。
少し前の話である。
「僕みたいな文官がなんでこんな殺し合いに参加する羽目に…」
そんな事を言いながら曹植は自分の兄、曹彰を探していた。洛陽に集められていた時、確かに曹彰は入り口で待っていると、言っていた。
だが、曹植が入り口に向かった時、そこには誰もいなく、微量の血痕が点々と続いていた。不安に駆られた曹植はその血の跡を追ったのだが、それは森に入った途端、忽然と消えていた。
それからは行く宛もなく、助けてくれそうな仲間と、兄を探してふらふらしていた。
「彰兄、無事だといいけど…」
そんなことを呟いたその時、
「ぐわーっはっは!!! ほれ、踊れい!!!」
どこからかそんな傲慢そうな声がした瞬間、曹植の腕に熱い痛みが走る。
「グゥッ!な、なんだ!?」
何が起きたかを確認する前に、体は自然とその場から離れるために逃げていた。
「ハァッ、ハァッ、いったいなんなんだよ!」
悪態をつきながら後ろを見る、どうやら追ってくる気はなさそうだ。
「くそ、何で僕が狙われるんだ…何で…」
だが、まだ安心はできない。そう考え、悪態をつきながら、走り続けた。そして現在にいたる。
あたりは夕闇が空を覆うとしている。と、そのとき、第一回の放送が流れた。
- 208 名前:2/2 投稿日:2006/07/16(日) 23:03:49
- 「楽進殿…それに夏侯の皆も…」
知った人物の名があがり落胆する曹植、だが、自分の家族はまだあがっていないことに、少しほっとした。
「彰兄も丕兄も幹の奴もまだ生きてるみたいだ。父さんも無事だ。だけど…」
だけどまだ、安心はできない。歴戦の勇将、楽進でさえ、あっけなく死んでしまったのだから。
「悪来殿や虎痴殿が守ってくれていればいいが…」
洛陽の城内で二人の姿を確認していた曹植は家族が彼等と会っている事を願った。
「って、僕自身の心配もしなきゃ駄目じゃないか」
夕闇から完全に夜へと変わった中、文官が怪我をして歩いているのだからどうぞ襲ってくださいと言っているような物だ。
「とりあえず、どこか身を隠せる場所を…」
身を隠すように森の中へと入りどこか身を隠し休息する場所を探そうとする曹植、しかし彼は気づいていなかった。彼を尾行している影がある事を…
その影の主の名は孟獲と祝融、彼等は気づかれないように曹植の後をつけていく。その真意は、まだわからない。
【許褚:生存確認】【曹彰:生存確認】
@曹植【???】(右腕負傷)
@孟獲【???】(曹植を追跡中、真意は不明)
@祝融【???】(同情)
- 209 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/17(月) 02:09:02
- 楊阜は冀城のある部屋で寝そべっていた。
敵が来ないとも限らなかったが、休む時に休んでおかないと先に進めない。
成果は周到な準備の下に成り立つというのがこの男のポリシーだ。
楊阜、字は義山。
ややマイナーな将といえる彼だが、馬超の第二次反乱を妙計をもって撃退し、また晩年の造営狂いと化した曹叡に諫言をしたほどの気骨の士である。
「別にたいしたことないんですがね」
武器は当たりのようだが、油断はできない。しっかりと策を立てて戦に臨もう。
城内をくまなく探索すると、ボロの縄を発見した。
一見役に立たないようなものでも、拾っておけば役に立つかもしれない。
「曹操様、元気でしょうか・・・」
彼が知る中でもっとも偉大な男。
この狂った世界で、曹操ならばまた共に戦いたいと思う。
「馬超には気をつけないといけませんね。私は彼の家族を皆殺しにしていますから」
勿論同じことを馬超もやっているのだが。
月は山の陰に沈み、もうすぐ夜が明けそうであった。
@楊阜【M16A1アサルトライフル(M203グレネードランチャー付、榴弾10発)、ロープ】
※冀城で寝てます。
- 210 名前:特別参加者1/2 投稿日:2006/07/17(月) 02:22:01
- 「阿会喃の顔は赤いなん」
「曹熊がそういう」
「赤い軟膏」
「そう、ユーと余だ!」
親睦を深めながら阿会喃と曹熊は南蛮へ進む
頼れる仲間を得る為に
だが、伝説の剣を持つ男を仲間にした今、
南蛮へ行くのは無駄かもしれない。そんな気もする
そして無駄な行動は、損へと繋がる
ガサガサ・・・ガサガサ・・・
ガオォォォォ!
虎だ、虎が現れた!張虎だ!
「いやぁね、陛下が100人じゃ少ないからって参加させられたんですよ」
彼は自分が参加させられた経緯を語り始めた
・・・知恵遅れの言葉を要約するとこうである
陛下の100人じゃ少ないかな?発言→側近が気を利かして少し参加者を増やした
と言う訳らしい
張虎たち後期参加者にとっては迷惑な話である
- 211 名前:特別参加者2/2 投稿日:2006/07/17(月) 02:23:42
- 再び、阿会喃と曹熊は南蛮へ向かう。張虎も一緒だ
頼れる仲間を得た今、最南端ともいうべき地へ行く意味は特にない
強いて言えば、チキン南蛮が食べたい
それだけである
生存確認:張虎
<<阿会喃動物園/3名>>
@阿会喃【DEATH NOTE(残り9ページ)】
※3人一緒に白帝城で休息中。目指すは南蛮
@曹熊[鬱病]【エクスカリパー】
※なんかやる気しません。禁句は「が ん ば れ」
@張虎[軽い熱射病]【大般老長光】
※なんか意識が朦朧と・・・。でも休んだら治りそうです
- 212 名前:月夜の魔魅(1/4) 投稿日:2006/07/17(月) 02:36:03
- 空を指して伸びる竹の間に真円の月が見える。
それを仰ぎ見ようと身動ぎした沓の下、枯れた葉がかさりと乾いた音を立てた。
「ふむ……」
宛の外れ。鄙びた民家が遠目に見える竹林に佇み、その音を分析するように目を細める美丈夫一人。
周瑜である。
「ここならばよいだろうか」
とひとりごちると、ザックを開け支給品を取り出した。
彼の支給品はカラクリ箱である。説明には楽器だと書いてあるが、爪弾くべき弦も叩くべき鍵盤も見当たらない。
楽に明るい周瑜はこの奇妙な"楽器"に興味を覚えたが、奈何せんこの状態である。曹一族を一網打尽にしようと
張っているらしい連中から身を守るために迂回路を取り、安心して楽に興じることができる時間帯と場所を探っていたのだ。
(とはいえ、未だ洛陽から大して離れてはいない。予断は―――許されないな)
とも考えたが好奇心は猫をも殺す。添付されていた説明書きを月明かりを頼りに読みつつ、操作してみることにした。
「しかし楽器に触れずに操作せよ、とは面妖なものだ。この棒の周囲の波紋を手で繰れば良いようだが…」
音量を最小にしつつ、耳に親しんだ音階を探す。
ここは『音を間違えると周郎が振り向く』と後世に伝される彼のこと、たちまちその電子楽器を使いこなせるまでになった。
こうなってくると楽の一曲でも奏でたくなるのは人の性というものだろうか。このときの周瑜も例外ではない。
竹林の真ん中に腰をおろすと背筋を伸ばし、すうと竹林の空気を肺に満たすと弦のない竪琴を爪弾き始めた。
- 213 名前:月夜の魔魅(2/4) 投稿日:2006/07/17(月) 02:36:48
- ――――こんな夜更け、闇と風の中に馬を走らせるのは誰だろう。
それは父と子だ。父はおびえる子をひしと抱きかかえている。
父 「息子よ、なぜ顔を隠すのだ」
子 「とうさまには魔王がみえないの。かんむりをかぶって、長いころもをきている…」
父 「あれはたなびく霧だ…」
魔王「かわいい坊や、一緒においで。面白い遊びをしよう。岸辺にはきれいな花が咲いているし、
金の服を私の母さんがたくさん用意して待っているよ。」
子 「とうさま!とうさま!きこえないの。魔王がぼくになにかいうよ。」
父 「落ち着きなさい、枯葉が風にざわめいているだけだよ。」
魔王「いい子だ、私と一緒に行こう。私の娘たちがもてなすよ。お前をここちよくゆすぶり、踊り、歌うのだ。」
子 「とうさま!とうさま!みえないの、あのくらいところに魔王のむすめが!」
父 「見えるよ。だが、あれは古いしだれ柳の幹だよ。」
魔王「愛しているよ、坊や。お前の美しい姿がたまらない。力づくでもつれてゆく!」
子 「とうさま、とうさま!魔王がぼくをつかまえる!魔王がぼくをひどい目にあわせる!」
父親はぎょっとして、馬を全力で走らせた。あえぐ子供を両腕に抱え、やっとの思いで館に着いた…
腕に抱えられた子はすでに――――
- 214 名前:月夜の魔魅(3/4) 投稿日:2006/07/17(月) 02:37:28
- そんな夢を見て目が醒めた。
曹丕は頭をひとつ振ると夜風に冷えた手を額に当てる。
気を確かにもたねば。傍らで眠る幼い弟の妨げになってはならない。
右肩の傷は熱を持っているようで、そのじくじくした痛みから自分が眠ってしまうことはあるまいと思っていたが、
ここまでの疲労はそれをも上回るか。このざまでは寝ずの番にならぬな、と自らを笑った。
―――しかし厭な夢を見た。曹丕はうたたねの間に見た夢を回想する。
確かにここまで何者かに追われ、結果として自分が怪我をすることになった。
しかし曹幹は自分の子ではないし、このゲームが始まって以降自分は馬になど乗っていない。
そして何より、その夢のおわり。あの結末は…
―――再び、頭を振る。
単なる夢だ。そんなものに不安を掻きたてられるなど、自分もやきが回ったか。
失血のせいか傷の持つ熱のせいか。それとも、月夜の魔魅の奏でる楽にでも踊らされたか。
窓越しに見える真円の月は、曹丕の膝を枕にして寝入ってしまった曹幹の幼い寝顔を静かに照らしていた。
そして竹林からも民家からも見えない森の中。
鳥の声とも虫の声とも違うその音色に気づいた祝融は、先を行く夫にそっと耳打ちした。
- 215 名前:月夜の魔魅(4/4) 投稿日:2006/07/17(月) 02:38:05
- @周瑜【テルミン】
※演奏後立ち去りました。演目はシューベルト『魔王』
<<パパじゃないよお兄ちゃんだよ/2名>>
曹丕[右肩負傷・手当て不完全、寝ずの番中。疲労によりウトウト]【スコーピオン(残弾19発)】
&曹幹[睡眠中]【白い鳩】
※宛の民家にて休息中。明かりは点けていません。休んだら許昌へ向かうつもり。
※曹丕の傷はきちんと手当てをしないと悪化していきそうです。
※周瑜の演奏が聞こえる範囲にいます。
<<後追う南蛮夫婦/2名>>
孟獲【???】
&祝融【???】
※曹植を追跡中(意図は未判明)に周瑜の演奏に遠耳ながら気づきました。
(@曹植【???】[右腕負傷]は夫婦の尾行に気づいていません。付近にいますが演奏に気づいたかどうかは不明)
- 216 名前:▼生存者リスト パーティーの部(参加者非公開)▼ 投稿日:2006/07/17(月) 03:59:13
- <<パパじゃないよお兄ちゃんだよ/2名>>
曹丕[右肩負傷・手当て不完全、疲労]【スコーピオン(残弾19発)】曹幹【白い鳩】
<<親子の面影+α/4名>>
劉封【李典棍】蔡文姫【ボウガン・矢×20】劉備【胡椒一缶】ホウ統【ワイヤーギミック搭載手袋】
<<不品行と品行方正/2名>>
郭嘉[左脇腹負傷、失血]【閃光弾×2】陳羣【閃光弾×2】
<<孟徳捜索隊/2名>>
曹仁【かみそり、双剣(やや刃こぼれ)】曹洪【ゴム風船、斧】
<<既視感を追う旅/2名>>
凌統【???、犬の母子】馬謖【探知機】
<<孤篤と廖淳と元譲/3人>>
馬忠【グロック17】廖化【鎖鎌】夏侯惇【金属バット】
<<しばてん/2名>>
貂蝉【オルゴール・救急箱】司馬孚[左腕銃創・疲労・腰痛]【吹き矢(矢10本)】
<<二本刀と錆びた刀/3名>>
孫堅【七星宝刀】華雄【吹毛剣】黄忠【サバイバルナイフ】
<<憎まれっ子世にはばかる/2名>>
董卓【FN−P90】李儒[動き鈍い]【RPG−7(弾頭8発)】
- 217 名前:▼生存者リスト パーティーの部(参加者非公開)▼ 投稿日:2006/07/17(月) 04:00:08
- <<劉璋一味/3名>>
劉璋【銃(種類不明)】張任【????】王累【????】
<<子義マンセー/2名>>
太史慈【ジョジョの奇妙な冒険全巻】李典【SPAS12】
<<決意胸に秘め/2名>>
典韋【煙幕弾×4】荀攸【デリンジャー】
<<阿会喃動物園/3名>>
阿会喃【DEATH NOTE(あと9ページ)】曹熊[鬱病]【エクスカリパー】張虎[軽い熱射病]【大般老長光】
<<ふたりの詩人/2名>>
曹操【チロルチョコ(残り92個)】陸機【液体ムヒ】
<<旗本八旗/8名>>
成宜【ジャベリン】程銀【付け髭】李堪【味の素】張横【クロロホルム】
侯選【ミョルニル】馬玩【スポーツ飲料1.5リットル】楊秋【AK−47】梁興【投げナイフ20本】
<<お坊ちゃんズ/2名>>
袁尚【モーニングスター】劉禅【バナナ3本】
<<丞相を捜せ!/2名>>
姜維【なし】(いつぞやの記憶がある?)馬岱【赤外線ゴーグル】
<<後追う南蛮夫婦/2名>>
孟獲【???】祝融【???】
- 218 名前:▼生存者リスト ピンユニットの部(参加者非公開)▼ 投稿日:2006/07/17(月) 04:00:40
- @于禁【AK47カラシニコフ】
@魏延[右腕・顔面右側に火傷]【ハルバード(少し融けています)、M37ショットガン】
@禰衡[脇腹負傷]【農業用スコップ】
@董衡&董超[二心同体(朝昼夕方は董衡、夜は董超が活動)]【なし】
@沮授[軽いめまい]【手榴弾×3】
@呂布【関羽の青龍偃月刀】
@孫権[右目負傷・失明]【防弾チョッキ、日本刀、偽造トカレフ、空き箱】
@夏侯覇【ドラグノフ・スナイパーライフル】
@司馬懿【シャムシール・ロープ】
@裴元紹【ナース服】
@甘寧【シグ・ザウエルP228、天叢雲剣】
@諸葛亮【諸葛亮伝(色んな諸葛亮が満載。諸葛亮と直接関係ない事柄については書かれていない)】
@張繍【山刀】
@荀イク[洗脳されている?]【ガリルAR(ワイヤーカッターと栓抜きつきのアサルトライフル)】
@張コウ【竹刀】
@張角【???】
@袁紹【妖刀村正】
@呂蒙【捻り鉢巻】
@魯粛【圧切長谷部】
@周瑜【テルミン】
@徐庶[追跡者化]【斬鉄剣・首輪解体新書?】
@孟達[右腕切断、精神錯乱状態]【スナイパーライフル】
@韓遂【袁術陛下写真集『はちみつ』(初回限定版)】
@高順【狼牙棍】
@陳宮【ゴスロリドレスセット(黒いワンピース、白いペチコート、コルセット、ヘッドドレス、ネックレス、香水)】
@陳到【ガン鬼の銃(陰陽弾×50)】
@朱桓[顔面ぼこぼこ]【鋼鉄の剣、スタン・グレネード×4、携帯型地雷×5】
@諸葛瑾[大混乱している]【なし】
@関羽【方天画戟】
- 219 名前:▼生存者リスト ピンユニットの部(参加者非公開)▼ 投稿日:2006/07/17(月) 04:01:33
- @張飛【鉈】
@楊儀[疲労困憊、熟睡、体はまともに動かせません]【MDウォークマン】
@夏侯淵【ベレッタM92F、弓と矢、トンプソンM1A1、発煙手榴弾】
@関興[軽傷]【ラッキーストライク(煙草)、ジッポライター】
@袁術【日本号】
@潘璋【備前長船】
@田疇【広辞苑】
@胡車児【トランシーバーA1】
@張燕【トランシーバーA2】
@孫尚香【シャンプー(結構入ってます)】
@趙雲[女体化]【メイク道具一式】
@張遼【????】
@賈ク【光学迷彩スーツ】
@夏侯楙【越乃寒梅】
@満寵[頭部負傷、流血により視界悪し]【S&W M60 チーフスペシャル 弾は3発】
@孔融[?]【???】
@韓遂【袁術陛下写真集『はちみつ』(初回限定版)】
@陸遜【レオ様(ぬいぐるみ)】
@馬超【高威力手榴弾(残り7個)、MP5、ダガー】
@顔良[?]【なし】
@劉ェ【諸葛弩】
@虞翻【????】
@許チョ【????】
@曹彰【????】
@曹植[右腕負傷]【???】
@項羽(閻行)【項王の剣】
@楊阜【M16A1アサルトライフル(M203グレネードランチャー付、榴弾10発)、ロープ】
パーティーの部18組48名、ピンユニット55名を生存確認。計93名を生存確認。
- 220 名前:▼死亡者放送(参加者公開)▼ 投稿日:2006/07/17(月) 04:03:25
- ≪あ行≫3名(+2)
王平、☆袁煕、☆袁譚
≪か行≫9名(+3)
郭シ巳、楽進、☆郭図、夏侯威、夏侯和、夏侯恵、☆韓玄、☆許攸、刑道栄
≪さ行≫6名(+3)
周泰、朱然、淳于瓊、☆徐晃、☆辛評、☆孫策
≪た行≫1名(+0)
程普
≪は行≫1名(+1)
☆文醜
≪ら行≫1名(+0)
呂範
計21人が死亡。
■既出登場武将数:114名 残り93名
夜明けを前にして、再びあの放送が中華を流れる。
「陛下はお休みのため代理で私が放送を務めさせていただきます」
宦官のような甲高い声で、献帝代理は淡々と死亡者の名を読み上げていく。
「陛下は『思ったほど死ななくて朕はつまらない』と仰っていました。陛下を退屈させないよう、諸将は張り切って殺しあうように」
そう言い残して放送は途絶える。
バトルロワイヤル、二日目の開始であった。
- 221 名前:新たなる力 1/2 投稿日:2006/07/17(月) 13:40:35
- その放送を聞いたときの太史慈の慟哭はどれほどのものだっただろう。
(伯符様…!!)
魂と魂が共鳴するような出会いだった。
だが、共に夢を見れた時間のなんと短かったことか。
再び出会えたかもしれないこの場所でまであのお方は儚く散るのか。
天命の何と残酷なことか!
「…堪えずともよいでしょう、太史慈殿」
李典は静かに言った。
自らの全てを捧げてもいい。そう思った主君を亡くしたならば。
「男子でも許されると思う…泣くことを」
その言葉が引き金になったかのように、太史慈の瞳から熱い涙がこぼれ落ちる。
「…すまぬ。すまない…!」
太史慈は詫びながら咽び泣いた。
彼が詫びているのは李典に対してなのか、
それとも馳せ参じることの叶わなかった主君に対してなのだろうか?
「見苦しい所を見せたな」
照れくさそうに笑う太史慈に李典も微笑み返した。
太史慈が今感じている喪失感は、
自分が楽進を、そして今徐晃を亡くした時に感じたそれと似ているのだろうが
その深さは多分比べものにならないのだろう。
なんと声をかけたら良いのか解らず、
また気の利いた言葉を言えない自分に苛立ちも感じた。
- 222 名前:新たなる力 2/2 投稿日:2006/07/17(月) 13:41:45
- 「…その、貴公に支給された絵巻はどんな話なのです?」
唐突な話題だったが、李典が気遣ってくれているというその事実が温かかった。
「読んでみるか?」
言われた李典は苦笑する。
「貴公のように学があるわけではありませんから」
「俺だって、若い頃に少々かじったくらいだぞ?」
「何を仰る!」
李典は目を丸くする。
「我が魏軍の誇る智者でも、
異国の絵巻をそのようにすらすら読める者などおりませんでしたよ」
言われて初めて、太史慈はハッとする。
確かに支給品についてのメモ書き(李典にも見せたものだ)は彼らの知る言語だが
この絵巻は太史慈の知らない言語で書かれている。
だが太史慈はその内容を完全に理解できる。これはまさか…
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
「…これが、俺のスタンドなのか…?」
「すたんど?それは何です?」
「スタンドというのはだな、…むぅ…」
何と説明すればいいのだろう。太史慈は頭を抱えるのであった。
<<子義マンセー/2名>>
太史慈[スタンド使い]【ジョジョの奇妙な冒険全巻】李典【SPAS12】
※太史慈は全ての言語を理解できるスタンド能力(名称募集中)を得ています。
ですが理解した内容を翻訳して他者に伝えるのは困難なようです。
- 223 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/17(月) 16:19:31
- 男の悲鳴で目が覚めた。なんとも嫌な一日の始まり方だ。
恐らく、朕の仕掛けた罠に誰かが掛かったのだろう。
袁術陛下は衣服を整え、朝食の準備を始める。
今日のメニューはサンドイッチとミルク、デザートにヨーグルトだ。
片仮名が多いのを除けば文句の付け所がないメニューだろう。
食事中に何度か聞く悲鳴、実に不愉快であった。
その悲鳴の原因は自分である事が、更に不愉快にさせる。
「ごちそうさまでした。さて、侵入者ぶっ殺す!」
袁術陛下は許都にしかけた全ての罠を発動させた後、
寿春を目指し移動を開始した。
───数時間後、許都は灰塵と化す。
@袁術【二本号】
※寿春に向かいました
@徐庶[軽い火傷・軽い打撲・極度の疲労]【斬鉄剣・首輪解体新書?】
※散々な目にあってます。許都の何処かで火災発生
- 224 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/17(月) 16:55:51
- もう日の光が差し始め、辺りはほのかに明るくなっていく。それでもまだ、夜と言える暗さだ。
沮授は木立が並ぶ丘の上、ただぼんやりと大樹の元で休んでいた。
「殿、私は………」
沮授は普段めったに言わない独り言を、途切れ途切れ呟き始めた。
「私は…あなたのご子息を…お二人も………見殺しに………してしまいました……
私が…東門を出た時…そこには曹操がいて……それに袁譚様と袁煕様もいて……
互いに……争っていました……それぞれ…味方とともに……
わたしは……怖かったのです……本来なら…命を捨ててでも…ご子息をお助けするべきだった……
はずなのに……逃げて……しまいました…ただ…北へと…争いを…避けて…ひとり生き延び…
そのせいかもしれません……いや…そのせいでしょう……お二人が……
先程の……放送に……お二人の……名前が……………」
なおも呟く沮授の顔には、およそ生気という物がまるで欠けていた。
顔を青くし、目線は下を向きつつゆらゆらと動き、それでいて何も見えていなかった。
かすかに開けた口を、かすかに動かし、自分以外に聞き取れない低く小さい声を発しているようは
病的としか捉えようがない。
不意に、そばに足音がした。
沮授はそれに気付いたが、ただ変わらず座っていた。
自分が死のうが、死ぬまいが、どうでもいい。いやむしろ、殺してほしい。
足音は近づき、やがて沮授の目の前で止まる。沮授の目線からは、服の上からでもわかる逞しい足下が見えた。
「なんだ、お前は?」
男の声がが問いかけてきた。さほど低くも太くもないが、威圧的な雰囲気を持っている。誰だろうか、いや、誰でもいいか。
「答えないのか?」
沮授は答えない。目線も下を向きっぱなしである。やがて男は興味をなくしたのか、その場を去っていった。
「殿……私は……罪深くも……また……生き延びて……しまいました……」
やがて辺りは光が満ちていき、小鳥は歌うように鳴き始める。
朝が始まったのだな、と沮授は思った。
@沮授[鬱]【手榴弾×3】
※現在地は并州のどこか。誰かが動かさない限り、ここを動かないようです。餓死するかも。
@馬超【高威力手榴弾×7個、MP5、ダガー】
※殺すか殺さないかは気分次第。行き先も気分次第。
- 225 名前:1/2 投稿日:2006/07/17(月) 20:43:03
- 「そりゃぁぁぁ!」
「くッ」
一方こちらは、照明弾が打ち上げられる直前の陳留。
「おのれ…往生際が悪いぞ…!」
「…ハァハァ…何度も言うが、私と貴殿は面識が無いはず!恨まれる覚えはない!」
「洒落臭いわ!!」
ヒュン!
再び刀が田疇に襲いかかる。
辛うじて避ける田疇。
潘璋は重い日本刀を振り回し、肩で息をしていた。
だが、その斬撃は次第に正確さを増していっている。
田疇にも切り傷やかすり傷が目立つようになった。
(…このままでは斬られる。かといってこんな本じゃ話にならん)
こちらも疲労してきている。おそらく、遠からず一刀両断にされるだろう。
その時、背後で強烈な光を浴びた。思わず振り向いてしまったが、それがまずかった。
「しまっ…!」
眼がくらみ視界が奪われる。
彼が生きていた当時では考えられない光で、どこか禍々しいものを連想した。
後ろから地を蹴る音が聞こえた。
これまでか。聴力は奪われてなかったので、次に来るであろう斬撃と死を覚悟した―。
- 226 名前:2/2 投稿日:2006/07/17(月) 20:44:19
- ―しかし、死神は田疇を冥府へは連れて行かなかった。
視力が回復する頃を待って、恐る恐る薄目を明けると、 潘璋は何事かを呟き、光の方を見ていた。
(…??)
なぜそんな事をしているかはわからなかったが、逃げるために少しずつ距離を取ろうとした、その時―。
田疇にもっきりと聞き取れる声で彼はこう言った。
「誰かが…俺を必要としている…もう…護るべき者を…失うわけにはいかない…」
彼は、言うが早いが光の元へ駆けだしていた。
後に一人残された田疇。
逃げるなら絶好の機会。だが―。
放っておけない。かつての自分自身と似ている者は。放っておきたくなかった。
「ふぅ…私のお人好しにも程があるなぁ」
とため息を一つつき、彼は潘璋を追いかけた。
@潘璋【備前長船】
※閃光弾の光で何かを思い出した様子。 満寵達の元へ。
@田疇【広辞苑】
※潘璋を追いかけます。
- 227 名前:9Zf[oek 投稿日:2006/07/17(月) 21:51:57
- 夏侯楙「負けないこと投げ出さないこと逃げ出さないこと信じ抜くこと!
駄目になりそうなとき、それが一番大事!
負けないこと投げ出さないこと逃げ出さないこと信じ抜くこと!
涙見せてもいいよ! それを忘れなければ!
くはーっ、皆に聞かせてやりたいぜぇー!!
いいねぇ、いいねぇ、酒は長寿快楽の友だねぇ!」
(さぁ、来い、これだけ餌がわめいて居るぞ?
殺すも自由、生かすも自由、だが、この舌はそう簡単には・・・)
ぽーっぽっぽー ぽーっぽっぽー
その頃、夏侯楙の上空を絹色の鳩が飛んでいた。
そう、<<パパじゃないよお兄ちゃんだよ>>の曹幹の鳩であった。
もはや人間にも相手にされない夏侯楙、まだその歩みは留まるところを知らなかった・・・
@夏侯楙【越乃寒梅】
※大声で歌いながら許昌都市部へ移動を続けます。
- 228 名前:議論スレより連絡 投稿日:2006/07/17(月) 22:54:01
- >>210,223,227について議論がありました。
ご覧ください。
- 229 名前:1/5 投稿日:2006/07/18(火) 00:36:40
- <<旗本八旗>>の八人は、故郷である涼州へ向かっていた。
どうせ戦うのであれば地理感のある所の方がいいし、ひょっとすると韓遂様にも会えるかもしれない。
不慣れな土地では警戒しながらゆっくりと移動し、京兆府で交代で睡眠をとった。
そし朝を迎える。
「いい朝だな」
唯一の智謀の持ち主でリーダー格の楊秋が、、ぽつりと呟く。
暑くもなく寒くもない陽気に包まれ、遠くには鳥のさえずりも聞こえる。
とても今の瞬間も殺し合いが行われているとは思えなかった。
やがて一行は扶風郡に入る。左手に台地、右手に草原に囲まれた安定城があるが、この間を抜ければ天水、その先は武威である。
自然、八人にも安心感が生まれる。
故郷に思いを馳せて、歩も進み始めたところで、楊秋は奇妙な重低音に気づいた。
空を見上げる。青天に何か、不自然な物体が。嫌な音を立てて。
こちらに向けて……飛んでくる!?
「いかん! みんな、散れ!!」
砲弾だ。気付いて皆に指示した時には遅かった。
着弾、そして爆発。轟音。砂塵が舞い上がって何も見えない。
畜生だの痛いだの苦悶の声が聞こえる。
ようやく視界が戻ったときには、つい先ほどまでうららかなものだったその場が、血と破片に塗れていた。
李堪が黒焦げになって倒れている。張横は腕を薙がれ、腹からは臓腑を転がして絶命していた。見開いた目がただ中空を見据えている。
「あそこだ!」
馬玩が台地の上、ここから40〜50mほどの場所を指差す。そこには確かに二人組の男が立っていた!
- 230 名前:2/5 投稿日:2006/07/18(火) 00:38:55
- 「やばい、董卓だ! あれは董卓と李ばろ!!」
銃の連射音。叫んでいた程銀の頭部が吹き飛ぶ。こちらも慌てて応射するが相手は撃ち下ろし、こちらは撃ち上げ体勢であまりにも不利すぎる。
続けざまに梁興も銃弾の餌食になった。こちらはまだ脚という事で致命傷にはならない、だがこのままでは二発目の砲弾がくる……!
梁興を抱えて物陰に隠れる。その間も、こちらをいたぶるように射撃は続く。
楊秋は混乱する頭脳で考える、どうする、どうする?
「成宜、侯選、三人で奴等へ接近戦を仕掛けるぞ!」
「了解!」
「このままではみんなやられる!俺達が接近戦で時間を稼ぐから、馬玩は梁興を連れて天水城へ落ち延びてくれ!」
「しかし、我々だけが逃げるわけには……」
馬玩が木の裏に隠れながら言う。さすがに気が引けるのだろう。
「俺達も時間を稼いだら撤退する。大丈夫、あの台地──五丈原は岩だらけだ、隠れる所はいくらでもある」
成宜と侯選はもう出撃の意志を固めている。台地まで走り抜ければあとは登るだけだ。
「頼む馬玩、梁興を助けるためにも!」
「……わかった。お前ら、生きて帰ってこいよ!」
馬玩が梁興に肩を貸す。残りの三人は武器を携え、飛び出す。
「おっし、では大陸一の魔王とやらをぶちのめしてやるか!」
「軍閥の将帥の力、なめんなよ!」
威勢良く叫んで、成宜と侯選が突撃する。
銃声が響き、RPG−7の砲弾は彼らの頭上を飛び越えていく。
それを確認して、馬玩は逆方向に移動を始めた。
五丈原の台地で迎え撃つは董卓、そして李儒。
- 231 名前:3/5 投稿日:2006/07/18(火) 00:41:33
- 「バカ者め、二度と外すなよ」
「申し訳ありません。次はいかがしますか?」
「一度下がってそこの岩の陰にでも隠れておれ。奴等接近戦を挑むつもりのようだ」
言いながら、董卓は弾倉の交換をする。登ってこようとする楊秋らを狙い、50発を撃ち切ったのだ。
残りの弾はまだまだあるが、最後まで使うつもりなのだから節約をしなくてはと考えているのだ。
眼下を見れば、群がる蟻のように敵がこちらに向かってくる。その姿は岩に隠れて見えたと思ったらまた消える。
牽制に二三発発砲するが、遮蔽物の多いこの状況では銃弾はそうそう当たりはすまい。
ならば引き寄せて叩くか。董卓は振り返ると李儒を呼び寄せ、近づいてきたら撃つようにように言った。だが。
「董卓様、二人しかおりませんが?」
「なんだと!?」
慌てて引返して見る。威嚇射撃が頭上を通り過ぎていったがこんなものは当たらない。
確かに二人しかいなかった。距離はもう30m程度しかない。
「ち、謀られたか!」
おそらく目を話した一瞬の隙に分かれたのか。逃げたはずがない。となると……。
「李儒! 岩ごと彼奴等を吹き飛ばせ!」
「御意!」
董卓は巨体に似合わぬ軽捷さで、董卓は五丈原の頂上、その縁を探る。きっと別働隊がいるはずだ。
李儒の放った弾はまた外れたようだ。明後日の方向に飛んでいった。その方向をちらっと見る。
「また外しおって。使えんやつだ……っ!?」
突如側面から槍の横薙ぎ。咄嗟に横っ飛びして回避する。続いて突き、これは身体を横にずらして避ける。銃を構える暇がない。
こいつが伏せ勢か!!
さらに突き出した槍の刃が自在に動き横にスライドし、董卓の太い首を刈る……が、分厚い脂肪とその下の頑強な筋肉に刃が止められた。
「貴様ァ!!」
その槍を掴むと、桁外れの剛力で奪い取る。そして三歩ほどの距離からそのジャベリンを「用途通り」使った。
「がふっ!」
投擲されたその槍は成宜の横腹を貫き、貫通してそのまま成宜を地に縫い付ける。だがそれと同時に、近くで落雷のような轟音が鳴り響いた。
- 232 名前:4/5 投稿日:2006/07/18(火) 00:43:35
- 「何ィ!?」
稲光が煌き、李儒が焼け焦げて斃れる。
その向こうにはミョルニルを振りぬいた侯選の姿があった。
伝説に曰く。
ミョルニルはトールハンマーとも呼ばれ、その名の通り雷神トールによって扱われていた。
振れば稲妻を纏いて敵を完膚なきまでに破壊し尽くし、持っていると破邪の護りが得られるという。
ちなみに投擲すればほぼ必中となり脅威の武器になるのだが、そのことまでは侯選は知らない。
「よし、退け!」
もう十分だとばかりに楊秋が叫ぶ。
董卓がP−90の凶弾を放つ前に、二人は転がるようにして撤退していった。
追いかけて背撃するも、有効なダメージは与えられなかった。麓まで到達して草むらに隠れられると、もうお手上げである。
「さて……李儒よ」
黒焦げかつバラバラの李儒の遺体に、董卓は語りかける。
「お前の自業自得だ。だが、今までは助かったぞ」
破壊されなかったRPG−7を拾い、李儒に礼を言う。
中華圏とは常識を異にしていた、僻地の軍閥の領袖の本心が垣間見えたような瞬間だった。
そして振り返ると、血だらけの槍だけが落ちており成宜はいない。
貫通したとは言え、腹部の傷ならば致命傷を回避することができるかもしれない。
「まあ、わしにまた改めて殺されるだけだがな」
奴等は涼州の軍閥どもだ。ならば行く所など大抵予想がつく。
「気が向けば殲滅してやるとしよう」
そう言うと、董卓はすぐ側にある李儒の鞄を漁ると、死体を構わず食事を始めた。
- 233 名前:5/5 投稿日:2006/07/18(火) 00:46:27
- その後、仮らは天水城は思ったよりも早く着く事ができた。
「楊秋、無事だったか!」
馬玩が嬉しそうに二人を迎える。
「梁興は……戦闘となるとちと厳しいがある程度の手当てはした。傷口が膿まなければなんとかなると思うぞ」
「そうか、良かった」
「ところで成宜は?」
「む、まだ来ていないのか?」
成宜とは別行動になる時に、離脱した後は別々に天水に向かうと決めたのだが……。
ちなみに、彼らは死角にいたせいで成宜が負傷したことを知らない。
「まあ、奴に限ってそうそう死ぬことはあるまい。無事合流したら董卓対策を含めて話し合おう」
彼らは三人の仲間を失った。だが戦意までは失っていない。
「……クソッタレ、こんなことで死ねるか。程銀達の仇は俺が、とる」
朦朧とした意識のまま、成宜は天水へと歩いていくのだった。
【李堪 張横 程銀 李儒 死亡確認】
@董卓【P−90(弾倉あと5)、RPG−7(あと5発)、ジャベリン】
※五丈原で朝食タイム。その他の死亡者のアイテムは放置。
<<旗本八旗/4名>>
侯選【ミョルニル】馬玩[軽傷]【スポーツ飲料1.5リットル(半分使用)】楊秋【AK−47(弾倉あと6)】梁興[右太股銃創]【投げナイフ20本】
※天水城で休憩。
@成宜[重傷、意識朦朧]【なし】
※意識が虚ろなまま天水へ。
- 234 名前:平和な朝とはいかないわけで。1/2 投稿日:2006/07/18(火) 07:16:41
- 「……起きろっ!」
早起きな鳥たちが時を知らせ、空が白み始めたころ。
「いやだ、ねむい……ねる……」
「永眠したいのかっ!? チビ、そいつ起こせ。噛んでいいから」
大声を上げないよう馬謖の口に服の裾を破いた布を捻じ込み、凌統は自分に配給されたザックを掴んで森の奥を窺った。
まだ人影は見当たらないが、探知機は確かに何者かが接近していることを示している。
仔犬に思いっきり噛み付かれてくぐもった悲鳴を上げる馬謖のことは気にとめず、
凌統は気配を殺して探知機の示す方向へ急いだ。その後に母犬が音も無く付き従う。
相手に気付かれないよう、細心の注意を払って木陰から様子を窺う。
来訪者はふらふらとした足取りではあるが、体格は立派なものでさぞ名のある武将だろうと思わせた。
不自然に顔を抑え、うまく聞き取れないが低い声で何者かを呪っているようだった。
(ふら付いているのが演技で無ければ、勝ち目はそれなりにあるが……)
凌統は元来さほど好戦的なほうではない。怨む理由が無ければ、殺生は出来るだけ避けたいとさえ思っていた。
しかも相手はおそらく怪我人だ。接触するかどうか、馬謖にも意見を聞こうと考えて一度元の場所にもどる。
- 235 名前:平和な朝とはいかないわけで。2/2 投稿日:2006/07/18(火) 07:21:02
- 毛を逆立てて仔犬と睨み合っていた緊張感のかけらもない馬謖をどつき、接近者の特徴を告げる。
顔立ち、体格、顔と手がただれていたように見えたこと、そして頭の形がなんだか絶壁だったこと。
初めは首をかしげていた馬謖の顔色がだんだん蒼白になっていく。
「……おそらく魏文長だ。諸葛孔明先生とものすごく仲が悪かったから、先生の一番弟子の私にとっては危険な相手だな」
「接触しないほうがいいか?」
「しないほうがいい! 絶対いい!」
「そうか、じゃあ……あ。こっち来てる」
「なにぃ!?」
悪いことに、馬謖の上擦った悲鳴が魏延だという参加者に聞きとがめられてしまった。
「誰…だ…、そこにいるのは!」
ひっ、と息を飲んだ後、馬謖は小声で「奴は偏屈馬鹿の軍師に嫌われて虐げられた悲運の名将だっいいな!?
おだてまくれ魏延は理解者に飢えてるからっじゃあ後は頼むぞ!」と一息に言い切り、
凌統の背を魏延の居る方向に思いっきり押して自分だけ草むらに飛び込んでしまった。
地面を這う木の根にけ躓きつつまろびでた凌統の眼前に、血走った目の魏延。
(ば、馬謖の野郎自分だけ……ッ!!)
内心泣きそうになりながら、凌統は引きつった笑顔を作って言った。
「え、えっと、俺、凌統、字を公績って言います!
魏文長様とお見受けしました、あのっ、お怪我されているようなので、良かったら俺に手当てさせてください!」
@魏延[右腕・顔面右側に火傷]【ハルバード(少し融けています)、M37ショットガン】
<<既視感を追う旅/2名>>
凌統【???、犬の母子】馬謖【探知機】
※魏延と遭遇しました。
※母犬は凌統の背後に控えています。
※探知機を持った馬謖と仔犬は草むらのなかで様子を窺っています。
凌統が危険だと判断すれば助けに入るつもりです。
- 236 名前:許都の罠〜徐庶サイド〜 投稿日:2006/07/18(火) 09:34:35
- 許昌に入り、曹操を探すのが俺の目的だった。
だが俺は、招かれざる客として誰かに熱烈な歓迎をされた。
黄金水やゴキブリが降ってきたり、小石が落ちてきたりした。
お約束の大きな石(正直言うと、小さかった)が転がってきたりもしたな。
まぁ俺の剣術をもってすれば、一刀両断にするのは簡単だった。
一番嫌になったのは、松明が落ちてきた事だ。
多分、偶然なんだろうが、死ぬかと思った。
と言うより、松明が燃えていたのが不思議なのだが、
主催者側の粋な計らいという事にしておこう。
よく調べてみると、多数の松明があったから、夜は目立つ。
近寄らない方が良いと判断した私は、すぐに脱出した。
帰り道に、何も無かったのは幸いだ。
目指すは業β城。曹操を殺す為に・・・
@徐庶[打撲・左肩に軽度の火傷・疲労]【斬鉄剣・首輪解体新書?】
※なんとか許昌から脱出しました
主催者側の粋な計らいで、許昌は夜でも明るくなっています
- 237 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/18(火) 15:32:52
- 朝焼けの中、灯火に照らされていた許都が陽の光に馴染んでいく。
その様を遠くから眺めながら、彼、荀イクは目を細める。
曹操様をもてなすには、最高の舞台です。
死亡者放送が流れる。
袁家の者たちがかなり死んでいる。
やはり彼ら程度では曹操の敵役としては役者不足であったか。
徐晃も逝ったようだ。
陳留を任せた満寵ももう少し暴れてくれるだろうか。
走り去っていく徐庶。
あれは少々不安定なようだ。ギョウあたりに向かってくれれば好都合なのだが。
張繍にももう少し頑張ってもらいたいところだ。
他には・・・馬超あたりか。
郭嘉はそろそろ北に着いただろうか?
昼も夜もない許都を見下ろす丘の上で、荀イクは静かに狙撃の構えを取る。
光源は十分。狙撃も容易だろう。
この許都の様子を怪しんで他へ向かったとしても、曹操には苦難の道が待っている。
私が用意した苦難の道が。
@荀イク【ガリルAR(ワイヤーカッターと栓抜きつきのアサルトライフル)】
※現在地は許都近くの丘
※主催者側と繋がりがある?
- 238 名前:妖刀対妖槍 1/6 投稿日:2006/07/18(火) 21:03:38
- ―俺はどうしたんだ―
確か、入り口を出た。そこに荀イク殿がいた。声をかけた。荀イク殿は笑っていた。笑いながら、俺に斬りかかった。咄嗟の事で反応が遅れ、腕を少し斬られた。荀イク殿とその槍から尋常じゃない気配が感じられた。
殺される。そう思って、俺は逃げた。奴をまくため、近くの茂みに、身を隠した。すぐにばれた。殺される。濁った双眸に睨まれながらそんな事を感じた。そして槍が振り下ろされた。
斬られたというより殴られた感じだった。途切れる意識の中、荀イク殿の呟きが聞こえた。
「あなたにも手伝ってもらうとしましょう、曹彰殿」
それから、どうなったんだ?
目が覚めた気がする。近くに槍が落ちていて、俺の鞄が荒らされていた。わけもわからずにその槍を取った。鈍く、妖しく光る刃が美しかった。
『コロセ』
頭の中に声が聞こえた。やさしく言い聞かせるように何度も何度も聞こえてくる。
『コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、我ニ血ヲ、主二悦楽ヲ…共二参ロウ修羅ノ道ヲ』
…ソウダ、殺サナケレバ、誰を?参加者ヲ。どうして?ドウシテモ。家族や仲間もいるのにか?家族ヤ仲間ナンテ関係ナイ。唯殺セバイイ。血ヲ、悦楽ヲ…
―ソレコソガ、我ガ望ミ。イザ征カン修羅ノ道―
- 239 名前:妖刀対妖槍 2/6 投稿日:2006/07/18(火) 21:05:27
- 「息子達、それに、文醜達までもが…」
『旦那…』
朝霧の中聴いた、第二回放送。その中には自分の息子達、そして優秀な配下の名前が挙がっていた。
「残ったのは沮授に顔良、それに顕歩か、我が精鋭達がこうもあっさり逝くとは…」
目を瞑ると脳裏に浮かぶ、散っていった配下と息子達。その一人、一人に誓うかのように袁紹は声を上げる。
「お前達よ、見守っていてくれ。この袁紹本初、必ずやお前たちの仇を討ち、あの劉協めの首をお前達の墓前に奉げるのを」
そう言って、瞑っていた目を開く袁紹。その瞳、その声には先ほどまでの悲しみはなく、より一層の決意が伺えた。
(それでこそ俺が見込んだ人だ)
新たに決意を固めた袁紹を満足そうに見る(?)村正、と、その時、強烈な殺気、そして狂気を、村正は感じとった。
『旦那、気をつけな。敵が近づいてきてるみたいだ。』
「なんだと!?本当か?」
村正の言葉に刀を構える袁紹。そして袁紹も、村正が感じとった殺気と狂気がこちらに向かってくるのが感じられた。
「な、なんだ?この殺気と狂気は?かつて、私も何回かは感じた事はあるが、これほどの物は感じた事が無いぞ!?」
今まで感じた事のない物に戦慄を覚える間にも、一歩、また一歩とそれは近づいてくる。
『もしかしたら、旦那もこうなってたかもしれない』
いつもとは違う真剣な口調で答える。
- 240 名前:妖刀対妖槍 3/6 投稿日:2006/07/18(火) 21:06:14
- 「どういう意味だ?」
『旦那も俺と会ったあの時、運が悪ければこうなってたんだぜ?』
その言葉だけで、袁紹は理解できた。
「つまり、あいつは…」
『ああ、武器に取り付かれてる。しかも…』
深い霧の中、一人の男が現れた。その目は狂気に取り付かれ、その手には袁紹の持っている、妖刀・村正と同じ光を放っている槍があった。
『どうやら俺の兄弟らしい。よぉ、妖槍・村正』
「妖刀ノ、貴様、ドウシテ、使命ヲ果タサヌ?我等ハ殺戮コソ使命ノ筈」
完全に精神を乗っ取られてる故か、その槍が言っているであろう言葉が曹彰の口から出てくる。その声は低く、どこか薄ら寒い物を感じる。
『妖槍の、生憎だが俺は一抜けさせてもらうぜ。俺は、この旦那に着いていくと決めたのでな。』
武器同士、声が聞こえるのだろうか、曹彰、いや、妖槍・正宗は顔をしかめる。
「貴様、我等ガ使命ヲ果タサヌト言ウカ!!」
『もうそんなもんに従う気もねぇよ』
妖槍の怒号を妖刀は飄々と受け流す。
「ナラバ、叩キ折ッテクレルワ!」
「己等だけで話をすすめるなぁ!」
武器同士の会話に、置いてけぼり状態だった袁紹は一喝すると荷物を持って森へと駆け出した。
- 241 名前:妖刀対妖槍 4/6 投稿日:2006/07/18(火) 21:08:00
- 『ちょ、逃げるのかよ、旦那ぁ!』
「黙って従え!こんな平野であんな長物とやりあえるか!」
妖刀・村正の不平を一喝し、森へと逃げ込む。
「逃ガサンゾ…同胞!」
それだけを呟くと、妖槍もまた森へと入っていく。
霧深い森の中、妖槍はぬかるんだ地面にある足跡を見つけ、ほくそ笑む。
「フン、足跡ヲ残シテノ逃走トハ。妖刀モ馬鹿ナ主君ヲ持ッタ物ダ」
そうして足跡を辿る事数分、妖槍は、茂みに入っていく足跡と、茂みからはみ出している服の一部を見つけた。そのあまりにもおざなりな隠れぶりに、妖槍は呆れ返った。
(ココマデ抜ケテイルトハ…妖刀ニハ憐レミスラ感ジルガ、ソレモ自業自得ダナ…消エロ!)
歪んだ笑みを浮かべながら妖槍は自らを茂みへと穿つ。茂みの中にあった物に深々と刺さる感触がした。
だが、それは人を刺したそれではない。それは…
「コノ感触、木ダトォ!?」
妖槍が驚愕の声をあげた、その時、横合いから衣服を脱いだ袁紹が妖槍の寄代、曹彰へと突進する。その突進を諸に受け、曹彰は妖槍を放し、地面に伏す。
「まんまとひっかかったな阿呆めが」
『旦那の策、見事に決まったなぁ』
「ふん、名門たる者、知略にも通じておかねばな」
- 242 名前:妖刀対妖槍 5/6 投稿日:2006/07/18(火) 21:10:11
- 事の顛末はこうである。
『旦那旦那ァ!足跡がついてますぜ!これじゃぁ見つけてくれって言ってるようなもんでしょう!』
「わざとだ」
袁紹の答えに、村正は袁紹が何を考えているか理解できなかった。
「理解できぬようだな。何、ただ疑似餌を仕掛けるだけだ。」
そう言うと袁紹は、茂みに入り込み、服を脱ぎ、それを茂みから外へ、少し出した。
『これが疑似餌ですか』
どうやら村正も合点がいったようだ。
「うむ、すぐ近くに木の節くれもある。勢いよく刺してくればあの節くれに刺さり、抜けにくくなるだろう」
『しかしそうそう引っ掛りますか?』
村正の疑問に袁紹が答える。
「狩る側は自分が有利だと知れば自然と心に油断が生まれる物だ。それにそのために足跡までつけたのだ。まぁ、歴戦の武将ならば、少しはいぶかしむかもしれんが、殺す事のみを考えている、ああいうのはひっかかりやすいだろう。」
『確かに』
仮に自分が妖槍の立場なら確実にひっかかっていたな、などと、村正は妙に納得してしまった。
そして待つこと数分、妖槍は現れ、ものの見事に、袁紹の策にひっかかったのであった。
- 243 名前:妖刀対妖槍 6/6 投稿日:2006/07/18(火) 21:11:15
- 「さて、それではこんな危険物は処分してしまうか」
袁紹が妖刀を構える。
『貴様ァァァァァァァッ!!!』
『じゃあな、妖槍。旦那に手を出したのが運の尽きだ。それに…』
妖刀が何回か閃き、妖槍は断末魔と共に、粉微塵となった。
『“村正”は二つもいらねーよ』
@袁紹【妖刀村正】
@曹彰【なし】(気絶)
※とりあえず曹彰をどうしようか考え中、妖槍村正は消滅しました
- 244 名前:妖刀対妖槍(訂正) 投稿日:2006/07/18(火) 22:41:21
- ―俺はどうしたんだ―
確か、入り口を出た。そこに荀イク殿がいた。声をかけた。荀イク殿は笑っていた。笑いながら、俺に斬りかかった。咄嗟の事で反応が遅れ、腕を少し斬られた。荀イク殿とその槍から尋常じゃない気配が感じられた。
殺される。そう思って、俺は逃げた。奴をまくため、近くの茂みに、身を隠した。すぐにばれた。殺される。濁った双眸に睨まれながらそんな事を感じた。そして槍が振り下ろされた。
斬られたというより殴られた感じだった。途切れる意識の中、荀イク殿の呟きが聞こえた。
「あなたにも手伝ってもらうとしましょう、曹彰殿。これを差し上げます。かわりにあなたの支給品は頂いていきますよ」
それから、どうなったんだ?
目が覚めた気がする。近くに槍が落ちていて、俺の鞄が荒らされていた。わけもわからずにその槍を取った。鈍く、妖しく光る刃が美しかった。
『コロセ』
頭の中に声が聞こえた。やさしく言い聞かせるように何度も何度も聞こえてくる。
『コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、我ニ血ヲ、主二悦楽ヲ…共二参ロウ修羅ノ道ヲ』
…ソウダ、殺サナケレバ、誰を?参加者ヲ。どうして?ドウシテモ。家族や仲間もいるのにか?家族ヤ仲間ナンテ関係ナイ。唯殺セバイイ。血ヲ、悦楽ヲ…
―ソレコソガ、我ガ望ミ。イザ征カン修羅ノ道―
- 245 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/18(火) 23:13:20
- 「ふふふ、ふはははは!優勝は私のものと決まった!」
徐州にて叫ぶ怪しげな男の名前は虞翻。
二董が探す今大会唯一の医者だ。
「サンダーボルト。敵を全員殺すのか・・・って俺も危なくないか?」
彼が持つ五枚のカードのうち、1枚目はサンダーボルト。
敵を全員殺してくれるらしいが、絵からするに、確実に自分も死ぬ。
「死者蘇生?これって役に立たなくねぇか?」
二枚目は死者蘇生。死んだ者を生き返らせるらしい。
が、絶対に使わない。誰かを生き返らせるなど自殺行為だ。
「・・・あとの三枚も中々のカードだな。」
所々に書いてある、墓地やらモンスターという文字が気になるが、
効果が凄すぎるから気にはしなかった。
彼は、このカードを使えば、説明通りの効果を得られると思っているが、
言うまでもなく、5枚のカードは全て単なる遊戯王カードである。
@虞翻【遊戯王カード(5枚)】
※酷い勘違いをしています。ちなみに歓喜の声を上げたので、
誰かが来るかもしれません
- 246 名前:ヤブ蚊とアモーと短歌行1/5 投稿日:2006/07/18(火) 23:16:30
- 呂範を一刀に切り裂いた関羽を追いかけて闇雲に南へ駆けた筈だった。
しかし、どこかで道を間違えたらしく、だんだん方向感覚も鈍ってきた。
諸葛瑾とすれ違ったのは覚えている。話しかけようとしたが、叶わなかった。
そのまま歩き続け、足がもつれて倒れ込むように草むらに伏し、
気を失うように眠ってしまったようだ。
そして今、目を覚ました呂蒙は全身を激しく掻きむしっている。
「かゆい!!」
湿った草地に顔面から突っ込んで爆睡していたのだ。
運悪くヤブ蚊の密生地帯だったらしく、
全身肝ならぬ全身虫さされと言った具合にすさまじいことになっている。
ヴォリヴォリヴォリ
掻〜いちゃだめ掻いちゃだめー♪ わかってる。もちろんわかってる!
でも掻かずにはいられないこのかゆさ。
呂蒙は捻りはちまきをむしり取ると布の表面で全身を擦り始めた。
- 247 名前:ヤブ蚊とアモーと短歌行2/5 投稿日:2006/07/18(火) 23:17:05
- ふと、小さな物体が目に入った。
湿った大地を土にまみれながら転がるそれを慌てて拾い上げる。
白い円筒状で、先には丸みを帯びた蓋。
捻って開けると、ツンと鼻を突く匂いがした。
スポンジ部分を皮膚に押しつけるようにして塗布してみる。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
全身を襲っていたすさまじいかゆみが治まったではないかヽ(´▽`)ノ
呂蒙は夢中になってあちこちに塗りまくった。
「スッキリしました?」
背後から聞こえた声に驚いて振り返ると、
ふたりの男が興味深げにこちらを見つめていた。
ひとりはすらりと背の高い若い男で、
どこか懐かしい雰囲気を感じる知的な顔には若者らしい好奇心を覗かせている。
もうひとりは小柄ながら覇気のある瞳を持った中年男で、なぜか頭にはほっかむりをしていた。
「液体ムヒって言うものらしいです。虫さされによく効きますよ」
「どうも」
「全身真っ赤だ。めっちゃ刺されてますよ。まさかここで寝たんですか?」
「どうも疲れていたようで……不覚だった」
- 248 名前:ヤブ蚊とアモーと短歌行3/5 投稿日:2006/07/18(火) 23:17:48
- 一体誰だろう?
ふたりとも実に穏やかな顔をしている。
こちらに対し、敵意は持っていないようだ。
「とりあえずこれでも食うといい」
小柄な男が小さな四角いものを差し出してきた。
遠慮無くいただいて口内に放り込むと、濃厚な甘味がふわーっと広がる。
疲れが一気に吹き飛んだヽ(´▽`)ノ
「ちろるちょこだ。気に入ったならあとでもう一粒やろう。
それより今はお主のことを教えてもらいたい」
「俺は……呂蒙だ」
「おお! 呉下の阿蒙さんですか! うわあまた凄い人に会っちゃったよ。
士別れて三日、すなわちまさに刮目して相待つべし!」
いや、呉下の阿蒙だったのは昔で今は呂蒙……
それ以前に己の名言を他人に言われるのは恥ずかしいものがある。
「俺は陸機です。祖父が陸遜で父が陸抗って言います。知ってますか?」
知ってるもなにも! 若い男を初めて見たとき覚えた既視感は間違っていなかったらしい。
確かにこの男は陸遜の面影を残している。
- 249 名前:ヤブ蚊とアモーと短歌行4/5 投稿日:2006/07/18(火) 23:18:44
- 「そして阿蒙さん、こちらは曹操殿です」
「そ、そうそぉ!???」
呂蒙は思わずまじまじと小柄な男の顔を見つめた。
地味な顔の中で圧倒的に目立つ瞳が、確かにこの男がただ者ではないことを知らしめている。
「お主が呂蒙か。一度会ってみたかった。関羽に魅せられし仲間よ!」
「いや、俺はあんな奴に魅せられてませんて……勝手なこと言わないでください」
「まあまあ、阿蒙さん、それでね、曹操殿は良くも悪くも有名人だし、
狙ってくる奴も多いんじゃないかと思って、
こうやって俺の発案で変装してるんですよ。どうです? わからなかったでしょ?」
謎のほっかむりは変装だったようだ。
彼を知っている人間から見たら一目瞭然のような気もするが……。
得意げに頭を覆う布を引っ張る曹操はひどく子供っぽい。
「ところで、阿蒙さんの支給物はなんですか?」
陸機の言葉に合わせるように、
ふたり揃って瞳を輝かせ、期待に満ちた目でこちらを伺ってきた。
思わず呂蒙はその場で昏倒したくなる。
すまん、でもこれは俺のせいじゃない。
俺にこんな道具しか与えてくれなかった天のせいだ。
そうだ。こればかりは、呉下の阿蒙がどんなに勉強してもどうにも出来なかった領域なんだ。
- 250 名前:ヤブ蚊とアモーと短歌行5/5 投稿日:2006/07/18(火) 23:19:55
- ヤブ蚊だらけの湿地を離れ……
三人は曹操が見つけたという狭い岩穴の前に戻って座り込んだ。
ちろるちょこ、液体ムヒ、そして捻りはちまき。
「♪酒を豪邸に置いて さかづき持って悲しみ歌う
人の命は短くて それは朝の霜のごとく消ゆ
時は重ねて到ることなく 華再びひらくことなく…♪」
「いい詩だのう」
「短歌行です。曹操殿の短歌行にインスパイヤされて作ったんですよ。
でもやっぱり本家には敵わないな。
酒に対して当に歌うべし 人生幾何ぞ ♪」
月夜の下で陸機が小さな声で歌を詠いだし、
曹操がそれに合わせて唱和し始めた。
ああ。
こんな恐ろしげな世界なのにもかかわらず、
なんて典雅なんだろう。
全身にムヒ臭を充満させながら、文学的な香り漂う岩穴の前で、
呂蒙はひとり今後について思いを馳せた。
<<ふたりの詩人とひとりのアモー/3名>>
@曹操【チロルチョコ(残り88個)】
@陸機【液体ムヒ】
@呂蒙【捻りはちまき】
☆現在青州にいます。これから南へ行く予定です。
- 251 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/18(火) 23:37:21
- 夏侯楙「愛してるの響きだけで、強くなれる気がしたよ!!
きっと今は自由に空も飛べるはず!!
さよなら! 君の声を抱いて歩いていく!!
うぃ〜っ、となぁ!
酔っぱらいたぁ、このくらい豪勢じゃあないとなぁ!!!
ん〜っと?なんだありゃ? 許昌がキラキラ光ってんなぁ?
(………おかしい、これだけ騒げば誰かが気付いても良いはず………
あれだけ叫んでいるのに誰の気配もしない………
本当に当に誰もいないのか、あるいは監視しているのか………
それに、何故あんなに光って居るんだ………
誰の仕業か………一度行ってみよう)
いいねぇいいねぇいいねえ!!! 酒の肴にもってこい、宴会にはぴったりだ!!」
@夏侯楙【越乃寒梅】
※まだ大声で歌いながら許昌都市部へ移動を続けます。
誰かの反応を待っている?
- 252 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/18(火) 23:47:31
- 歌が懐メロすぎるよ夏侯楙!!
- 253 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/19(水) 00:21:19
- 楊儀は永い眠りから醒め、まだ重い身体を引きずって荊州北西部の魏興まで歩いてきていた。
「いたた、足が痛い、駄目だ」
近くにあった小集落で足を止め、座り込む。
そして、何ともなしにまたMDウォークマンを起動させてみた。
「昨日はいい曲が入っていたからな、また聞いてみようかな」
すると、何とも勇壮な曲が流れてくるのだった。
『君はついに 立ち上がった 血に染まった赤いマントに
わずかに聞いた君の両目に光る 涙が 何かを語った
獣のように 挑戦者は 襲いかかる 若い力で
やがて君は 静かに倒れて落ちた
疲れて眠れるように
わずかばかりの意識の中で 君は何を考えたのか
立たないで もうそれで充分だ おお神よ 彼を救いたまえ
ロッカールームの ベンチで君は きれたくちびるで そっとつぶやいた
帰れるんだ これでただの男に 帰れるんだ これで帰れるんだ 』
「おぉ〜ライラライ、ライラライ!」
いつの間にか口ずさんでしまう楊儀。
「む、いかん。……だが何か我が国の北伐を想起させるような」
さりげなく禁句を言いつつも、ちょっと元気の出たような気もした。
@楊儀[疲れている]【MDウォークマン】
※まだ移動していません。でも少し元気が出ました。
※MDにはこの二曲に近い世代の曲が入っている?
- 254 名前:運の王様 1/5 投稿日:2006/07/19(水) 03:15:39
- 夜が明けて、二度目の放送を聞いてなお、袁尚と劉禅は林から脱出できずにいた。
というのも、視界が少しでも開けている場所に移動するとそこにはすでに劉ェが待ち構えており、
これはまずいと反対側に回れば、やはりそこにも劉ェが回り込んでいるのである。
「まったくどうなっているんだ。何故奴にこうも我々の位置が知れてしまうんだ!!」
「はあ。でも正確に分かっているわけではないですよ。
もし正確に位置を知る術があるなら、我々はとっくにあの諸葛弩でハリネズミですから」
「なら!! 一体なんだってこうも回り込まれるんだ!!!」
随分イライラが溜まっているのか、袁尚は身を潜めるものにしては少々大きすぎる声で怒鳴る。
劉禅はとにかく落ち着かせようとバナナを一本勧めた。
袁尚はそれに乱暴に噛りつく。一気に3分の1ほどが口の中に消えた。
が、皮ごと食べてしまって非常に苦い顔になる。
「まあまあ落ち着いて。
あれは多分家系的なものでしてね、私たちは並より少々運がいいんですよ。
私の父なんてそれで何度も命拾いしましてね」
「ちょっと待て、私たちだと? あの男はお前の一族なのか?」
「あれ、言ってませんでしたか。あれは不肖の息子です」
さも当然のように、しかもにっこり笑顔でそんなことを言われたものだから、
袁尚は手に持っていた食べかけのバナナを落としてしまい、さらにその後盛大なため息をついた。
つまり何か。自分はちょっと過激な親子喧嘩に巻き込まれただけなのか。
- 255 名前:運の王様 2/5 投稿日:2006/07/19(水) 03:16:22
-
「おい劉禅。お前俺に服従するといったな。
その証明にオトリになってあの男の気を引け!!」
「そんな御無体な。袁尚殿は私に死ねとおっしゃる!!」
「袁尚殿じゃない、袁尚様だ。俺に忠誠を誓うならそのくらいのことをして当然だろう。
だいたい、お前だって運がいいのなら簡単に助かるだろう!!」
「私の運は袁尚様に拾っていただいたことで使い切りましたよ〜ぅ」
今度は両者が身を潜めていることを一瞬忘れてしまったため、ありえないほどの大声が林中に響く。
もちろんその声を、劉ェが聞き逃すはずもない。
「見つけたぞ、この売国奴!!!」
一瞬早く我に返った袁尚は、劉禅の手を引き一目散に逃げ出した。
しかし、すでにその姿は劉ェに捉えられている。そして劉ェの諸葛弩の照準もまた、劉禅を捉えていた。
そしてまさに矢が放たれるその瞬間、劉ェが踏み込んだその足元に、袁尚の食べかけたバナナはあった。
体勢が少し崩れる。矢を放った反作用で、さらに少し崩れる。
二つの力のベクトルが劉ェをあらぬ方向へと倒し、
さらに偶然にも倒れた先の劉ェ頭がある位置に、まったくちょうどよい大きさの石があった。
当然のように劉ェは頭を強打し、昏倒する。
しかしその姿は、木々のあいまの茂みによって、一見して分からないように隠れてしまった。
- 256 名前:運の王様 3/5 投稿日:2006/07/19(水) 03:17:33
- ズゴン、という鈍い音に、劉禅はつい足をとめて後ろを振り返った。
そこにあるべき劉ェの姿はない。
それを不思議に思ったのもつかの間、今度は自分を引っ張っていた袁尚の手がすでに放されていることに気づく。
袁尚は、右のふくらはぎに矢を生やして地べたでもがき苦しんでいた。
「おやおや、袁尚様大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃない!! 早く、この矢を抜け!!!」
劉禅は言われたとおり矢を引き抜いたが、これでは右足は使い物にならないだろう。
適切な処置を施せばともかく、ここには治療のための道具も技術もない。
さらに不幸なことに、袁尚の左足は矢を受けた拍子に転んだたとき、どうやらひねったようであった。
「これではどうしようもない。とにかく左足は冷やさなければならんな。
おい。俺をおぶって近くの小川なりに連れて行け」
「はあ。まあ、それでもいいんですが…」
「何だ。他に何かいい方法でもあるのか?」
「そうですねぇ。どんな重傷でもたちどころに治してしまうカードでもあればそれが一番なんですが…」
「そんな都合のいいものがあるはずないだろ!!」
劉禅の、まったく事態の深刻さを意にかえさないようなのんびりとした様子に、袁尚は再びいらだちだした。
劉禅はまたなだめなら袁尚の鞄をさぐる。
そして、遠距離攻撃のできる敵相手には不利であり、
逃げの一手を打つならば邪魔であるという理由からしまわれていたモーニングスターを取り出した。
- 257 名前:運の王様 4/5 投稿日:2006/07/19(水) 03:18:28
- 「な、なんだ、劉禅。何の真似だ!!!!」
「足の骨を折った馬って、殺されるんですよ。知ってました?」
「なんっ!!」
「行動の自由の利かない同行者って、どう考えても邪魔ですからねぇ。
それにほら、例の24時間ルールもあるわけですし」
「貴様、俺に服従するといったではないか!!!!!」
「そりゃ、生き残るために担ぎ上げもすれば仰ぐ旗も変えますよ。
何といっても貴方は武器を持っていたし、あ、これのことですよ。私なんてバナナでしたからねぇ。
実際、直接自分の手を汚すのって初めてだから、あんまりやりたくないんですけど、
ここって、運だけで生き残れるほど甘い世界でもなさそうですから」
また劉禅がにっこりと笑う。
袁尚は声にならない悲鳴を上げ、体を引きずって逃げるが、逃げ切れるはずもなく……。
最期に脳裏に見た光景は、誇り高き父か、すでに逝った二人の兄か、あるいは惨めに這いつくばった己の姿か―――。
劉禅は、頭蓋骨を叩き割って四散した血と肉片に眉をひそめる。
その一部は、劉禅の衣服にも付着している。
「参ったな。これじゃ警戒される。小川にでも行って洗い流さないと。
それにしてもこの武器、私には扱いづらいな。せめて献帝を守っていた兵士たちが持っていた武器でもあればいいのに」
その望みは全然「せめて」ではないのだが、それを指摘するものはもういない。
そのまま劉禅は、劉ェがどこに消えたのかを訝しがりながら、その場を去っていった。
- 258 名前:運の王様 5/5 投稿日:2006/07/19(水) 03:20:53
-
劉の姓が受け継いだのは、「運」と「生への執着」
劉禅の幸運は、ただのバナナによって一命を取り留めたこと。
劉ェの悪運は、昏倒しながらその姿が隠れたこと。
袁尚の不運は、そんな劉親子に出くわしてしまったこと。
≪お坊ちゃんズ≫ →解散
@劉禅【バナナ2本、モーニングスター】
※ピンユニット化
※小川を探して服を洗う
@劉ェ[昏倒]【諸葛弩】
※茂みに隠れて一見それとは分かりません
【現在地】冀州の林道(ギョウよりも南)
【袁尚 死亡確認】
- 259 名前:虞翻と夏侯覇 1/4 投稿日:2006/07/19(水) 22:29:18
- 虞翻は荊州の道を歩いていた。
その道は左右を100メートル半ほどの崖に挟まれた谷間の道で、幅は5〜8メートルだが、
その両脇には少し小柄な男性の肩くらいの背の茂みがあるため、実際にまともに歩けるのは石畳で舗装された、人二人が詰めて並び歩けるくらいの範囲しかない。
だが、隠れ歩くには茂みの方がいいであろう。
なので虞翻は右方の茂みの中に身を落としつつ、慎重に辺りを見回しながら移動していた。
最初は驚異のカードの数々に喜々として馬鹿騒ぎしていたのだが、しばらくして彼はいくらか冷静になっていた。
いくらカードが凄かろうと、後ろから撃たれてしまえば、まったくもって意味をなさない。
そう思えば馬鹿騒ぎしていた自分が恥ずかしくなった。あそこで銃とやらを持った誰かに気がつかれ、忍び寄られて撃たれれば全てがお終いだった。
隙を見せたら負けだ……しかし一人でいれば隙が多い……ちと揚州へ行って仲間を捜し、最後に裏切ることにしよう。
というわけで虞翻はこの道を進んでいたわけだが、
―――しかしどうも、誰かに視られている気がする。
後ろを振り向く。誰もいない。耳をすます。物音は聞こえない。拾った小石をいくつか茂みに投げる。反応なし。
が、視られている感じはぬぐい去れない。
その後も虞翻は歩いては止まり、止まっては石を投げ、石を投げては歩いた。
その様子を、崖上の夏侯覇はほくそ笑みながら見ていた。
なんと馬鹿なヤツだろう。崖の上の危険性にも気付かないなど。
まあ、あの男は文官風だ。最前線では戦わない文官に、このような危険を知らないのも無理はない。
その危険とは、戦場においてはだいたいが落石か矢雨だが、今夏侯覇が持っているのは狙撃銃だった。
その茂みの中じゃあ、後ろからは見えずとも上からじゃよく見えるぜ。
よし、あいつが標的だ。俺のドラグノフの、最初の標的だ。
スコープの標準に標的の頭頂部を会わせ、夏侯覇は引き金を引いた。
「あ、カード落とした」
ひらひらと茂みの中を舞いながら、カードは地面へ落ちていく。
そのカードは、ブラック・マジシャンという、真っ黒な衣と頭巾を被った妖術使いの絵が描かれているものだった。
虞翻は慌てて落ちていくカードを取ろうと前屈みにしゃがむと、途端に、空から銃声が聞こえた。
- 260 名前:虞翻と夏侯覇 2/4 投稿日:2006/07/19(水) 22:30:31
- その銃声が発されると同時に、上から鋭い何かが右足太股をかすめていったのを虞翻は感じた。
「なっ!?」
反射的に上を見上げる。下から見える崖岸に、何か細長い物を持って立っている人の影が見えた。
逆光のために見えづらいが、間違いなくあれが狙撃者であろう。
虞翻は落としたカードは諦めることにして、そのまま走り始めた。
真っ直ぐ全速力、時々左右にずれる。茂みのせいで走りにくいが、中央の舗装された道では軌道が読まれやすい。
茂みの中に完全に隠れて移動するという手もあったが、そのためには体勢をほとんど這うくらいにまで低くする必要があり、遅い。
自分が隠れた時、敵が素早くその隠れた位置付近に撃ち込めば、当たってしまうだろう。
虞翻の判断は正しかった。遙か上方からは移動する標的はやはり狙いにくいらしく、銃声が二発なったが、後方の草葉を散らせるだけにすんだ。
「さて………」
虞翻は残り四枚のカードの内、青眼の白竜という物を取り出した。
(出でよ、青眼の白竜!)
青眼の白竜。虞翻が見るにその絵は竜ではなく白い巨大トカゲのような怪物だが、ともかく、虞翻は心の内で念じた。
しかし、何も起こらなかった。ただ銃声が二回聞こえ、一発は虞翻の右肩を貫いた。右手で持っていた青眼の白竜のカードが落ちる。
思わぬ痛みと衝撃に、虞翻は倒れかけたが、ここで倒れても格好の標的になるだけである。踏ん張り、何とか走り続けた。
「がっ……! 糞っ、何で出ない!」
虞翻は右肩の痛みと右腕を流れる生暖かく不愉快な感触に耐えながらも、思考した。
思い当たった結論は、おそらく、声に出さなかったからということだった。
虞翻は左手で、ブラック・マジシャン・ガールのカードを取り出す。
絵は最初に落としたブラック・マジシャンと同じ格好をした小娘で、そのブラック・マジシャンがいれば強くなれるようだったが、ともかく、虞翻は叫んだ。
「出でよ、ブラック・マジシャン・ガール!」
しかし当然、妖術使いの小娘は現れない。銃声が鳴り、弾丸がブラック・マジシャン・ガールのカードに穴を空けた。
「な、なんでだぁぁああ!!」
虞翻はわけもわからず、走り続けた。
再び銃声がなり、弾丸が虞翻の頬を削った。
- 261 名前:虞翻と夏侯覇 3/5 投稿日:2006/07/19(水) 22:35:38
- 標的が何やら叫んでいた。悲鳴とは違う種類の声だが、それでも十分恐怖と焦りは感じ取れた。
そうだ、喚け、騒げ、藻掻け、そして死ね。
引き金を引く。乾いた音と呼応するかのように、標的がばったりと茂みの中へ倒れ隠れた。
同時に、標的が持っていたザックが前方中空に浮かんだ。倒れた拍子に、ザックが勢いよく腕から抜けたのだろう。そのうちザックも前方の茂みへ消える。
よし、もう何発か……標的の倒れた付近へ立て続けに撃った。五発、六発、七発、八発……
銃声が止んでしばらくしても、もう茂みの中から出てくる者はいなかった。
少し物足りない気がしたが、いい訓練にはなった。さて、次の標的探しにでも―――
「はぁ」
虞翻は茂みの中でため息を付いていた。まさかこんな何の役にも立たないエセ物を掴ませるとは、主催者も何を考えているのか。
さて、もう敵は行ったか?
まあ万が一ことを考え、もうしばらく隠れていよう。
カードは迷った末、取っておくことにした。サンダーストームと死者蘇生。相手に信じ込ませることさえできれば、脅しや取引には使える。
……いい加減、敵は行ったか?
茂みの中から、少し顔を除かせた。もう敵の影は見当たらない。
「はぁ……」
立ち上がりながら先程より深いため息を付いた。自分は結局、偽物の宝物に舞い踊っていた愚者に過ぎなかったのだ。
自分がこうして生き残れたのも、単なる運に過ぎない。
銃声が鳴り、その弾丸が虞翻の頬を削り抜けたちょうどその時、虞翻は草に足を取られ、転んだ。
転びながらも虞翻は考えた。敵に自分を、死んだと思いこませて撤退させることはできないか?
視界の左端に、石畳の道が見えた。あそこを横切り、左側の茂みに隠れれば―――
虞翻は倒れながらも、前方上空へザックを放り投げた。なるべく高く、遠くへ。
- 262 名前:虞翻と夏侯覇 4/5 投稿日:2006/07/19(水) 22:36:38
- そのまま茂みの中へ倒れるも、倒れきる直前、地面に足と手を付けて胴体を浮かばせることに成功した。
そのまま手と足をバネに、虞翻は左へ飛び跳ねた。飛び跳ねたといってもごく低空だが、地面についた後も勢いを殺さず転がり続けた。
右側の茂みを抜ける直前になって、虞翻は両足を着いていったん止まり、再び左へ跳ねた。
そうして空中で狭い石畳の道を横切り、左側の茂みへ落ちた。直後にザックが落ちる音がし、その少し後に何発もの銃声が鳴り渡った。
いずれも右側の茂みにしか弾丸は落ちなかった。
様には空中のザックに敵の注目をそらせ、その間に石畳の道を横切ったのだ。
視界にちらと移る影に気付かれたなら、ザックなどに気を留めないようなら、まず虞翻は死んでいた。
敵がよほど注意深く、右側の茂みだけではなく左側にも撃っていたらなら、虞翻は死んでいた。
瞬時に策を思いついたのは虞翻の機知だが、その策には博打要素が多分に入っていた。
博打嫌いな虞翻にとっては極めて不愉快な策だった。もう二度と、こんな策は使わない。
「さて、と」
敵が戻ってくるかもしれない可能性を考慮して、虞翻は石畳の道を急いで走っていった。揚州には使える奴がいるといいが………
―――誰だ、こいつは
標的を殺し終え、次の標的を探そうと崖岸から振り返ると、夏侯覇から8メートルほどか、その大男は立っていた。
おおよそ夏侯覇が今まで見てきた猛者の誰よりも、その男は勝っていた。
それは屈強な体であり、屈強な体からにじみ出る威圧感であり、殺気だった。
右手に青龍が刻まれている、大きな偃月刀を携え、夏侯覇を見据えている。
その瞳には狂気が宿っているように見えた、しかしよく見れば、それは狂気なのではない。
この男は狂っているのではなく、正常なのだ。ごく正常の状態で、俺を殺そうとしている。
「あんたが誰だか知らんが―――」
男の目がピクッと動いた、
「―――俺が持っているのは銃だ。献帝の護衛が使っていた、あの武器だ。比べてあんたは接近用武器。距離から考えるに、俺の方が有利だ。
あんたは俺を殺そうとしてるようだが、悪いことは言わない、やめておいた方がいい」
知らず夏侯覇は、戦いを避ける方向へ話を持っていっていた。本当に有利なら、即座に撃てばいい。それはわかっているのだが、男の威圧感に完全に呑まれていた。
- 263 名前:虞翻と夏侯覇 5/5 投稿日:2006/07/19(水) 22:37:44
- 「それだけか」
男が呟き、偃月刀を構えた。殺気がますます濃くなり、夏侯覇の背には冷や汗が流れていた。
やられる―――ヤらなきゃ、ヤられる。
恐怖が夏侯覇を駆り立て、指に引き金を引かせた。銃声とともに弾丸が飛び出す。が、弾丸の軌道に、すでに男はいなかった。なんだ、どこだ!?
見失ったのは一瞬で、視界の左よりに男はいた。しかし、すでに遅すぎた。夏侯覇はもはや、男の攻撃範囲の中に入っていた。
―――なんだこいつは―――なんなんだ―――
男は偃月刀を振り、夏侯覇は事切れた。間をおいて、夏侯覇の首は胴体からずり落ち、崖下へ落ちていった。
男、呂布は残った胴体から銃を取り上げると、胴体はバランスを崩し、首を追うようにまた崖下へ落ちた。
呂布は崖下を見下げる。石畳の道を何者かが走っていたが、呂布の視界からはもう消えかけていた。
しかし、荊州には人がいなかった。まだこの雑魚一人だ。
あの男は東へ向かっているのか? 東には、骨のある奴も少しはいるかもしれんな。
@虞翻【遊戯王カード(2枚)】
現在地は荊州。揚州へ向かっています。
@呂布【関羽の青龍偃月刀、ドラグノフ・スナイパーライフル】
※現在地は荊州。東へ向かいます。
【夏侯覇 死亡確認】
- 264 名前:虞翻と夏侯覇 訂正 投稿日:2006/07/19(水) 22:42:47
- すみません、>>263訂正です
@虞翻[右肩被弾、頬軽傷]【遊戯王カード(2枚)】
現在地は荊州。揚州へ向かっています。
@呂布【関羽の青龍偃月刀、ドラグノフ・スナイパーライフル】
※現在地は荊州。東へ向かいます。
【夏侯覇 死亡確認】
- 265 名前:真相は闇へ1/2 投稿日:2006/07/19(水) 23:38:37
- 「おい、見つかったか?」
「いや、まだだ」
二回目の放送が始まるずっと前から、洛陽城内は武官、文官を総動員しての大捜索が行われていた。
事の発端は管理局が拾った一つの会話である。
「こりゃあ、大変だ!ただちに城内に緊急警戒態勢を!」
その内容は偶然にも首輪の能力が無効化され、参加者の一人が城内に侵入したという内容だった。その報は城内に知れ渡り、洛陽の城は大変な騒ぎとなった。
「まったく、久々に開催したと思ったらこれだ。やっぱりチェックがぬるいんじゃないか?ここは」
「確かに、他のフィールドはここまで大変な事態にはなった事はないらしいしな」
武官A,Bの会話を一人の人物が聞いていた。天井裏に隠れている胡車児である。
(久々に開催…?他のフィールド…?どういうことだ?俺達意外にもこんな目にあっている奴等がいて、しかも俺達は前もこれに参加していたとでもいうのか?)
その瞬間、胡車児の脳内にビジョンが浮かぶ。張遼と張燕、オレンジ色の星が入った球、ウエディングドレス、化け物、涙を流す張遼。
(なんだ!?この記憶は?こんな記憶は知らんぞ!?…まさか、これが前に参加した俺の記憶…?)
張繍の配下として戦い、典韋に殺され、終わった自らの生では体験したことはない、だが、心のどこかで、体験したと確信してしまう記憶。
(この記憶が本当ならば…)
自分達は何回も、こんな殺し合いをさせられていた。そう考えると、こんな物を作りだした人間に、抑えようの無い怒りが込上げてきた。
(ふざけるな!俺達は見世物じゃない!一人一人、意思を持った人間だ!それを、それをこんな…)
許してはならない。自分達は意思を持った人間なのだから。償ってもらわねばならない。そうでなければ今この時、そしてこれまでに散った者達が報われない。
- 266 名前:真相は闇へ2/2 投稿日:2006/07/19(水) 23:39:20
- 「そういえば、結局どうなったんだ?ここまで延期になった理由のあいつらは?」
「死体は見つかったそうだが…第二回の例もある。またぶち壊す機会を狙ってるかもしれんな。ま、上の奴等は信じきってるみたいだが。じゃなきゃ、こんな事態にならんよう、厳しくチェックしてるだろ。」
武官達の発言に胡車児は興味を示した。
(あいつら…?ぶち壊す…?過去、この殺し合いをぶち壊した人間がいたってことか?死体は見つかったそうだが、あの武官の言うことを信じるなら、生きているかもしれない。なら…)
胡車児は自分のすべき事がわかったような気がした。もしも、そいつらが生きてるという希望があるならば、そいつらが乗り込みやすいようこの城で大暴れをしてやればいい。そして、あわよくば劉協を殺す。自分は闇の胡車児だやってやれない事はない。
掻き回すだけ掻き回す。そうすれば、自分達は助かるかもしれないのだから。
(その為には、まず張燕に連絡を取らねば)
そして胡車児は闇へと消え、張燕に連絡を取った。
「こちら蛇、張燕、聞こえるか」
ガガガ…ガガ
「どうした、蛇?」
ガガガ…ガガ
「大変な事がわかった。実は…」
ピピピピピピピピ
その瞬間、胡車児の首輪が鳴り響く。
(馬鹿な!俺の首輪は機能停止したはず。まさか…一時的だっ)
ボン、という音と共に、胡車児の首はトランシーバーと共に吹き飛んだ。
数分後、音を聞きつけた武官達が現れ、死体を回収した。
【胡車児;死亡確認】
@張燕【トランシーバー】(混乱)
※現在南陽、首輪の機能停止は一時的(でも長時間)のようです
- 267 名前:傀儡の紐を断つ悪夢 1/2 投稿日:2006/07/20(木) 05:21:51
- 目が覚めたとき、空はまだ下の方に微かな日の光を帯びているだけだった。
余りに喉が渇いていたので、馬岱は中途半端な時間に目が覚めてしまったのだ。
支給された水は、透明で弾性のある容器2本に分けて入れられていた。小さな螺子式の蓋が付いている。
それを開けて少しだけ口に含む。思うがままに飲んでしまったら如何程あっても足りない。
水を飲んだ後、その場に座り込み涼みながら夜明けを待っていた馬岱だったが、ふと微かな声に気付く。
側で未だ眠っている筈の姜維だ。酷くうなされているようだった。
「……ううっ……申し訳ありません丞相……ほんの……出来心……
ああ、馬岱どの、助け……て…………」
一体どんな悪夢を見ているのかと思って姜維の顔を覗き込んだ馬岱だったが、冗談抜きでこの上なく
顔面蒼白の汗びっしょりだったので、そこはかとなく危機感を感じて姜維を揺り起こした。
「う、うわあああぁぁぁっ! …………あ、馬岱どの……」
あまりに派手に驚くものだから、起こした馬岱の方が殊更驚いてしまった。
「……大丈夫か?」
「え、ええ……」
実際のところ余り大丈夫そうには見えない。呼吸が乱れている。汗に濡れた髪が額と頬に張り付き、
憂いと苦悶を帯びた表情と相まって、独特の雰囲気――色っぽい、って言うのかな――を醸し出している。
姜維は何かから逃れるように二、三度頭を振り、身の底から搾り出すような深い溜息をついた。
「……とても厭な夢を見ました」
……そりゃそうなんだろうな、と馬岱は思った。敢えて内容については聞かない事にした。
- 268 名前:傀儡の紐を断つ悪夢 2/2 投稿日:2006/07/20(木) 05:23:37
- 「ときに馬岱どの、私には、初めからこの『殺し合い』が何か別の意味を持っているように思えてならないのです。
何かを仕組まれているような、試されているような」
何とか少し落ち着いた姜維に出し抜けに問われた。表情からして、先程の悪夢が未だ思考から抜け出てないようだ。
「……そもそも仕組まれてて試されてるんじゃないのか、これ」
いきなり集められて殺し合いをしろ、とか言われちゃう状況がそもそも普通じゃないし、と馬岱は突っ込んだ。
「そうかも知れませんけど……『では何故仕組まれて試されるのか』って辺りが気になりませんか」
確かに気になる。誰が何の為に――いや、献帝なんだろうけど、結局何がしたいのか良く解らない。
「ですが、私には拙い推測しか出来ません……悔しい事に、材料が足りないのです。なので可能な限り情報を集めたいのが一点、
丞相の知恵をお借りしたいのがもう一点。もっとも、聞いたら自分で考えろと言われそうですが――」
と言ってくすくすと笑った。先程の翳りのある表情は既に無い。
「これが私の目的です。改めて聞きますが、もし宜しければ力を貸して頂けないでしょうか? 馬岱どの」
「勿論。オレとしても色々気になってるから、とことん付き合わせて貰うよ」
姜維と馬岱は互いの右拳を付き合わせた。
「そういえば、昨夜何か変な歌声が聞こえたんだけど、誰だろう?」(※陸遜です)
「……さあ? あ、そういえば司馬懿どのは未だ近くにいるんでしょうかね……」(※超ニアミスの予感)
語らう声に、死亡者放送が重なる――(>>221)
諸葛丞相を捜すふたり、間も無く五丈原。
無論、場所が見当違いである事、諸葛亮が姜維達はおろか劉備すら面識の無い状態であること、
そして多くの者が未だ近い範囲にいることも、未だ知らない。
<<丞相を捜せ!/2名>>
姜維【なし】 馬岱【赤外線ゴーグル】
※雍州横断中。敵意の無い人から情報を聞く意思があります。戦闘は可能な限り回避。
当面の目的は「(このゲームの理由に迫る為に)諸葛亮捜しと情報収集」。
- 269 名前:268訂正 投稿日:2006/07/20(木) 05:43:22
- × >>221
○ >>220 別に支障は無いですが……凡ミスしました、すみません。 orz
- 270 名前:1/4 投稿日:2006/07/20(木) 18:11:08
- ようやく正平に会えた。思えば長い道のりだった気がした。
だが―。
どうやらここでゲームオーバーらしい。
死の銃口がこちらを向いている。最後の最期で友に会えたのは僥倖だったか。
そう思い、眼を閉じようとした瞬間だった。
―強い衝撃と共に押し倒され、気が付けば無様に地面に延びていた。
「諦めるのは、八方手を尽くし終えたときだけにしろ。勝手に戦を終わらせるな」
私に体当たりした男はそれだけ言い放った。
「なぜだ…?あんたとは面識がないはず…?」
私は自然に口走っていた。
「さぁな。ここでは理由無く人が死ぬ。
だったら人を助けるのにも理由など要らないんじゃないか?」
一呼吸おいて、
「それに、無傷ってわけじゃない。こめかみから血が出てる」
そう言いつつ刀を抜き払った。
確かに。だがこの程度で済んで、感謝すべきだろう。
あの状況なら確実に死んでいた。
「すまなかった。礼をい―」
「安心するのはまだ早いぞ…。」
ぎり、と唇を噛み締めながら彼はつぶやいた。
その通り。戦況は五分じゃない。
刀VS銃。
子どもでもわかる。
…不利すぎる。
- 271 名前:2/4 投稿日:2006/07/20(木) 18:12:00
- …死んじゃえよ!!
悪意を込めたその弾丸は、あやまたず孔融を捉えたはずだった。
しかし、横合いから、孔融は電光石火の勢いで体当たりされ、彼の眉間を狙った弾丸は、そのこめかみを掠るだけに到った。
なんでだ。どうしてどいつもこいつも邪魔したり、騙したりするのか。
いらいらする。頭の中で虫か何かが走り回ってるみたいだ。
「みんな死んでしまえ!! 」
銃を構える。残りの弾は3発。邪魔者は4人いる。
くそ。ひとり殺せない。
―え?4人!?
動揺した瞬間に、また一人邪魔が入った。
構わない!!死んでしまえ!
引き金に掛けた指に、力が入る。
―今度は、満寵自身が体当たりされたが、至近距離だったため、銃を構えた手の位置が、体当たりでぶれても、その弾丸は駆けつけた邪魔者―田疇の右胸を貫いた。
- 272 名前:3/4 投稿日:2006/07/20(木) 18:13:45
- 「みんな死んでしまえ!」
いけない!
心臓が早鐘のように鳴る。
猛然と走った。ここまで死ぬ気で走った記憶はあまりない。
(くっ!!間に合え!!)
おそらく、発砲するのと体当たりするのは同時だった。
くぐもった『バン!』という音が聞こえた。
次の瞬間、全身から力が抜け、膝が折れた。
「が…!!ごほ……!!」
右胸が苦しい。脳が酸素を求めている。自分の頭がガンガン殴られているようだ。
あり得ないほど血を吐いた。視界が狭まる。
どうやらここまでかもしれない。
駆けつけたまでは良かったが、何の役にも立てなかった…。
『―それが望んだ結末なのか?』
どこかから、声が聞こえた。
それは、懐かしい朋友の声のような、穏やかで、しかし芯の通った声だった。
その声が、立ち上がる体力をくれた。
「…まだ、おわって…ないぞ…!」
それは、大出血しながらの壮絶極まる立ち姿で、凛とした威厳があった。
- 273 名前:4/5 投稿日:2006/07/20(木) 18:20:13
- 「…おい…潘…しょ…う…きこえるか…? 」
なぜ彼が斬りつけてきたのかが、今わかった。撃たれたショックで、記憶の断片が戻ってきた。
―猫耳、潘璋、元譲、陳留、みかん、公孫サン―。
―ああ、ようやく思い出した…
「聞こえるぞ!!なんだ!?」
彼が大声で応える。
「…ふく…しゅ…うに生き…るのもじ…ゆうだ…」
喋っている間にも攻撃されるかもしれない。だが、これだけは伝えなくては。
「…だが…それ…にとら…われ、歪ん…だ…生き方…をす…るな!!」
「田疇!!しかと聞き止めたぞ!!」
よかった。私の声は届いたらしい。後は、満寵をどうにかするだけだ。その余裕があれば、だが。
- 274 名前:5/5 投稿日:2006/07/20(木) 18:20:59
- 「くそう!!いい加減に死ね!!」
今まで彼が発砲しなかったのは、田疇の言葉に聞き惚れた訳ではなく、その威圧感に手が出せなかったからだ。
バン!!
バン!!!
さらに二発の弾丸が、田疇の体を貫いた。
これは、確実に致命傷だった。が、しかし―。
もはや歩くだけの力さえ残ってないはずの田疇が、銃弾を受けながらも前進し、満寵の首輪を掴んだ。
満寵は、弾倉が空になったことも知らず、ひたすら引き金を引き続けていた。
言葉にならない声を上げながら。
「…うらぎり…者…は…消え…るし…かない」
最期に、田疇は夏侯惇のいる方に向かって微笑んだ。
田疇は一気に首輪を引きちぎり、次の瞬間、爆発音と共に、彼の首輪を掴んでいた右手と、満寵の頭部は吹き飛んでいた。
それが引き金になったかのように、ゆっくりとくずおれる2人。
だが、潘璋には、田疇の口から『ありがとう』という声が聞こえた気がした。
今は、田疇の眼には星だけが輝き続けていた。
【田疇 死亡確認】【満寵 死亡確認】
@禰衡[脇腹負傷]【農業用スコップ】@孔融[こめかみかすり傷]【???】@潘璋【備前長船】
※広辞苑、S&W M60 チーフスペシャル(弾切れ)、刺身包丁は放置。他の状況はそのまま。
- 275 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/20(木) 19:24:36
- 力任せの大声と、それによって生まれた絶妙なる不協和音が辺りを異空間にした。
さらには人を不快にする酒の匂いが、その音に乗って飛んでいた。
「これは素敵なちょいといかすー! 歌って笑って御陽気にー!
しゃんしゃん手拍子足拍子ー! しっかりやりましょ時間までー!
貴方が私にくれたもの!麒麟が食べ残したピラフ! キャラメル拾たら箱だけ〜!! おかしな言葉を喋る、酒井のりピー!!
誰だ誰だ誰だ! ストーブコンロに火をつける!赤い炎のチャッカマーン!!
サラダー、自由よー! 食べ放題よー! レタスータマネギー!トーマトー!!
っときたもんだぁ!」
(ここまで反応がないとなると、本当に誰もいない、と考えた方が良いか。
さぁ、懐かしの許昌、何が待っているのだろうな。)
夏侯楙が門に足を踏み入れたその時、足に細い糸が引っ掛かった。
さすがの夏侯楙も気付いた、しかし、それは糸に対してではなく、後ろからの巨大すぎる爆音に対してであった。
「のごぁっ!!??」
前方の道路に大きくに吹き飛ばされる夏侯楙、かろうじて大怪我は防げたものの、衝撃を防いだ両腕から血が滴った。
「っっ!! っ痛ぇな、糞!! 誰が仕掛けやがった・・・
はん、こんな罠じゃあ俺は死なないぜ! 親父くらいの輩がごろごろ来るっていうならかかってこいやぁ!!」
(故郷に罠を仕掛けられるとはな・・・ おそらく魏の者達ではないな。)
「おうおうおう。コノヤロウ! 姿を見せろってえうんだ!
俺は奥歯も凍るようなキスをするまでは死なないからな!」
燃え上がる北門をバックに、夏侯楙は叫びながら南門へと向かう………
@夏侯楙[両腕擦り傷]【越乃寒梅】
※許昌内部に来ました 韓玄の罠にかかり北門が炎上開始、他の門より脱出を試みます。
- 276 名前:いつか見た夢 投稿日:2006/07/20(木) 22:00:56
- 『伯寧』
徐晃がいた。笑っていた。少し悲しそうに。
何か不愉快な事がたくさんあったような気がしたのだけれど、
きっと悪い夢だったのだろう。
遅い。遅すぎる公明。
君はいつだって要領が悪すぎる。
だから楊奉なんかのところにわざわざ君を迎えに行く羽目になったんだぞ。
『すまなかった』
いいんだ。もういいんだ。
ただ何だか眠くて、酷く疲れてしまった。
徐晃が手を差し伸べる。
満寵が見上げると、徐晃はいつの間にか少年の頃の姿になっていた。
その手を取った満寵もまた。
『行こうか』
二人とも笑っていた。胸は高揚感で一杯だった。
光る階を、二人は競うように昇ってゆく。
すごい。
二人なら何でも出来ると思っていたし、どこまでだって行けると思った。
それは本当だったんだ!
満寵は徐晃の死亡者放送を聞かずに逝った。
それは満寵に与えられた唯一の慈悲だったであろう。
……改めて【徐晃 満寵 死亡確認】
- 277 名前:襲撃者1/2 投稿日:2006/07/20(木) 22:42:33
- まさか、某にあんな数多の英雄のような体験のチャンスが巡ってくるとは、その時は夢にも思わなかった。
昼の下[不β]城の裏路地で、俺はたまたまその事件現場に遭遇してしまったのだ。
「やめてください、お願いですから・・・」哀願する美女を取り囲むように
「いいじゃねぇかぁ、少しくらいつきあってくれてもよう!」と、3人の武将。
「・・・やめないか、悪党。」思わず、口をついで出てしまった挑発の文句。もう後には引けない。
逆上する3人の武将。液体ムヒを手にしたやつもいる。
ならば・・・と、俺は左手で、懐からPSPを取り出す。
「PSPキック!」俺はすかさず、正面のチロルチョコを持ったチビの鳩尾に蹴りを叩き込む。悶絶し、倒れるチビ。
「PSP裏拳!」返す右拳を、唖然とする鉢巻き頭の顔面に叩き込む。鼻の骨が砕け、昏倒する。
「PSPエルボー!」もう一人の詩人の頭蓋骨を叩く。
「PSPチョップ!」残るひとりの頚動脈を断ち切る。
一撃必殺。
一瞬にして、俺を取り囲むように倒れ悶絶する血ダルマが4つできあがった。
「次からは、相手を見て喧嘩を売ることだな・・・。」
返り血で真っ赤に染まったPSPを拭き取りながらそっと、俺に勝利をくれたPSPにつぶやいた。
「持っててよかった、PSP。」
- 278 名前:襲撃者2/2 投稿日:2006/07/20(木) 22:44:10
- @張遼[錯乱]【PSP】
※脱兎の如き勢いで、南の方へ逃げ出しました。
@孫尚香【シャンプー(結構入ってる)】
※呆気にとられています。頚動脈の少し上を切られましたが、問題ありません。
<<ふたりの詩人とひとりのアモー/3名>>
@曹操[軽い打撲]【チロルチョコ(残り88個)】
@陸機[頭部より少量の出血]【液体ムヒ】
@呂蒙[鼻を負傷]【捻りはちまき】
※孫尚香と会話していた所を、何かを勘違いした張遼に襲撃されました。
張遼はPSP拳法を完全にマスターしていないので、全員軽い怪我で済んでいます。
- 279 名前:第二の侵入者 1/5 投稿日:2006/07/21(金) 00:06:18
- 顔良は歩いていた。
右腕は肘から先が吹き飛んでおり、その傷口は焼けて閉じている。
顔もひどい有様だった。右目は完熟した卵のように固まり、頬は溶けた蝋のように垂れており、
口は端がくっついて開かず、髪はほとんどが燃えて焼けた頭部の皮膚が晒されていた。
服は焦げてところどころに大小さまざまな穴が空き、その穴の先に膨れ上がった皮膚が見えている。
足取りはもつれ、左右に不安定にふらつき、転びかけ、まともに前にも進めていない。
それでも顔良は歩いていた。
東、陳留、曹操、殺す
方向も地図も確かめないまま、ただがむしゃらに進んでいても陳留へ着けるはずはない。
しかし。顔良の朧気な思考の中では、彼は東の陳留へ歩いていた。
陳留、曹操がいる所、曹操、宦官の孫、乞食の息子、袁家の敵、倒すべき敵、
曹操、殺す、関羽、殺す、曹操に味方するやつ、みんな、殺す
そのうち顔良の左目に、城が見えた。
大きい城だ。
外壁には竜や鳳凰などの幾多の模様が描かれており、中にわずかに見える高い建物は、その頂点に金の大玉が載せられていた。
曹操、このような城、帝を差し置いて、悪逆無道、不義不忠、絶対悪、死すべき敵
もはや彼の思考には、前世と今生、正常と異常の区別が付いていなかった。
ここは陳留でもなく、曹操が立てた城でもなく、漢の首都・洛陽だった。中に見えるのは、漢の宮殿である。
そして、今まさに、胡車児侵入騒動が中で巻き起こっていた。
曹操、殺す、俺が、殺す、この城、ぶち壊す
顔良にもっとも近い城門、東門の門番はマシンガンを持った文官一人しかおらず、城門も門番が城に戻るために開けたままだった。
普段は最低でも4人が配備されているのだが、今は胡車児のため分散していたのだ。
顔良はその門に近づいた。そしてその文官を見た。
あれは、誰だ、長い髭、赤い顔、青龍偃月刀、あれは、関羽!
実際にはそれは呉碩というかつて劉備・董承とともに曹操暗殺を計画した一人だったが、
しかし、顔良には関羽でしかなく、マシンガンは青龍偃月刀だった。
関羽、殺す、恨み、晴らす
- 280 名前:第二の侵入者 2/5 投稿日:2006/07/21(金) 00:07:32
- 「ウォオオオオオオオ!!」
呉碩は一瞬、虎の雄叫びを聞いたのかと思った。虎? 洛陽に?
雄叫びの聞こえた方を向く。虎ではなかった。しかし、恐怖感は虎に会う以上だった。
それはまさに怪物だった。全身が赤く、溶けかかり、あるいはふくれた、怪物だった。
顔良の左腕が、呉碩の顔面にめり込んだ。その衝撃に顔骨をへこませ、マシンガンを取り落とし、呉碩は地に倒れる。
馬鹿な―――あの首輪は参加者のものだ――なぜ、どうして、こんな立て続けに――
顔良が呉碩の顔面を、右足で思いっきり踏みつけた。骨が割れる音と、肉が潰れる音が合い混じる。呉碩は息絶えた。
顔良はマシンガンを拾う。顔良にとってさっきまで関羽が握っていた青龍偃月刀だったが、関羽が話した途端、マシンガンの姿に変貌していた。
「て、敵襲ーーー!!」
ようやく城壁の上の見張りが、顔良の来訪を叫んだ。見張りもまた、侵入者探しに人を取られていたのだ。
顔良は見張りに向かってマシンガンを撃ち、瞬く間に見張り――名をチュウ輯、顔良には張遼に見えた――を殺した。
こうして顔良は、洛陽城の中に足を踏み入れた。ちょうどその頃、胡車児の首は吹っ飛んでいた。
城内東門前には、敵はまったくといっていいほどいなかった。
胡車児探しのさい、最初に根ほり葉ほり探されたのが城内東門前であり、そこにいないとわかるや別の場所へ検索しに行っていたからである。
チュウ輯の叫びも、ほとんど届いていないだろう。
顔良はまっすぐと突き進み、曹操がいるであろう中央の宮殿へ急いだ。
曹操め、待ってろ。必ずこの顔良が見つけ出して、ぶっ殺してやる!
この時彼の足取りはしっかりしており、思考も幾分か正常になっていた
(もっとも、ここが曹操の城で、いるのは曹操とその配下だという妄想はそのままだったが)。
門前での殺戮が、もとより戦い好きだった顔良を刺激を与えたのだろう。
中央に近づくにつれ、敵も顔良の存在に気付いてきた。
―――なんだ!? 侵入者は死んだのではなかったのか!
―――いや、別の参加者のようだが
―――なんてこった、なぜ侵入者が二人も! 管理局は何をしている!
- 281 名前:第二の侵入者 3/5 投稿日:2006/07/21(金) 00:08:30
- やがて、銃を持った武官が顔良の前を立ちふさがる。
しかし顔良のその姿と、マシンガンの威力に圧倒され―――軒並みいる文武百官には、内部反乱を防ぐため
重役と門番以外に高威力の武器を持たせていなかった――皆死んでいった。
もちろん顔良も無傷というわけには行かなかった。顔はますます酷い状態になっていったし、ある弾丸は脳に至る直前で止まっていた。
体に多数の穴を開け、しかしそれでも、無限の狂気と強靱な肉体で持って耐えていた。
張遼、楽進、于禁、徐晃、李典、李通、臧覇、呂虔、曹仁、曹洪……
曹操軍名将猛将と謳われたお前等も、しょせんこの程度かぁ!!
顔良は実際に献帝の臣を、妄想で曹操の将を、それぞれ殺し進みながら、やがて宮廷の大門をくぐり抜けた。
そして顔良は、宮殿内部への門の警備、王子服と呉子蘭(顔良には夏侯惇と夏侯淵に見えた)と対峙した。
二人はそれぞれ、地面に固定したロケット砲と重機関銃で待ちかまえていた。
顔良は2人に見えないように建物の影に潜み、不意に飛び出してマシンガンを乱射した。
呉子蘭は真っ先に即死し、王子服はロケット砲を一発放ったもの続いて死んだ。
ロケット弾は顔良には当たらなかったものの、背後の建物に命中し、大きな爆発を起こした。
当然顔良や他周辺の武官にも衝撃がくらい、武官のほとんどは爆発に死に、顔良は背中を焼き焦がし、背骨が不自然に折れ曲がった。
内臓への負担も激しく、顔良は転がり回ったあとに多量の血を吐いた。視界がぼやけ、足に力が入らなかった。大きな爆発音のためか、聴覚を失った。
爆風が止んだ後、武官達は我に返り銃を撃った。顔良は転がりながらそれを回避しようとしたが、何発かが胴体に入り込んだ。血を吐く。
顔良は撃たれながら、残った力でマシンガンを乱射した。大きな反動にまた血を吐く。
しかし辺りは、ほとんどが死んだか逃げ出したか、静寂になった。
すでに顔良は肉体は限界を越えていた。全身が穴だらけになっており、元の火傷など生やさしいものに見える。
- 282 名前:第二の侵入者 4/5 投稿日:2006/07/21(金) 00:11:58
- 死なぬ、曹操、貴様を殺すまで………!!
強靱な肉体がぼろぼろになっても、無限の狂気は健在だった。
狂気をもって、肉体に叱咤する。こんなところで朽ち果てるな。曹操だ。曹操を倒すのだ。
ずるずると、顔良の体は動いていった。殿への階段の段差を利用し、三肢を駆使して立ち上がる。
筋肉がつぶれる音がし、腕からのこり少ない血が噴水のように噴き出した。
曹操……曹操……曹操……
階段を足の筋肉を破壊しながら登り、入り口の門を開ける。門を開けるのも、限界以上の力を引き出さなくてはならなかった。
ゆっくり、ゆっくりと開く門。中からの、照明の光が外に漏れ出る。やがて、勢いづいた門は、自然と全開まで開いていった。
―――扉を中心に、弧を描いて何十人もの銃を携えた近衛兵が並んでいた。
そして真っ直ぐ先、はるか段上の上、献帝は微笑を浮かべながら玉座に座っていた。側には女性2人と、武官1人が立っていた。
曹操! いた! 女を側に! 侍らせて! 中央に! 玉座に! 不忠にも!
あの豪傑は! 許チョか! いや! 関係ない! 狙いは! 曹操のみ!
食らえ! 死ね! ここまでだ! 曹操!
顔良は引き金に手をかけた。が、次の瞬間には、散らばった幾多の肉の塊へと化していた。
「単独でここまで来れたことを褒めて遣わそう」
献帝は相変わらず微笑みながら、顔良だった塊の数々を見下げていた。
「顔良に威侯と諡を与えよう。次の戦いも頑張るのだぞ」
側にいる董承が、心配そうに言葉をかける。
「奴1人がために、王子服を始めかなりの文武百官が殺されました。
このままでは、次の侵入者があったのでは……」
「それもまた楽しくはないか?」
献帝の悪戯な笑みに、困惑する董承。何を言っておられる? この方は
「し、しかし………」
「まあ、冗談だ。
しかし胡車児や顔良のような、首輪の生存信号も死亡信号も出さないような参加者がいる場合、警備を厳重にした方がいいな」
董承はまだ不安だったが、それ以上追求しても意味がないだろう。なので、次の疑問を口にした。
- 283 名前:第二の侵入者 5/5 投稿日:2006/07/21(金) 00:13:24
- 「なぜ、首輪の機能が停止してしまったのでしょうか?」
この騒動の、唯一にして重大の謎はそれだ。なぜ、まだ二日目にして2人も首輪の機能を止めることができたのか?
「火だ」
ポツリと、献帝が口にした。
「胡車児は洛陽城を出たあと、許攸に遭遇し、火炎放射器で攻撃された。避けたようだが、その時に火が首輪に接触したのだろう。
顔良はというと、これは馬超に手榴弾を投げられたグループの唯一の生き残りだ。相当焼け爛れていたようだし、首輪にも火が当たっていたと見て間違いない」
なんともあっけない結論だった。火だって?
「そんな簡単に……道具制作部の連中は、何を………」
「まあ、そう支障があるわけでもない。自ら禁止区域へ進む奴もそうおらんはずだ。
しかし、そのことに万が一でもこの事に気がついた奴は、こちらとて容赦はせん……」
献帝の顔から笑みが消え、不気味な光が瞳に宿った。
「なあ、伏寿、曹節?」
2人の皇后は、かすかに微笑み、献帝に同意した。
かくして、ようやく侵入者騒動は終止符をうたれた。
【顔良 死亡確認】
- 284 名前:猛虎は解き放たれた1/2 投稿日:2006/07/21(金) 00:19:21
- 長安のある洞窟、そこに孟達は潜んでいた。錯乱もいくらかは収まり、残った左腕で、死亡者リストに、丸をつけていく。
「くそっ!左手では書きにくいわ!」
止血し、肩から先が無くなった右肩を見て忌々しげに呟く。
「忌々しい腐れ軍師め、今頃は劉封達と合流でもしたのだろうか…?」
龐統の姿を思い浮かべ、殺意を募らせる。
「だが、利き腕が無くなった今、奴等を殺せる自信はない。」
何より、今頃、徒党を組んでる可能性もある。そうだとしたら、こちらはさらに手が出せなくなる。
「やはり、仲間を作るしかないか」
孟達の脳裏に、魏の武将達が浮かぶ。
「奴等なら、主君を守る為に、乗っている奴もだろう。そいつらをうまく丸め込めばいい」
そして奴等を始末した後に、そいつも始末すればいい。孟達の顔に先刻の邪笑が浮かぶ。
そうと決まれば話は早い。孟達は、魏の武将がそろっているであろう地、許昌へと向けて、歩を進める。
歩くこと数十分して孟達は一つの影を見つけた。
(あれは…許褚!どうしてこんな所に?)
意外な武将の登場に、孟達は一瞬驚いたが、すぐに邪笑を浮かべ、永安で劉封を見つけたあの時のように、自らの幸運に酔いしれた。
(何という幸運だ。魏の将、しかも丸め込みやすそうな許褚ときたもんだ。よし、ここは人のいい笑みを浮かべながら行くとしよう)
- 285 名前:猛虎は解き放たれた2/2 投稿日:2006/07/21(金) 00:20:43
- 「許褚殿〜!」
許褚が、声のした方を向くと、笑顔を浮かべた孟達が走りよってきた。それを見て許褚も笑みを浮かべる。
「あ〜、孟達じゃねぇか〜」
その人の良さそうな笑みを見ながら孟達は内心ほくそ笑む。
「いや〜、助かりました。支給品には恵まれたのですが、敵の襲撃にあい、このザマで。許褚殿のような武勇に優れた将を探していました。」
「いや〜おいらも助かったよ〜。おいらの武器はこれでな〜。遠距離の武器が欲しかっただよ〜。」
そう言うと許褚は支給品の大斧を持ち上げる。
「そうですか、それはそれは、安心してくだされ。これからは某が許褚殿の手助けをいたします故」
「いや、おめぇはいらねぇ。」
その瞬間、許褚が大斧を横一線に薙いだ。「え?」と、いう顔を浮かべた孟達の首が、ごろり、と落ち、首と分断された胴体が、ドサ、と、いう音と共に倒れた。
「おめぇは、信用がおけねぇ」
それだけ言い捨てると、許褚は、孟達のスナイパーライフルを担いでその場を後にした。
「曹操様、曹操様はおいらが必ず生き残らせてみせるから。絶対死んだら駄目だぞ」
主君一人を生かすため、ゲームに乗った許褚。まず向かうは西涼。その後、漢中を越え成都へ。その次は荊州を渡り、建業へ。そして最後は許昌へと赴き、曹操以外の全てを殺す。たとえ、それが仲間であっても。
「魏の皆は、わかってくれるだな?」
悲壮な決意を胸に、一匹の虎が、今、全ての参加者に牙を剥いた。
【孟達 死亡確認】
@許褚【スナイパーライフル、大斧】
※天水を抜け、西涼を目指します。その後は↑のルートで
- 286 名前:1/3 投稿日:2006/07/21(金) 11:43:07
- 曹植は荊州北部の道を慎重に歩いていた。
「……なんだろう。誰かいる気がする」
<<後追う南蛮夫婦>>の二人はいまだに彼をつけていたのだ。
だがさすがに曹植も異変を感じてはいるようである。武の修行を積んでいなくとも父の偉大な血の力なのか。
はたまた孟獲と祝融の二人の尾行があまりに下手なのか。
「祝融、いい加減襲っちまおうぜ。大丈夫だぞ、きっと」
「あいつの武器が厄介なもんだったらどうしてくれんのさ。アンタ盾になってくれる?」
「いや、それは……。だが見ろ、あんなヒョロヒョロの男に負けるわけないだろ」
「だから、アンタは銃ってのの恐ろしさを知らないんだから黙ってて。そんなんだから諸葛亮に負けんのさ」
「ぐう……」
彼らは、武器を探していた。
孟獲の支給道具は『サーマルゴーグル』というものだった。熱源探知ができるらしいが、彼に言わせればこんなもの戦いの役には立たない。
祝融の武器は木製のブーメラン。一応武器の類に入るが、殺傷能力は低い。
そんなわけで『銃か槍かはわからないが長物をザックにいれた弱そうな奴』をつけてきたのだが、短気な孟獲にはもう限界だった。
「いい。俺が行ってくる。こういうのは性分じゃねえ。確率なんざどうでもいい!」
「ふーん。じゃあ頑張って。ブーメラン貸したげるから」
「おう、任せろ!」
血気に逸り、一気に加速をつけて孟獲は茂みを飛び出す。標的も気づいたが動きが固まっている。あと十五歩だ!
「動くんじゃねえ、ガキ!!!」
「わ、わ、わ」
どうすればいいかわからない曹植は逃げようともしない。
(よしチャンスだ。武器を奪って殺してしまおう)
と、孟獲が考えたその時だった。
- 287 名前:2/3 投稿日:2006/07/21(金) 11:45:35
- 「PSPキィィィィィィィィィィク!!!」
突然大柄な男の飛び蹴りが肩に入り、孟獲はもんどりうって倒れる。
「き、貴様何者だ!」
「ちょ、ちょ張」
曹植は謎の男を指差して何か言っている。
「畜生! 誰かは知らんがぶっ殺してやる!」
ブーメランを棍棒のように持ち替えて跳躍する。だが、謎の男は目の前で瞬時に横っ飛びすると、素早い動きで再度攻撃を仕掛ける。
「超PSPスピン!!」
「PSP、Vの字斬り!!」
どこかで見たような必殺技を繰り出し……。
「必殺!! UMDカッター!!」
PSPから自動的に飛び出たディスクが、孟獲の首を切り裂いた……ような気がした。
唖然とする曹植に、謎の男──もとい、どこかおかしい張遼が声をかける。
「少年! ここは悪党の巣だ。俺についてきたまえ!!」
有無を言わさず抱きかかえると、一気にその場から離脱する。
後には一応なんとなく気絶したらしい孟獲が残された。
「……ざまぁないねえ、アンタ」
わけもわからずのされてしまった旦那に、祝融は呆れてため息をつくばかりであった。
「怪我はないか、少年」
「いや、少年じゃなくて曹植だしそもそも張遼なんで僕に気づいてくれないんだよー」
「俺は苦太羅魏大帝の命ずるままに正義の道を往かねばならんのだ。すまないな」
「だめだ、ぜんぜん話が通じてない」
呆れる曹植。と、電波にやられてしまったような張遼が右手に持っている何かに気がついた。何だあれは?
「では俺は行く。元気でな、少「ちょっとこれ貸してよ張遼」
張遼の手からPSPを抜き取る曹植。そして沈黙が数秒続く。
- 288 名前:3/3 投稿日:2006/07/21(金) 11:47:03
- 「むっ? ここは? それがしは一体?」
「気がついた?」
「こ、これは曹植王子。それがしは……むむ、何がどうなっている?」
曹魏の誇りであった『いつもの張遼』に戻ったのを見て、賢子曹植はなんとなく悟る。
「張遼、今まで何してたか覚えてないんでしょう?」
「……その通りです。洛陽を出た後からぷっつりと。不覚にござる」
「多分これ持ってたからじゃないかな?」
PSPを掲げる曹植。
「何だか宗教の札みたいな変なものだし。長く持ってたら乗っ取られるんじゃないのかな、こういうの」
「はっ。それがしには皆目……」
何やら珍しく赤面する張遼。
「面白そうだし、僕にこれ頂戴よ。僕は変になった張遼も見たくないし」
主の子の頼みとあっては断りがたい。心のどこかで『渡すな』という声が聞こえたようでもあったが、やむなく張遼はPSPを差し出した。
「持っててよかった、PSP……か」
「今何か言われましたか?」
「ううん。張遼には僕の支給武器をあげるよ。一応持ってたけど僕には重くて扱いにくいし」
交換ということで、ザックに入っていた『歯翼月牙刀』という武器を貰った。
鋭い槍に蛇矛のような刃を二つつけた癖のありそうな武器だ。
「ところで張遼、父上や彰兄には会った?」
「いえ、会ってはおりませぬ」
実は思いっきりぶん殴っているのだが、そんな記憶は張遼にはない。
<<フライングディスクシステム搭載/2名>>
曹植【PSP(何か特殊な効果がある?)】張遼【歯翼月牙刀】
※なし崩しにパーティ結成。
※歯翼月牙刀の参考→ ttp://www.gaopu.com/g/hayokutou01.jpg
<<後追う南蛮夫婦/2名>>
孟獲[気絶]【サーマルゴーグル】
&祝融【ブーメラン】
- 289 名前:全世界の信者を動かせる者 投稿日:2006/07/21(金) 13:34:15
- 「特別な力を持つ武器を感じる・・・」
張角は気を飛ばし、支給品が発する念を感じ取っていた。
最も凶悪な武器はDEATH NOTE、
この世の物とは到底思えない念を発していた。
それに・・・『何か』、例えようのない、人外の者の気配を感じた。
他にも不思議な念を発する物は多々あったが、何者かが持つDEATH NOTEを除けば、
自分が持つ支給品に及ぶものは皆無であった。
「レム、もう一つのDEATH NOTEについて教えてくれないか?」
今此処に、DEATH NOTEを持つ者の戦いが再び始まる・・・
<<仙人と人外の者/1名+α>>
@張角[寿命半減]【DEATH NOTE】
※目の取引をしましたが、人殺しをする気は毛頭ありません。
@レム[死なない・見えない]【DEATH NOTE】
※特に何もしない。唯、張角の行動を見守るだけです。
DEATH NOTEに触れた者は、こいつを見れます。
- 290 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/21(金) 15:16:57
- 「む?なんだ、夢か・・・だが恐ろしい夢だったな。」
内容は>>289、死神やら人を殺せる紙など存在するはずがない。
だが、仙人である自分があんな夢を見た事が不思議だった。
───夢は現実と繋がっている
それが張角の考えであり、仙人の力の1つである。
分かり易く言えば、一種の夢占いみたいなものだ。
「少し疲れているのかもしれぬな。休める場所を探そう。」
突然、神をも恐れぬ暴挙に出た皇帝。
そして、このゲームに参加している自分。
「考えるのはやめだ、泰山に行こう。そして己が精神を高めよう。」
向かう先は泰山。己が精神力を高める為に・・・
@張角【???】
※夢から覚めました
- 291 名前:セクシャルバイオレット 凌統ナース! 1/3 投稿日:2006/07/21(金) 22:53:03
- すり潰された薬草の汁が塗られると、不思議なほどに痛みが引いていく。
正直半信半疑であったが、火傷に効く薬草を知っているというのは本当だったようだ。
初めこそ警戒を顕にしていた魏延であったが、今はくつろいだ姿勢で凌統の手当てを受けていた。
もちろん、油断しているわけではないが。
「呂蒙殿も、諸葛亮殿が魏文長様を重用していれば呉は終わりだったと常々言っておられたんですよー」
お世辞とは分かっていても、おだてられていやな気はしない。
そして薬草の効果か、焼けるような痛みを覚えていた皮膚がひんやりと心地良い。
概ねいい気分で、魏延はすぐ傍に落ちていた手ごろな石を拾った。
きれいな放物線を描き、草むらへ石が飛ぶ。
ごん。
いい音がした。凌統が思わず固まる。うっわ、直撃だ。
「どうした? 凌公績。手が止まっているぞ」
草むらに何らかの興味を抱いている様子はまったく見せず、魏延は治療の続きを促す。
「あ、い、いえ……」
動揺を押し隠し、凌統は再び手を動かす。
気持ち良さそうに目を閉じ、魏延は再び……草むらに石を投げた。しかも全く同じ場所へ。
ごん。
2撃目、命中。
「あ、あの……何をされているんですか?」
「ん? いや。なんだか妙に石を投げたくなる草むらだと思わないか?」
「そ、そっスね……あはは」
口の端に笑みを浮かべながら、もう一投。さっきよりも心なしか大きい石。
もちろん、命中した。
- 292 名前:セクシャルバイオレット 凌統ナース! 2/3 投稿日:2006/07/21(金) 22:55:23
- 結局火傷の治療が終わったときには、6個の石が草むらの馬謖に命中していた。
「大分楽になった。礼を言うぞ、凌公績」
「い、いえ、魏文長様のお役に立てたなら光栄ですッ」
「この借りはいつか返そう。ではな」
「お元気で」
軽く手を上げて立ち去る魏延を、いくぶん引きつった笑いを浮かべながら凌統は見送った。
背中はだんだん小さくなり、やがて見えなくなる。
その後ようやく、凌統はぎぎぎと音がしそうなほどぎこちない仕草で振り返り、
おそるおそる草むらを覗き込んだ。
「おい、生きてるか……?」
「許せんっ、許さんぞ、ぜったい許してやらないからなあぁ!!
あの反骨め、次に会ったら殺せ! ぜったい殺せ!!」
見事にこぶができた頭を押さえながら、涙目で馬謖が吠えた。
つか『殺す』じゃなくて『殺せ』なんですか? 実行は俺ですか?
途方に暮れる凌統と怒りに震える馬謖、ふたりの足元にじゃれつく仔犬。
母犬は彼らを見つめて目を細め、ゆったりとしっぽを振っていた。
- 293 名前:セクシャルバイオレット 凌統ナース! 3/3 投稿日:2006/07/21(金) 22:58:02
- 一方、魏延。
もちろん、草むらにひそむ者が居た事は、初めから判っていた。
その正体も初めに聞いた悲鳴で気付いている。
諸葛亮の後ろによく居た、馬、馬……、とにかくなんか馬だ。
斬ってしまおうかと思ったが、考えようによっては奴も諸葛亮の被害者だ。
火傷の治療の礼もある。特に直接の被害は被っていないから、見逃す事にした。
得物のハルバードをぶんっと一振りする。
少し熔けた部分はあるが、なに、まだまだ使える。
さぁ、殺しにいこうか。
@魏延[右腕・顔面右側に火傷(痛み止め済)]【ハルバード(少し融けています)、M37ショットガン】
※痛み止めはされていますが根本的な治療ではありません
※漢中に戻り、丞相を捜せ!に報復するつもりです
<<既視感を追う旅/2名>>
凌統【???、犬の母子】馬謖【探知機】
※現在荊州北部。朝食を摂ってからどこへ移動するか考えます
※諸葛亮、周瑜、陸遜、呂蒙との合流を目指します
※探知機で近づく人間を察知可能
- 294 名前:炎と曹丕と短歌行 1/3 投稿日:2006/07/21(金) 23:43:35
- 曹丕はその後も幾度かうつらうつらしかけた。
極度の疲労と緊張。
傍らの曹幹が与えてくれる、不思議な安堵感。
先程の夢が残した不安感。
そんなものに揺さぶられながら曹丕は夜を過ごす。
軽く目頭を押さえ、静かに参加者名簿を手に取る。
ただぼんやりしていたのではまた居眠りをしてしまいそうだ。
懐かしい名前を見ながら、遠い日の光景に思いを馳せる。
彰はあの屈託のない笑顔でよく手合わせしようと言ってきた。
植はそんな彰から逃げるように私の後ろに隠れたりもした。
そしてよく二人で詩を吟じたりもした。
熊は身体が弱かったが、とても優しく素直だった。その笑顔が好きだった。
幼い頃は、母の見守る庭で共に遊んだりもした。
いつから、その距離は遠くなったのだろう―。
…いつから遠くなったのだ、ではない。
自分から遠ざけたのだ。
それは曹丕が一番良く解っている。
時は流れ、いつまでも子供のままではいられる筈もなく、
また父もいつまでも健在なわけもなく、浮上する後継者問題。
いつの間にやら派閥が出来あがり、彼らはただの兄弟ではいられなくなった。
確かに、後継者になりたかった…とは思う。
- 295 名前:炎と曹丕と短歌行 2/3 投稿日:2006/07/21(金) 23:44:55
- でもそれは金の服が着たかったからではなく、ただ…。
父の顔が浮かんだ。
何故か悲しくなって、曹丕は思考を中断した。
皇帝以外の者が強い権力を持てば、
それは王朝の滅びに直結すると歴史が証明している。
だから彼はかつての王朝と同じ轍を踏まぬよう、皇族―つまり彼の弟たちを遠ざけた。
為政者としての自分の判断が間違っていたとは思わない。
…では、今弟たちの名を見てよぎるこの寂寥感は何なのだろう。
そして今、末の弟を守るこの自分の腕は何なのだろう?
弟に膝を貸している今のこの自分を見たら、仲達や長文は私を叱るだろうか。
或いは失望するだろうか?
許昌が燃えている。
事故や計略、襲撃と思うより前に、
『父に拒絶されている』と思った自分の女々しさが忌々しい。
肩の傷や疲労、そしてあの悪夢のせいで弱気になっているのだろうか。
炎上していない南門からなら入ることも出来そうだが
出てくることも可能とは限らないし、
こんな状態では父が許昌にいるとは考え難い。
ならば…ギョウか。
死亡者放送が聞こえてくる。
曹丕は曹幹の手を握りながら北へと向かう。
たったこれだけの時間で、どれだけの人間が死んだのか。
- 296 名前:炎と曹丕と短歌行 3/3 投稿日:2006/07/21(金) 23:46:09
- 「仰いで帷幕を見 伏して几筵を見る…」
呟くように詠う曹丕。
それは父を亡くした時に詠った詩だ。
今は父を亡くした訳ではない。
だが燃える都とすれ違いの旅路は、
曹丕の心をこの詩を詠った日の様に彷徨わせる。
…とうさまには魔王がみえないの…
…あれはたなびく霧だ…
いっそ滑稽なほどにすれ違う父と子。
「…我独り孤独 この百離を思う
憂心はなはだ疚しく 我を良く知るもの無し…」
どこまでもすれ違う父と子。
この空の下、父もまた同じ「短歌行」を詠っているというのに。
<<パパじゃないよお兄ちゃんだよ/2名>>
曹丕[右肩負傷・手当て不完全、疲労]【スコーピオン(残弾19発)】曹幹【白い鳩】
※現在地は許昌。ギョウを目指します。
※曹丕の傷はきちんと手当てをしないと悪化していきそうです。
- 297 名前:恋姫?無双ドキッ、ナース一人と裴元紹1/2 投稿日:2006/07/21(金) 23:56:56
- 「徐晃、それに、孫策まで…、名将として名高い武将がこうも早く脱落するとは…」
不敗を誇り、軍神関羽を手こずらせた、徐晃。小覇王と呼ばれ破竹の勢いで江東を飲み込んでいった、孫策。二人のあまりにも早い退場に、二人の名前に、チェックを入れ、物思いに耽る。
自分はこのままでいいのだろうか…こうしているうちにも、主君は危機に瀕しているかもしれないというのに。
「姐さ〜ん!」
その思考を呑気な声が中断させる。
「大声を出すな、もし、近くに乗っている奴が潜んでいたらどうする?」
こめかみをおさえながら、偵察から戻って来た男、裴元紹に釘を刺す。
「え、あ、いや、すみやせん」
ナース服を着た趙雲に、釘を刺され、萎縮する裴元紹。何故、趙雲がナース服を着て、裴元紹と行動を共にしているのか、それは二人が会った時に遡る。
「お、俺と付き合ってくれ!」
出会って一目惚れをした次にでてきた言葉がそれである。
「一目会って、あんたに惚れた!頼む!この俺と付き合ってくれ!そしてこれを着てくれ!」
そう言って、頬を赤らめながら、ナース服を出す裴元紹を、呆気にとられた表情で見つめる趙雲。奇妙な沈黙が流れる。
「断る」
沈黙を破った趙雲の返答に崩れ落ちる裴元紹。初恋はものの見事に敗れ去った。
「用件はそれだけか?なら私はいかせてもらうぞ」
「待ちな!」
去ろうとした趙雲は、呼び止める声に、面倒くさそうに振り返ると、そこには不気味に立ち上がる裴元紹、目には欲望の光がぎらぎらと輝いている。
「断られちまったならしょうがねぇ…力づくで嫁さんになってもらうぜぇぇぇぇぇ!」
そう言って、野獣の如く飛び掛る裴元紹を軽々と交わし、すれ違いざまに、胸に一撃を入れる。しかし、
「なんだぁ?女の細腕で殴られても、この鍛えられた体に、そんなもんはきかねぇぞ!」
趙雲の渾身の一撃をものともせず、へらへら笑う裴元紹に、趙雲は思わず、舌打ちをする。
「今度はこっちの番だぜ姉ちゃぁぁぁぁんッ!」
そう言ってまた飛び掛る裴元紹、その時、趙雲一つのアイディアが浮かぶ。
- 298 名前:恋姫?無双ドキッ、ナース一人と裴元紹2/3 投稿日:2006/07/21(金) 23:59:00
- 「たべぎゃぁ!」
すんでの所で、また突撃をかわされた裴元紹が、もんどり打って悶え苦しむ。突撃をかわした趙雲が背後に回り、股間を蹴り上げたのだった。
「すまないとは思うが、こちらも先を急いでいるのでな、失礼させてもらう」
「ま、待ちな…」
内股になりながら立ち上がる裴元紹を見て、趙雲は驚愕する。あそこを蹴り上げて立てる男などいるはずがない。それは誰より、男である自分が熟知していたのだから。
「ば、馬鹿な…あの場所を蹴り上げられてすぐに立てる男なんていないはず」
その問いに、裴元紹は不適な笑みを浮かべる。
「確かに、通常の俺だったら立てなかっただろうな。だが!この裴元紹には夢がある!その為なら、こんな痛みなんともないぜ!」
厄介な相手、趙雲はそれを確信した。理由はどうあれ、強い信念を持った相手というのは、不気味なくらいの生命力を誇る。しかも、狙いが自分であることからして、相手はそうそう逃がしてはくれないだろう。ならどうするか、その時、趙雲は相手の言った言葉を思い出した。
「…そのナース服を着て、行動を共にすればいいのか?」
その発言に裴元紹は、我が耳を疑った。
「え?着てくれるの?」
思いもよらぬ提案に喜び、躍り上がる裴元紹。
「ただし、条件がある!一つ、私は主君を探している故、共に主君を探していただたく。一つ、性行為に及ぼう物なら、また股間を蹴り飛ばす。一つ、主君か私の仲間が見つかった場合、その者も行動を共にする。
これが受け入れられない場合、私はこの身尽きるまでお前に抵抗する!」
「よし!わかった!条件を飲むぜ!」
あまりの即答に、条件を出した趙雲もたじろいだ。こんな美人が、一緒にいてくれる事を許可してくれている。それだけで、彼女いない暦=年齢の裴元紹には夢のようだった。
「あ、ちなみに、お仲間って誰が…?」
その問いに、趙雲は有名な劉備、張飛、関羽の名前を挙げた。その瞬間、裴元紹の顔が凍りつく。
「か、か、か、関羽の旦那―!?関羽の旦那と知り合いなんすか!?」
尊敬している武将の名前を出され、つい敬語になってしまう。
「と、いうわけで、まずは幽州あたりに行きたいんだが、よろしいかな?」
「へ、へい!姐さん」
こうして、趙雲は旅の伴侶、もとい、下僕を手に入れたのだった。
- 299 名前:恋姫?無双ドキッ、ナース一人と裴元紹3/3 投稿日:2006/07/22(土) 00:00:03
- <<ナースと下僕/二名>>
@趙雲【ナース服、化粧品】@裴元紹【なし】
※現在司隷、幽州を目指します
番号一つ増えちゃったorz
- 300 名前:弓腰姫のささやかな決意1/4 投稿日:2006/07/22(土) 12:47:46
- 孫尚香は己のことを強いと思っていた。
武芸を好む男勝りの性格で、父が面白がってそれを煽ったものだから
女の子らしい遊びにまったく興味を示さず、
幼い頃から棒を振り回し、兄たちと一緒になって遊んでいた。
お付きの女官に武装させ、自らは弓を担いで鍛錬に励む彼女は
”弓腰姫”なる通称を与えられた。
しかし母の嘆きを余所に、尚香はその名に誇りすら感じていた。
……私はただの女の子じゃない。
守られ、時に奪われ、男の影にあり翻弄される人生なんてまっぴらよ。
私は、私なりに人生を切り開いていきたいの。
この奇妙な世界に身を置いていることに気が付いたとき、
彼女は少しだけ高揚感を覚えたのだ。
はじめから皆が同じ出発点に立っているこの世界なら、
もしかしたら自分なりの道を行くことが可能かも知れない。
例えそれが血塗られたものであろうとも、
女である身を幾度嘆いたかもわからぬ己にとっては、歓迎すべき世であるに違いないと。
- 301 名前:弓腰姫のささやかな決意2/4 投稿日:2006/07/22(土) 12:48:21
- 「文台の娘であったか。言われてみれば、目元のあたりが良く似ている」
目の前に孫堅の娘がいると知った小柄な中年男が、
瞳を優しく細めてどそう話しかけてきた瞬間、
不覚にも尚香の目から涙がこぼれた。
私は強いのに。
強いはずなのに。
父とはまるで似ても似つかないこの小柄な男のどこかに父の面影を見て、尚香は泣いた。
このゲームが始まってこの方、恐怖を感じたことなぞなかった。
左手には役に立たない支給品を抱え、右手には突然の襲撃に備えて切っ先が尖った棒きれを持ち、
ひたすら彷徨ってここまでやってきたのだけれど、まったく平気だった。
それどころか、開放感めいたものすら感じていたのに。
……父さま。
父さまは今どこにいるのだろう。
- 302 名前:弓腰姫のささやかな決意3/4 投稿日:2006/07/22(土) 12:48:58
- その時だった。
ぴーえすぴー!と叫ぶ男が乱入してきて、風のように暴れては立ち去っていったのだ。
それぞれが軽い怪我を負った四人は、呆然としたまま顔を見合わせた。
「なんだったんだ!? 狂人ですかね?」
「今の男、張遼にとても似ていたのだが……」
「え! 張遼って泣く子も黙る遼来来のですか? うわー! サイン貰っておくんだった」
「おい陸機! おまえ、一応呉の臣下だった身だろう。敵の張遼にサインを貰うなぞ言語道断だぞ!」
「阿蒙さんってばカタイなー。こんな世界で敵味方って、関係ないですよね?」
「その通りだ。呂蒙よ、お主は少し狭量ではないか?」
「う……」
漫才のような掛け合いを始めた三人をあっけにとられて見つめていた尚香に気付いたのか、
ひょろりと背の高い若者が身体を彼女に向けてにこやかな笑みを見せた。
「こんにちは、お嬢さん。僕たちが来たからもう大丈夫ですよ。泣きやんでくださいね!
俺は陸機っていいます。祖父は陸遜で、父は陸抗なんですが、知ってますか?」
知ってるもなにも陸遜は兄の配下だった男だ。
「こいつは陸遜の孫だ。残念ながら俺が生きている時には生まれていなかったようだが」
横に立っていた呂蒙が耳元でこっそり囁いてくる。
なるほど、後代の人間というわけらしい。
異なる世代が一同に会しているとは、ここはまったく不思議な世界だ。
- 303 名前:弓腰姫のささやかな決意4/4 投稿日:2006/07/22(土) 12:49:33
- 「そして、こちらは凄いんですよ。じゃーん! なんと曹操殿でーす!」
「曹操って、あの曹操??」
マジで? 本物??
陸機の紹介を聞き、唖然としてまじまじと小柄な男を見てしまった。
伝え聞く噂から恐ろしげな偉丈夫を想像していたのだが、
目の前にいる男は正反対の容姿をしている。
曹操はそっと手を差し出してきた。手の平には小さな四角い物体。
誘われるままに紙を開いて中味を口に入れる。
*・゜゚・*:.。..。.:*・゜なんともいえない芳醇な香り゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
とっても甘いの! 疲れがあっというのに取れたみたいヽ(´▽`)ノ
「ちろるちょこだ。おなごは甘いものが好きであろう」
「曹操殿も好きですよね! もちろん僕も好きですよ」
「おい、陸機、俺だって好きだぞ!」
「えー! 阿蒙さんは阿蒙さんらしく、甘味より書物が好きとか言ってくださいよ」
「なんだよそれ……」
四人は一粒ずつちろるちょこを食べた。
「私の支給物はあんまり役に立たないものだけど……みんな、よろしくね」
どこか父に似た空気を持つこの人についていこうと尚香は心に決めた。
<<ふたりの詩人とひとりのアモーと弓腰姫/4名>>
@曹操[軽い打撲]【チロルチョコ(残り84個)】
@陸機[頭部より少量の出血]【液体ムヒ】
@呂蒙[鼻を負傷]【捻りはちまき】
@孫尚香[かすり傷]【シャンプー】
※現在下[丕β]城近くにいます。さらに南下予定です。
孫尚香の発案により、全員武器として棒を持っています。
- 304 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/22(土) 13:24:40
- 韓遂は戦いの場から距離を保ち、少しずつ離れて逃げようとしていた。
「何がなんだかわからんが、このままでは危険だ。ここは逃げて故郷に行こう」
踵を返し、走り去ろうとした韓遂の前に、顔色の悪い男が立ちふさがった。
「逃げる場所なんてねぇんだよボケ。とっととくたばれ、おっさん」
小銃弾が叩き込まれ、韓遂は踊るようにして死んだ。
「ちっ、ろくなもん持ってねえな。このカスが」
韓遂を射殺したのは于禁だった。死体を蹴飛ばすと、残っていた食料だけを確保する。
「さて、あいつらはどうするかな」
前方では三対一の戦いが行われている。
攻撃しているのが一人の男だが、三人相手に善戦しているようだ。
全員を横薙ぎにしてしまうのもありだが、確率の考えると決して望ましい策ではない。
「二虎競食ってな。終わった所でぶっ殺してやるよ」
于禁はそう呟くと、気配を消して戦いの趨勢を見届けることにした。
【韓遂 死亡確認】
<<二本刀と錆びた刀/3名>>
孫堅【七星宝刀】華雄【吹毛剣】黄忠【サバイバルナイフ】
vs
@項羽(閻行)【項王の剣】
※戦っています。
@于禁【AK47カラシニコフ】
※隠れています。韓遂のアイテムは放置。
- 305 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/22(土) 20:41:46
- 議論の結果>>289-290はスルーとなりました。
以下議論スレ>>795氏の作
- 306 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/22(土) 20:42:40
- 「ひゃっはぁ、どうやら特別な武器があるみたいだねぇ」
張角は気をこのミニ中国大陸に広げ、特異な存在の放つ気配を感じ取っていた。
しかし自分に与えられた、この世の物とは到底思えない念を発する手帳は他のどれよりも異様だ。
どの言葉でも例えようのない、人知の及ばぬ世界の存在であるという気配。
DEATH NOTEと表紙に記されている。この手帳の名前であろうか。
自らが持つものの他に、遠くに良く似た気配を感じる。
おそらくこの手帳はもうひとつ有り、別の誰かに支給されているのだろう。
ページを繰り、張角は笑った。
今此処に、DEATH NOTEを持つ者の戦いが再び始まる……
@張角【DEATH NOTE】
※ゲームに乗っていなさそうな人間、弱い武器を持っている人間に声をかけます。
現時点では打倒献帝。
- 307 名前:最凶最悪四人衆1/3 投稿日:2006/07/22(土) 23:08:27
- 陳留の平原を四つの影が切り結ぶ。正確には三対一だ。だが、腕には覚えのある猛将三人を相手に、閻行は攻勢に出ている。
決して孫堅達は手を抜いてはいない。最初に閻行を確認した時から、そのような考えは浮かぶわけもない。
本気を出しているにもかかわらず、一人の男相手に、決定打が打てないのだ。
「ふはははは!なかなか骨のある奴らではないか!気に入ったぞ」
反撃に出た、孫堅の横薙ぎ、華雄の振り下ろし、黄忠のナイフでの一突きを、斬りかかってきた順に、弾きながら、閻行、いや項羽は笑みを浮かべる。
それと反対に、孫堅達は内心戦慄していた。自分達とて腕には覚えのある人間だ。何人もの武将と戦い、勝ちぬけてきた自負もある。
そんな男達の渾身の一撃を、この男は立て続けに、かわしてみせた。
(まるで、あの呂布を相手にしているみたいだ)
華雄は、敵味方問わずに恐れられていた飛将、呂布が頭に浮かんだ。いや、もしかしたら、この男は呂布より強いかもしれない。
そう思うと、華雄は笑っていた。他の二人も似たような事を考えていたのだろう、同じ笑みを、より強い者との出会いに歓喜する、戦士の笑みを。
「いい笑顔をするな」
項羽が笑う。項羽の顔にも同じ笑みが、浮かんでいる。
「そう言えば名を聞いていなかった。なんというのだ?」
「名を尋ねるのなら、まず自らが名乗るのが筋であろう?」
項羽の問いに孫堅が返すと、項羽はもっともだ、と、うなずく。
- 308 名前:最凶最悪四人衆2/3 投稿日:2006/07/22(土) 23:09:15
- 「我が名は項羽!西楚の覇王よ!…今はこの男、閻行とやらの体を借りているがな。」
項羽、自分達が会うことは無いであろう武人との遭遇、そして計り知れない武の持ち主の対決に、孫堅たちは、喜びに心が震える。
「私は、長沙の太守、孫堅。貴殿のような武人と剣を交えることができ、歓喜の至りにござる」
「同じく、関西の華雄」
「南陽の黄忠」
「孫堅、華雄、黄忠か、己等の名前、しかと刻んだ!改めて我が剣の錆にしてくれる!」
そして、満月が照らす闇の中、また四つの影が切り結ぶ。
(ほう、我を相手に、ここまでもつとはな)
項羽は目の前の、対戦者を見て満足げな笑みを浮かべる。三人とはいえ、本気の自分を相手に怪我という怪我も無く、息も切れずについてきているのだから。
(もっとだ!もっと我を楽しませろ!)
その時、項羽は彼等とは別の方向からの殺意を感じた。
(この気、奴等ではない。もっと遠くからだ?)
殺気が近づく気配もない。項羽は理解した。この殺気の主は漁夫の利を狙っている。
(…下衆が!)
後ろからこそこそ付け狙う人間に、怒りと殺意が沸く。
「待たれい」
項羽の制止に三人はあっさりと動きを止める。項羽がそう言うのを予想していたようにも見える。
- 309 名前:最凶最悪四人衆3/3 投稿日:2006/07/22(土) 23:09:47
- 「貴殿らも気づいているのだろう?漁夫の利を狙い、我等の闘いに水を注そうとしている不埒物がいる事に」
その問いに三人はうなずく。彼等も同じ事を考えていたいたようで、その目には怒りと殺意の色が浮かんでいる。
「このような不埒物、生かしておくわけにもいかぬ」
無言でうなずく三人。四人の意見は一致した。卑怯者を始末する。ここに一時的ながらも、最凶の四人組が誕生した。
<<四本刀/4名>>
@閻行(項羽)【項羽の剣】@孫堅【七星宝刀】@華雄【吹毛剣】@黄忠【サバイバルナイフ】
※一時的に同盟を結びました。遠距離からの殺意の主、于禁を狙います。邪魔者がいなくなり次第、また戦闘を開始します。
- 310 名前:餞 1/4 投稿日:2006/07/23(日) 00:49:07
- 「お前か!ずっと俺の後をコソコソ尾けてやがったのは!」
「うわっ!」
良かった、幽霊じゃなかった。
安堵と、その反動からくる苛立ちは怒りになり張飛はその男の首を掴んで釣り上げた。
「てめえ一体何どういうつもりだ!」
「ちょ、ま、待ってください、張飛殿!」
名前を呼ばれて張飛は首を傾げる。はて、知り合いだっただろうか?
「わ、私は陳羣、字長文ですっ。お忘れですか、張飛殿っ」
首を掴まれながら陳羣は一応名乗ってみた。
だが張飛のことだ、きっと覚えていないだろう。
そもそも個人的に付き合いがあったわけでもない。
陳羣は半ば絶望的な気持ちでこれからどうするべきかを考えていた。
「う〜ん…そう言われてみればどっかで…」
ああ、張飛殿。思い出す努力をしてくださるとは望外の喜びです…。
でも考え込むのは私の首を掴むその手を離してからにしてくださいませんか…。
陳羣は失神した。
「や〜、悪い悪い」
張飛は笑って陳羣の背中をばんばんと叩きまくり、陳羣は軽快に吹っ飛んだ。
やはり笑いながら、張飛は猫でも扱うように陳羣を掴んで引き起こす。
- 311 名前:餞 2/4 投稿日:2006/07/23(日) 00:50:09
- 劉備陣営にいた頃は全くといっていいほど付き合いはなかったが、
こうして顔をつき合わせてみると、こういう「悪気はない」人というのは
本っ…当に厄介なのだと骨身に染みる。
当面の誤解は解けたようだが、何故劉備陣営を離れた、などと聞かれて
進言が容れられなかったからとは何となく言えず、
父が病に伏したので、と答えた。半分は本当だ。
「俺様を尾けてきたんじゃなきゃ、お前、こんなところで何してんだ?」
「…同行者の容態が思わしくなくて…
飲み水と、何か食べられそうなものを探しに」
俯く陳羣。気まずい沈黙が場を支配する。張飛が非常に苦手とする状況だった。
「…あ〜、畜生!ちょっと待ってろ!」
考え込むのは苦手な質だ。張飛は走り、帰ってきた時には両手に桃を持っていた。
「本当は俺たち兄弟のもんだけどよ。特別にくれてやるよ」
「…ありがとうございます」
ほんのりと色づいた桃は甘く爽やかな匂いがした。
豪放な張飛の意外に繊細な心遣いに陳羣は感謝し、また驚いた。
「俺たち兄弟の門出を祝ってくれた桃だ。
旅立ちの時にゃ丁度花盛りで、そりゃあ綺麗で、いい香りがして」
- 312 名前:餞 3/4 投稿日:2006/07/23(日) 00:51:09
- 張飛の笑顔は子供のように無邪気だ。
「きっと今度も俺たち兄弟のために綺麗な花を咲かせてくれてると思ってた。
でも今、あの桃園には一杯実がなってる」
祝福の花よりも命を繋ぐ実を。彼ら兄弟が生きるために。
「腹一杯喰って、精一杯生きろってことなんだろ。
この妙ちくりんな世界でも」
張飛はやはり手加減なしに陳羣の肩を叩いた。
叩かれた場所がじんと痛む。生きている証拠だと思った。
「だからお互い頑張ろうや。俺も兄者たちのために頑張る。
何をどう頑張るかは良くわかんねえけど、それは兄者たちが考えてくれるだろ。
俺はそれを信じる」
一点の曇りもない潔さ。張飛にとってはこの世界律も大した問題ではないのだ。
ただ信じる兄弟のため。いつだって、張飛は張飛だ。
「お前も頑張れや!」
陳羣は笑って桃を受け取った。こんなに清々しい『頑張れ』は初めてだと思った。
だるい身体に桃の甘みが心地よかった。
陳羣は薬草を探してきたり汗を拭いたりと細々と働き、
几帳面で勤勉な陳羣の性格を郭嘉は初めてありがたいと思った。
「郭嘉殿、何か欲しいものはありますか」
「…俺を暖めてくれる可愛い女の子…」
- 313 名前:餞 4/4 投稿日:2006/07/23(日) 00:52:38
- 陳羣は例の眉間に皺の寄った顔で何かを言いかけたが、
無言で郭嘉の足をさすって暖めた。
額は燃えるように熱いのに、足は凍るように冷たかった。
北の大地に吹く風と、熱に浮かされる身体が郭嘉の記憶を呼び覚ます。
あれほど強く生きると叫んだ瞳。
未来を見る瞳は過去をも見つめ、今は空しく伏せられて。
その瞳は何を見ているのか。陳羣はまだ知らない。
(何故ここに陳羣殿が?)
張飛がこの桃園にいる理由は解った。義兄たちとの思い出の場所のようだ。
だが陳羣がここにいる理由が解らない。
出身地ではなかったと思うし、特に思い入れのある土地とも思えない。
気紛れに行き先を決めるような人物でもない。
(何か、あるな)
賈クの勘が告げていた。幾度も彼を危機から救ってきた勘が。
張飛がここにいる理由も掴めたし、義兄と合流するまではここに留まるだろう。
賈クは、そっと陳羣の後を追った。
<<不品行と品行方正/2名>>
郭嘉[左脇腹負傷、失血、発熱]【閃光弾×2】陳羣【閃光弾×2】
※現在は楼桑村付近。目的地は遼西。記憶が戻りつつある?
@張飛【鉈】
※現在地は楼桑村。義兄たちを待ちます。関羽はまだ来ていません。
@賈ク【光学迷彩スーツ】
※ストーキング対象を<<不品行と品行方正>>に変更。
- 314 名前:記憶1/3 投稿日:2006/07/23(日) 10:43:38
- 寝息が聞こえる。
良かった。拙い応急処置しか施せなかったが
眠れるくらいならきっと大丈夫だろう。
潘璋は孔融の傍らで何か考えていたようだったが、やがて口を開いた。
「俺が馬鹿だったんだ。過去の下らない記憶なんかに拘って」
泣きそうな顔で潘璋が呟くと、孔融が振り返る。
それ以上は言うなとその眼が言っているような気がした。
「もう過ぎたことだ。あとは彼の言葉を理解するのが先決だろう。」
そう言いながらも表情は暗い。彼自身田疇に助けられた身である。
待て。
過去の記憶?
「でもまさかあいつがあんな死に方するとは思わなかったんだ。」
「潘璋殿、過去って…何だ?」
二人の間に沈黙が流れた。
「どれくらい前の過去なんだ?私は何も覚えていないのだが
市場で首を切られてから、それから…
死んだはずなのに…いや、あの時、…死んだ。死んだ?」
曹操に謀られて死んだ。そこの広辞苑にもそう書かれていた。
それっきりの筈なのに、違和感がある。
「へ?嘘だ。あんたこの前も参加してたじゃないか、この殺し合いに――この前?」
潘璋もはっきり詳しいことは思い出せないようだった。
おかしい。絶対に何かあったはずなのに。
「…その傷はどうしたんだ?」
- 315 名前:記憶2/3 投稿日:2006/07/23(日) 10:44:48
- 禰衡がいつの間にか起き上がって孔融のこめかみを指した。
「ああ、この程度の傷で済んだのだよ」
「どうしてあんな時に飛び出した?そんであのあとどうなった?他に怪我は!?酒糟は!?
良かった!!生きてたんだ!君のことだからとっくにもう死んだかと!!わしも死ぬかと思ったぞ!!」
禰衡は孔融に掴みかかりがくがく激しく揺する。
いや、それだけ喋れれば大丈夫だろうが
田疇達が駆けて来たときにはもう禰衡の疲れはピークに達し、倒れこんでしまったのである。
話を聞いて落ち着いた禰衡は立ち上がってあたりを見回す。
この辺ではないが、明らかに陳留には人が集まっている気配がある。
「蛆どもが沸いてきたようだ。移動した方がいい。」
そう言って二人に立ち上がるように促し、潘璋に問いかけた。
「お前はこれからどうする?」
俺は。
何故か潘璋は誇らしげな表情で言う。
「どんなに歪んでいるか正しい道かは分からんが、田疇の弔いも兼ねて
元 三 国 一 の 猫 耳 萌 え キ ャ ラ 代 表としてこの殺し合いの主催者を殺しに行く。」
刹那。
沈黙が流れた後に禰衡が吹き出し、腹を抱えて震えだす。
ちょっと脇腹が痛いらしい。
「笑うな!俺は本気だ!もうこんな惨事は繰り広げさせんぞ!!
そのためにはまず情報収集だ!なんとなく荊州へ行く!」
- 316 名前:記憶3/3 投稿日:2006/07/23(日) 10:45:50
- 孔融は自分の武器を改めて確認して、がっかりした。
柄の長い、四角い板の付いた金属。
確か禰衡のは先端が丸みを帯びた板だった。
「私もこれか…」
@潘璋【備前長船】
※主催者の手がかりを探し、荊州へ向かいます
<<現在工事中/2名>>
禰衡[脇腹負傷]【農業用スコップ】 孔融[こめかみかすり傷]【農業用ショベル、刺身包丁】
※とりあえず陳留を離れ南へ向かうようです
※広辞苑、S&W M60 チーフスペシャル(弾切れ)は放置。
- 317 名前:八旗と楊阜と夏侯淵 1/9 投稿日:2006/07/23(日) 11:48:12
- 夏侯淵は前世の記憶を思い出してみた。
生を受け、育っていったことはよく覚えていない。
親の顔もまったく思い出せない。厳しい親だったか優しい親だったか、それすら思い出せない。
自分が記憶ははっきりし始めるのは、曹操に着いて行こうと決めたときからだった。
曹操がまだ県の長官だったとき、曹操は彼を疎ましく思う誰かに罪を着せられ、夏侯淵は身代わりとなってその罪を被った。
あやうく死刑となるところだったが、すんでの所で曹操に救済され、以後、夏侯淵は曹操に付き従うこととなった。
曹操を援助し、曹操の旗揚げに集い、曹操の将となり、曹操の敵を屠っていった。
曹操の危機を救い、曹操に重宝され、涼州掃討の大将となり、漢中防衛の総司令官となり、そして、曹操の敵に殺された。
夏侯淵の人生は、ひとえに曹操の存在の元に成り立っていた。
なぜ、自分はそこまで曹操に尽くしたのか?
それはひとえに忠誠であり、絶対的な信頼であり、大いなる友情だった。
しかし、今の夏侯淵にとって、それらの感情はひどく難しい物に見えた。
自分に曹操に対する感情があったことは覚えている。ただ、それを理解することは、今の彼にとって困難、というより、不可能だった。
ないものは、理解のしようがないのだから。
彼が最初目覚めた時も、周りが騒ぎ、怒号が飛び始めた時も、とりあえず曹操についていけばいいだろうと思っていた。
感情に基づいたものではなく、慣習のようなものだった。
前世で思い続けていたことが、ぼんやりと、跡を曳いてるだけだった。
そんな思いは、唐突に現れた献帝の言葉に、簡単に揺らいだ。
「皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます」
感情のなくなった彼には、驚く、ということはなかったが、
それまで曹操のことしかなかった彼の頭の中に、まったく新しい考えが浮かんできた。
殺し合いに乗るのも、悪くはない。
- 318 名前:八旗と楊阜と夏侯淵 2/9 投稿日:2006/07/23(日) 11:50:32
- 夏侯淵は息子3人をごく無感情に殺したあと、彼は涼州へ向かい、山中に身を置くことにした。
自分から敵は探すことはしない、誰かが立てた音が聞こえたなら殺しに行く、という姿勢だった。
夏侯淵は山腹に寝そべった。その様子を誰かが見れば、あいつは何も考えておらず、殺し合いもどうでもよいのでは、と思うかもしれない。
しかし、彼は表情や仕草に出さないだけで、殺し合いには参加するつもりだし、頭の中では前世の最後の記憶がぐるぐる回っていた
張コウの危機を聞き、多くの兵を救援に向かわせたその夜、敵は奇襲を仕掛けてきた。
迫り来る老将と敵兵の大軍。死を覚悟し、何かを叫び、迎え撃つ夏侯淵。
矢を老将に射るが、かわされ、逆に老将は射ってきた。
正確に、夏侯淵の額へ矢は飛んで来る。夏侯淵は咄嗟に首を右に振る。避けきれず、矢は左の側頭部を削り抜けた。
皮膚は破壊され抉られ、骨は砕かれ飛び散り、その骨片はわずかに内部へ―――
―――頭の中が、真っ白になった。
眼前に迫る老将。太刀を手に取り、構え上げている。そのことは見えていた。だか、何も考えられなかった。太刀が、夏侯淵めがけて振り下ろされる。
左肩から右太股まで、長く、深く斬りつけられた。
夏侯淵は知覚した。痛い。それに、熱い。
直後、思考が戻り始めた。痛いのは、斬られたからだ。熱いのは、傷口が熱を発しているからだ。
そしてもう一つのことに気が付いた。
それまで夏侯淵が感じていた激情――敵に対する増悪、怒り、主君に対する忠誠、申し訳なさ、
自分に対する恥、情けなさ、そして死に対する恐怖――その全てが消えてることに。
首に横から衝撃が走り、そこで前世の記憶は終わった。
どん、と重い銃声が耳の内に入った。
直後、大きな爆発音。
少し間が空き、銃声。間髪を入れず、最初の銃声と爆発音。
近い、この山の麓のあたりだ。
立ち上がり、荷物を取ると、夏侯淵は山を下りはじめた。静かに、かつ迅速に。
- 319 名前:八旗と楊阜と夏侯淵 3/9 投稿日:2006/07/23(日) 11:52:04
- 4人になった旗本八旗は、天水城に、仲間の帰還を待っていた。
成宜は何時間待っても天水城へ来ることはなく、その先にある予感に耐えかねた馬玩は、楊秋の制止を振り切って城を飛び出した。
その数十分後、馬玩を成宜を背負って帰ってきた。ただし、成宜は死んでいた。
「成宜は天水に来ていたよ。でも、この城に着く前に―――」
成宜の腹部に貫通した傷があった。死因はこの傷からの大量出血だろう。馬玩は、成宜の死体から伸びる、赤い点線を見ていた。
おそらく、成宜が持っていたジャベリンによるものだ。董卓に奪われたか、あるいは投げて落ちたのを拾われたか。
「死ぬんだ………みんな、みんなどうせ、死んじまうんだ……」
成宜の傍らでへたり込んでいた梁興が、何かにとりつかれたように呟いた。
最初こそ「勢いこそ行動理念」と言っていたが、仲間が死に、足を負い、今の彼はひどく弱気になっていた。
勢いに任せる性分ゆえ、勢いをなくしたら打たれ弱くなるのかもしれない。
「何を言うんだ梁興! 俺達は生き残ると、約束しただろ!」
リーダー楊秋が叱咤する。しかし、侯選と馬玩は、目を伏せて何も言えずにいた。
「そう言い出した李堪は、真っ先に死んだじゃないか………」
楊秋の脳裏に、李堪の笑顔が蘇る。
「よし、まずは生き残りと行くか!」
彼は董卓の砲弾に直撃し、人型をした炭と化した。
李堪だけではない。楊秋の記憶に、仲間の死に様が蘇る。
張横のもげた腕の傷口、腹から飛び出、地に長々と引きずられていた臓腑。
程銀の頭のない姿。転がる眼球、岩に張り付いた鼻と耳……
そして目の前の、腹に風穴を開けた成宜。
「退くことは許されないだろうな」
「いざ我ら、進み行くのは、いずこへか」
「考えよりもまず行動!」
死んでいった仲間の言葉が、自然と再生される。そうだあいつらは、もう死んだ。
お調子者で、だいたい馬鹿で、でも勇敢で頼りがいのある、あいつらは、もう、この世にはいない。
「あいつらのためにも、生き抜かなきゃならねえだろうが!!」
楊秋は叫んでいた。
「甘えてんじゃねえ! 逃げてんじゃねえ! あいつらは、決してお前のようにへこたれはしねえ!
あいつらの望みは、仲間と生き抜くことだったんだ! その仲間が死んじゃあ、あいつらが報われねえだろうが!」
- 320 名前:八旗と楊阜と夏侯淵 4/9 投稿日:2006/07/23(日) 11:53:21
- 叫び終わって、楊秋の目から、止めどとなく涙が溢れていった。
くそったれ、あいつら勝手に死にやがって、生き残った者の苦労も知らねえで、ばかやろうどもが。
「いいか、俺等は生き抜く! 他の参加者を殺してでも、献帝を殺してでも、俺達は脱出する!
4人で絶対に生き抜いて、もとの世界に戻って、もとのように暮らすんだ! いいな!」
ほとんど息継ぎもせず、楊秋は一気に言葉を吐き捨てた。
侯選も馬玩も、顔を上げている。梁興も、ただ楊秋を見ている。
「とりあえず俺等は、涼州に向かう。涼州に行けば、地の利はこっちにある。方策はそれから考える」
そして、成宜の遺体に目を向ける。もう涙は止まってた。
「とりあえず、こいつだけでも……涼州に連れ帰らなきゃな。涼州の地に、埋葬してやるんだ」
楊阜は冀城のある民家で目を覚ました。
私は今、どこにいるのだろう?
なぜ私は、このような民家で寝ているのだろう?
楊阜は半身を揺り起こし、寝ぼけた頭を回転させようとした。
しかし、何も思い出せなかった。
まあ、いいか。
再び寝転がる。眠ったはずなのに、ひどく眠い。普段の自分なら、朝はばっちり目が覚めるはずなのに。
コツン。
足に何かが当たった。何だろう? 硬く、ひんやりと冷たい。
視線を足下へ泳がせた。すると何か、黒い棒のようなものが見えた。
よく見れば、棒ではなかった。
太い筒、細い筒が上下に連なり、その二つの筒の先は、ちょうど人の手で握るりやすい、掴む部分があった。
そうだ、これは銃だ。M16A1アサルトライフルM203グレネードランチャー付。
わかった瞬間、楊阜は飛び起きていた。
そうだ、自分は今、殺し合いの最中だった。
- 321 名前:八旗と楊阜と夏侯淵 5/9 投稿日:2006/07/23(日) 11:56:49
- さて、今日は何をすればいいでしょう。
昨日は、準備と休養のため冀城に立ち寄ったが、今よく考えれば、城には人が集まる、ということに思い当たった。
もちろん、こんな辺境の一城に、約百人程度の参加者の内1人が尋ねてくる可能性は低いだろう。
短絡的な思考の持ち主なら、安心しきって今頃二度寝をしているかもしれない。
しかし楊阜は神経質だったし、慎重だったし、長期的な考え方は得意だった。
生き残る確率を上げるなら、しばらく山中に潜んで出ないのが利口だろう。
彼は民家にあった白糸と、女性の手のひら程度の短刀を頂戴すると、城を出て行くことにした。
城門から少し顔を出し、辺りを見窺う。誰もいない。楊阜は城を飛び出ると、近くの山中へ走っていった。
天水を出て数時間が経ち、すでに八旗は涼州へ入っていた。
八旗の目的地は、涼州の中でも慣れ親しんだ金城郡である。
金城なら韓遂もいるかもしれないし、成宜の埋葬場所には、金城が一番相応しいだろう。
その途上、漢陽郡で侯選が休養しようと言い出した。
なにぶん脚を負った梁興と、死人の成宜を抱えていたので、八旗の疲れも早かった。楊秋も頷いた。
「そうだな……涼州には着いたは着いたし、あの山の麓ででも休もう」
と楊秋が指さしたのは、木がまばらまばらに生えている小高い山だった。
「あっちに城が見えるぜ。城はだめなのかい?」と馬玩。
「城は、すでに誰かいるかも可能性が高い。韓遂様だったら万々歳だが、馬超だったりしたらかなり厄介だ。
敵に出会ったら、こっちが圧倒的に不利だからな」
馬玩に背負われている梁興が申し訳なさそうに、「すまん」と呟いた。
「お前のせいじゃないさ。気を落とすな。
なあに、人気のない山の、奥の茂みに囲まれた場所にでも身を置けば、敵さんには見つかりっこないさ」
楊秋は侯選が背負っていた成宜を、交代して背負い、山へ向かっていった。
「成宜、ここで休み終えたら、金城に行く。もうすぐ、もうすぐだからな」
カチッ、カチカチカチ……
背をかけていた木の幹から、小石が二つ落ちてきた。ひとつは地に転がり音を鳴らせ、もうひとつは楊阜の頭に落ち、軽い痛みを生じさせた。
やれやれ、敵を避けるために城を出たのに、山に入った途端これか。
楊阜は銃を持つと、木々の間に身を隠したながら山を降っていった。
- 322 名前:八旗と楊阜と夏侯淵 6/9 投稿日:2006/07/23(日) 12:00:05
- 5/9
「糸………?」
膝に、白い糸がかかっていた。少し薄汚れており、目立たないものだった。
片手に成宜を背負い、片手で糸をすくい上げ、たぐり寄せる。
相当に長いようだ。数秒間たぐってみたが、端は見えず、左右からずるずる引っ張り出されるだけだった。
左右に首を振ると、右にも左にも、浅い刀傷を付けられた木があるのに気が付いた。
「まさか………」
楊秋の背筋に、悪寒が走った。
まずい、誰かいる。そして今、その誰かは周りの木々に張り巡らせた糸でもって、俺達がこの山に入ったことを知った。
振り向いて、仲間へ呼びかけた。叫びしなかったが、声は明らかに焦っていた。
「早く降れ。敵がいるかもしれないっ」
すでに遅すぎた。
どん、と思い銃声がし、目の前の侯選・梁興・馬玩が真っ白な閃光で見えなくなったかと思うと、爆風と、爆音と、百熱が同時に楊秋を襲っていた。
「少し、手前の木に当たりましたか………」
八旗達の手前に立っていた大木が、グレネードランチャーの直撃を受け、幹を途中で半分抉られながらも、なお立っていた。
「しかし、ひとりは殺したかな?」
楊阜はM203のスライドを引くと、機械的な音が鳴った。榴弾を装填し、スライドを閉める。そうして再び脇に構える。
奴等は韓遂の部下の、旗本八旗だったか。面識はほとんどないが、信頼はできない相手だ。
ならば、殺すしかない。
二つある引き金のうち、手前の方を選んで指をかける。
ぱん
一瞬その銃声に、自分は引き金を引いたかと思った。しかもさっきとはグレネードランチャーのとは違う。きっと、アサルトライフルの方を引いたのだと。
しかし右耳の根本の痛みと、首の右側面を流れる暖かい液体の感触からすると、どうやら違うようだ。
木々の間から見下ろせる、旗本八旗のうちひとりが、煙が出ている拳銃をこちらに向けていた。
楊阜は引き金を引いた。その重い銃声は、左耳にしか聞こえなかった。
- 323 名前:八旗と楊阜と夏侯淵 7/9 投稿日:2006/07/23(日) 12:03:43
- 楊秋は爆風に吹き飛ばせれ、地面に叩きつけられた
「成宜がっ! ちくしょう、あいつ、成宜に!」
一発目のグレネード弾は、近くの木に当たったことと、背負っていた成宜の死体が盾になったことで、楊秋の傷は頭部と両肩の軽傷と左足首に木片が刺さる程度ですんだ。
その代わり、成宜はより無惨なものへと成り果てていた。もともと空いていた腹の穴は、さらに広げられ、臓腑が出かけていたし、
後頭部は砕かれて、中から豆腐のように崩れていた脳漿が見えていた。
「もう少しで金城だったのに! ちくしょう、許せねえ! ぶっ殺してやる!」
無惨な死体の前に、珍しく怒り狂う楊秋。それでも、仲間に指示は与えた。
「馬玩! 梁興を背負って冀城に逃げろ! とにかく逃げろ!
侯選、ミョルニルを構えろ! 敵はあそこだ!」
馬玩は言われた通り、梁興を背負って山を駆け下り、侯選はとっさに楊秋が指さした方向へミョルニムを構えた。
そこは木々が複雑に入り組んだ方角であったが、楊秋達のいる場所からはわずかな一直線の隙間が見え、そこに敵は立っていた。
楊秋の持つAK-47より同じくらいの大きさだが、銃口が二つある銃を敵は構えていた。
楊秋は構わず撃った。しかし、撃ち返された。
重い銃声。白い閃光。その後に来る爆発――の前に何かに突き飛ばされる感覚があった。
またあの木に当たってしまった。
今度こそは、グレネードの直撃に耐えかねて倒れたようだ。
それも、八旗達の方向へ。
とはいえ、死んだのはひとりだけのようだ。爆煙が晴れたあと、確認すると、逃げなかったうちの片方が大樹の下敷きになっていた。
胴体を大樹に潰され、その下から蜘蛛の巣のように伸びている血。顔面に深々と刺さっている木片。根元から千切れた左脚。どう考えても、死んでいた。
もうひとりの男は死んだ方からはゆうに5メートルは離れていた。爆発の衝撃に吹き飛ばされたのだろうか。その割には、重大な傷は負っていないように見える。
その男は、呆然自他の状態で座り込み、大樹に敷かれた死体を見つめていた。今起きたことが、把握できてないような表情だった。
銃も地べたに取り落としている。
なんと隙だらけなことでしょうか。
楊阜は今度はアサルトライフルの方の引き金に手をかけると、残った男へ狙いを定めた。
終わりだ。
- 324 名前:八旗と楊阜と夏侯淵 8/9 投稿日:2006/07/23(日) 12:04:28
- パパパパパパパパパパパッ
………アサルトライフルとは、こんな軽快で連続的な音なのでしょうか?
………いや………どうやら………
楊阜は自分の体を見下ろした。とっさには数え切れない、多数の穴が空いており、穴からは赤色の液体が流れ出していた。
途端に、穴の一カ所一カ所に、鮮明な痛みと熱さを覚えた。背後から、多数の弾を撃ち込まれたのだ。
………この山に………私の前に………人がいたとは………
………浅………はか………でし………た………
パパパパパパパパッ!
楊阜はくるりと半回転しながら、崩れ落ちた。
その音に、楊秋は我に返った。
まず自分を突き飛ばし助け、大樹の下敷きとなった侯選がいる。
見上げると、血まみれとなりながら、かろうじて立っている敵がいる。
さらに見上げると、最初に献帝の護衛が持っていたのに似た銃を持っている敵がいる。
そしてその顔は、かつて戦い、その軍門に下り、最終的には司令官と仰いだ人間――夏侯淵だった。
夏侯淵の銃が火を噴いた。
パパパパパパパパッ
それまで自分達の敵だった男が、血を飛び散らせながら、舞うように崩れ倒れた。
男が倒れ切ったのを見届けると、夏侯淵は今度は、銃口をこちらに向けてきた。
その時、楊秋は夏侯淵の目を見た―――感情も、殺気すらこもっていない酷く冷たい目―――楊秋は全身が逆立つのを感じた。
夏侯淵が撃つ前に、楊秋は横へ飛んでいた。例の銃声とともに、弾丸が次々と発射される。
それは成宜の死体を撃ち抜き、侯選の死体を撃ち抜き、自分がいた場所の土に刺さった。
―――成宜―――侯選―――
楊秋はとっさに拾い直したAK-47で応射した。何発も撃ったが、全て木の陰に隠れられ防がれた。
夏侯淵もまた撃つ。楊秋も木を盾に防ごうとしたが、左足首の負傷のせいで微妙に間に合わず、右膝に銃弾を受けた。
こんな所で、死んで……死んでたまるかっ!!
- 325 名前:八旗と楊阜と夏侯淵 9/9 投稿日:2006/07/23(日) 12:07:45
- 再び応射。当然のように木にふせがれるが、一瞬動けなくはなる。その隙に楊秋は走りだした。
左足首にも右膝にも、当然痛みが走る。やがて脚全体の痛みとなり、楊秋を苦しめた。
背後で夏侯淵の銃声。右腕に4、5発受ける。倒れそうになるが、それでも走った。
くそっ、おれはこんな……ちくしょう、李堪、張横、程銀。お前等死ぬの早すぎだ
成宜、侯選。成宜の俺の策がために、侯選は俺をかばうために、2人ともおれのせいだ、すまん。
馬玩、梁興……お前等は誰かに襲われて、死んではねえだろうな!? 死んでたら、容赦しねえぞ!
ちくしょう、必ず生きてやる。必ず生きて、死んだ奴等のためにも……
パパパパパパパパパッ
楊秋の頭部に十以上の穴が空いたかと思うと、楊秋は遅い走りを止めて、ばったりと倒れてしまった。
夏侯淵は楊秋のAK-47と楊阜のM16A1を拾うと、侯選のミョルニルには価値も気付かず、その場に放置して去っていった。
@夏侯淵【ベレッタM92F、弓と矢、トンプソンM1A1、発煙手榴弾、AK-47(弾倉あと5)、M16A1アサルトライフル(M203グレネードランチャー付、榴弾8発)】
※ミョルニム、ロープはその場に放置。涼・雍州に潜みます。
<<旗本八旗/2名>>
@馬玩[軽傷]【スポーツ飲料1.5リットル(半分使用)】
@梁興[右太股銃創]【投げナイフ20本】
※冀城へ。夏侯淵には気付かれてません。
【成宜 侯選 楊阜 楊秋 死亡確認】
- 326 名前:連なる回旋 1/2 投稿日:2006/07/23(日) 15:36:40
- 「む……これは」
……むきゅっ。
先を歩いていた姜維が急に止まるものだから、馬岱はその背に額を突っ込んでしまう。
「あ、すみません」
「どうした、急に」
「これ、見てください」
姜維が指で示したところの地面に、幾つもの小さな穴が穿たれている。血痕と焦げた形跡もある。
ここで戦闘があったという何よりの証拠である。(>>229)
「この弾の跡は単発のようですね。こちらの小さいのは連射できるもの、あちらのはもっと遥かに出力の大きな――
少なくとも魏延どの(が持っているタイプの銃)ではなさそうです。ですが、これらの武器を持った者が
未だ近くにいる可能性は十分にありますね」
そう言って眉根をしかめる。殊更強調したのは、やはり魏延のことを未だ気にしているところから来るのだろう。
(……そう、今魏延どのに遭遇する訳にはいきませぬ。いずれ対等な条件で――)
軽く渦巻いた思考を馬岱の声が遮る。
「ああ。それも気になるが、オレとしては、戦闘があったってことは『乗ってる奴がいる』って事の方が気になるね。
……隠れられるところも多そうだしな」
辺り一面を見渡して、馬岱は頬に右手の人差し指を当てて思考を巡らせる。その指先が額まで移動する。
もっとも、戦闘があったのは結構前のようで、運良く武器など拾えればなどとも思ったが、暫く放置されていた故か
それは叶わなかった。爆散している、おそらくもと人間であろうものは残されていたが。
良く見ると食事の跡があった。この状況下でのんびり食事をしているということは……
「武器か仲間、或いは両方が充実している、といったところでしょうか? 的確な判断能力があるという前提での話ですが……」
「あとは、状況からして周りの奴を全部倒してしまってから食事にした、って感じか」
冷静に現状の分析を進めるふたり。
「何れにせよ、この様子だとまだあまり遠くへは行ってないようですね」
軽く握った左手を顎に添えて姜維は呟いた。
この先。彼らにとっては地の利があるが、その分、城などに篭られて迎撃されたら厄介であることも解っている。
- 327 名前:連なる回旋 2/2 投稿日:2006/07/23(日) 15:38:45
- 往くか退くか。
このまま西へ進めば、ここで行われた戦闘の主が待ち構えている可能性があるし、そうでなくとも他の誰かが篭城しているかも知れない。
南――蜀なら、他の皆が集結しているという期待もあるが、既に魏延が待っているのでは、という危機感もある。
かといって、来た道を引き返すのは余り有益では無い気がする。
となると、南東……?
いや、むしろ余り動かずに誰かを待つべきか?
考えながら無言の会話をしていた姜維と馬岱の思考を途切れさせるものがあった。
何者かが大声で歌いながら近づいてくる。……歌いながら!? 何て無防備な……
しかもその歌声は実は二人分で、一人が途中まで歌った後、一文節遅れて同じ箇所を歌っている。輪唱!?
耳を疑いながらも、二人目が次の区切りに入ったところで、姜維はついつられて歌い始めてしまう。但し小声で。
「静かな湖畔の……」
(バッ、何やってるんだよ!)
(いや、つい……)
止めかけた馬岱だったが、姜維が次の段落に入ったところで何となくつられてしまった。一応小声で。
「しっずかっなこっはんっの……」
近づいて来た人影が僅かに見える。こちらには気付いていないらしく、歌が止む様子は無い。しかもかなりヤケクソっぽい。
そう、明らかに「相手に敵意が無い」のだ。歌うことについてはさておき、この歌声の主に話を聞こうと思った。
「なくー、なくー、なくっなくっなくー……」
<<丞相を捜せ!/2名>>
姜維【なし】
馬岱【赤外線ゴーグル】
※現在五丈原辺り。今後何処に行くかを少し熟考したいようです(荊州が候補に入っています)。
歌いながら近づいて来る二人組がとても近くにいます(大変気になります)。敵意はなさそうです。
この近辺に放置されていたアイテム類は全て消失しています。
- 328 名前:それを互いに埋めるように 1/3 投稿日:2006/07/23(日) 20:46:15
- 「ああ、君か。王允の事は残念だったね」
薄笑いを浮かべた献帝はそう言い放った。
「規則違反をした朕にも不手際がありましたからね。
君には特別に王允に支給されるはずだった物もあげましょう。
まあ朕の慈悲というかお悔やみの気持ちというか、そういうやつかな?」
献帝は楽しげにザックを漁る。恐らくそれが王允のザックだったのだろう。
「おや、救急箱か。でもさすがに頭が吹き飛んでいては役に立たないね。
あはははははははは!」
目も眩むほどの怒り、というものを貂蝉はその時初めて知った。
睨む視線にそんな力がこもったのだろう。献帝はフンと鼻を鳴らした。
「歌妓風情があまり調子に乗らないことだね。さもないと、」
献帝は握った手を手のひらを上にして開くゼスチャーをした。
それの意味するところは、
つまり、
お前の 頭も、
爆 ぜ る
「…さん。貂蝉さん!」
恐怖の叫びが喉に貼り付く前に、貂蝉は悪夢から救い上げられた。
「貂蝉さん、大丈夫ですか?」
お義父さま?
まだぼんやりとした意識の中、貂蝉はそう思った。
「酷くうなされておいででしたよ」
心配そうな顔で貂蝉をのぞき込んでいるのは司馬孚だ。
司馬孚が差し出してくれた水をゆっくりと飲みながら、
義父はもういないということも、殺しあえと言われたことも、
この首輪の感触も全て現実なのだ、と漠然と実感した。
「…ありがとうございます、叔達様」
いえ、と答えて司馬孚は微笑んだ。
穏やかで優しいその微笑が義父にどこか似ていて、貂蝉は泣きたくなった。
- 329 名前:それを互いに埋めるように 2/3 投稿日:2006/07/23(日) 20:49:08
- 「ご気分が優れませんか」
はい、ともいいえ、とも言えず貂蝉は曖昧に微笑んだ。
「あの小箱の楽でも聞いてみてはいかがですか。
気が紛れるかもしれません」
確かにそうかもしれない。貂蝉は小箱を開けた。
静かな邸内に、優しい音色が響きわたる。
貂蝉はその旋律をなぞるように喉を震わせた。
司馬孚は貂蝉の憂いを含んだ横顔とその美声に魅せられる。
ゆっくりと立ち上がった貂蝉は優雅に舞い始めた。
どこか懐かしい旋律に身体は自然に馴染む。
風に吹かれるように、感じるままに舞っていると、貂蝉は本当に思うのだ。
自分は、歌い、舞い踊るために生まれてきたのだと。
司馬孚の拍手に、貂蝉ははにかむように微笑んでお辞儀をした。
「本当に素晴らしい舞でした!」
晴れやかな笑顔で司馬孚は言った。
このゲームが始まって以来、こんなに清々しい気持ちになったのは初めてだ。
「こうなると、その楽に相応しい詩が欲しいところですな。
私に詩才があれば良かったのですが」
そこまで口にした司馬孚は、やはり彼が仕えた曹植のことを連想した。
曹植。その後、彼が後継者から外れると、まるで乗り換えるように仕えた曹丕。
狂った皇帝。殺された皇帝。廃された皇帝。
司馬一族が繁栄すればするほど、葛藤した彼の心。
本当に、本当に久方ぶりのことだったのかもしれない。
自分がこんな風に笑ったのは。
司馬孚の左腕の傷は少し開いてしまったようだ。
血が滲む包帯を外し、さらにきつく新しい包帯を巻き直す。
- 330 名前:それを互いに埋めるように 3/3 投稿日:2006/07/23(日) 20:51:06
- 「お手数をかけます、貂蝉さん」
司馬孚は申し訳なさそうにそう言うが、貂蝉が逆に礼を言いたいくらいだった。
完全に自己満足だということは解っている。
だが、義父のための支給品―簡単な応急処置の手引きのついた救急箱―で、
どこか義父に似た雰囲気の司馬孚を助ける。
贖罪めいたその行為で、貂蝉は今無力感に捕らわれずに済んでいるのだ。
そんな風に打ち明けた後、貂蝉も司馬孚に詫びた。
「この傷が開いてしまったのも、
叔達様がここまで私を背負って下さったせいでしょうから…」
「良いのです」
司馬孚は微笑んだ。自分もまた同じなのだ、と。
「多分私は、貂蝉さんを背負うことで償った気になりたかったのですよ。
…私が背負った、この罪を」
<<しばてん/2名>>
貂蝉【オルゴール・救急箱(応急処置の手引き付)】司馬孚[左腕負傷、手当済]【吹き矢(矢10本)】
※救急箱(手引き付)は本来は王允の支給品でした。
※現在地は河内の司馬邸。もう少し休憩したらギョウへ。
- 331 名前:于禁 1/4 投稿日:2006/07/24(月) 01:36:20
- 剣戟の音が止んだ。
と、同時に于禁の脚は、地に伏せる韓遂の亡骸を越えて、
前方で戦っていた四人とは全くの逆方向へ駆け出していた。
――状況が変わってたのかもな。
と理解できたのは、誰も居ない場所まで逃れてからのことだった。
戦場では、このような事が度々あった。頭で理解するより先に、躯が動く。
…自分の生存本能とやらには本当に呆れる。
この執着が後の嘲りに繋がったというのに…。
- 332 名前:于禁 2/4 投稿日:2006/07/24(月) 01:37:06
- 于禁は忠臣だった。
将の層の厚い魏国の中でも、その冷静さと統率力を買われて、誇り高き五大将
に任命されたほどの、名将中の名将だった。
―――それなのに。
(雨だ。あの雨がすべて悪い。すべて。)
体中の熱が沸騰するような感覚に襲われた。
(雨。水…漢水の氾濫。そう雨だ。全部雨が悪い。全部全部全部。)
あの時、于禁が負ける要素など何一つ無かった。
兵卒たちの怯えた顔。傲慢な態度の関羽。
『降れ。』
と。
そう言った。
- 333 名前:于禁 3/4 投稿日:2006/07/24(月) 01:37:42
- あの時、降伏以外に何が出来たと言うのだ。
怯えた顔の将兵を巻き込んで戦えばよかったのか。
―――そんな馬鹿らしいことが出来るか。
于禁は成り上がりの将だった。元は、鮑信配下の一兵卒だ。
好かれてはいなかったけれど、兵士の心境なら痛いほど分かる。
彼らは、帰りたかったのだ。
自分だって、帰りたかった。
生きて、魏に帰りたかった。
関羽の元で縄目の恥にあい、呉で髪が白くなるほど責められて、
それでも都へ帰る道は、どれほど希望と安らぎに満ち溢れていただろうか。
それなのに。
それなのに!!!!!!!!
- 334 名前:于禁 4/4 投稿日:2006/07/24(月) 01:38:27
- 再び、血が沸き立つのを感じた。
―――そうとも。
折角の機会なんだ。こんなところで何もせずに、殺されるのなんざ御免被る。
曹丕。虞翻。
最低でもこの二人だけは殺さなければ。
于禁は、前方に眼を向けた。
か細い体の男二人が、こちらを見て驚いている。
「よう。重そうなの持ってるじゃねーか。」
ゆっくりと、唇の端を持ち上げた。
【張魯 張衛 死亡確認】
@于禁【AK47カラシニコフ、点穴針、三尖両刃刀】
※北へ転進しました。
※曹丕、虞翻を中心に、恨みのある将を狙います。
※曹操と残りの五大将相手には友好的です。
- 335 名前:おまけ 投稿日:2006/07/24(月) 01:40:32
- 「逃げたか。」
閻行―――いや、項羽はうっそりと呟いた。
先ほどまで凄まじいほどの悪意が渦巻いていた場所には、
今や血を流して横たわる韓遂の亡骸の他、何者も存在していなかった。
「距離はあったといえど、まさか逃げられるとは…。」
「素晴らしい反射神経の持ち主だな」
四人が一時休戦し、手を組んで殺しに来る――この状況の変化を、
どれだけ素早く察知すれば、離脱が可能になるだろうか。
それとも悪意の持ち主は今地に伏しているこの男で、
我々が来る前に殺されたとでも言うのだろうか。
――銃声はしなかったが。
「いずれにせよ、邪魔者は居なくなったではないか。
これで再び我らの武、躍らせることもできよう。」
そう、邪魔者は消えた。
ならば、剣は再び、天地を切り取って舞うのだ。
<<二本刀と錆びた刀/3名>>
孫堅【七星宝刀】華雄【吹毛剣】黄忠【サバイバルナイフ】
vs
@項羽(閻行)【項王の剣】
※同盟解消しました。再び戦闘状態に入ります。
- 336 名前:甘寧帰郷 1/5 投稿日:2006/07/24(月) 14:51:57
- 「おお懐かしき蜀の地よ」
甘寧は荊州から永安に入り、永安から成都へと向かっていた。
狙いはもちろん蜀の猛将。蜀といえば、なんといっても天下に名高い五虎大将。
張飛は天下無双と呼ばれた呂布に次ぐというし、関羽も張飛と実力はほぼ僅差だという。
馬超は呂布にも劣らぬと言われ、黄忠は漢中にて魏の猛将夏侯淵を討ち取り、趙雲の単騎駆けは呉の内でも語り継がれていた。
「くくく……虎に今から会えるかと思えば、全身がざわついてくるぜ」
実際には五虎の誰一人として蜀の地にはいないのだが、もちろん甘寧はそんな事は知らない。
劉璋は成都城の城壁の上にいた。
かつての自分の本拠地であり、劉備に降伏した後は劉備の本拠地となったこの地。
城壁から内を見れば、劉璋の時代にはなかった、劉備一族が建てたのであろう豪勢な宮殿が存在していた。
とうてい、入る気にはなれない。
―――この成都は、かつて私のものだったというのに、劉備が来て、好き勝手に荒らしてしまった。
―――もう二度と、あんな奴などには渡しはせん。いや、自分以外の、誰一人として。
「なにやら、半裸の男が城に近づいてきますが……」
外を見張っていた王累がそう言った。立ち上がって見れば、確かに下帯一丁の男が歩いている。
右手には拳銃を持ち、背中に背負ったザックから長い刀剣のようなものが見えていた。
どこかで見たような、気もしないでもない。
「この成都に入ろうものなら、誰であろうが殺す」
劉璋は自動拳銃コルト・ガバメントを手に取ると、男の方向へと、引き金を引いた。
- 337 名前:甘寧帰郷 2/5 投稿日:2006/07/24(月) 14:57:48
- 城壁の上に、影が見えた。
逆光のせいで見えにくいが、確かに人型をしていた。
見ながら城に向かって歩いていると、影が3つに増えた。
そのうちの1人が、なにやら腕を伸ばしたかのように見えた。
ぱん
銃声だ。
「この成都から、即刻立ち去れぃ!!」
遠く城の方から、声が聞こえた。きっと3人の影のうち1人がしゃべってるのだ。
「これ以上近寄れば、今度は当てるぞ!」
今度は、当てる? 何言ってんだこの腑抜けは。
ここから城まで、ざっと100メートルはあるか。たぶん、その三分の一くらいの距離にならなきゃ、まぐれでも銃弾は当たりはしないだろう。
拳銃の射程はさほど長くないとシグ・ザウエル付随の説明書にも書いてあったし、素人の射撃ならなおさらだ。
もちろん相手が持っている銃が拳銃とは限らない。しかし、この距離まで撃てるほどの銃なら、すでに当ててきているはずだ。
当てられないから、あのような脅しをするのだ。
へっ、大したことねえ。
しかし3人の内で、やたら図体がでかい奴がいる。たぶん、自分より大きいだろう。
五虎はみな偉丈夫だと聞いてるが、ひょっとして、あれがそうじゃないか?
行く価値は、あるな。
甘寧は城へ近づいていった。
- 338 名前:甘寧帰郷 3/5 投稿日:2006/07/24(月) 14:59:13
- 「あやつ、城へ近づいてくるぞ!? 銃声が聞こえなかったのか!」
男は劉璋の威嚇射撃に一端脚を止めたが、すぐに、平然と歩き出した。
「この距離じゃあ、当たらないとわかっているのでしょう」
と、王累が言う。かつて劉璋に諫言を受け入れてもらえず、その結果死んだというのに、まったく恨みもせず付いてくれてきた忠義の士だった。
「相手が持っているのも同じ形の銃ですから、有効射程は同程度のはず。
こっちには城壁に上にいるぶん有利ですが…………」
男は黙々と歩いてくる。あくまで平然と、慎重でも焦ってもいない歩き。そうして銃弾が当たるか当たらないかの距離まで歩き、止まった。
「なあおい! そこのでかい奴!」
張任のことだろう。劉璋、王累と並んでいては、まるで子供と大人の差だった。
「あんたの名前なんていう!?」
名前?
そんなこと聞いて、何になるのかと劉璋は思ったが、張任は返した。
「我は蜀郡の張任! 貴様は誰だ!」
「俺かぁ!? 俺は巴郡の甘寧っつうんだ! 知ってるか!?」
なに、甘寧だと!?
かつて長江沿岸を荒らし回った川賊であり、自分が父の跡を継いだ時には反逆者に荷担した人物であった。
その後は黄祖の客将となったが孫権に降り、戦場で大いに活躍したと聞く。
「この成都に何用があって来たのだ!」
今度は劉璋が聞く。
「そりゃ、殺し合いのために決まってんだろ!」
甘寧は、銃口をこちらに向けていた。
- 339 名前:甘寧帰郷 4/5 投稿日:2006/07/24(月) 15:00:59
- 張任と聞いて、甘寧は少しがっかりした。
なんだ、五虎じゃねーのかよ。五虎はどこにいるんだよ。
それでも、張任といえば劉璋軍の中でも最も優れた名将であったとも聞く。
その武勇と機知で持って、劉備の軍師を殺し、ラク城にて劉備軍を一年以上食い止めた実績がある。
少しは楽しめそうだな。
甘寧は右手に持っていたシグ・ザウエルを、城壁の上へ発砲した。
発砲すると同時に、全速力で城へ走っていく。
もとより当てるつもりはなかったが、弾丸は当たらなかったようだ。
丸顔の、でっぷり太った男が、慌てて拳銃を構え直している。
甘寧は走りながら二発目を城壁の上へ撃った。太った男は銃声に怖がり、後ろへ飛び退く。
銃声を聞いてから避けようとしても、意味ねーだろうが。
その後も走りながら、断続的に太った男を狙って撃つ。これは当てるためというより、銃を撃たせないためだった。男は怖がって、銃声が聞こえるたび後退していった。
ふん、臆病者め。
太った男のそばに、張任がいなくなっているのに気が付いたのは、城まで十歩ほどという所だった。
甘寧は速度を落とさない。が、いよいよ城の入り口をまたごうとするその瞬間になって、甘寧は左手背中の刀を抜きながら、脚を一歩で停止させた。
鞘はザックに固定してあったので、ザックから出しざま刀身が現れる。それを、前方斜め左―――城壁の裏にいた黒い影に振り下ろした。
刃と刃がぶつかり合う音が、甘寧の耳に長く響いた。
「やっぱり待ち伏せしてたな、張任さんよお」
甘寧の持つ天叢雲剣を、張任のが受け止めていた。
「残念だが、あんたの負けだ」
「勝負は……まだ決まっておらん!」
その時張任は気付いていなかった。甘寧のが、三尖両刃刀の刃のなかに、沈むように食い込んでいることに―――
時が進むごとに、その食い込みが、深くなっていくことに―――
気付いた時には、音もなく三尖両刃刀は両断され、反応もできないまま、天叢雲剣が張任を深々と斬り付けていた。
- 340 名前:甘寧帰郷 5/5 投稿日:2006/07/24(月) 15:04:09
- 劉璋は、がたがたと震えながらコルト・ガバメントを構えていた。
銃口の先は、城壁上と城内を結ぶ階段の階下にいる、甘寧という男だった。
甘寧は実に簡単に張任を斬り殺してのけたのだ。
張任は劉璋の知るかぎり、自分の配下の中では最も武勇に優れていたし、
劉備だって一年以上防いでくれたし、判断力にも長けて、頼りがいのある人物だった。
このゲームが始まって、張任に出会えた時の喜びは、どれほどのものだったか。
その張任が、いともあっけなく、殺された。
甘寧は、斬り殺したあとは間髪を入れず、拳銃を階上の劉璋へ構えた。
「思い出した。あんた、劉璋だな。相変わらず、暗愚って言葉そのものの顔だ」
そして引き金を引いた。劉璋は何もできずに、立ち尽くしていた。
「殿っ!」
それまで、劉璋のそばに立っていただけの文官風の男が突然、劉璋を押しのけて前に飛び出した。
なので劉璋の顔面に命中するはずだった弾丸は、その男の胸元に当たることになった。
男は撃たれると同時に、何か、黒い物を投げつけていた。それは甘寧の頭に向かってきたが、軽く首を振って避けた。
続けてもう一発撃ち込んだ。文官風の男の頭部に命中し、男は死んだ。
さらにもう一発……を撃ち込もうとして止めた。
なぜならば劉璋は、王累に押しのけられたせいで、体勢を崩し、脚がもつれ、とたとたと外側へふらつき、つまずき、城外へと落ちる所だったから―――
少し間が空いて、肉がつぶれる音が甘寧の耳に届いた。
「なんて無惨な主従なんだ……………」
思ったよりも張任はあっけなかったな。
まあこの、天叢雲剣の反則的な切れ味のせいだが。
次はどこに行こうか。五虎大将は成都にいないのなら、益州のどこにもいない気がする。
「やっぱ、中原とかにみんな集まってんのか? あー、面倒だなぁ」
甘寧は劉璋の持っていたのコルト・ガバメント、王累の投げつけた点穴針を拾うと、北へと歩いていった。
@甘寧【シグ・ザウエルP228、天叢雲剣、コルト・ガバメント、点穴針】
※雍州経由で中原へ向かいます。猛将優先。
【張任 王累 劉璋 死亡確認】
- 341 名前:334の訂正 投稿日:2006/07/24(月) 17:08:48
- 再び、血が沸き立つのを感じた。
―――そうとも。
折角の機会なんだ。こんなところで何もせずに、殺されるのなんざ御免被る。
曹丕。虞翻。
最低でもこの二人だけは殺さなければ。
于禁は、前方に眼を向けた。
≫かつての主の幻影が、闇の中で道を指し示した。
≫……気がした。
@于禁【AK47カラシニコフ】
※北へ転進しました。
※曹丕、虞翻を中心に、恨みのある将を狙います。
※曹操と残りの五大将相手には友好的です。
≫変更箇所
お騒がせしました(´・ω・`) ノシ
- 342 名前:▼生存者リスト パーティーの部(参加者非公開)▼ 投稿日:2006/07/24(月) 19:51:41
- <<パパじゃないよお兄ちゃんだよ/2名>>
曹丕[右肩負傷・手当て不完全、疲労]【スコーピオン(残弾19発)】曹幹【白い鳩】
<<親子の面影+α/4名>>
劉封【李典棍】蔡文姫【ボウガン・矢×20】劉備【胡椒一缶】ホウ統【ワイヤーギミック搭載手袋】
<<不品行と品行方正/2名>>
郭嘉[左脇腹負傷、失血、発熱]【閃光弾×2】陳羣【閃光弾×2】
<<孟徳捜索隊/2名>>
曹仁【かみそり、双剣(やや刃こぼれ)】曹洪【ゴム風船、斧】
<<既視感を追う旅/2名>>
凌統【???、犬の母子】馬謖【探知機】
<<孤篤と廖淳と元譲/3人>>
馬忠【グロック17】廖化【鎖鎌】夏侯惇【金属バット】
<<しばてん/2名>>
貂蝉【オルゴール・救急箱(応急処置の手引き付)】司馬孚[左腕負傷、手当済]【吹き矢(矢10本)】
<<二本刀と錆びた刀/3名>>
孫堅【七星宝刀】華雄【吹毛剣】黄忠【サバイバルナイフ】
<<子義マンセー/2名>>
太史慈【ジョジョの奇妙な冒険全巻】李典【SPAS12】
- 343 名前:▼生存者リスト パーティーの部(参加者非公開)▼ 投稿日:2006/07/24(月) 19:52:26
- <<決意胸に秘め/2名>>
典韋【煙幕弾×4】荀攸【デリンジャー】
<<阿会喃動物園/3名>>
阿会喃【DEATH NOTE(あと9ページ)】曹熊[鬱病]【エクスカリパー】張虎[軽い熱射病]【大般老長光】
<<ふたりの詩人とひとりのアモーと弓腰姫/4名>>
曹操[軽い打撲]【チロルチョコ(残り84個)】陸機[頭部より少量の出血]【液体ムヒ】
呂蒙[鼻を負傷]【捻りはちまき】孫尚香[かすり傷]【シャンプー】
<<旗本八旗/2名>>
馬玩[軽傷]【スポーツ飲料1.5リットル(半分使用)】梁興[右太股銃創]【投げナイフ20本】
<<丞相を捜せ!/2名>>
姜維【なし】(いつぞやの記憶がある?)馬岱【赤外線ゴーグル】
<<後追う南蛮夫婦/2名>>
孟獲[気絶]【サーマルゴーグル】祝融【ブーメラン】
<<フライングディスクシステム搭載/2名>>
曹植【PSP(何か特殊な効果がある?)】張遼【歯翼月牙刀】
<<ナースと下僕/2名>>
趙雲【ナース服、化粧品】裴元紹【なし】
<<現在工事中/2名>>
禰衡[脇腹負傷]【農業用スコップ】 孔融[こめかみかすり傷]【農業用ショベル、刺身包丁】
- 344 名前:▼生存者リスト ピンユニットの部(参加者非公開)▼ 投稿日:2006/07/24(月) 19:53:04
- @于禁【AK47カラシニコフ】
@魏延[右腕・顔面右側に火傷(痛み止め済)]【ハルバード(少し融けています)、M37ショットガン】
@董衡&董超[二心同体(朝昼夕方は董衡、夜は董超が活動)]【なし】
@沮授[鬱]【手榴弾×3】
@呂布【関羽の青龍偃月刀、ドラグノフ・スナイパーライフル】
@孫権[右目負傷・失明]【防弾チョッキ、日本刀、偽造トカレフ、空き箱】
@司馬懿【シャムシール・ロープ】
@甘寧【シグ・ザウエルP228、天叢雲剣、コルト・ガバメント、点穴針】
@諸葛亮【諸葛亮伝(色んな諸葛亮が満載。諸葛亮と直接関係ない事柄については書かれていない)】
@張繍【山刀】
@荀イク[洗脳されている?]【ガリルAR(ワイヤーカッターと栓抜きつきのアサルトライフル)】
@張コウ【竹刀】
@張角【DEATH NOTE】
@袁紹【妖刀村正】
@魯粛【圧切長谷部】
@周瑜【テルミン】
@徐庶[打撲・左肩に軽度の火傷・疲労]【斬鉄剣・首輪解体新書?】
@高順【狼牙棍】
@陳宮【ゴスロリドレスセット(黒いワンピース、白いペチコート、コルセット、ヘッドドレス、ネックレス、香水)】
@陳到【ガン鬼の銃(陰陽弾×50)】
@朱桓[顔面ぼこぼこ]【鋼鉄の剣、スタン・グレネード×4、携帯型地雷×5】
- 345 名前:▼生存者リスト ピンユニットの部(参加者非公開)▼ 投稿日:2006/07/24(月) 19:53:35
- @諸葛瑾[大混乱している]【なし】
@関羽【方天画戟】
@張飛【鉈】
@楊儀[疲れている]【MDウォークマン】
@夏侯淵【ベレッタM92F、弓と矢、トンプソンM1A1、発煙手榴弾、AK-47(弾倉あと5)、M16A1アサルトライフル(M203グレネードランチャー付、榴弾8発)】
@関興[軽傷]【ラッキーストライク(煙草)、ジッポライター】
@袁術【日本号】
@潘璋【備前長船】
@張燕【トランシーバーA2】
@賈ク【光学迷彩スーツ】
@夏侯楙[両腕擦り傷]【越乃寒梅】
@陸遜【レオ様(ぬいぐるみ)】
@馬超【高威力手榴弾×7個、MP5、ダガー】
@劉ェ[昏倒]【諸葛弩】
@虞翻[右肩被弾、頬軽傷]【遊戯王カード(2枚)】
@許チョ【大斧、スナイパーライフル】
@曹彰[気絶]【なし】
@項羽(閻行)【項王の剣】
@董卓【P−90(弾倉あと5)、RPG−7(あと5発)、ジャベリン】
@劉禅【バナナ2本、モーニングスター】
パーティーの部18組43名、ピンユニット41名を生存確認。計84名を生存確認。
- 346 名前:▼死亡者放送(参加者公開)▼ 投稿日:2006/07/24(月) 19:54:26
- ≪あ行≫5名(+2)
王平、袁煕、☆袁尚、袁譚、☆王累
≪か行≫14名(+5)
郭シ巳、楽進、郭図、夏侯威、夏侯和、夏侯恵、☆夏侯覇、韓玄、☆韓遂、☆顔良、許攸、刑道栄
☆侯選、☆胡車児
≪さ行≫7名(+1)
周泰、朱然、淳于瓊、徐晃、辛評、☆成宜、孫策
≪た行≫5名(+4)
☆張横、☆張任、☆程銀、程普、☆田疇
≪は行≫1名(+0)
文醜
≪ま行≫2名(+2)
☆満寵、☆孟達
≪ら行≫4名(+3)
☆李堪、☆李儒、☆劉璋、呂範
≪や行≫2名(+2)
☆楊秋、☆楊阜
計40人が死亡。
■既出登場武将数:124名 残り84名
「皆の者、朕は嬉しいぞ〜」
苛立ちを誘う馬鹿丁寧な声で、献帝が放送を始める。
その内容は、死亡ペースが上がって主催者冥利に尽きるというものだった。
「朕はもっと殺し合いをしてもらいたい。そこで、交州と青州を禁止区域に設定しようと思う。……おっと、その前に死亡者放送であるな」
幾人もの死者を面白おかしく紹介する、漢の主。
「現在該当地域にいる者は、つまらない死に方をしないようにとっとと出るように。待ち伏せにも注意だぞ?」
諸君の健闘を祈る。そう言い残して不愉快な残響は消えた。
※100レス後、>>446に交州と青州が禁止エリアになります。
- 347 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/24(月) 21:59:13
- 爆風と爆音に追われながら、爆走を続ける夏侯楙
その姿は、ただただ必死さだけに溢れていた。
酒をあれだけ飲んだというのに、常人ならば立ち上がるのがやっとという量であったのに、
夏侯楙は勢いを緩めることなく、酔いを見せることなく疾駆を続ける。
見なれた通りが炎に包まれ、自らと偉大なる父の幻影が燃えて行くのを傍目で見ながら。
昔にも、どこかで父と語らった気がする。
啖呵を切り、命を落とした、そんな気がする。
火の粉が容赦なく降り注いでくるが、それを避けながら、それでも速度を落とさず走り続けた。
火勢は強くなってきたようだ、さて、どうしたものかな。
黒い大きな影が夏侯楙の前に現れた・・・ ああ、南門だ。
そうか、この辺りももう既に・・・ 俺以外はいないんだ、さらば、許昌
@夏侯楙[両腕擦り傷]【越乃寒梅】
※南門より脱出、曹丕達には気付きませんでした。
- 348 名前:in the Mood 1/3 投稿日:2006/07/24(月) 22:32:50
- 夜になった。
交代で眠る。仲間に背を預け安心して眠れるというのは
本当にありがたく、また心強いものだ。
女性であるし、また姫君でもある尚香は皆の遠慮や気遣いから
最初見張りのローテーションから外されそうだった。
だが特別扱いはしないで欲しいと言い、彼女も見張りを引き受けた。
こんな世界で姫もなにもない。自分だってもう仲間の一人なのだから、と。
だが理由はそれだけではない。
尚香は眠っている皆からそっと離れ、
ぎりぎり仲間が視認できるくらいに距離をとった。
これくらいの距離なら見張りの任も果たせるし、
もし誰かが目覚めても、花を摘みに行った可能性を考えて
自分をすぐに探しにいったり、仲間を起こして大騒ぎになったりはしないだろう。
尚香は支給品をそっと手に取った。
- 349 名前:in the Mood 2/3 投稿日:2006/07/24(月) 22:33:55
- 劉備のことを思い出す。
かなり歳は離れていたが、幼い頃に父を亡くしている尚香にとっては
その優しさに甘えるのが心地よかったし、また不思議な魅力のある男だった。
父に甘えるように飛び込んでみたその腕は意外と逞しく、
この人は男なのだ、と今更に実感してどきどきしたことを今でもよく覚えている。
そのどきどきをなぞるように尚香は自らの身体をそっと抱きしめる。
細い自分の腕は劉備のそれとは似ても似つかない。
私は、女なんだ。
いくらお転婆と言われようと、自分は女なのだ。尚香は実感する。
この細腕と、火照る身体で。
勢いよく放たれた白い粘液に尚香はあ、と声をあげる。
思わず目をそらし、伏せる。頬が、身体が、どうしようもなく熱い。
好奇心からか、もっと違う何かが彼女を動かすのか、
おずおずとその白濁に触れてみる。
尚香の細い指先にまとわりついたそれはにちゃにちゃと粘つき、糸を引き、
その香りを辺りにまき散らす。
自分でもどうにもできない胸の高鳴りのままに尚香はその手をそっと
(省略されました・・全てを読むにはここじゃまずいよ全年齢板だし!PINKはだめ!)
- 350 名前:in the Mood 3/3 投稿日:2006/07/24(月) 22:34:37
- 「あーあ…」
尚香は自分の盛大な勘違いにため息をついた。
劉備に会いたい。
あの腕にもう一度抱きしめられたい。
会いたいな。
星空の下、尚香は少しだけ涙を滲ませた。
<<ふたりの詩人とひとりのアモーと弓腰姫>>
曹操[軽い打撲、睡眠中]【チロルチョコ(残り84個)】
陸機[頭部より少量の出血、睡眠中]【液体ムヒ】
呂蒙[鼻を負傷、睡眠中]【捻りはちまき】
孫尚香[かすり傷]【シャンプー】
※交代で睡眠中。現在地は淮南。
- 351 名前:終焉・陳留の戦い〜徐庶サイド〜 投稿日:2006/07/25(火) 10:44:21
- 「この徐庶様が戦って死ぬのか?」
陳留にて戦い続ける4人の男。
[業β]へ向かう途中、彼らに会ってしまった。
そして斬鉄剣が語りかけてきた途端、また記憶が途絶えた。
「何て言ったかな・・・石川五右衛門だっけかな?」
その手に握るは、既に原型を留めぬ剣の残骸。
それは名乗った。石川五右衛門と・・・
そして彼の体は血で染まり、息絶えようとしていた。
「首輪解体新書か・・・孔明、士元。お前らはこれの意味が分かる・・・か・・・な?」
全ての記憶が走馬灯のように駆け巡る。
生前の記憶、全バトルロアイヤルの記憶、そして一人の剣士が死んだ。
彼の手からは2本の剣の残骸が零れ落ちた・・・
死亡確認:徐庶
※項羽の剣と斬鉄剣は砕け散りました。
- 352 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/25(火) 22:08:15
- >>351はスルーとなりました。
- 353 名前:血統1/2 投稿日:2006/07/25(火) 23:42:06
- 馬超は武器を抱えたまま、ふらふらと歩き続けた。
意識はしていなかったが、染みついた習性が人の気配を避ける。
そのまま運良く誰にも会わずに、夜を迎えた。
山道を進んでいる途中に大木の洞を見つけ、そこに腰を落ち着ける。
…とたんに襲ってくる疲労。
瓦礫を退けた後、ここまで武器を抱えて歩いてきたのだ。
思えばそれなりの重労働であった。精神的なものもあったかもしれない。
ほどなくして、放送が聞こえてくる。
呼ばれた中に知った名もあったが、どうでも良かった。
なぜ自分がここにいるのか。何をすればいいのか。
考えがうまくまとまらない。一度死んだ脳だ、めぐりが悪いのも道理だろう。
そうだ、確かに自分は死んだ。親しい者たちに看取られて…。
心残りはあったが、自分には上等な死に方だったと思う。
今更「生き残る」ことを目的にも出来ない。とはいえ、進んで死にたいとも思わない。
爆弾を放ったのもそんな気持ちからだ。
しかし、これからも人を殺し続けるのか?勝ち残りたくもないのに?
…考えはまとまらない。
所在無く、参加者名簿を開いてみる。月明かりでなんとか読むことが出来た。
先ほど聞いた放送を思い出し、死亡者に印を付けようとしたが…やめた。
誰が生き、誰が死のうが自分には関係ない。
…関係…ないか?
- 354 名前:血統2/2 投稿日:2006/07/25(火) 23:46:11
- たとえば、曹操。
この手で殺したい。今度こそ。
だがこの場で殺すのはもはや仇討ちではなく、ただの私怨。
しかも殺すことは…自分の望み以上に献帝の望みなのだ。
わずかに残った矜持が警鐘を鳴らす。愚かなことは止めろ、と。
それでも会えば、この望みを止められる自信はない。
…止めるつもりも無い。
たとえば、劉備。
彼の覇業を最後まで支えられなかった。
それは今でも申し訳なく思っているしている。
だが、この戦いで彼を支えることが…なんになるのだろう。
そもそもこの戦いの意義は何だ。
わからぬまま、ただ頭を垂れるのも我慢ならぬ。
殺したいとは思わない。だが、従いたいとも思えない。
関羽、姜維、黄忠、諸葛亮、趙雲、張飛…名簿に懐かしい名前を見つけては思いに浸る。
だが、どれも納得の行く答えは出ない。
そうして名簿を辿っているうちに…ひとつの名前に辿り着く。
馬岱。
遺していった、従兄弟。
あ、こいつは死なせたくないな、と思った。
何の迷いも無く得た答えだった。
@馬超【高威力手榴弾×7個、MP5、ダガー】
※馬岱を探すため漢中へ向かいます。敵、特に曹操は即殺します。
※劉備を始めとるする知人は殺しませんが、協力する意思も低いです。
- 355 名前:1/5 投稿日:2006/07/26(水) 01:19:04
- 永安の、劉備が劉封達と出会った小屋。そこでは蔡文姫と劉封の二人が、何か作業をしていた。
「すみません、手伝って貰って」
「いえ、私だけ何もしないのもあれですし」
劉備の礼に笑顔で返し、作業に戻る蔡文姫。数個の麻袋に、胡椒と塩を詰めているようだ。
「劉備様達は無事でしょうか…」
夜が明け、支給品で朝食をとった後、龐統と劉備は周囲に仲間がいないか偵察にいったのだった。
偵察中に敵に襲われた時の為、蔡文姫と蔡文姫の護衛として劉封、そして支給品のボーガンは小屋に残した。
その時、龐統に、なにかの役に立つかもしれないから。と、小屋で見つけた数個の麻袋に、同じく小屋で見つけた塩と、劉備の支給品である胡椒を小分けに入れておいてくれ、と頼まれたのだった。
最初は、劉封が、自分一人でやる。と、言ったのだが、蔡文姫が、自分にもやらせてくださいと、頑として退かなかったので、劉封の方が折れ、現在に至る。
「大丈夫です。義父上は、こんなところでやられるような人ではありません」
「お義父君を信頼なさっているのですね」
自信満々に答える劉封を見て蔡文姫が微笑む。
「はい、自慢の親ですから」
―自慢の親―、一点の曇りもない笑顔でそう答える劉封を見て、ふと、蔡文姫は、遠く彼方にいる、子供達の事が頭に浮かぶ。
(自慢の親、か…)
もしも、左賢王が曹操の要求に屈せず、あのまま、家族皆一緒だったらば、子供たちもこんな笑顔で、自分達の事を自慢の親と、言ってくれたであろうか。
しかし、それは過ぎ去った事。もう叶わない願い。…だが、それでも考えずにはいられない。蔡文姫の思考はループに陥っていく。
「蔡文姫殿?」
どこか、悲しげな顔をしていた蔡分姫を見た、劉封の心配そうな顔と表情に、蔡文姫は現実へと引き戻された。
「大丈夫ですか?顔色が優れないみたいですが…」
「は、はい。少し考え事をしていただけですから」
- 356 名前:2/5 投稿日:2006/07/26(水) 01:19:50
- 劉封を安心させるように、にこり、先ほどと同じ微笑を、浮かべた。だが、まだ考えていた事を引きずっているらしく、その笑顔にはどこか影がある
「しかし」
「今帰ったぞ」
劉封の言葉は偵察を終え、返ってきた劉備の声にかき消された。
「義父上と龐統殿だけということは誰も見つかりませんでしたか」
「うむ、まぁ、乗っている人間に会わなかっただけ、幸いというところではあるが」
劉備に続いて部屋に入ってきた龐統。その手には何か握られている。
「龐統様、それは…?」
それに気づいた蔡文姫が尋ねると、龐統の代わりに劉備が答えた。
「おお、実は帰ってくる途中で鳥を見つけてな。支給品に入ってるあれだけじゃ、食い足りねぇから、狩ってきた」
「まったく、焼くにしろ、蒸すにしろ、煙が出るからばれると言っているのに。頑として聞き入れてくれん」
楽しそうな劉備とは反対に、龐統は呆れ返っている。
「別にいいだろ?どうせ移動しなきゃいけねぇんだから。その少し前に調理して食っちまえばいいんだし」
ばつの悪そうな顔をした劉備と、やれやれと、肩をすくめた龐統を少し休ませ、これからの方針を話し合うことにした。
「して、次はどこに向かわれるかな?」
「俺としては漢中に行きてぇんだが。成都にゃあ劉璋のおっさん達がいっから蜀将もよりつかんと思うし。そっから先は擁州、司隷を通って幽州に、ってのが理想だ」
劉備の提案に全員異論は無いようだった。
「ふむ、異論はありませんな。幽州に行くのであれば、魏、呉の将が集まっている場所を通らなければいけない以上、
蔡文姫殿と話しが通じ、余計な諍いを避けられる可能性が高い、魏将がいる可能性の高い道を通った方がいい」
方針を決めた他、武器と麻袋の分配、荷物をまとめた後、食事をとることにした。
- 357 名前:3/5 投稿日:2006/07/26(水) 01:20:30
- 「劉備と」「劉封と」「龐統と」「さ、蔡文姫の…」
「「「「男の料理〜!」」」」
「あ、あの、私、女性なんですけど…」
「気にするな。言葉のあやという物だ」
「はぁ」
「記念すべき第一回は義父上の捕らえた鳥を使った焼き鳥です」
「ちなみに串の作成と肉のばらしは私のワイヤーでやらせていただいた」
「ちゃんと血抜きもして臭みの抜けた肉に塩・胡椒をよくすりこんでおきましょう。何事も、下ごしらえは大事です。
よくすりこんだら、一口大の肉を串に通し、最初に強火で一気に表面を焼きます。こうすれば肉汁が外に出にくくなります。単純でも大事な工程です」
「ここがこんかいのメモですね」
「はい、後は弱火で中をじっくりと焼き、再度、塩・胡椒を振れば完成です。他の料理よりも簡易な物になってしまったであろうことはご容赦ください。(ぺこり)
(自分で言っておいてなんだけど、他の料理ってなんの事だろう?)」
「義父上!大変です!」
「どうした!」
「僕、まったく活躍してません!(滝汗)」
「…気にするな」
「では、もしもまた次回なんてものがあったらお会いしましょう(ぺこり)」
- 358 名前:4/5 投稿日:2006/07/26(水) 01:21:10
- そんなこんなで4人はちょっと豪華な夕食をとり、いざ出発。というときに三回目の放送が鳴り響いた。その内容は全員に驚愕させるものだった。
「孟達。それに劉璋のおっさん達がやられたか」
それは、マーダーが近くにいる事。しかも片方は三人を相手に勝ったマーダーがいるという事である。
「いかがいたします?」
龐統の問いに劉備は目を伏せ考える。数分の黙考の後、顔を上げる。
「漢中にはおっさん達を殺したマーダーがいるかもしんねぇ。だが、だからといって仲間がいる可能性は捨てきれねぇ。だから俺は行く。」
劉備は力強くそう告げる。
「…だから龐統。お前は劉封達を連れて荊州から幽州に向かって欲しい」
劉備の発言に全員が驚愕する。
「父上!?何を言っているんです?僕達も…」
「馬鹿野郎!そんなマーダーがいる可能性の高い所に蔡文姫さんをつれてくのか!?」
劉備の大喝に劉封ははっと気づく。
「幽州にいく道中にも乗ってる奴に出くわすかも知れねぇ、だが漢中よりは確率は低いはずだ。だからお前達には先に幽州に行って、雲長と益徳を探してもらう。
俺が来るまで、俺達三兄弟が誓った桃園で待っててくれ。」
有無を言わせない劉備の迫力に、三人は反対することは出来なかった。少しの間沈黙が続く。
- 359 名前:5/5 投稿日:2006/07/26(水) 01:22:11
- 「わかりました」
劉封が沈黙を破る。その目には涙が浮かんでいる。
「でも絶対生きて帰ってきてください。義父上」
「安心しな。俺は運だけは強いからな」
そう言って劉備は笑った。そして三人と一人はそれぞれの行くべき場所へと進んでいった。
「蔡文姫さーん!」
大声で自分を呼ぶ劉備に蔡文姫、そして二人も振り返る
「劉封の事、宜しく頼むぜー!そいつは、俺の自慢の息子の一人だからなー!」
劉備の言葉に、蔡文姫は負けじと大声で答える。
「わかりましたー!劉備様も、どうかご無事でー!」
そして、三人と一人は別れた。再会を夢見て。その先に口を開くは、光か、それとも死神の鎌か。
<<親子の面影+α/三名>>
@蔡文姫【塩胡椒入り麻袋×5】@劉封【ボウガン・矢×20、塩胡椒入り麻袋×5】@龐統【ワイヤーギミック搭載手袋、塩胡椒入り麻袋×5】
※荊州、司隷経由で幽州に向かいます。幽州到着後は桃園で劉備が来るのを待ち続けます。現在永安を荊州に向け移動中
劉備【李典棍、塩胡椒入り麻袋×5】ピンユニット化
※漢中に行き、仲間を探します。見つからなければ擁州、司隷経由で幽州へ。現在永安から漢中に向け移動中
- 360 名前:傀儡は尚も抗う 1/5 投稿日:2006/07/26(水) 03:10:12
- ふはははは、馬鹿めが!
あっさりと私を見失うような凡愚供には、こっそり後を付けている事など到底判るまい……
……体中に木の枝をくっ付けた司馬懿である。多分変装のつもりか。
やたら嬉しそうなので敢えて突っ込まない。おそらくロープで縛り付けてあるのだろう。
視線の先には、四人組。
それにしてもあの馬鹿供はまったく行き先が定まらんな、いい加減私も隠れているのが疲れてきたではないか。
特に愛弟子の方は昨日の夜うんうん唸っていた辺りからどうも様子が可笑しい、いよいよ脳に花でも咲いたか?
その上、そろそろ驚かせてやろうと思っていた矢先に、何やら猛烈に怪しい二人組と一緒に歌いだすわ、
四人で意気投合するわで、壮絶に訳が判らんな……
武器を持たない姜維と馬岱が戦闘の跡を見て躊躇していたとき、半ば自棄糞で輪唱しながら歩いて来た陸遜と陳宮に
つられて歌い出したのには流石にちょっと引いた。しかも見事な四輪唱を終えた後、ろくすっぽ武器の無い者同志で
すっかり馴染んでいる。全く以って緊張感の欠片も無いのはどうしたものか……
(とはいえ、私も釣られそうだったのは激しく内緒だ。くそう、羨ましいぞ。
いやいや、羨ましくなんかないぞ!)
歌は人の心を豊かにするんだ、などと己の発想に言い訳を考え始めた司馬懿だったが、視線の先の四人が
不意に揉め始めたので、瞬時に緊張感を取り戻した。
むう、そろそろ私が手助けしてやらんとならんか……?
- 361 名前:傀儡は尚も抗う 2/5 投稿日:2006/07/26(水) 03:11:22
- 「……では、少し行き先について熟考するということで宜しいですかね」
支給品(!)のぬいぐるみをなでなでしながら陸遜が他の全員を見渡しながら言った。
「ああ……だが、その前にふたつばかり気になる事がある」
少し億劫そうに口を開いたのは、陸遜のぬいぐるみに視線を移した馬岱である。
「まずひとつ目。集められたオレらに、献帝は『殺し合いをしろ』と言う。では何故、全員に普通の武器が
行き渡ってない? 能動的に全員に殺し合いをさせたいなら、そもそも武器とは言えないようなものを
渡されている時点で、ちょっと可笑しくないか?」
……それが実は武器だったら逆に驚くけどな、とレオ様(ぬいぐるみ)を改めて一瞥した。
他の三人は納得して頷く。姜維に初期支給されたものはともかく、他の3人のはどう大目に見てもそもそも武器じゃない。
本当にこれが武器だったらいいんですけどねー、と陸遜は笑った。
「つまり、本当に殺し合い“だけ”をさせたいのか、って話。で、もうひとつなんだが――」
ぐるりと巡った視線が姜維の前で止まる。
「……アンタだよ。最近、少し可笑しくないか?」
「え……えっと……」
あからさまに姜維が狼狽するのを全員が、もちろん司馬懿も見逃さなかった。
「正直、アンタが何をしたいのか全く見えてこないんだよ。情報集めをしたいといいながら、人のいるところを
徹底的に避けている。何故だ?」
「そ、それは……ほら、武器を持ってませんし」
「それは解るけど、アンタ人の気配がするところ全部避けてるよな、その上、結果が出る前に行き先を何度も覆している。
オレにはわざと人目を避けているとしか思えない。この二人だって歌ってなかったらスルーするつもりだったんだろ?」
「…………」
押し黙る姜維の目が泳いでいる。
「それに昨晩。あのうなされ方は尋常じゃない。寝言だって聞いたぞ。そんなうなされるような夢に丞相とか、オレとか……」
なあ……アンタ、オレに何か隠してるだろ?」
- 362 名前:傀儡は尚も抗う 3/5 投稿日:2006/07/26(水) 03:13:41
- 「どうなんだ、答えてくれよ。……何か隠して無いか?」
「い、いえ、そんなことは……ないですよ。ない……です」
背を向けようとする姜維の肩を掴んで、乱暴に揺さぶる。
「アンタ、本当は何か知ってるんだろッ!?」
「知りません……知りませんッ! そもそも私は過去に一度たりとも核心には――」
言葉が途切れた直後、息を飲む音。一瞬の空白。
馬岱の瞳に炎に似た揺らぎが宿る。
「アンタなぁッ……!」
握った拳が姜維の左頬を捉える。それは力任せと言って良かった。
「何か知ってるんだったら、どうして黙ってるんだよッ……!」
さらに倒れ込んだ姜維の襟首を掴もうとする馬岱を、後ろから陸遜が羽交い絞めにして止める。話を聞くべきだ、と言う態度だ。
ややあって、口から少量の血と、何か白い石のような物を吐き出した姜維が訥々と話し始めた。
「……待って下さい、私自身、明確な手がかりになるような事は何も知らないのです。
いや、“知らされて無い”なんでしょうね、おそらくは。
私は、『以前にもこういったことが行われていた』という事を漠然と知っているのみです。ですが、その時のことを――」
答えた姜維が何かを言いかけて口を噤み、首輪に手を触れる。
「どうした?」
「いえ……『この首輪は主催者の意志一つで爆破できます。余計なことはしない方がいいでしょう』と言っていたのが
ふと気になりまして。此方を監視しているのは確実ですし」
「会話も聞かれてるのか?」
「判りません。或いは聞かれて無いかも知れません。ただ、発信機と心電感知装置が付いている以上、他に何を監視されていても
不思議ではないと思います」
申し訳なさそうに首を横に振る。だが、突如陸遜が右の拳で左の掌を叩いた。レオ様は小脇に抱えている。
- 363 名前:傀儡は尚も抗う 4/5 投稿日:2006/07/26(水) 03:18:28
-
「いい事を思いつきました、この場合は声さえ通ってなければ問題ないですよね。
会話している間、誰か一人が大声で歌って邪魔をしていたら良いかと」
「バッ……それじゃ歌ってる奴に会話が聞こえないじゃないか」
もっともらしいが著しく論点のズレた馬岱のツッコミに、今までただ和やかにしていた陳宮がにこやかに答えた。
「いえいえ、私は後程話を聞きます故、その間精一杯歌いますよ」
そう言うと、少し離れたところで歌い始めてしまった。何で歌なのかとか、そもそも大声を出すリスクには誰も突っ込まない。
それに陳宮が楽しそうに歌っているので止める気にもなれない。……別の方法ないのか?
諸々の客観的な疑問は他所に、馬岱と陸遜は姜維が語り出すのを待った。
「ええと、昨日の夜中の事ですね。あのとき、ずっと酷い夢を見ていたのですが、その中で――」
……殺しちゃいなよ。
どうせひとりしか生き残れないんだからさ。
大体、あんたの大事な丞相さまだって、かつてあんたを撃ち殺したんだ。
今あんたと一緒にいる奴だって、あんたをそそのかしたり、しょうもない理由で離反したり。
人間なんてロクでもないものだよ。信頼していた奴ですらこんな感じなのに、他人なんて誰も信じられやしない。
最後に立ってた奴が笑うのさ。だったらその最後のひとりになってみなよ……
(厭だ、そんなことは……信じない。私は、信じないぞ――)
「以来、何者かが私を嗾けようとしているのを、ずっと感じるんです。誰かに遭ったら不用意に傷つけてしまいそうな気がして」
一気にまくし立てた後、深い溜息をつく。
「真実を知らねばならないと思う反面、その真実から逃げたいという気持ちがある。
もしそこにある真実が私にとってとても残酷なものなのだとしたら、結論なんて出ない方がいい、などと思ってしまうのです」
ああ、だからなのか。人を避け、結論を避けたその意図が奈辺に在ったのか、その疑問がやっと氷解した。
魏延に必要以上にダメージを与えてしまった時も、抱えて跳ぶまで彼はうろたえたままだった。
歌につられたのも、渦巻く悪意から逃れたかったからなのか。
- 364 名前:傀儡は尚も抗う 5/5 投稿日:2006/07/26(水) 03:22:24
- 「――ひとりでいた時は武器が欲しかったのですけど、今となってはまともな獲物を与えられなかったのは何よりの
幸福かも知れません。武器を持った状態で誰かに遭ったら――」
弱々しく呟く声が唐突に止まる。ついでに陳宮の歌も止まる。
停止させたのは、茂みだった。いや、茂みなんだけど。
「ふはははは、情け無いぞ姜伯約!」ばさーっ。
最初、茂みから新たな茂みが出てきたように見えた。どう見てもそのように見えた。
いや、それは茂みじゃなくて体中に木の枝をくっつけた司馬懿な訳だけど。
「貴様がそんなことでは諸葛孔明が泣くぞ! 少しは気をしっかり持ち給え」
「ちょ、いつからそこに」
「ずーっとおったわ、たわけが! まったく貴様らは突然歌いだすから何事かと思ったではないか!」
そんなことよりその木は何なんだ。というか何でそんなに嬉しそうなんだ。すんでのところで馬岱は新たなツッコミを飲み込んだ。
「いやその、ずっと付いて来ててたんなら何で今このタイミングで出てくるんですか」
「そんなことはどうでもいい、少しは前向きになる気になったか、未熟者。現実が如何に過酷でも、そこに目を向けられる覚悟は出来たか?」
「はい……ええ、はい」
頬を摩りながら若干気を持ち直した姜維の脇で、死亡者と禁止エリアを伝える放送が流れてくる。禁止エリア!?
「禁止区域に入ると首輪がどーん……って話だったよな、確か。もうすぐ交州と青州が立入禁止区域か……
なあ、万が一禁止になる前に、可能性を信じて益州に寄っておかないか? 何も無い、あるいは危険がある可能性もあるけど」
馬岱の提案に全員が頷く。
……なんでアンタまで頷いてるのかなぁ。すんでのところで馬岱は司馬懿へのツッコミを飲み込んだ。
<<めるへんクインテット>>(<<丞相を捜せ!>>+陸遜+陳宮+司馬懿)
陸遜【レオ様(ぬいぐるみ)】
陳宮【ゴスロリドレスセット(黒いワンピース、白いペチコート、コルセット、ヘッドドレス、ネックレス、香水)】
姜維[左下第三臼歯破折]【なし】
馬岱【赤外線ゴーグル】
司馬懿【シャムシール・ロープ】(木の枝を多数装着中)
※諸々のリスクを度外視して益州に行きます(但し人数が増えたので行軍速度は若干遅いです)。情報収集優先です。
- 365 名前:1/4 投稿日:2006/07/26(水) 05:35:17
- 「皆の者、朕は嬉しいぞ〜」
その慇懃無礼な献帝の声が、夜闇に包まれた森林の静寂を壊す。
音に反応して、辺りでも大きな木、その大降りの枝の乗る男が目を閉じ眉間にしわを寄せた。
―今夜は静かだな―彼がそう思った矢先にこんな不愉快な音が耳に入る。
(・・・ふん・・・こんな場で穏やかな夜を望むなんて事が、そもそも無意味ってものか)
内心の不快感を表すように張コウは舌打ちした。
『張角以外の誰にも会っていない』
それが彼の幸運でもあり、また不運でもある。
前夜は銃声や怒声、悲鳴は耳に届いたものの、さほど近くもなかったし戦闘を行う事もなかった。
おそらくだが、知った者も声を上げてはいなかったと言える。
そして十分に竹刀を扱い
『通常の剣よりはずっと軽い。威力は低いが急所を突けば致命傷や悶絶に至る』
と、前向きな結論を出す時間もあった。
身のこなしなら、自分はかなり長じている。
強者以外なら不意を突いてノドや鳩尾、金的を攻撃できる自信がある。
問題なのは、彼の志を知る人間が現在1人もいないという事か。
曹操はおろか、他の魏の重臣にすら会っていない。
そうこうしている間に、すでに楽進や徐晃が死んでいる。
このままでは、多くの『理解してくれるかもしれない』人間がいなくなるかもしれない。
- 366 名前:2/4 投稿日:2006/07/26(水) 05:37:43
- 『現時点では殺すべき対象』の献帝の声が響く中、張コウはまた物思いに耽る。
(だが、信用してくれるか・・・?)
現時点での彼の最大の疑問、不安はそこにあった。
あるいは今生き残っている者とて、殺戮を楽しんでいるかもしれない。
自分とて、曹操や夏侯惇、夏侯淵、司馬懿達を完全に信用するか?というとやはり疑問だ。
心底ではあまり誰も信頼していない。信用したくない。
それと同じように、自分とて曹操達にそう思われているかもしれない。
元々自分はどこか熱くなりやすいところがあるが、やや酷薄に近い。
殺しが格段に好きとは言わないが、決して嫌いではない。
それどころか、この場において曹操が王の器たらねば、殺してしまうかもしれない。
―自分ひとりが生き残って王になろうと、自分に治めきれるとは思わない―
―将軍として生きたいから、献帝を殺す―
―『殺したくないから』『殺しあうのはイヤだ』そんな思いは微塵もない―
献帝殺害の理由も、やや攻撃的なそんな理由からだ。
そんな自分が『手を組んで献帝殺害』と言ったところでいったい何人が信用するだろうか?
(・・・掲げた主義にしては、似合わない性格だな)
わずかにでも己の武器に殺傷能力があることを確認できると、そんな己の性格を再確認できる。
ふと自嘲の笑いが浮かんだ。そのまま、また一休みしようと眼を閉じる。
- 367 名前:3/4 投稿日:2006/07/26(水) 05:39:27
- 『顔良』
だが献帝が発したその名前に、張コウはふと眼を開ける。
(死んだか、顔良・・・お前らしいというか、早い死に様だな。さて、そのご主君は?)
かつて同僚であった人間に彼なりの餞別を送った後、彼は袁紹の事を思う。
ここ一昼夜、彼はなぜかよく袁紹のことが頭に浮かんでいた。
別に袁紹は特に好きでも嫌いでもない。強いて思うなら優柔不断な奴だと印象づいている。
なのになぜだろう?
彼はその理由についてまた考える。
すでに袁家の臣の大半が散っているからか?
それとも、己が袁家を離れた原因である郭図が死んだからか?
それとも・・・?
「袁紹にも、王の素質はあると・・・ひょっとしたらオレがそう思っているからか?」
彼が自分に言い聞かせるようにそう呟く。
その後、献帝の声は止まり、また穏やかな静寂が辺りに広がった。
枝に吊り下げたバッグから備品を取り出し、服にしまう。
そのまま、竹刀と水の容器を取り出し水を口に含み、うがいをして吐き出す。
左手にその水の容器を、右手に竹刀を手に持ったまま、張コウは枝から地面に飛び降りた。
『そろそろ動くか』
そう考えたのだ。
軽く屈伸をした後に視線を上げ、高い枝に吊り下げたままの空のバッグを一瞥する。
罠に使えない事もないが、置いて行ってもいい。
そもそもバッグという疑似餌に引っかかる奴はろくな道具を持っていないだろう。
- 368 名前:4/4 投稿日:2006/07/26(水) 05:40:56
- (まずは水を補充するか。小さな川くらいならその辺にいくらでもあるだろう。
水源を絶たれて失敗した、山頂好きの誰かさんの先例もあるしな)
思い笑いながら、少しだけ疑問が浮かぶ。
今の自分の肉体は若い。だが、老いた頃の戦の経験をなぜ最近の様に思い出せるのか。
気にはなるが、それは1人で考えるより誰かと相談したほうがいいだろう。
(水を補給した後は曹操殿・・・まあ袁紹殿でもいいが・・・を探すとするか・・・。
この擬似の剣よりいい武器を持っている奴から、不意を突き武器を奪い取ってもいいかな。
あまり銃とは戦いたくないが・・・)
袁紹も候補に入ったが、彼にとって王の器たるのはやはり曹操である。
ひとまずは、曹操と会うことを最重要目的に据える。
(だが・・・)
一呼吸おいて水の器を下に置き、地面から枯れ葉を拾い、中に舞い上げる。
(だが、もしオレから見て王の器たらねば、その時は・・・)
右手を振り上げる。
「まさかな・・・そんなはずはないか」
竹刀の軽く鋭い風切り音が枯れ葉に当たり、葉は砕け割れ地に落ちた。
曹操に会う時、彼はどのような思いを抱いているのだろうか。
それはまだ、彼自身もわからない。
@張コウ【竹刀】
※洛陽西の森林から、許昌へ。
※手を組むのは曹操以外に袁紹でもいいか、と考えてきています。
※やや攻撃的になってきました。
- 369 名前:重なる歌よ凱歌となれ 1/4 投稿日:2006/07/26(水) 16:35:40
- 陳宮は、お友達がたくさんできてとってもご機嫌。
みんなのご用事のために、陳宮は元気よくお歌を歌います。
お空には、まんまるにちょっぴり足りないお月様と、
すいっと流れたほうき星。
おや?あれはほうき星ではないのかしら?
まあ、あれはRPG-7の弾頭ではありませんか。
さあ大変。メルヘンしている場合ではありません。
「! 散れ!」
いち早く異変に気づいたのは司馬懿だった。
砲弾は少し離れた箇所で一人歌っていた陳宮を狙っていたようだったがそこからも逸れ、
砕けた岩の欠片が陳宮と司馬懿に掠ったが行動に支障があるほどの負傷ではなかった。
「ちっ!」
司馬懿は舌打ちする。
かなり威力のある兵器だ。だが命中率はさほどでもないようだ。
あるいはこの暗がりゆえか?
これだけの頭数に挑むということは敵は複数か。
いや違うだろう。多数、しかもこのような高威力の兵器を所持しているなら
単純に昼間、派手に狙撃すればよい。
暗がりを利用しての奇襲などという手を使っている時点で
敵は確実にこちらより少数だ。しかも恐らく一人。
二人以上ならば、初手を外す可能性を視野に入れ後を詰めさせるはずだ。
ちらと馬岱を見る。
いける。
この司馬仲達、勝機ありと見たならば速攻!
- 370 名前:重なる歌よ凱歌となれ 2/4 投稿日:2006/07/26(水) 16:36:57
- 「馬岱!そのゴーグルとやらを貸せ!
私は高台に上り敵を見つけ次第これで知らせる!」
司馬懿はザックから全員に支給されている懐中電灯を取り出す。
「姜維!陸遜!これを持て!
中身は何かは解らんが牽制にはなるだろう!」
ザックからさらに取り出したのは瓶が二つ。
<<旗本八旗>>の支給品のうち董卓が持ち去らなかったものだ。
姜維たちが来る以前に何かの役に立つかもしれぬと回収しておいたのだ。
「全員歌いながら散り散りに進め!
輪唱して呼吸を合わせろ!互いの位置も歌声で把握しろ!」
さらに司馬懿は木の枝を巻きつけているロープの結び目をシャムシールで切って解き、
両方を馬岱の赤外線ゴーグルと引き替える。
「貴様は歌わずに密やかに進み敵を討て!
背後から絞めるなり刺すなり、臨機応変にやれ!」
さっきの歌は四輪唱だった。敵はこちらを四人と思っている可能性もある。
私はここまで読んで歌うのを一生懸命我慢したのだこれこそまさに我が深謀遠慮ふははははははは!
思いっきり後付けの理由で司馬懿は勝ち誇る。
「貴様は…」
ふと陳宮に目を留める。
「…思い切り歌って走れ。そして皆を和ませろ!」
司馬懿は最後にもう一度馬岱に言った。
- 371 名前:重なる歌よ凱歌となれ 3/4 投稿日:2006/07/26(水) 16:38:41
- 「見たところ貴様が一番冷静だ。故に最も重要な役割を任せた」
ゴーグル越しに司馬懿の真剣な瞳が光る。
「我々がシリアス路線に戻れるか否かは貴様の肩にかかっている!頼んだぞ!」
いや、その前にオレらの命かかってるって。
なんだかんだ言ってこういうポジションの馬岱。
「では進め!そして私に続け!」
司馬懿の号令を合図にそれぞれが散り、走る。
何か特別な効果があるかもしれない。
ちょっとした期待を込めて司馬懿は最後の拾い物の付け髭を付けてみた。
なんかもさもさする。
足場のよさそうな高台を探しながら、司馬懿は高らかに歌い始めた。
「おっやすみなさいとフクロウ啼くから〜静かな湖畔の森の陰〜!!」
夜の五丈原に歌声は響く。
おっやすみなさいとフクロウ啼くから〜
静かな湖畔の森の陰〜♪ かげ〜かげ〜かげっかげっかげ〜♪
「ちっ、意外と扱いづらいな」
董卓はRPG-7をFN-P90に持ち代えながら言った。
反動がかなり強かった。董卓の力と体型ならばよろけることはないが
かなり砲身がぶれ狙った箇所に当てるのは難しい。
観測手たる李儒がもういないことも少々痛い。
だが暢気な雑魚どもにこの董卓様が遅れを取るものか。残虐に笑う。
「屑どもが。蜂の巣にしてくれるわ!」
- 372 名前:重なる歌よ凱歌となれ 4/4 投稿日:2006/07/26(水) 16:39:55
- <<めるへんクインテット/5名>>
陸遜【レオ様(ぬいぐるみ)、味の素】
陳宮[軽傷]【ゴスロリドレスセット】
姜維[左下第三臼歯破折]【クロロホルム】
馬岱【シャムシール、ロープ】
司馬懿[軽傷]【赤外線ゴーグル、付け髭】
VS
@董卓【P-90(弾倉あと5)、RPG-7(あと4発)、ジャベリン】
※五丈原にて戦闘開始。
- 373 名前:1/2 投稿日:2006/07/26(水) 16:56:01
- 夕闇が迫り始めた扶風郡の林で、董卓は汗をかいていた。
肥満によるものではなく、戦闘を控えた充実感のある汗を。
数時間前。戦の気配を感じて北に向かった董卓は、血肉まみれの戦場跡にたどり着いた。
顔ぶれを見るに、先程戦った一味のようだ。
「……足りんな」
バラバラの死体ばかりだったが、計算すると二人ほど足りない。
放置されていた、李儒を粉砕した槌を拾う。重いが、騎兵戦以外ならジャベリンよりもこちらの方が使いやすそうだ。
さすがに荷物が重くなってきたが、涼州随一とされた豪力を誇る董卓にはまだ余裕があった。
死体の側にある倒木に腰掛け、感覚を鋭くする。言わば野性に返るのだ。数分間集中する。
この先にはもう誰もいない。少し東南に下った所に……一人、いや二人か? 戦って負けて逃げたのか?
血塗れのミョルニルを拭くと、董卓は堂々と街道の真ん中を歩んでいった。
気配と血の跡を辿ると、あっけなくその主の下へたどり着いた。
「縮小されているが……ここは冀城か。ふんっ!」
四方の城門は閉じられていたが、ミョルニルで強引にぶち破る。轟音を纏った紫電が奔り、城門はあっさりと破られた。
「楊秋か……っ!?」
この槌のせいで勘違いしたのだろう、男が一人出てきた。無防備にも丸腰の姿だ。士気が下がっているのだろうがそれでは生き残れまい。
「莫迦者めが!!」
ミョルニルを投擲する。寸分違わず頭部を貫き、血漿が吹き出た。
その音を聞いて遅い足取りでもう一人が出てくる。
「ばっ、馬玩!」
- 374 名前:2/2 投稿日:2006/07/26(水) 16:57:37
- 「おい、そこのお前」
相手はナイフを数本持っているのだが、気にする風でもなく董卓は訊いた。
「な、なんだ!」
「わしの名を言ってみろ。貴様ら軍閥が知らんはずもない」
ガタガタ震える相手を前に、董卓は残忍な笑みを浮かべる。
「と、董卓仲穎……ぐあっ!」
P-90が火を噴き、梁興も倒れた。
「様をつけんか、様を」
董卓はそう吐き捨てた。
二つの死体から道具や食料を漁り、また城内を探索して食料を手に入れると、彼は城壁に向かう。
「……まだ誰か近くに居おるな。しかも五月蠅い」
忠実な部下には報じ、敵や邪魔者は残らず略奪し、陵辱し、そして殲滅する。それが乱世の覇王董卓仲穎の主義だ。ならばどうするかは決まっている。
「行くか。阿呆共を殺しに」
入念に武器のチェックを済ませると、董卓は城の外に出て、扶風の地に向かった。
随分と武器を装備したが、動きに支障はない。
かつて猛牛を一捻りで絞め殺し、蛮族に畏敬の目で見られた董卓にとって、この戦いはまだ準備運動が終わった程度だった。
【馬玩 梁興 死亡確認】
@董卓【P−90(弾倉あと5)、RPG−7(あと5発)、ジャベリン、ミョルニル、投げナイフ20本】
>>372に続きます。
- 375 名前:ひぐらしが鳴く 開かずの森へ 1/4 投稿日:2006/07/26(水) 20:56:18
- 「街亭のほうには行くな、と神が告げている」
「どこの脳内神だそれ」
「むしろ私が神? 天から舞い降りた神童?」
「そうかそうか、ところでこの毒草食うか?」
食後のデザートに甘い木の実をかじりながら、凌統と馬謖はまったりと目的地を検討していた。
「孔明先生を探すなら徐州か成都か、臥竜丘も無いとは言い切れないな。
しかしもう劉備あたりと合流してそうな気がするが」
「お前自分の君主呼び捨てかよ」
「だってあの耳長野郎嫌いだし」
劉備が死に際に馬謖は大口叩きのヘボだから重用するなよ、と言い残したことを割と根に持っている馬謖である。
劉備のその遺言が正しかった事はもちろん丸々無視している。
「あぁあの大耳、思い出すだに腹が立つ! 次に会ったら是非殺す。脇の下くすぐり殺す」
「なんだその奇怪な死因」
「知らんのか? くすぐられ続けると笑いを通り越して苦しみと快楽の狭間の天国が見えるんだぞ」
「誰がそんな特殊性癖の話しろって言ったよ」
呆れ声でツッコミを入れて、きゃんきゃん声を上げながら跳ね回っている仔犬を膝の上に抱き上げる。
ああ、父上。何だか変な相棒を引き当てちゃったけど、俺はがんばってます。
- 376 名前:ひぐらしが鳴く 開かずの森へ 2/4 投稿日:2006/07/26(水) 20:59:47
- 「そっちはどうなんだ? ほら、周瑜とか呂蒙とか陸遜とか言ってただろう」
「確か生まれは周瑜様が廬江、呂蒙殿が汝南、陸遜殿が呉郡……だったと思うけど」
「そこに居るとは限らない?」
「実際呉郡の俺がこんなところに居るし……」
「まあ私が荊州生まれだがな。どの辺に皆が集まっているのか……あれ」
探知機で人の分布を見ようとした馬謖が軽い驚きの声を上げた。
「見ろ、ボタン押したらお前と魏延の名前が出てきた」
馬謖の指差す小さな2つの点の傍に、それぞれ名が記されていた。
持ち主である馬謖を示す色違いの点のすぐ傍の光点は『凌統』。
漢中方面に向かって動いているものは『魏延』である。
「便利……なんかなぁ」
「まぁ、使いようによっては便利かもしれないな」
「どこを押したんだ?」
「肩の後ろの二本のゴボウの真ん中のスネ毛の下のロココ調の右」
「……は?」
「裏側にある黄色いボタンとも言うかな」
「他に言いようがない気がするけどな、俺は!」
ああ、父上。俺はこのアホの相手、そろそろ挫けそうです。
馬謖の訳の判らない言動に肩を落とす凌統を他所に、馬謖が行き先を検討していく。
- 377 名前:ひぐらしが鳴く 開かずの森へ 3/4 投稿日:2006/07/26(水) 21:03:20
- 「周瑜は言うまでもないが、陸遜も呉郡四姓の陸家だったな?
とすると実家の辺りで仲間を待つか……いや、逆に離れる可能性もあるな。有名人は有名な分だけ妬みも買うし」
実際は周瑜も陸遜も2人の割合近くに居るのだが、もちろん知る由もない。
「呂蒙についてはよく知らないが、どう動くと考える?」
「うーん……判らないけど、孫権様の元に向かうなら揚州かな」
「建業か。周瑜と陸遜は?」
「どうかなあ。孫策様が亡くなられたみたいだから周瑜様が孫家に固執する可能性は低いし、
陸遜殿は孫家に恨みすら持ちかねない事情があるから……」
「その2人の行き先は推測しにくいということだな。ではとりあえず建業に向かうか?」
「結果的に孫権様の元に行く事にならないか? 俺はいいけど、お前は?」
「劉備よりは孫権殿のほうがだいぶいい」
凌統の膝の仔犬をつついて嫌そうな声を上げさせた馬謖は、無駄に胸を張りながら答えた。
「そうか。じゃあさっそく移動するか?」
「あ、言い忘れたが、強そうな奴は出来るだけ避けながら移動しよう。元の仲間でも過信するな」
「ゲームとやらに乗ってるかもしれない……と?」
「ああ。私は見ての通り頭脳労働専門だから野蛮な筋肉など持ち合わせていないし、
お前は見るからに二戦級の将軍だからな」
「二戦級言うな二戦級言うな二戦級言うな!」
ああ、父上。
ここでこいつ叩っ斬ってもいいでしょうか?
- 378 名前:ひぐらしが鳴く 開かずの森へ 4/4 投稿日:2006/07/26(水) 21:06:57
-
荷物を持って数歩歩き出した所で、奇妙に静かな声で馬謖が問いかけた。
「凌統、私たちは正直かなり有利な立場にある。
探知機を頼りに逃げ回り続ければ、最後の最後すれすれまで残れるだろう。
それでも逃げるのではなく、進むほうを選ぶか?」
口を開けばたいてい理解不能な軽口ばかりの相棒の真面目な問いかけに戸惑い、
凌統は一瞬目を丸くしたが、答えはひとつしか無かったのですぐに答えた。
「逃げるのってあんまり好きじゃないんだよ。
戦でも、安全な所で見ているよりも先鋒を務める方が楽しいし」
何を言おうとしたのか馬謖は口を開きかけて、視線を落とした。
「……そうか、分かった」
冷めた風がざぁっと吹き抜けたあと、虫たちが競うように鳴き声をあげはじめた。
そこで凌統はやっと、煩いほどだった虫の声が止んでいた事を知った。
<<既視感を追う旅/2名>>
凌統【???、犬の母子】馬謖【探知機】
※現在荊州北東部。とりあえずの目的地は建業ですが、一旦南下します
※近くに人間が居ればこっそり観察しつつ、呂蒙、周瑜、陸遜、諸葛亮との合流を目指します
※探知機で近づく人間を察知可能。馬謖が直接認識した相手は以後も場所の特定が可能
※「ところで俺ら最近既視感追ってなくない?」「じゃあユニット名≪天才とその下僕≫で」「却下」
- 379 名前:焔の夢 1/3 投稿日:2006/07/27(木) 00:29:27
- エン州は東郡。
だんだんと日が差してきた薄暗い森の中を、
ガサリ、ガサリと音が立つのにも構わずに、その男は歩いていた。
(曹操)
血走った瞳に異常な光が宿る。
(賈、ク。何処に居るのだ)
ガサリ。ガサリ。
男―――張繍は手に持った山刀で周囲の枝を払いながら進む。
切っ先が滑る度に、梢が音を立てて切り落とされた。
(賈ク。何故迎えに来ぬのだ。董卓の下で培った私の武と、
冷厳なるお前の智謀が合わされば、曹操など一ひねりだろう?)
今や、張繍は完全に狂っていた。
体は、曹操を屠る為のみに動き。
心は、この山刀が曹操の首を飛ばすことだけを願って、
彼はただひたすら、前へと進んでいた。
(賈ク、曹操は許昌だぞ。奴の行くところなど其処くらいしかあるまい。
そうだ賈ク。許に着くまでに幾つか策を考えておけ。
着いてから考えたのでは遅いからな、」
途中からは、口に出ていた。傍らに居るはずの賈クに言い聞かせていたのだ。
もちろん、隣には誰も居ない。
「よいか。曹操は生半可な策では死なぬぞ。
曹操はしぶといからな。曹操はな、曹、」
隣には、確かに誰も居なかったけれど。
- 380 名前:焔の夢 2/3 投稿日:2006/07/27(木) 00:30:27
- 辺りに銃声が響いてから、五分。
たっぷりの時間を待って、于禁は寝床としていた大木から滑り降りた。
六歩先にある張繍の死体には、心臓に小さな穴が開いている。
――張繍から六歩分、斜め後ろにある、大木。
そこから、狙撃した。
「・・・馬鹿か?」
あんなに大声で。むちゃくちゃに梢を切り飛ばして進んで。
ガサガサと、音を立てて。
―――撃ち殺されて当然だ。
于禁は、すこぶる機嫌が悪かった。
先ほどようやく寝付いたばかりだというのに、
この男の起こす音によって、容赦なくたたき起こされたのだ。
(大体あんな馬鹿でかい声で喋りやがって・・・こっちだって危険になるんだ、
この糞、糞、糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞)
腹立ち紛れに、伏した頭蓋を踏み潰すと、ぐしゃりという嫌な音をして、
血と脳漿が周囲に跳ねた。
「きっ!・・・たねー、なぁ・・・」
びしゃ、と靴にこびり付いた脳漿を拭う。
その後で、硬直した死体の手から山刀をもぎ取り、
ザックの中から水と食料を取り上げて、于禁はその場から背を向けた。
- 381 名前:焔の夢 3/3 投稿日:2006/07/27(木) 00:32:17
- ――森には、各所から光が差し込んできていた。
張繍の死体がある場所から、幾許か離れたところで、于禁は立ち止まった。
周りに気を張りながら、リストを取り出して、広げる。
先程流れたばかりの放送を、少しばかり反芻してみた。
曹公は、ご無事のようだ。
――安堵。
張遼と張コウはまだ、生きている。
――よかった。
曹丕は、虞翻は。
――――――死んでいない。
(よかった)
天はまだ自分から、復讐の機会を取り上げる気は無いらしい。
(本当によかった)
于禁は、指紋のついた山刀をよくよく拭いながら、西南の方角へと足を進めた。
許都は、少しばかり遠くにある。
【張繍 死亡確認】
@于禁【AK47カラシニコフ、山刀】 『現在地 エン州・東郡南部』
※張繍が許都、許都言っていたので、
刷り込まれて許昌に向かうことにしたようです。
※曹丕、虞翻を中心に、恨みのある将を狙います。
※曹操、張遼、張コウ相手には友好的です。
- 382 名前:馬鹿の一人踊り 投稿日:2006/07/27(木) 00:54:23
- 献帝の臓腑をえぐり取らんばかりに苛立つ声が響き始めた。
その声は、各地で戦いが起こり、皆々が殺し合っていることを告げた。
夏侯楙「いゃぁ〜、どいつもこいつも威勢が良いなぁ、いやっほぅ!」
(くそっ、どうなってるんだ・・・!?
ボディーガードをつける前に皆死ぬつもりか!?
困ったな・・・誰かと相談してでもこの危機を乗り越えなくてはならないのに。
頼りになる者と言えば・・・
親父殿に夏侯淵叔父、先帝殿、そして曹丕、か・・・
誰でも良い、誰かに会って、伝える事は伝えないと・・・
絶対に私達は死ぬわけにはいかないんだ、その全てが生き残るためにも
これだけの火が出ているんだ、必ず誰かが寄ってくる、その中に知り合いがいれば事は成る。)
「さぁーってと、どこに行こうかねぇ。
酒があるところに行きたいが、そうはいかねぇだろうなぁ・・・
まぁいい、とりあえずはそこらで寝てるか!」
夏侯楙は、その言を即座に行動に移した。
そして、潜伏するための場所である林を捜索し、手頃な広さであろうそれを発見した。
森の中は鬱々として光り射さず、寝るには最適であった。
夏侯楙「んーっと、では、寝るか!!」
(一か八か、二度目の賭けだ!)
そう言うと、酔いが回っていたのか、何処かの小学生の如く、あっというまに夏侯楙は深い眠りへ落ちた。
大きな大きないびきを立てながら。
@夏侯楙[両腕擦り傷+睡眠]【越乃寒梅】
※いびきをかいています。
- 383 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/27(木) 11:48:17
- 近くで摘んだ、辛味のある薬草を齧る。それでようやく、落ち着けた。
張燕は握り締めていたトランシーバーから力を抜くと、近くにあった川へ投げ込んだ。
「胡車児は死んだか。ならば本来の趣旨に戻るのみよ」
黒山賊の首領だった張燕。戦闘になら自信はある。真っ向勝負はともかくゲリラ戦は大の得意だ。
そこで、ひとまずは本拠地であった常山に向かっていたのだが……。
「むっ?」
人気のない森の中に、何か武器のようなものが落ちている。
慎重に進み、回収する。弩のようなものだ。
「連弩の類型か」
だが形が違う。小型に改良されており、その上一度に十本の矢を放てるようだ。
「俺には一度にそれだけの矢は必要ないが……だが、射程は短いようだ」
扱いやすいように矢も詰めているため、有効射程はせいぜい五十歩が限界か。
常山に戻って毒でも塗るか。そうすれば威力が大幅に上げられる。
そう考えて、一歩を踏み出し……
……一斉に数本の矢が放たれ、いまだ気を失っていた劉ェをそのまま針鼠にした。
「危ねえっ、なんで気づかなかったんだ」
それも劉家の運だったのだろう。だが相手がいくらなんでも近いところに居すぎた。
遺体から食料と諸葛弩の説明書を奪うと、張燕は北方へと姿を消した。
【劉ェ 死亡確認】
@張燕【諸葛弩】
※常山へ向かいます。
- 384 名前:凱歌よ響け高らかに 1/8 投稿日:2006/07/27(木) 16:28:50
- 「おっやすみなさいとフクロウ啼くから〜」
司馬懿の目は襲撃者を見つけようと忙しなく動く。
夜の五丈原。彼はかつてここで耐える戦を展開し、その瞳はじっと星を見ていた。
だが今ここで必要なのは速攻。時間がかかるほど不利になろう。
どこだ。どこにいる?
「静かな湖畔の森の陰〜♪」
戦闘の高揚ゆえ身体が火照っているのか、一際くっきりと浮かび上がる巨体。
…あれか!
すう、と息を大きく吸い込み司馬懿は懐中電灯のスイッチを入れる。
「かげ〜かげ〜かげっかげっかげ〜!」
光条が闇を裂き董卓の巨体を照らし出す。
意外に近かった距離に陸遜は一瞬息を呑む。が、声を張り上げる。
「おっやすみなさいとフクロウ啼くから〜」
小脇に抱えたぬいぐるみが異様に重い。その重さが陸遜のやる気を萎えさせる。
「静かな湖畔の森の陰〜。」
やや投げやりな歌声。
董卓がこちらを見た。手にした銃身は懐中電灯に照らされ鈍く光っている。
銃口がこちらを向く。
「…かげ〜かげ〜かげっかげっかげ〜っ!!」
死にたくはない。
陸遜は手にした瓶を思い切り投げ岩陰に隠れようと斜め後ろに踏み出す。
- 385 名前:凱歌よ響け高らかに 2/8 投稿日:2006/07/27(木) 16:30:21
- …おやすみなさいとフクロウ啼くから…
どこまでもふざけた連中だ。
間の抜けた輪唱が岩場にわんわんと反響してより一層苛立ちを掻き立てる。
しかもその反響のせいで誰がどこにいるのか、また何人なのかが意外と掴みづらい。
嫌でも聞こえてくる歌声に、董卓も無意識に
視覚よりも聴覚で敵の位置を割り出そうとしてしまっている。
…静かな湖畔の森の陰…♪
光条で自らを照らしている司馬懿が鬱陶しいが、
P-90で打ち抜くには少々確実性に欠ける距離だ。
だがこちらにはミョルニルがある。
炭となった李儒、ぶち抜いた冀城の城門、的確に潰れた馬玩の頭。
ミョルニルを振るわれ、また自らも振るい、董卓はその必中の性能に気づきつつあった。
適当に放り投げても振り回しても確実に標的を肉塊と化す殺戮兵器。
司馬懿は銃撃に備え岩に半身を隠し姿勢を低くしている。
だがそんなことをしても何の意味も無い。馬鹿め!
嬲り殺しにしてやれないのは残念だが、
小うるさく騒ぐ蠅どもを適当に潰したら残りをじっくりいたぶってやってもいい。
董卓は自らが手にしている絶大な力に酔いしれた。
とりあえず近場で喧しく啼く小雀から撃ち殺すか。
…かげ…かげ…かげかげかげ…♪
- 386 名前:凱歌よ響け高らかに 3/8 投稿日:2006/07/27(木) 16:31:19
- 「うあああっ!!」
異形の銃、P-90が火を吹く。
その凶弾は陸遜の腕を、腿を掠め、たまらず陸遜はどう、と倒れる。
陸遜が投げた味の素の瓶を銃口の向きを僅かに持ち上げて打ち抜いたので
腹に風穴を空けることは叶わなかったが、
腕と足を傷めたならもう戦力にはなるまい。
フルオートで凶弾をまき散らしたまま、董卓は再び銃口の向きを低く下げる。
地に転がる陸遜に向けて。
「…っ、おやすみなさいとフクロウ啼くから…!」
陸遜が撃たれた。その光景に姜維は凍り付く。
声を上げねば。震える声を励ましながら姜維は歌う。その声に董卓が振り向く。
その化け物染みた愉悦の笑み。
人を喰らう悦びを知っている笑み。
…喰われる…!
「静かな湖畔の、も、り、の…かげ…!」
それは本能的な恐怖。呂律が回らない。
だが歌わなければ、そうでなければ陸遜が…。
(見殺しにすればいい)
だってどうせ最後に残るのは一人なのだ。
あいつだっていつ自分を殺すか解ったもんじゃない。
(ここで声を上げて標的が自分に変わってはたまらない)
自分は手を汚さなくともいいのだ。ただ見ていればいい。
今黙っていれば、邪魔者を一人片づけてもらえる―。
- 387 名前:凱歌よ響け高らかに 4/8 投稿日:2006/07/27(木) 16:32:31
- 姜維はぐっと目を閉じた。
強く頭を左右に振る。そしてカッと目を見開く。
全てを振り払うように姜維は声を張り上げ、
その迷いや躊躇いごと思い切り瓶を投げ捨てる。
「…かげっ!かげっ!かげっかげっかげー!!」
白いきらめきがはらはらと光に照らされ舞い散る。
陸遜の投げた瓶の欠片と、中身の味の素だ。
董卓は若干驚きはしたが、虚仮威しと見抜き更に唇を歪めた。
「それだけか。阿呆が」
異形の銃が冷たく光る。
藁にも縋るような陸遜の叫びと、姜維の投擲はほぼ同じタイミングだった。
「レオ様、ゴー!!」
また同じような瓶が投げつけられた。
董卓は新手に標準を変え、引き金を引いたまままず瓶を撃ち、
そして姜維をも粉々にしようとする。
「何ぃっ?!」
瓶が弾ける。飛沫が散る。
クロロホルム。
目眩、頭痛、吐き気、酷ければ意識を失わせ死に至らしめることもある毒物だ。
飛沫は風となり、その凶悪な毒性を辺りにまき散らす。
標的の董卓はもちろん、陸遜や姜維までもが広がる毒ガスに喘ぎ苦しむ。
だが月明かりの下すっくと立つ姿が一つ。
陸遜のダメもとの叫びに応えし獣。
それこそがレオ様であった。
- 388 名前:凱歌よ響け高らかに 5/8 投稿日:2006/07/27(木) 16:33:36
- レオ様はその肉体美を存分に見せつけながら躍動し董卓に躍りかかる。
だが何という董卓の生命力。せき込み目を瞬かせながらも銃を捨て、
自由の利かぬ自らの身体を意志でねじ伏せるようにミョルニルを持ち上げた。
振りぬく!
ミョルニルから放たれた雷撃は董卓の意志に従い正確にレオ様を射止める。
流石のレオ様もこれには耐えきれずもんどり打って倒れた。
いくらか戻ってきた視界でそれを確認した董卓。
その口元の笑いにはまだ余裕がある。
何人たりとも儂を止められはせぬ!
「おっやすみなさいとフクロウ啼くから〜」
拡散する毒ガスと人間離れした董卓の力、
そしてあまりな展開に静まり返っていた五丈原に伸びやかな陳宮の歌声が響きわたる。
呼吸を乱し始めていた連携を統率するように、朗々と歌う陳宮。
…喧しいわっ!
未だ朦朧としている頭にがんがんと響く歌に苛立ち、
董卓はその巨大な槌を投擲する。
月に舞う血塗られたミョルニル。
それは陳宮の頭蓋を目指して弧を描く。
「静かな湖畔の森の陰〜♪」
陳宮はそれから逃れようとした。
だがミョルニルはまるで意志があるかのように陳宮を追う。
- 389 名前:凱歌よ響け高らかに 6/8 投稿日:2006/07/27(木) 16:35:28
- あんな巨大な槌にぶつかればもうおしまいだろう。
せめてもっと小さければ、たんこぶ程度で済んだかもしれないが…。
だが陳宮は決して歌うことを止めはしない。
「かげ〜かげ〜かげっかげっかげ〜♪」
「ぐぎゃああああああああぁ!!」
苦痛の絶叫。
その叫びをあげたのは…董卓?!
董卓の両腕の骨は粉々に砕け散り、
想像を絶する痛みに目玉と舌を半ば飛び出させながらのた打つ。
ミョルニル。
凄まじい破壊力を持つそれは、それを振るう雷の神ですら
力を増す為の魔法の帯と、特別な籠手を身につけなければ扱えぬ代物なのだ。
人の身ならば一度その力を使えれば上等。
その力を三度も行使できた董卓がいかに人間離れした、
巨人じみた力の持ち主であるかが窺えよう。
だがミョルニルは巨人を打ち倒すための槌。
邪悪を払う聖なる武具なのだ。
陳宮めがけて飛んで来たミョルニルはみるみるうちに小さくなりその手に収まった。
これもまたミョルニルに秘められし力。
使用者の望むままにその大きさを変えるのだ。
また伝説に曰く。
ある時、聖なるミョルニルが巨人族に奪われた。
巨人はミョルニルと引き替えに美しい女神を差し出せと要求した。
- 390 名前:凱歌よ響け高らかに 7/8 投稿日:2006/07/27(木) 16:36:47
- そこでミョルニルの振るい手たる雷の神は、
自ら女装して女神になりすまし、ミョルニルを取り戻したという…。
「おっやすみなさいとフクロウ啼くから〜」
歌声は重なり響きあう。
スカートとペチコートを翻しながら、
魔女っ子ステッキサイズになったミョルニルを振る陳宮。
聖なる雷が董卓へと走る!
「静かな湖畔の森の陰〜♪」
魔法のステッキ・ミョルニルが放った雷は
やはり本来の大きさで放たれた雷より威力は弱く止めを刺すには至らない。
だが密やかに迫っていた馬岱の刃が暴君を断罪する。
「かげ〜かげ〜かげっかげっかげ〜♪」
董卓の血と脂で汚れたシャムシールをどうにか引き抜き、
馬岱が彼らの歌を凱歌と成した。
彼は、斬るべきならば確実に斬る。
そんな男だった。
- 391 名前:凱歌よ響け高らかに 8/8 投稿日:2006/07/27(木) 16:39:02
- 高台で戦況を見定めていた司馬懿は呆気にとられていた。
この世界でもう一度諸葛亮と智を競いたい。
そう願っていた彼だったが。
必中の雷を放つ魔女っ子ステッキ。
月明かりの下、ぷりぷりとした尻を晒して悶絶するぬいぐるみ。
「…そんなもんがまかり通る世界で兵法もへったくれもあるかっ!
馬鹿めがああああああぁあー!!!」
【董卓 死亡確認】
<<めるへんクインテット/5名>>
陸遜[右腕・右太股銃創、軽い目眩]【レオ様(ぬいぐるみ)】
陳宮[軽傷]【ゴスロリドレスセット、魔法のステッキミョルニル】
姜維[左下第三臼歯破折、軽い目眩]【なし】
馬岱【シャムシール、ロープ】
司馬懿[軽傷]【赤外線ゴーグル、付け髭】
※現在地は五丈原。
※董卓の所持品(ミョルニルを含めP-90(弾倉あと4)、RPG-7(あと4発)、ジャベリン、投げナイフ20本)の分配はこれから考えます。
- 392 名前:1/4 投稿日:2006/07/27(木) 21:28:21
- 劉備は蜀の険しい道を出来る限りの速度で進んでいた。
なんせ道のりはこちらの方が厳しいのだ。少しばかり急いで行かないと遅くなってしまう。
「しっかし、誰もいないな……。まあ蜀の国の将は少ないみたいだから、しゃあねえか」
せめて憲和の奴でもいればなあ、と愚痴をこぼしつつも見方に逢えない不運を嘆く。
だがその不運こそ、言い換えれば敵に遭遇しないで済む彼の強運なのだが。
そのまま北に進み、あっさりと漢中にまで到達してしまった。
人っ子一人なく、不気味なほどに静謐を保っている。休憩をかねて探索をしてみるが何も見つからない
「こりゃ誰もいねえな。ここまで静かだと逆に不気味だねぇ」
そのままトントン拍子に北へ向かうと、陽平関にまで辿りついてしまった。
いくつかの小砦は残されており、そのまま通り過ぎて行こうとして……。
「バカ野郎っ……!」
いきなり背中を引っつかまれて関から見て死角に引きずり込まれた。
「待った、待った、命だけは助けてくれっ」
「うるせえっつの」
ゴツン、と額を軽く殴られた。それで、ようやく月明かりに照らされた相手の顔が見えてくる。
「か、かかかか甘寧!」
「おう、蜀漢の皇帝陛下に覚えられてるとはこりゃ恐悦至極」
ニヤニヤと笑う甘寧。一方劉備は、この男が『マーダー』なのだと気づいて冷や汗をたらす。
「そうビビってんじゃねえよ。今の所殺すつもりは無いからよ、だから余計な真似すんな」
この男の『殺さない』ほど信用のならない言葉も無いのだが、一先ず劉備も胡椒袋から手を離す。
- 393 名前:2/4 投稿日:2006/07/27(木) 21:29:18
- 「……殺さないって言うなら、なんで俺を呼び止めたんだい?」
落ち着け、落ち着けと念じながら甘寧と話す劉備。
「あんた、陽平関を通ろうとしてたろ」
「そうだが」
甘寧は、二の腕を劉備に見せる。ほんのわずかだが、皮膚が剥がれ、固まり始めのかさぶたが見えていた。
「散った弾の一つが掠っただけのかすり傷だがよ。門の上にいた奴に撃たれた」
「待ち伏せしていたのか!」
「だから声がでかいっつの」
またゴツンとやると、甘寧は獣のような殺気立った視線で城門のほうを見る。
「幸い射程の短い銃だったから回避できたけどよ、俺があの距離に近づくまで気づかせねえとはたいしたタマだ」
「呉随一の将でも狙撃を受けるほどの将、か」
「……あんた、さりげなく人をほめんの上手いってホントだな。お世辞くせえけど」
「え?」
自然に口走っていたらしい。
つられて劉備もそろそろと城門の方を見る。甘寧には「この距離なら命中弾は無理だからびびんな」と言われたが、やはり銃弾は怖い。
「で、多分待ち伏せしてるのは魏延だ」
「魏延だと?」
劉備自身が抜擢し、それに応えて軍の中核となったあの魏延が。
「あいつは私にはしっかり従ってくれた、説得してみよ「コラ待て」
遮られてまた殴られた。そほど痛くは無いとはいえ3発目だ。
下手するとたんこぶが出来そうである。
「こんな狂った世界でまだ奴がお前に忠誠を誓ってるとは限らねえぞ」
「むむむ」
「何が(ry」
- 394 名前:3/4 投稿日:2006/07/27(木) 21:30:39
- 「で、話は戻るが」
甘寧が支給品だった水を飲み干すと、劉備の方に向き直る。
「俺は単にあんたと話をしてみたかっただけだ。蓆織りから皇帝にまで成り上がった奴がどんな男か知りたくてな」
「失望したか?」
少し自嘲気味に劉備が言う。声をかけられなければ陽平関で射殺されていたかもしれないし、今も甘寧がその気になれば腰の刀でばっさりな立場のせいか、やや元気なさげな声。
「いや。古の劉邦にも劣らぬ男だと思ったよ」
「それ、褒めてるのか?」
甘寧は少し笑っただけだった。
「甘寧、あんたも陽平関を通るつもりで?」
「そのつもりだったがよ、ここに隠れて地図を見たら……あっちを行った方が合肥に近いんだよな」
甘寧が指差したのは、陽平関を東に行った所を流れる漢水。
「合肥に行くのか?」
「一応な。張遼や……いずれ呂布とも戦りてえ。五虎将に会えなかったのは残念だがな。あんたは幽州か徐州行きだろ?」
「ああ、桃園に行くつもりだ」
戦う相手である五虎将の頭を生かすとは、この男の行動原理は今ひとつわからない……と劉備は思う。
「あーそうか、考えてみりゃ趙雲もあっち出身だったか。失敗したな」
「確かに合肥に行くなら漢水沿いに下った方が早いわな。だがかなり険阻だぞ」
心配そうな顔をした劉備に、呆れたような顔の甘寧。
「いや、あんたも大した将の器だな。ま、俺は河育ちだ。いざとなりゃ泳ぐさ」
「そうか。俺は何としてもあの関を越えなきゃなんねえな。西の方を大回りすると何刻か余計に時間を食っちまう」
だがどうやって……と聞きかけた甘寧は、言葉を止めてふと耳を澄ませた。そうして。
「あんた、本当に運がいいな」
「何故だ?」
「魏延の奴……こっちを見切って北上しやがった」
- 395 名前:4/4 投稿日:2006/07/27(木) 21:32:44
- 確かにそうだった。将の端くれである劉備の感覚にも、周囲には虫ほどの殺気も感じない。あるのはその残滓だけ。
「耳を澄ませてみろ。どうやら北で戦闘やってるようだから、そっちに向かったのかもしれないな」
甘寧の勘では他にもそんな漁夫の利を狙うような奴がいるような気もするのだが、確証は無いので言わない。
「本当に運がいい男だよ、羨ましいくらいにな。ところで、あんた豪傑に会ったりしたか?」
「いや、会ったのは息子くらいだ」
「そうか。北で戦ってる奴らはイマイチっぽいし、俺は標的だけを狙うことにすらぁ」
すっくと立ち上がり、甘寧は歩き出す。
「じゃあな。次会ったらぶっ殺すかもしれないんでそこんとこ夜露死苦」
特に別れの言葉も無く、甘寧は去って行った。
「よくわからん奴だが、助かった」
劉備も支度を整えると、敢えて危険の大きそうな北へと向かう。やはり仲間が戦っている可能性もあるし、という結論のようだ。
「よーし、それでは一丁行ってみるかー!」
@魏延[右腕・顔面右側に火傷(痛み止め済)]【ハルバード(少し融けています)、M37ショットガン】
※北の戦闘に気付いて、そちらに向かいました。
@甘寧【シグ・ザウエルP228、天叢雲剣、コルト・ガバメント、点穴針】
※漢水沿いに下って襄陽→江夏→合肥へ。
@劉備【李典棍、塩胡椒入り麻袋×5】
※陽平関を抜け、長安方向に移動。
- 396 名前:虚空の炎雨 1/5 投稿日:2006/07/27(木) 22:32:38
- ゴオウ、ゴオウ。
許都が燃える。
かつての栄華を飲み込んで、炎があたかも龍神の如く、暴れる。
浄化と破壊の音が、此の場所まで聞こえるような気が、した。
- 397 名前:虚空の炎雨 2/5 投稿日:2006/07/27(木) 22:33:26
- 于禁は許都近くの林の中に居た。
此処からは、許という都の、その雄大なる姿が一望できる。
――嗚呼。
燃えている。
かつての自分の邸宅も、友の姿が脳裏に未だ残る道々も、天子の寛いだ宮殿も。
全てが。
ゴウゴウと、燃えてゆく。
知らぬ間に、于禁の両目からは、なにやら熱いものが流れ出していた。
何がかなしいのかは、分からない。強いて言えば、全てがかなしいのだろうが。
それはもう、悲しくて、哀しくて。
愛しくて、仕方がなかった。
ふらりと、足が前に向かう。無防備に。一歩、一歩。
――嗚呼。
熱い。
近付く度に、熱波が全身を襲う。
されども、足を止める気がしなかった。
- 398 名前:虚空の炎雨 3/5 投稿日:2006/07/27(木) 22:34:07
- 炎上していない南門から、都に侵入することは出来た。
一歩一歩、踏み締めながら道なりを歩く。
(燃えてんのかな。)
自分の家も。
所々に仕掛けられている罠に足を取られながらも、于禁は前へ進んだ。
かつては、魏の都として大層賑わったこの街が、今は彼以外の何者の存在も
許しては居なかった。
何も無い所から矢が飛んできたり、落とし穴が掘られていたりはしていたが、
やはり人影は見当たらない。罠の製作者も、どうやらすでに許を発ったようだ。
頬をしとどに濡らしながら、于禁は自らの家を探した。
(帰りたい。)
帰りたい。都に、許に、家に。家族の、曹公の下に。
いつだったかも、そう願った。
それは確かに叶ったけれど。
叶ったのだけれど。
- 399 名前:虚空の炎雨 4/5 投稿日:2006/07/27(木) 22:34:45
- 邸宅は無事だった。
それはまるで、天が彼を祝福でもしているかのごとく、その一角だけが
炎の被害から逃れていた。
周囲の熱に侵されながら、扉を開け、内部へと侵入する。
そこには、変わらぬ我が家の光景が広がっていた。
居間の机も、褥の様相も。
全て、于禁が[死んだ]ときのままだ。
違うのは、ただ妻も子も、誰の存在も其処には無い。それだけ。
(ただいま。)
ただいま。帰ってきたぞ、懐かしき我が家。
今度はそう、嘲られる事無く、恥辱に伏せる事無く。
(ただいま。)
生暖かい床に座り込んで、于禁は泣いた。
赤色が窓から、差し込んできていた――――・・・。
- 400 名前:虚空の炎雨 5/6 ※増えますスマソ 投稿日:2006/07/27(木) 22:36:57
- 「そんな。」
燃え上がる許昌の無残な姿を見て、荀攸は低く搾り出すように呻いた。
許の街、許昌。我らが都。雄大なる、魏の都が。
燃えている。
「そんな。典韋殿、そんな…許が、都が…。」
「落ち着かれませい公達殿」
「殿は、叔父上は…?そんな…そ、んな、まさか…。」
荀攸は明らかに取り乱していた。
焦りが、彼の足を前へと進ませる。
その無防備な体を、典韋は右腕を掴む事で制止した。
- 401 名前:虚空の炎雨 6/6 投稿日:2006/07/27(木) 22:38:18
- 「公達殿、先程の放送ではまだ、殿も文若殿も呼ばれてはおりませぬ。
さればもはや、お二人はこの燃え上がる許には
いらっしゃらぬのではございませぬか?」
「ああ…。」
「危険ですぞ、公達殿。」
何処に敵が居るか、分からない。
炎の轟音は、典韋の耳を鈍らせるには至らなかったが、それでも
辺りの気配を消し去るには、十分すぎるほどだった。
それを知ってか知らずか、荀攸はまた一歩、前へと足を進める。
「罠を仕掛けたのは叔父上かもしれない。」
洛陽を出てすぐの、狂気に塗れた叔父の姿が思い浮かぶ。
典韋に助けてもらわなければ、確実に死んでいただろう。荀ケは本気だった。
「叔父上だとしたら…。」
私が、止めなければ。
荀攸は、強迫観念にも似た決意を持って、前を見据えていた。
「公達殿…。」
荀攸の決意は、典韋にも理解できた。
典韋にとて、納得がいかぬのだ。あの、お優しい文若殿が、あのように。
それに、どうしたって頭の悪い自分は、この見た目は愚鈍そうだが、
実は誰よりも頭の切れる軍師に、着いていく他無いのだ。着いて行きたいと、思っている。
「分かり申した。…しかし、誰も居ないと分かれば、すぐに許を離れましょう。
どう考えても、此処は目立ちすぎます。炎に惹かれて、人が集まって来ぬとは
限りませんですからな。」
「ああ、分かっているよ典韋殿。あなたはお優しいな…。
本当に、お優しい・・・・・・。」
二人は、炎の周りの少ない南門から、許昌内部へと向かった。
そこでは獣が噎び泣いているとも知らずに。
- 402 名前:虚空の炎雨 結果 投稿日:2006/07/27(木) 22:38:49
- <<決意胸に秘め/2名>> 『現在地 豫州・許昌内部・南門付近』
@典韋【煙幕弾×4】&荀攸【デリンジャー】
※許昌内部に潜入。于禁には気付いていません。
@于禁【AK47カラシニコフ、山刀】 『現在地 豫州・許昌内部・西側于禁宅』
※自宅で泣いていますが、誰かの気配には敏感です。
※曹丕、虞翻を中心に、恨みのある将を狙います。
※曹操、張遼、張コウ相手には友好的です。
- 403 名前:ゴルゴ妙才1/3 投稿日:2006/07/27(木) 22:40:05
- 撃った。
M16A1アサルトライフルと名付けられたこの馬鹿でかい武器から飛び出した榴弾が
鋭い連射音を響かせて宙を引き裂いた。
ぎゃっと叫び声を発して男たちが倒れる。辺りに散る朱色の鮮血が、
確かに命中したことを指し示していた。
(しかし俺も既に射撃名人だな)
重い銃身を標的に向けた瞬間、己の身体の中に潜む何者かが目覚める気がする。
そうなるともう外れる気がしない。
それには高台に陣取って袋を編んでいる時に出くわした。
重い荷物をうまく運べるようにと、蔓の群生を見つけた夏侯淵は
それで袋を作り、銃器を入れて背負うことを思いついたのだ。
もともと器用なタチである。そのくらいの手作業は朝飯前だ。
辺りは人影も無く、空は高く澄んだ風が吹いていて……
鼻歌でも奏でたい気分でさくさくと手を動かしていたのだが。
- 404 名前:ゴルゴ妙才2/3 投稿日:2006/07/27(木) 22:41:09
- 調子っぱずれの歌声と共に、わけのわからない集団が走ってきた。
僅かに見下ろす位置で繰り広げられた奇妙極まりない戦闘に、
夏侯淵は半ば唖然とする思いで目を見開いた。
なんだ。なんだあれは。
我に返った瞬間、形容しがたい嫌悪感に襲われた。
寒気がする衣服に身を包んだ男が……あいつは見たことがあるが誰だったか……
薄気味悪い武器を手に振り回して歌っている。
わけのわからぬ叫び声を上げるその姿はまるで狂人だ。
その横では筋肉男が暴れている。なんだあれは。
巨体の男が倒れた。
薄気味悪い人間共は途端に地面に座り込む。
暴れていた筋肉男は小さな人形へと変化する。
その様を見た夏侯淵は、ためらわずにアサルトライフルを取り出した。
- 405 名前:ゴルゴ妙才3/3 投稿日:2006/07/27(木) 22:42:38
- 殺るべきだ。
あいつらは始末しておくべきだ。
混沌とした世界に置いて、理解し難い武器を持つ人間は始末しておくべきだ。
腹這いになって機関銃を構えた。
M203グレネードランチャー付M16A1アサルトライフルから飛び出した榴弾は、
奇天烈な男たちの身体を一挙に引き裂いた。
人形と謎の棒きれが木っ端微塵になったのを確認すると、
夏侯淵はできかけの袋に武器を突っ込んで立ち上がった。
【陳宮、姜維 死亡確認】
<<めるへんクインテット/3名>>
陸遜[腹部破裂、瀕死]【なし】
馬岱[左脚断裂、頭部損傷、重傷]【なし】
司馬懿[軽傷、泡噴いて気絶中]【赤外線ゴーグル、付け髭】
※現在地は五丈原。
※ゴスロリドレスセット、魔法のステッキミョルニル、レオ様、シャムシール、ロープ破壊
※董卓の所持品(ミョルニルを含めP-90(弾倉あと4)、RPG-7(あと4発)、ジャベリン、投げナイフ20本)は少し離れた場所に残っています。
※司馬懿は目の前で殺戮を見たショックで気絶しました。夏侯淵には気付かれてません。
@夏侯淵【ベレッタM92F、弓と矢、トンプソンM1A1、発煙手榴弾、AK-47(弾倉あと5)】
※場所を移動して袋作りを続けます。アサルトライフルは弾が無くなったので放置しました。
- 406 名前:1/3 投稿日:2006/07/28(金) 00:13:32
- 三人対一人の戦いは終結を迎えようとしていた。
孫堅は右腰と左腕が血まみれになっていたし、華雄は服がズタズタになり、全身切り傷だらけで朱に染まった姿になっていた。
黄忠は辛うじて致命傷を避けてはいたが、疲労は極地に達していた。もう一撃受ければ両断されかねない。
そして項羽は、つい先ほど華雄の決死の攻撃に左肘から先を切り落とされていた。
「……見事だ。借り物の身体とはいえこの項羽をここまで痛めつけるとは」
言って、片手で剣を構え、踏み出す。
「最期は一騎打ちにて決したい。渾身の一撃同士での決着を望む」
「よし……いいだろう、俺が受ける」
出ようとした華雄を止めて、孫堅が七星の剣を構える。
五歩の間を取り、対峙する。
「名を聞こう」
「孫堅文台、孫武の子孫なり」
「なるほど。我が相手に相応しい。身体の方も喜んでいるようだ。この項羽、全身全霊の一撃を放つことを約束しよう!」
気迫と気迫がぶつかり合う。遠くにいた野鳥の群れさえ、恐れをなして逃げて行った。
じりじりと接近する二人。おそらく対決は一瞬で終わるだろう。
華雄と黄忠は構えを崩さない。もし孫堅が斃れれば、次は自分達が戦うのだ。
孫堅と項羽、両雄わずかに笑みを浮かべた後──
魂をかけた渾身の剣閃が二つ、煌いた。
- 407 名前:2/3 投稿日:2006/07/28(金) 00:15:19
- 「が……ふっ」
「ぐおっ……見事だ」
孫堅の七星剣は、流星となって確かに相手の身体に降り注いでいた。肩口から腹までばっさりと切り裂いている。
だが項羽の剣も、深々と孫堅の腹を貫き、臓腑を完膚なきまでに破壊していた。
両者がゆっくりと崩れ落ち……ない。項羽はそのまま剣を横に薙ぐと、臓腑を撒き散らしながら黄忠へと突撃する。
黄忠は巧みに斬撃を受け流していたが、身体ごとの突進にそのまま十数歩押され、切り立った崖のような場所から共に堕ちていった。
「文台!!!」
慌てて華雄が孫堅の下に駆け寄る。
「……よぉ。済まんな、例の約束は果たせそうに無い。無敵の将相手に……不覚にも、戦いを、楽しんじまった」
「大丈夫だ、奴は黄忠が討ち取った! すぐに手当てすれば……」
華雄が必死に呼びかけるも、既に孫堅の命はほとんど流れ出してしまっていた。
「へっ、本当に嘘の下手な馬鹿野郎だ……。それに、俺の……傷は腸を切り裂いて……腎まで、届いてる。助からん」
「しっかりしろ、文台!」
孫堅はまた、この男らしい涼やかな笑みを浮かべる。
「……なあ。また会ったらよ」
「文台……?」
「後の事なんか……考えないで……素直に……殺り合うのも……良……」
常に共にあった七星の剣が、連れ添うように砕けた。見れば、相手の剣も尖端が砕けて破片が転がっていた。
「馬鹿野郎……また裏切りやがって……」
だが何故だろう。これが別れにも思えない。
華雄は男泣きをし、自分の無力さに打ち震えた。
せめてもの救いは、孫堅が実に楽しそうに逝ったことだろう。
- 408 名前:3/3 投稿日:2006/07/28(金) 00:16:58
- 空中で剣を交える二人。
「おおおお!!!!」
「ちいっ!」
あるいは閻行に戻ったのか、先程の項羽とは剣閃が違う。
「じゃが……強いとはいえ、所詮手負いの剣よ!!」
身体を潜らせて横薙ぎを回避すると、身体を引き寄せて左胸に刃を当てる。
そのまま馬乗りになって地面に激突した。
「……あたた。腰が痛いわい」
崖の上を見て、黄忠は呟く。相手の剣はとうに折れていた。
「そろそろ、いいかの」
義理は果たした。
これを契機に黄忠は独りの道を選ぼう。そう決めて老将は荊州に向けて歩いて行った。
ちなみに、黄忠達から離れた場所で。
「すげえあの爺さん……落ちながら戦ってる……!」
いまだうろうろしている陳到の姿もあったりした。
【孫堅 項羽(閻行) 死亡確認】
@華雄[全身切り傷]【吹毛剣】
※孫堅を手厚く埋葬中。
@黄忠[軽傷、疲労]【サバイバルナイフ】
※単独行動を選択。荊州へ。
@陳到【ガン鬼の銃(陰陽弾×50)】
※黄忠の近くにいます。
- 409 名前:1/8 投稿日:2006/07/28(金) 00:19:42
- 「へへへ、いい獲物を見つけたぜ・・・」
偵察に赴き、茂みに隠れていた裴元紹は、その任務に明らかに似合わない言葉を呟いた。
彼から少し離れた小川のほとりには、1人の男が水汲みをしている。
優男に見えるが、そんなことはどうでもいい。
裴元紹の気を惹いたのはその男が帯刀している物だ。
(ありゃあ、見たこともない剣だ。叩き売ってもいくらになるか・・・見当もつかねえぜ!?)
山賊上がりのせいか、金を基準に考えるのが彼のクセである。
が、それよりも裴元紹が思考のメインに置いたのは
彼ともう1人の『姐さん』の行動に関してのことだ。
今の自分達には武器がない。
素手ならともかく、強力な武器を持った奴が目の前に現れたら
姐さんを守る事どころか、逃げるのすら困難だ。
だが、あの優男がぶら下げている腰の剣を手に入れたら・・・?
『強大な敵が現れた!』→『姐さんが危険だ!』→『だが凛々しい俺様が起死回生の斬撃!』
→『敵は醜く苦しんでおります!』→『姐さん「見直したぞ!」』
→『ゴール!ゴール!ゴオオオオォォォォォォールッ!』
(うおおおおおっ・・・!)
心の中で大陸全土に聞こえんばかりの歓声を張り上げる。
相手は文官風の優男。飛び掛って倒せない相手ではない。
そうだ。彼が描く理想の未来への道標は近い。
(行くぜ!お前も大変だが、俺様の未来のために死んでくれ!)
心躍らせながら、彼は水を汲み終わった優男の前に飛び出した。
- 410 名前:2/8 投稿日:2006/07/28(金) 00:20:43
- 「へへへ・・・よう兄ちゃん、いいモンぶらさげてくれちゃってるんじゃない?」
かつて山を通りがかった旅人によく使った言葉をアレンジして近寄る裴元紹。
まずこう言えば、たいていの旅人はビビッて路銀を置いていくか
強がり武器を構えるものの、腰が引けているものだ。
今回は文官。剣を置いて逃げるんじゃないか。そう裴元紹は考えていたが・・・。
「・・・山賊?驚いたな・・・こんな場にもいるとは・・・」
だが、目の前の優男はどこか違う。ビビリなど見られない。
強がりにしても、略奪した旅人がよくした震え、怯えなど微塵もない。
「山賊なんざぁ、どこにでもいるもんよ!
その腰のモン、お前より俺様が上手く扱ってやっからよ、安心して置いてきな!」
が、そんなこと裴元紹には関係ない。彼の頭にはハッピーエンドしかない。
「私が持っているこの剣を渡せ、と?」
「おーよ!置いてきゃあ乱暴な事はしねえ!いい話だろ!?」
「なるほど。無意味な戦いは避けられるというわけか」
優男はどこか小馬鹿にしたような表情で、裴元紹との会話を続ける。
が・・・。
「・・・」
しばらく沈黙した後、優男は真剣な顔になり
「だが断る」
ときっぱり断言した。
「何ッ!?」
「この魯子敬の最も好きなことの一つは
お前のような弱者を与しやすしと思う悪人を叩きのめす事だ」
優男が偉そうに言った一言を聞いて裴元紹はいきり立つ。
弱者だと?腰に剣をぶら下げているだけまだマシだ。
俺様なんかどうなる。妙な服だぞ!?相棒の姐さんは化粧品なんだぞ!?
バッグを開けた時の、この身まで消えてしまいそうな喪失感を思い出す。
- 411 名前:3/8 投稿日:2006/07/28(金) 00:22:34
- 「なら・・・ならぁ〜〜〜・・・・」
そしてその喪失感は徐々に怒りに変わっていった。
「ならば死ねェェェェェェッ!」
怒りに任せて優男に飛びかかる。
「違うね・・・」
一言呟き、優男は身をかわしながら宙の裴元紹の伸ばした手を掴み
「死ぬのは・・・」
引っ張り勢いを加速させ、裴元紹の体を反転させ地面に叩きつけた。
「げぇッ!」
背中を強打し意図せず呻き声を出す。
ふと剥いた眼の先に、闇でも光る尖ったものが一直線に見える。
その先端は勢いをつけ、裴元紹の眼前に近づいた。
(おい・・・おい!)
「があッ!」
とっさに身を転がす。転がる途中、地面に突き刺さる刀が見えた。
転がりながら距離をとった後すぐ身を立て直し、刀を持つ優男を直視する。
「私の正史(ほんとう)の力を見る・・・お前のほうだな」
優男が言葉の続きを発する。
それが言葉の続きであることと
死ぬのは自分のほうだと裴元紹が理解するまで、少し時間が掛かった。
(やめりゃあよかった!こんな男に喧嘩吹っかけるなんてよォ!)
そうは後悔しながらも、ふと自分を待っている(はず)の姐さんの顔が思い浮かぶ。
偵察から帰らなければ、姐さんは心配するだろう。(やはり)
あるいは自分を追ってきてしまうかもしれない。(きっと)
そうすれば、この見かけで騙すクソ野郎にあの可愛らしい服ごと切り刻まれてしまうかもしれない。
いや、あんな美しい人だ。こいつじゃなくても野獣と化した男が放っておくわけがない。
- 412 名前:4/8 投稿日:2006/07/28(金) 00:24:08
- ―俺があの人を守らなければ!―
(い、いや・・・俺様は死ねねぇ・・・こんな所で死ぬわけにはいかねえッ・・・)
「うう・・・関羽の旦那・・・!周倉・・・!俺に、俺に最後の力を・・・!」
ふと、口から言った言葉だった。
関羽は自分をほとんど知らないだろうし、周倉はこの場にはいない。
だが、言葉に反応したのか、目の前の男は驚きの表情を浮かべている。
「関羽・・・もしかして、貴方は蜀漢の人間?」
「あぁ・・・?お、おーよ!俺のダチは関羽将軍の右腕だし!俺の仲間だって関羽将軍の仲間だぜ!」
とりあえず、そんなことを言ってみる。
あるいは情況が好転するかもしれない、そんな気持ちだった。
が、そんな裴元紹の予想を大幅に通り越し、急に優男は刀を納め
「蜀漢の方か・・・知らない事とは言え、失礼しました。私は魯粛、字は子敬と申します」
と詫びの言葉を出し、頭を下げた。
「・・・え?あ、ああ・・・ケッ!わ、わかりゃあ・・・」
なんとなく強がりを吐いてみようかと思ったが、先ほどの攻撃を思い出し裴元紹は言葉尻を濁らせ
た。
「それで、貴方の名前は?」
「・・・え?・・・あ、ああ、は、裴元紹っつーもんよ、うん」
「むむむ・・・聞かない名ですね・・・」
「何がむむむだ」
「はぁ?」
同行を申し出た魯粛と共に『姐さん』の元へ向かいながら、裴元紹は自己紹介する。
本当は同行を断りたかったのだが、やはり先ほどの魯粛の攻撃を思い出し拒否できなかった。
それに略奪まがいの事をした自分に対し、魯粛はまだ疑いを捨てきれないようで
「はて・・・貴方は本当に蜀の人間ですか?」
と、時折疑いの言葉を向けてくる。
- 413 名前:5/8 投稿日:2006/07/28(金) 00:26:02
- 『戦闘=今度こそ死』
の図式が出来上がっている裴元紹は、その言葉を言われるたびもう気が気でない。
関羽の名を聞いて刀を納めたところ、この人間も関羽の仲間なのだろう。
早く姐さんのところへ連れて行かねば。
そして、自分の釈明をしてもらわねば。
そう考えるだけで精一杯だった。
(ああ・・・姐さんとの2人っきり幸せ生活が・・・1人の男に邪魔されていくのか・・・)
「・・・元紹殿。裴元紹殿」
「・・・はっ!お、おーよ!なんだい!?」
ふと我に帰る。
「その、裴元紹殿と同行している方・・・そういえば、まだ名前を聞いておりませんね」
「え?ああ、それは・・・あ」
魯粛の問いに答えようとして、ふと考え込む。
そういえば、まだ自分も姐さんの名前を聞いていない。
「・・・俺も名前は聞いていねえ・・・だが」
「だが?」
「・・・立派な人だ。その高貴さと威圧感、美しさは・・・。
ありゃあ、男ならひとかどの人物になっただろうな」
「そうですか・・・女性の方か・・・」
そう呟くと、魯粛は少しだけ空を見上げ・・・。
「やはり、貴方は蜀漢の人間ではありませんでしたね」
と呟いた。
「げえっ!」
そういわれて驚くのは裴元紹だ。おなじみの驚声をあげてしまった。
- 414 名前:6/8 投稿日:2006/07/28(金) 00:27:11
- 「ななななんでえ!急に!」
「初めから疑ってはいましたが・・・貴方の同行者が関羽将軍の仲間、というのなら
蜀漢の人間は名前を知っているのではないかと思いましてね」
「そそそそうとは言えねえだろうが!」
「確かに断言はできない。が、今の貴方の驚きようを見れば確実だ」
そういい、魯粛は裴元紹の方を向き帰る。そしてこう言った。
「だが、貴方は立派だ。すでに40人ほどは死んでいるこの狂気の場において
女性を守ろうとしているなど、なかなか出来ることではない」
「え」
「先ほどの貴方の言葉から、独断ながら私はそう感じ取った。
おそらく私の武器を奪おうとしたのも、そういった理由からでしょう?
もう、私は貴方と事を構える気はない。剣は渡しませんがね」
この場において、少しは信用できる人間に出会えた。
裴元紹にはなんとなく、魯粛がそう言っているように思えた。
「戻ったか、裴元紹・・・む?そちらは?」
「え?姐さんも知らないんで?」
「はじめまして、魯粛と申します。それにしても奇抜かつ珍妙な衣装ですね」
「魯粛!?裴元紹、なぜ魯粛殿と?」
「これこれこういうわけで」
「あれ、私のことご存知なんですか?申し訳ありませんが、私は貴方を知りません」
辿り着いた瞬間に飛び交う会話。
魯粛に尋ねられた趙雲が己の名前を告げるまで、少々時間が掛かった。
「私か。私は趙子竜・・・」
- 415 名前:7/8 投稿日:2006/07/28(金) 00:29:39
- 「げえっ!」
「げえっ!」
だが自分の名前を途端、裴元紹と魯粛の馴染みある驚声。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
そして、しばらく沈黙が流れた。
「あ・・・同姓同名の方ですか?中華に趙子竜さんが2人いらっしゃるとは知りませんでした」
と、魯粛が沈黙を破る。
「いや、私が本物の趙子竜だ。なぜかこんな外見だがな」
「はぁ・・・」
釈然としない態度の魯粛を尻目に、趙雲が裴元紹の方を向き帰る。
「で、なんでお前は驚いたんだ?」
「い、いや・・・その名前はなぜか・・・」
そうとはしらないが、自分を殺した男の名前だ。
少し悩んでしまう。
「ところで魯粛殿はなぜこちらに?」
悩んでいる裴元紹を横目に、趙雲は魯粛に問いかける。
「それは私も聞きたい。なぜ蜀漢の将である貴方が呉方面に?」
「・・・?ここは幽州だが・・・?」
「は?」
少し慌てながら、魯粛は己のバッグから地図を取り出した。
「違う・・・ここをまがったはずだが・・・あれ、こっち?いやちょっとまて・・・ここがこうで・・・」
としばらく呟いたあと、ふと魯粛は地図を手から離した。
「・・・間違った」
そう呟いた魯粛の顔は、触れば凍ってしまうのではないかと思うほど青ざめていた。
- 416 名前:8/8 投稿日:2006/07/28(金) 00:31:11
- 「正反対ではないか・・・そんな事では、他の事はよくできても外交官としての才能は零だな」
「・・・う・・・うう・・・嘘だ・・・そんなはずはないんだ・・・それは私の正史(ほんとう)の力では・・・」
と呟きながら、すこしふらふらと歩き出す魯粛。
そのまま、地面に倒れ伏し、やる気なさそうにぼそぼそとこう呟いていた。
「うう・・・都督・・・そんな事言わないでくださいよ・・・だったらあんたが行けよ・・・」
「う〜む・・・」
とにかく悩む裴元紹。
(趙子竜・・・いやな響きだ・・・たぶんそいつには痛い目に合わされたはず・・・)
まだ悩む。
(そんな奴と同じ名前だなんて、災難だな姐さん!)
閃いた。
「姐さん!この裴元紹、どこまでもついていきますぜ!」
「なんだ急にやる気を出して。まあいいけど・・・。
それより、道を間違った魯粛殿もおそらく同行するであろうが、いいか?」
「がってんだ!」
決意新たな裴元紹。
目の前の姐さんと趙子竜は同姓同名の別人だ、と本気で思っている裴元紹。
まあまあ、救われたとも言えるのではないだろうか。
<<ナースと下僕と外交才能零/3名>>
趙雲【ナース服、化粧品】裴元紹【なし】魯粛【圧切長谷部】
※もうそろそろ幽州に到着。
※裴元紹は趙雲を完全に別人だと思っています。魯粛はあまり信じていません。
- 417 名前:九春 1/2 投稿日:2006/07/28(金) 00:56:52
- こほん。
こほっ、こほん。
(煙たいですねぇ。)
許都から立ち上る煙は、荀イクの腰を下ろしている丘まで漂ってきていた。
小高い丘だ。風が心地良い。
周りには誰も居ないし、眼前で燃え上がる許都を肴に、
一杯やりたいような気すらしてくる。
(そう言えば、)
荀イクの標的――曹操は、酒の製造法にまで精通していた。
(確か――春、が何とかとか・・・。)
かつての思い出に浸りながら、荀イクは微笑んだ。
こほっ、こほん。
もう一度、咽る。風が調度、こちらに向かって吹いてきているのだ。
右手をぱたぱたと眼前でひらめかせて、煙を払う。
払った先に、数秒前には存在し得なかった影を見つけた。
- 418 名前:九春 2/2 投稿日:2006/07/28(金) 00:58:25
- (ああ、あれは于将軍。)
遠目でも分かるほどの、独特の威厳と雰囲気を持った男が、今まさに南門から
許の市内へと歩いていった。
その足取りは、ふらふらと危なっかしい。
それから、また数分。今度はより見覚えのある文官と、将の二人組みが
南門へとたどり着く。
あれは?
(・・・ああ、典韋殿だったか。)
荀イクは洛陽近辺での事を思い出していた。
ガリルARの引き金を引く、その直前、突然周囲に煙の壁が現れた。
(あの時は残念でした。)
甥の荀攸と、曹操の忠実なる親衛隊――典韋の姿が、南門へと、消えた。
こほん、こほっ。
(しかし。)
どうやら公達は心を入れ替えたようですね。まさか于将軍なんて大物を
狙うとは思いませんでしたが。
(良いことです。)
叔父と甥がわざわざ争うことなどありませんからね。
最後の一人までお互い頑張りましょうね――――――・・・。
こほん、こほん。
今一度、棚引く煙に噎せながら、荀イクは許都から背を向けた。
曹操の行く先を求めて。
@荀イク[洗脳されている?]【ガリルAR(ワイヤーカッターと栓抜きつきのアサルトライフル)】
『現在地 豫州・許昌・近くの丘』
- 419 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/28(金) 00:58:50
- 威力が強すぎる。おかしい
M16A1アサルトライフルは暴発していたのだ。
夏侯淵はバックファイアで死んだ。
【夏侯淵 死亡確認】
※アイテムは全てそのまま
- 420 名前:許昌葬送曲 1/2 投稿日:2006/07/28(金) 03:05:44
- 散々に暴れまわる炎の中を、一筋の笛の音が響いた。
悲しみと、怒りと、羞恥と、狂気と哀願と。そのどれともつかぬ
音色が、許昌中を駆け巡った。
ゆるりゆるりと。
泣くように。
「公達殿。」
落とし穴に落ちて怪我を負った荀攸のつま先に、自らの衣を破いて作った
包帯を巻きつけながら、典韋は何も言わない軍師の横顔を見上げた。
その顔は、何の感情も映してはいない。
「公た「典韋殿。」
典韋の呼びかけを遮って声を発した荀攸の瞳から、
溢れんばかりに涙が浮かんでは、流れ落ちた。
悲しい、曲だ。
かつて、許昌でよく響いていた曲と、旋律はまるで同じものだが、演奏者の感情を
そのまま叩きつけたようなその音色は、強く心を揺さぶるものだった。
「いやだな。」
この演奏者は、きっと此処で辛い思いをしたのだろう。
何故、何故・・・こんな遊戯が許されるのだろう。このような暴挙が許されるのだろう。
「辛いな、典韋殿。」
典韋は口を噤んだまま、何も言わなかった。・・・言えなかった。
悲しみの笛の泣く音に呼応するかのごとく、ぽつぽつと天も嘆き始めた。
それでも、炎は涙を受け止めながら、その力を落とそうとはしなかった。
- 421 名前:許昌葬送曲 2/2 投稿日:2006/07/28(金) 03:06:23
- 「行ってみようか、典韋殿。」
「公達殿、それは・・・」
「この曲は、許でいつか流行った曲だ。きっと魏の誰かだよ。
もしかしたら、協力できるかもしれない。」
――危険ではないか。
典韋は思った。この人は少々、優しすぎる。
確かに、演技で出せる音色ではないが、万が一ということもありえなくはないのだ。
生は一度だけ。一度だけ、のはず。
それでも。
「行ってみよう。」
澄んだ瞳で言われれば、頷く事しか出来なかった。
獣の音色が都に響く。
それは、恨みと痛みを伴いながら、天をも泣かせ、獲物を呼び寄せた。
ゆるりゆるりと。泣く様に。
どこまでも、響き渡る―――――
<<決意胸に秘め/2名>> 『現在地 豫州・許昌内部・中央部』
@典韋【煙幕弾×4】&荀攸[つま先負傷(手当て済み。走れます)]【デリンジャー】
※于禁の吹く笛の方向に向かいます。
@于禁【AK47カラシニコフ、山刀】 『現在地 豫州・許昌内部・西側于禁宅』
※自宅で泣きながら笛を吹いています。(笛は自宅内にあったものを使用。)
※気配には敏感なようです。先制攻撃も厭いません。
※曹丕、虞翻を中心に、恨みのある将を狙います。
※曹操、張遼、張コウ相手には友好的です。
- 422 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/28(金) 03:17:07
- 司馬懿はありえない光景に泡を吹いて倒れた
打ち所が悪かったらしい
死んでいた
【司馬懿 死亡確認】
※それ以外の状況はそのまま
- 423 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/28(金) 03:18:56
- 本スレ>>422はいいのか…?
- 424 名前:業務連絡 投稿日:2006/07/28(金) 03:52:30
- >>419 >>422など夏侯淵・メルヘン絡みの話は現在凍結しているので無効とします。
詳細は観戦スレまで。
- 425 名前:ファイトだ諸葛瑾! 1/3 投稿日:2006/07/28(金) 12:29:53
- 諸葛瑾は絶望していた。
ああ、なんだってこんな目に。
この遊戯が始まってからというもの、本当に踏んだり蹴ったりである。
同じ呉将の、朱桓と朱然に武器を巻き上げられ。
なんだか目つきの悪い男に絡まれて。
何処からか銃弾がかすり。
どっかの呂蒙だか阿蒙だかとクロス衝突して。
そして今。この状況は、どうだ。
全泣きで全力疾走して、大混乱のままぶつかったその壁は、言った。
「俺は呂布。字は奉こら待て逃げるな貴様オイ」
・・・襟首掴まれて引き戻された。
- 426 名前:ファイトだ諸葛瑾! 2/3 投稿日:2006/07/28(金) 12:30:28
- 「なんにも持っておらんのか貴様。ふん、使えんやつだ」
呂布は、諸葛瑾が何の武器も所持していないのを見て取ると、そう吐き捨てた。
使えん奴だとか言われても自分のせいではないしというかまず私の人生これで終結?
などと思考を廻らせる諸葛瑾。恐怖ゲージは、満タンを通り越して破裂気味である。
端的に言えば、怖すぎて放心状態にあった。
―――失禁していなかった事だけが唯一の救いか。
「しかし、袋ごと奪われてよく二日も飢え死にせずにすんだな・・・」
確かに、ザックごと朱桓に奪われていたけれど。
それはね、驢馬ですから。食べられる草とか根とか食ってましたよ。ええ。主君のお墨付きです。
いや、そんな事はいいから殺すんなら早く殺してくれ。できれば痛くないほうがいいなー。うふふ。
巡る巡る思考。諸葛瑾は現在、悟りの境地にあった。
- 427 名前:ファイトだ諸葛瑾! 3/3 投稿日:2006/07/28(金) 12:31:05
- 諸葛瑾を散々に調べつくした呂布は、おもむろに立ち上がると、
彼には想像もつかなかった言葉を紡ぎだした。
「行っていいぞ」
「え?」
「行っていいと言ったんだ。俺は殺したいのではなく戦いたいだけだ。
武器を持ってないのなら貴様などどうでもいい。とっとと消えろ」
そう言って呂布は諸葛瑾から背を向け、さらに東方へと歩を進める。
驚いたのは諸葛瑾の方である。
いや消えろと言われてもこれまで生きてこれた事がすでに奇跡なわけで。
諸葛瑾はすぐさま呂布の背を追いかけて、縋り付いた。
「ままま待ってくれ本当に何にも持って無いんだ!私文官だしっ!弱いし!!
情けをかけるのならちゃんと最後までかけてくれ!」
「どぁっ!」
タックルよろしく縋り付かれた呂布は、バランスを失ってそのまま前方へ倒れる――が、
そこはやはり天下無双の豪傑である。すんでのところで青竜刀を地に突き刺して
踏みとどまった。
憤怒の表情で、背後のひっつき虫を振り返り、怒鳴る。
「何しやがるこの驢馬面ァ!寄るな触るな着いてくるな!!
お、俺は関羽だの、張飛だの、張遼だの高順だのとた、た、か、い、にいぃいィ!」
「やだもんやだもん一人は怖いもん!!つか正直もう脚が限界!」
必殺だだっこ攻撃で、呂布の背に張り付いたまま引きずられる諸葛瑾。
諸葛瑾を背中に付着させたまま、無理矢理前へと進む天下無双の男、呂布。
利点も面識もへったくれも無い、実に一方通行な同盟が、今締結した。
<<カミキリムシとオナモミ/2名>> 『現在地 楊州・盧江』
@呂布[背中の物体により速度低下]【関羽の青龍偃月刀、ドラグノフ・スナイパーライフル】
@諸葛瑾[ひっつき虫化]【なし】
※強者を求めてさまよっています。
- 428 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/28(金) 12:48:20
- 徐庶は[業β]に向かっていた
途中で同じく[業β]に向かっていた司馬孚と貂蝉に出会って切り殺した
斬鉄剣に操られていた、大した武器も持たない弱い二人にはどうしようもなかった。吹き矢とかも一緒に切れた
曹丕と会った、曹丕は疲れていて徐庶に気づかなかった曹丕は斬られた。
でもすぐには死ななかった。徐庶は曹幹も殺した、子供だからどうにもできなかった
曹丕は銃をフルオートにして徐庶を蜂の巣にした、徐庶も死んで相打ちだった!本も読めなくなった
【司馬孚 貂蝉 曹丕 曹幹 徐庶死亡確認】
※斬鉄剣以外のアイテムは全部壊れました
- 429 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/28(金) 15:37:07
- 議論の結果>>428はスルーとなりました
- 430 名前:1/2 投稿日:2006/07/28(金) 17:01:34
- 曹熊は最初にそれを拾った時からその手帳の異様な雰囲気に気づいていた。また気になっていた。
阿会喃に支給品の交換を申し入れてみた。武器をほしがっていた阿会喃はあっさりOKした。曹操の子として勉強もちゃんとしていた曹熊は正しくデスノートの効果と使い方を理解した。
黒い力に魅入られる。鬱なんかすぐに吹き飛んだ。病弱なために歯牙にもかけられない存在だった曹熊。
興奮しながら鉛筆を動かして、父や兄弟や一族の名前を書き込む。自分がこんなに強い影響力を持ったことなんかなかった。
自分がとても偉く、強くなった気がした。重鎮の名前も書き込む。典韋など早くに死んだものは知らなかったが郭嘉は最初に献帝に呼ばれていたからわかった。
曹熊はその効果を確かめてみたくなった。名簿を見て阿会喃と張虎の名前を書き込んだ。二人は急に固まり、胸を押さえて動かなくなった。
一通り書き終えてしまうと高揚感はもうなかった。結局何も残りはせずむなしさだけが残った。
この手帳を使う前よりももっと深い鬱のなかに曹熊は包み込まれた。なにもかもが嫌になった。
病気で苦しんだり誰かにいたぶられて死ぬよりずっといい。曹熊は首輪をつかんだ。曹熊の頭と右手が吹っ飛んだ。
- 431 名前:2/2 投稿日:2006/07/28(金) 17:02:18
- 【曹操 曹丕 曹植 曹彰 曹幹 曹仁 曹洪 夏侯惇 夏侯淵 夏侯楙
郭嘉 陳羣 李典 荀イク 荀攸 張遼 于禁 司馬懿 司馬孚 賈ク
董衡 董超 徐庶 阿会喃 張虎 曹熊 死亡確認】
※DEATH NOTEはあと4ページ残っています。エクスカリパーと大般老長光とともに永昌に放置
※すべての死亡者のアイテム(スコーピオン(残弾19発)、白い鳩、閃光弾×2、閃光弾×2、かみそり、双剣(やや刃こぼれ)、ゴム風船、斧、金属バット、吹き矢(矢10本)、SPAS12、
デリンジャー、チロルチョコ(残り84個)、PSP、歯翼月牙刀、ベレッタM92F、弓と矢、トンプソンM1A1、発煙手榴弾、AK-47(弾倉あと5)、赤外線ゴーグル、付け髭、
光学迷彩スーツ、斬鉄剣、首輪解体新書、越乃寒梅、AK47カラニシコフ、山刀、ガリルAR)はすべて所持者の所在地にそのまま
※賈クは光学迷彩スーツを着たまま死んだので通常の手段では死体を確認できません。曹熊の死因は爆死、それ以外は全員心臓麻痺。
- 432 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/28(金) 18:26:50
- 議論の結果、>>430->>431はスルーとなりました
詳細は議論スレで
- 433 名前:1/4 投稿日:2006/07/28(金) 18:28:46
- 「顔良…!それに顕甫まで…。つーか、なんで我が軍勢だけこんなに死んどんのじゃー!!!」
兗州の小屋の中怒声が木霊する。小屋の中には意識が戻らない曹彰、そして、今しがた放送を聞き、打ちひしがれている袁紹。
これで彼の陣営は、沮授と、自分を見限り、曹操についた張コウだけとなってしまった。
「えーい!劉備のとこだの孫家のとこだのはどーした!私のとこだけ集中打か!」
ここまで仲間が大量に死んだとあって、袁紹はやけ起こし回りに当り散らしている。
『だ、旦那ー!落ち着いてくれよ!誰かに見つかるだろ!!』
「これが落ち着いてられるかばっきゃろー!」
村正の制止も聞かず、大声で怒鳴り散らす袁紹。と、その時。
「誰だ?こんなとこで騒いでる阿呆は?」
バタン、と、扉が開く音と共に、曹洪と曹仁が現れた。
曹操の家に行っても曹操はおろか、誰も来る気配が無かったので、うろうろしていた所、袁紹の怒声が聞こえ、声の方向に、向かったのだった。
「お、袁紹」
「あ、曹彰!」
曹仁が袁紹を見つけ、声をかけるのとほぼ同時に、曹洪が気絶している曹彰を見つけ驚きの声をあげる。
(曹彰?孟徳の子倅か?しかし、何か嫌な予感…)
- 434 名前:2/4 投稿日:2006/07/28(金) 18:29:49
- 曹彰にかけよった二人を見て、物凄い嫌な予感に襲われている袁紹を、二人が睨む。
「貴様、曹彰に何をした!?」
(やっぱり誤解されてるー!!)
嫌な予感、見事に的中。
「ま、待て、これは正当防衛であって…」
「言い訳など無用!」
(こいつら私の話聞く気、まったくねー!!)
にじりにじりと詰め寄る二人に、袁紹は追い詰められていく。その時
「待ってくれ、叔父上。その人が俺に危害を加えた訳じゃない」
その声に、曹洪と曹仁が振りむくと、曹彰が上半身を起こし、こちらを見ていた。
「曹彰!」
「お前をやったのは袁紹じゃないのか?」
曹仁の問いに首を縦に振り、曹彰は袁紹の方を向いた。
「まず、礼を言わせてくれ。あんたが槍をぶっ壊してくれなかったら、俺は家族や仲間に手を出していたかもしれない。ありがとう」
「ふん、くるしゅうない。というか、お前、操られてる時に意識あったのか」
その問いに曹彰は自嘲しながら答える。
「ああ、からうじてだがな。意識の大半と体は、あの得体の知れない槍に乗っ取られちまっていたが。まったく情けないぜ」
そんな二人の会話を聞いても要領を得ない曹仁と曹洪は、首をかしげるばかりである。
- 435 名前:3/4 投稿日:2006/07/28(金) 18:30:34
- 「袁紹殿、それに叔父上も聞いてくれ。一つ、大変な事が起きてるみたいだ」
自嘲を浮かべていた顔を引き締め、自分の身の上に起こった事。
荀イクに襲われた事、妖槍に乗っ取られた事。袁紹と妖刀に助けられた事。そしてもしかしたら荀イクが自分のような人間を増やしているかもしれない事を語った。
「馬鹿な…文若がそんな事を…」
あの温厚な荀イクが、殺し合いに乗り、暗躍している。荀イクの事を知っている三人は、曹彰の話をにわかには信じられなかった。
「俺だって今でも信じられねぇ。でも、これは事実だ」
曹彰の言葉に一同は沈黙する。
「どうやら…奴を止めねばならぬようだな」
袁紹が沈黙を破る
「このままでは、奴のせいでこの殺し合いに抗おうとする者が、次々と殺されてしまう。それは何としても阻止せねばなるまい」
袁紹の言葉に三人は面を上げる。考えは同じのようだ。
「だがそなたらが孟徳を探したい気持ちもわかる。そこで我らの第一目標は孟徳の捜索、及び荀イクの捜索、及び目的の阻止、これで行こうと思うがどうだろうか」
誰も異論を出す者はいなかった。
「よし、では出発と参ろうか!」
- 436 名前:4/4 投稿日:2006/07/28(金) 18:31:06
- 威厳に満ちた袁紹を見て曹仁は、ふと考える
(何か袁紹らしくないなぁ)
「ちょっと待て、行き先はどうするんだ?」
曹洪の問いに袁紹は動きを止め、どこに行こうか考え始める
「いや、行き先考えてから動くもんだろ普通」
曹洪の突っ込みに目を泳がせながら、おたおたし始める袁紹。先ほどの威厳もどこかへ消えていったようだ。
(よかった。いつもの袁紹だ)
『これがあるから旦那はいまいち決まらねぇんだよなぁ』
曹仁の安堵と村正のぼやきを他所に、行き先をしっかりと決め、武器の分配をし、一同は小屋を出た。
<<荀イク孟徳捜索隊/4名>>
@袁紹【妖刀村正】@曹彰【双剣の片方(やや刃こぼれ)ごむ風船】@曹仁【双剣の片方(やや刃こぼれ)かみそり@曹洪【斧】
※とりあえず兗州、豫州を順に捜索して行くつもりです。曹操他、仲間を探すと共に、荀イクを止める為、荀イクも探します。現在兗州
※村正の声は所有者(ここでは袁紹)にしか聞こえません
- 437 名前:続いては禰衡さんの天気予報です1/2 投稿日:2006/07/28(金) 19:02:26
-
耳の中に響く献帝の声。
「お前ももう一度朕の為に尽くしてもらえるかな」
五月蝿い程に響いているというのに、どこか心地よかった。
しかし――確か、拒否した。
あの心地よさに取り込まれてしまいそうな気になったからである。
微笑みながら返された「そうか」という言葉はもう響いていなかった気がする。
潘璋が何かを叫びながら荊州へ向かって突っ走っていたあと、孔融たちも
汝南に差し掛かり、無難なところで自分達も荊州に行こうかという話になっていた。
肩を貸しながらゆっくりと歩いていく。
明日はきっと晴れるぞ等と呟いて禰衡は項垂れていたが
項垂れた首を見た途端、孔融は妙な感覚に陥った。
―この首、絞めたらさぞ苦しんで――
ハッと眼を見開いて立ち止まる。
「どうした?」
混乱した様子の孔融が頭を振りながら禰衡に言う。
「私にはそんなことは出来ない。」
- 438 名前:続いては禰衡さんの天気予報です2/2 投稿日:2006/07/28(金) 19:04:05
- 孔融は只ならぬ様子だった満寵のことを思い出し、考えをまとめる。
「主催者はきっと何人かに洗脳を施したんだ。
私はそれを拒否したから正気でいられるのだが、何のために…?」
禰衡は黙ってそれを聞いていたが、すぐに口を挟む。
「殺し合いを円滑に進める為だろ」
奇人扱いされていたとはいえそれなりの頭はある。答えは容易に浮かんだ。
孔融がその場に頭を抱えてしゃがみこむ。
「もう嫌だ。あれはもう帝なんかじゃない…
…只の主催者だ。狂っている!こんな状況を楽しんでいるなんて!」
それを聞いて禰衡は口を歪めて笑う。
「正しいぞ、君は。
だからこそこんな世界で死んで欲しくない。わしはそう思ってる」
孔融の襟を掴んで立ち上がらせようとする。
「行けば何か変わるかもしれんじゃろ、ほら、晴れる予定だから大丈夫だ。」
狂いきった世界の中で何がどう変わるかはわからない。
だが、友は厭くまでも正常なのだと知り禰衡はこの世界に少し希望を見出した。
@潘璋【備前長船】
※荊州へ向かって爆走中
<<現在工事中/2名>>
禰衡[脇腹負傷]【農業用スコップ】 孔融[こめかみかすり傷]【農業用ショベル、刺身包丁】
※現在陳留から南下中。荊州へ向かっています
- 439 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/28(金) 23:40:53
- 以下は>>405の修正です。
これに関する議論は
まとめサイト ttp://3594br7th.web.fc2.com/
のチャットでお願いします。
-----------------------------------------------------------------
人形が木っ端微塵になったのを確認すると、
夏侯淵はできかけの袋に武器を突っ込んで立ち上がった。
【陳宮 死亡確認】
<<めるへんクインテット/4名>>
陸遜[左腕裂傷]【なし】
姜維[頭部損傷、流血]【なし】
馬岱[軽症]【シャムシール・ロープ】
司馬懿[軽傷、泡噴いて気絶中]【赤外線ゴーグル、付け髭】
※現在地は五丈原。
※魔法のステッキミョルニルは衝撃で近くに飛ばされました。
※レオ様は破壊されました。
※董卓の所持品(ミョルニルを含めP-90(弾倉あと4)、RPG-7(あと4発)、ジャベリン、投げナイフ20本)は少し離れた場所に残っています。
※司馬懿は殺戮を見たショックで気絶しました。夏侯淵には気付かれてません。
@夏侯淵【ベレッタM92F、弓と矢、トンプソンM1A1、発煙手榴弾、AK-47(弾倉あと5)】
※夏侯淵は場所を移動して袋作りを続けます。アサルトライフルは弾が無くなったので放置しました。
- 440 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/29(土) 00:09:55
- 夏侯楙「っぁあ〜っと、良い目覚めだぜ。
・・・誰も俺を起こしちゃくれなかったんだな。
まぁいい、とにかくどこぞに行くとするかぁ。
それか、あの燃え上がる許昌の中に戻るか・・・
なんつってな、ひとまずは南だ。
赤壁、もしかしたら、先帝があそこで悔しがってるかもしれねぇ。
其の苦は、我が苦か誰が苦か 誰かの為に生きられるなら!
其は、我が夢か誰が夢か 何も怖くはない!
いざ強く! 一人では解けない愛のパズルを抱いて!
野性持て! この町で優しさに甘えていたくはない!
さぁ、時よ! 君だけが守れるものが何処かにあるさ!
運よ、有れ! 一人でも傷ついた夢を取り戻すよ!」
怒号混じりの歌うたい、夏侯楙は赤壁へと向かう。
一方、宛付近の野原では、悲しい調べが続いていた。
別れ行く君を送る、その為に捧ぐ一つの曲・・・
周瑜は、魔王を奏でた後、ショパンの別れの曲の調べに入っていた。
この音を聞きうるものはどれだけいるのだろうか。
友よ、仲間よ、この曲を聴くがいい、愚かすぎる主催者よ、芸術の偉大さを知れ。
いざ奏でるは深き曲、川をも裂こうぞ我が調べ。
さて、仲間がいる、といえば呉かな。
荊州伝いに東へ転進、呉へと向かうとしよう。
曲を奏でながらの行進は非常に危険だが・・・それもまた一興。
@夏侯楙[両腕擦り傷]【越乃寒梅】
※目を覚ましました。 目的地、赤壁。
@周瑜【テルミン】
※ひとまず南へと行きます。その後呉へ向かい、仲間との邂逅を狙います。演目はショパン『別れの曲』
- 441 名前:ふぞろいの林檎たち1/5 投稿日:2006/07/29(土) 00:57:06
- それは、ほんの些細なことがきっかけだった。
蜀を目指して上庸のあたりを歩いている頃だったか。
三人は疲弊しきっており、ろくな食料も手に入らぬせいで空腹でもあり、気が立っていた。
馬忠は少し遅れて足を引きずりながら無言で歩き、
夏侯惇と廖化は肩を並べていたものの、言葉を交わす元気も無かった。
辺りは静まりかえり、時折聞こえるは鳥の鳴き声とお互いの荒い息づかいだけ。
「玄徳様がいればなあ」
廖化が、漏れる吐息に忍び込ませるようにそっと呟いたのだ。
「玄徳様がいれば、こんな目に会わずに済むのに」
下を向いて黙々と歩いていた彼は途端に顔を上げ、
妙にキラキラとした目で夏侯惇を見やってきた。
「聞けよ、元譲。俺ってばさ、すげー玄徳様に心酔してたんだ。
もちろん今でもしてる。慕ってるよ。あの人すげーんだ。素晴らしい人だ。
だから、俺は呉に捕まっても意地で逃げ延びてやった」
- 442 名前:ふぞろいの林檎たち2/5 投稿日:2006/07/29(土) 00:58:04
- 廖化は生前……この言い方もおかしいが、適切なものが見つからない……
あの憎き関羽の主簿を勤めていたらしい。
関羽が呂蒙に破れたことにより一度は呉に投降したらしいのだが、
劉備の元に戻りたいが為に自らを死者に模し、
そのまま呉を脱出して蜀まで舞い戻ってきたらしい。
やっと玄徳様に会えた時の嬉しさと言ったらと、そのまま思い出し泣きをしている。
おめでたい奴だ。
疲れているから余計に過去が美化されて思い出されるのだろうか。
半ば呆れながら苦笑していた夏侯惇の耳に、しかし次の言葉が飛び込んできた。
「元譲もさ、あんなチビじゃなくて玄徳様に仕えてたら、
きっと片目を失うこともなかったぜ」
たかが戯言だ。
それは、たかが疲弊しきった心から無意識に漏れ出てくる感情の発露だ。
真面目に受け取るのも馬鹿馬鹿しい。
頭ではそうわかっていた。しかし、身体が承知しなかった。
- 443 名前:ふぞろいの林檎たち3/5 投稿日:2006/07/29(土) 00:59:22
- 右の拳が宙に突き出された。廖化はそのまま吹っ飛んで草むらに落ちた。
疲れているにもかかわらず凄い威力だと我ながらおかしくなる。
離れたところを歩いていた馬忠が、驚き慌てて駆けよってきた。
「元譲、そのツッコミはひどすぎるよ!」
だれがツッコミだ。
吹っ飛ばされた廖化が頬を押さえて立ち上がる。
「ぶったな! オヤジにもぶたれたこと無いのに!」
「アムロかよ!」
すかさず馬忠が身体いっぱい使って突っ込んでいる。
いつのまにかボケとツッコミが逆転しているが、そんなことはどうでもよかった。
孟徳を侮辱されたのが許せなかったのだ。
……14の夏。暑い盛りだった。
敬愛する師匠をひどい言葉で罵った男を無意識にたたきのめした。
初めて切り裂いた人の肉体。飛び散る鮮血を浴びながら呆然と立ち尽くしたあの日。
ときどき、押さえきれない怒りを覚えることがある。
そういう時は心が追いつかぬまま身体だけが動いてしまう。
己は胸中に何か恐ろしいものを抱えているのではないかと不安になったこともあった。
しかし、従兄の曹操はそんな夏侯惇の悩みを一笑に付した。
「元譲、おまえはただ感情過多なだけだ。それはまったく悪いことではないぞ」
- 444 名前:ふぞろいの林檎たち4/5 投稿日:2006/07/29(土) 01:00:16
- 「うんこ野郎、よく聞け、俺は百編生まれ変わっても大耳野郎の下にはつかんぞ!」
「なななななんだとぉ! 俺は千回生まれ変わっても玄徳様の元に行く!」
「そしてその千回ともに、お前の大事な主人は散々逃げ回って
地の果てでちんけな国をおっ立てるんだろうな」
「このやろう!」
「私のために喧嘩は止めて!」
馬忠が泣きながら叫んでいる。
お前は関係NEEEEE!!!とツッコミたくなったが廖化を殴るのが先なので止めておいた。
その廖化はと言うと、やけくそのように暴れている。文官のくせになかなか骨のある男だ。
「クソったれ! 盲夏侯!」
「残念だが今の俺には両目がある!」
「前世は盲夏侯だろバーヤバーヤ!!」
「やかましいわ! たかが関羽の犬ふぜいが偉そうに!」
「お、お、お、お前こそ曹操の犬だろうが糞がぁぁぁぁ!」
- 445 名前:ふぞろいの林檎たち5/5 投稿日:2006/07/29(土) 01:01:21
- 俺はいったい何をやってるんだ……。
玄徳様ぁぁぁと泣き出した廖化を見た瞬間色々なものが冷めた。
しばし呆れ、そして腕の先にあるくしゃくしゃになった中年男の泣き顔に触れた。
「お前も俺も度し難いアホだな」
俺はアホじゃないと馬忠が訴えているが無視した。
「気が変わった。お前らは蜀に向かえ。俺は戻る」
この漫才二人組と一緒に蜀に行ってどうするんだ。
どう足掻いてもこの世界から抜け出せそうもないなら、
それなら、最後に一目でもあいつの顔を見たい。
「あばよ!」
「今どき柳沢慎吾かよ!」
馬忠のツッコミが辺りに響き渡った。
@夏侯惇[腕にかすり傷]【金属バット】
※ピンユニット化。曹操を捜して豫州に向かいました(カンを頼りに動いています)
《孤篤と廖淳/2人》
馬忠【グロック17】&廖化[両頬に腫れ、鼻血]【鎖鎌】
※現在荊州にいます。蜀に向かっています。
- 446 名前:忘却の空 1/10 投稿日:2006/07/29(土) 20:28:43
- (誰の仕業か知らないが・・・ずいぶんと惜しい事をする)
歴史に残るであろう華美な宮殿。
質素だが美しい木々が飾る街道。
人々が生の活気を見せた市場。
・・・既にそれらは灰になっているのだろう。
遠目にもわかる、ひどく雄々しげな炎を巻き上げている許都。
それを遠くの平地から眺めながら、張コウは懐かしさと喪失感、そして軽い怒りを覚えた。
が・・・。
(・・・まあ、いいか。オレのものじゃないし・・・)
怒りを覚えたところで火をつけた者の正体がわかるわけでは無し。
万が一わかったところで、己の身を危険に晒してまで報復するほどでもない。
それよりは『今後どうするか』と考えた方が己のためになる。
そう考えた彼は衣服から地図を取り出し、軽く眼を向けた。
夜陰だが、月光に照らせば読めないことはない。
(・・・まあ、曹操殿はまずここにいないと考えていいだろう。だがあそこに誰か・・・)
そこまで考えた途端、背筋に寒いものが走る。
「・・・!?」
そう、たしか戦場でも幾度となくこの感覚は自分を襲った。
だからわかる。これは『殺気』『殺意』と呼ばれる類のものだ。
燃える許都から届いたのか、乾いた風が己に吹く。頬を撫でた手に冷や汗が伝った。
(これは・・・かなりヤバイな・・・)
即座に地図をしまい、周囲を見回す。
少し離れたところに木々が茂った小さな林ならあるが、どうも殺気はそこからは感じられない。
(なら・・・こっちか?)
感覚に任せた方向に視線を向ける。
そこには、自分と同じように乾いた風をその身に受ける『見覚えのある男』がこちらに向かって歩いてきていた。
- 447 名前:忘却の空 2/10 投稿日:2006/07/29(土) 20:29:57
- 「・・・徐庶・・・か?」
誰に向けるともなく・・・いや自分に向けるように、張コウはそう呟いた。
そうだ・・・見覚えのある男。記憶にある風貌とやや違うが、あの男は徐庶に違いない。
だが、今の自分に同じ魏将との再会を喜ぶ余裕はない。
もともと徐庶と自分は親しい間柄でもないが、そんな事は要素とならない。
徐庶の衣服は返り血に染まっているし、手には抜き身の剣が握られている。
何より、明らかに徐庶は殺意を自分に向けてきている。
(志を理解してもらう・・・それどころじゃないな・・・)
『おそらく戦闘になるだろう』という予感が張コウの胸を過ぎった。
「・・・よし、そこまでだ。徐庶・・・そこで止まれ」
徐庶が近づき両者の距離が五歩ほどになった時、ふと張コウが掌を徐庶に向け制止の構えを取る。
張コウ自身が止まるとはあまり思っていない。期待せずに発した言葉だった。
が、その予想に反して
「・・・」
無言のまま、五歩の距離で徐庶は足を止めた。
とはいえこちらを攻撃する意志はしっかりしているようで、ゆっくりと剣を構えだす。
その姿は空から照らされる月光に映え、異様な神々しさを兼ね備えたように見えた。
(なんだろう・・・何か・・・異常だ・・・異常な感覚だ)
光に照らされた徐庶の顔。
後悔も苦悩も憎悪も、そして悦楽も含んだ形容しがたい顔。
何度も殺されたような、自分の意志ではない何かによって動かされているような顔。
すぐに異常だと感じ取れるほど、徐庶の表情は人間離れしている。
(・・・一つ二つ質問してみるか)
「徐庶・・・それは一体何の真似だ?」
- 448 名前:忘却の空 3/10 投稿日:2006/07/29(土) 20:31:08
- 意を決して、張コウが口を開く。
もっともこの問いの答えなど、張コウもわかりきっているのだが。
そして、徐庶は・・・。
「曹操・・・か?・・・」
とギリギリ聞こえるぐらいの小声で返し、構えたまま張コウへ突進した。
(ヤバイ!)
思った瞬間、張コウも右へ飛ぶ。数瞬後、滑らかな斬撃音が響く。
(オレが斬られた!?いや違う!)
一瞬の安堵の後地面に着地し、張コウは先ほどまで自分がいた場所に眼を向けた。
「な・・・!?」
まさか・・・と驚愕する。
徐庶が持っていた剣は、地面に深々と突き刺さって・・・。
いや、堅い石もろとも綺麗に地面を『真っ二つに切り裂いて』いた。
(なんだ!?あれは・・・)
石を斬ったとしても、鈍い残撃音など一切聞こえなかった。
いやそもそも、剣とはあそこまで石を綺麗に斬れるものなのか。
(徐庶の力・・・?いや、あの剣の力か・・・!?)
危機感を感じ、次の攻撃を避けるために身を立て直し距離を取る。
そんな張コウを目に捉えながら刀を構え、徐庶はただ静かに呟いた。
「曹操じゃあない・・・が、まあいい。名は思い出す気もないが、お前も魏将だったな・・・」
『殺す』・・・徐庶の目は確かにそう言っていた。
一足飛びで張コウの前へ行き、斬鉄剣を振り下ろす。
全力で地面を蹴って徐庶の振り下ろしを飛び避ける。
- 449 名前:忘却の空 4/10 投稿日:2006/07/29(土) 20:33:02
- 追いかけて薙ぐ。
伏せて薙ぎを空かす。
伏せた体勢へ突き下ろし。
横転し身を立て直し。
突けば飛ぶ。飛べば払う。払えば退く。
初太刀から、『攻撃する徐庶、避ける張コウ』の図式は変わらない。
だが、幾度振り回しても斬鉄剣の斬撃はことごとく空を切り、斬撃の手ごたえを感じることはない。
(くっ・・・さすがに今の状態では易々と殺すことはできないか・・・)
息を荒げながら、徐庶は自身の体を顧みる。
燃え上がる許都から脱出する際、肩を少々火傷し、体を打った。
それは大した事はないのだが、斬鉄剣を軽々と扱うには少々体が疲れすぎている。
それに、相対している敵もなかなか反応が早い。身のこなしも見事だ。
反撃をしてこないのは、手に持つ玩具の様な剣ではいかんともしがたいからだろう。
とにかく、仮に撃剣の使い手である自分がもし万全の状態であったとしても
不意を突かねば一太刀で仕留めるのは難しい相手だ。
(では、そうするか・・・)
その『不意をつく』手段を思いつき、徐庶は笑みを浮かべる。
そのまま張コウへの攻撃を止め、彼は少し後ずさりを始めた。
「・・・なんだ?打ち止めか?」
片膝は地面につけたままの張コウが軽口を叩く。
瞬発しやすいようにか、武器を持たない手と片膝は地面につけている。
「そう・・・思うか?」
徐庶は笑みを浮かべたまま、一足飛びでギリギリ届く場所まで後ずさりする。
そして足を止めた後、懐に手を入れ・・・。
「そいつは残念だったなッ!」
懐中電灯を取り出し、張コウの顔面に向けて照射した。
- 450 名前:忘却の空 5/10 投稿日:2006/07/29(土) 20:35:01
- 「ぐ・・・あッ!?」
闇に慣れた目に突然の大量光射を受け、うめき声とともに張コウは武器を持った手で目を抑えた。
「(動きが)止まった!今だッ!」
叫び懐中電灯を放り投げ、一足飛びの体勢を取る。が・・・。
「同じ事考えてたのかよッ!」
その張コウの叫びと共に、大量の冷たい何かの粉末が徐庶の顔にぶつかる。
「うッ!?」
一足飛びの動作が一瞬遅れる。
だがすぐに『張コウがいるはずの場所』に向かい飛び、全力を込めて斬鉄剣を振り下ろした。
(斬った・・・が!?)
ひどく乾いた小さな斬撃音とともに、軽い手ごたえが伝わる。
(いや浅い!全身ではない!手か足か・・・末端の部分!)
「ぬおおおおおおおおォォォォォッ!!」
目をつぶったまま斬鉄剣を幾度も振り回す。
右から左へ、前から後ろへ、上から下へ。
だが、どれだけ振り回そうとも飛び掛った初太刀以外に斬り応えが手に伝う事はなかった。
(ちっ、逃げたか!)
すぐさま眼をこすり、先ほど顔に飛び散った粉末を払う。
「土か・・・奴め、土をぶつけたのか・・・」
払った手についた土の感触で、先ほどの粉末の正体を推測する。
そしてようやく開いた眼でそのまま周囲を見渡すと、近くにあった小さな林が目に付いた。
周囲に張コウの姿は見えない。おそらく、そこに逃げ込んだのだろう。
「大した瞬発力だ・・・だが、林とは・・・ふん、己で己の首を絞めたな」
自身の頭に次なる戦略を浮かべ、徐庶は林に向かい歩き出す。
(孔明、士元、待っていろ。すぐに終わらせて、お前たちの元へ行こう。
お前達と私の絆を引き裂いた愚物・・・それに従う腐った犬を、すぐにバラバラにしてやるかな)
友を心に浮かばせながら。
- 451 名前:忘却の空 6/10 投稿日:2006/07/29(土) 20:36:44
- 「・・・僥倖・・・って、言ってもいいのかもな・・・」
林の中心にある一番大きな木に背中をあずけながら、張コウはそう呟いた。
斬鉄剣の斬撃で綺麗な鋭角に先端を吹き飛ばされ、少し束がばらけた竹刀を眺める。
先ほど徐庶が感じた手ごたえは竹刀のもので
張コウ自身は斬鉄剣による攻撃での手負いはない。
(さっきのは、この光か・・・)
懐から懐中電灯を取り出し、先ほどの光の正体に勘付く。
少し気にしてはいたが、光による痛みも体の不具合も見受けられないところから察するに
これはただ光を発するだけのものなのだろう。
それにしても。
(・・・確か徐庶は撃剣の使い手だとは聞いていたが・・・脅威なのは剣の方だな・・・)
切れ味を思い出すだけで冷や汗が頬を伝い、背筋に寒気が走る。
だが、その感覚をどこか心地良いと感じ、笑う自分がいる。
―笑う?―
命を削る凌ぎ合いに、やはりどこか自分も惹かれているのだろうか?
・・・いや、違う。そこから勝った時の・・・なんというのだろうか、充実感、達成感・・・。
生を勝ち取った満足のようなものを、自分は欲しているのだ。たぶん。
(とは言っても、勝てなきゃ話にならないわけだ)
さて、これからどうするか。張コウはしばし思案に耽る。
竹刀であの剣閃を受け流す事はできない。そんなことをすれば竹刀ごと自分は真っ二つだ。
かと言って受けずにかわし続けてもいずれは追いつかれ斬り伏せられる。
憔悴しきっていた顔から、徐庶に疲労が溜まっているのは推測できたが
だからといってマトモにぶつかり合い勝機が見えるかというと、決してそれはない。
(傷を負ったわけでなし、あっちもまだ諦めないだろう。光を照らしてオレを探しに来るか・・・)
そこまで考えた時。
地面を揺るがす雷のような大激音が耳に入った。
- 452 名前:忘却の空 7/10 投稿日:2006/07/29(土) 20:38:18
- 「な・・・!?」
木の陰から音のした方向を覗き込む。
さほど遠くない場所で、先ほどまでは天に向かっていたはずの木が倒れている。
「まさか、あいつ・・・」
嫌な予感がして、木の陰から出る。
直後、大きくも心地良い斬撃音とともに倒れた木の近くの木が傾き始めた。
(まさか・・・木を斬ってるのか!?なんでもありかよ・・・あの剣・・・!)
傾いた木がゆっくりと倒れ始める。
そして先ほどと同じ雷のような激音とともに、木は完全に地に伏した。
「二本目で驚き登場か・・・意外と早く出てきたな。まあ、その方が手間が少なくていいんだが」
その木の奥に徐庶は居た。
夜陰の中でも、月光を受け光り輝く刀を手に持ちながら。
「オレが出てこなければ、木を全部切り倒すつもりだったのか?」
「さあな。仮定の話をするつもりはない」
「全部切り倒せる体力なんて、もう残ってないだろ?顔を見ればわかる」
「体力がなくてもやりきれるさ。曹操の犬を殺すためなら、どうってことはない」
「・・・林で剣を振るつもりか。木が邪魔になるだろうぜ?」
「私が木を切り倒したのを見た上でまだそう言えるのなら、お前はただの阿呆だ」
「・・・刃こぼれは・・・」
「いい加減黙れ」
少々の会話の後言葉を打ち切り、張コウに向かい歩き出す。
木を切り倒すのは確かに少々骨が折れたが、今の自分にはどうということはない。
いや、林に逃げ込んで逆に苦境に詰まったのはこの曹操の犬だろう。
ここは平地ではない。木々が動きの邪魔をして、先ほどまでの様に俊敏にかわす事はできない。
動きが鈍った剣閃でも、おそらく攻撃を当てる事はそうそう難しい事ではない。
仮に今度は反撃をしてきたとしても、急所に当たらなければ玩具のような剣など痛くも痒くもない。
「終わりだ」
負ける要素はない―徐庶は勝利を確信し、五歩の距離で剣を上段に構えた。
- 453 名前:忘却の空 8/10 投稿日:2006/07/29(土) 20:39:37
- そしていざ跳躍しようとした瞬間
「今度はお前だッ!」
という張コウの雄叫びとともに、懐中電灯の光が瞳に飛び込んでくる。
(やはりただの阿呆だ!この徐元直様に既知の戦術を使うとは!)
近づいた時見えたが、懐中電灯を手にしていた事からこれが来るのではないかと予想していた。
来るとわかっていれば怯むことはない。視界は眩めこうとも距離も掴んでいる。
(飛び込み振り下ろしで一刀両断!)
なんの怯みもなく跳躍する。そして曹操の犬がいるはずの場所に向かって全力で刀を振り下ろす!
確かな手ごたえあり!
―――の、はずだった。
―――地には着地した。だが、なぜか足に力が入らない。
(おかしい)
―――体躯を斬った感覚はない。それどころか、軽い手ごたえも感じられなかった。
(・・・おかしい)
―――右肩に激痛が走る。何か刃物のようなものを突き刺されたような鋭い、痺れるような痛みが。
(・・・・・・おかしい)
眩めいた眼で徐庶は痛む場所を見る。
玩具の剣が深々と突き刺さり、己の血を外へ押し出している右肩。
そしてその玩具の剣をしっかりと握り締める、真っ二つにしたはずの曹操の犬。
徐庶の眼には、彼にとってある事がおかしいはずのものが二つ、確かに映っている。
「おか・・・しい・・・」
「そう思うか?」
そのまま蹴り飛ばされ、徐庶は勢い良く地面に叩きつけられる。
はずみで視界に入った玩具の剣の先端は、赤く染まりながらも確かに鋭く尖っていた。
- 454 名前:忘却の空 9/10 投稿日:2006/07/29(土) 20:41:08
- 「不思議に思うか?だが、こうしてくれたのはお前だ。オレにも予想外の嬉しい偶然だったよ」
・・・自分が?どういうことだ?
虚ろな頭で記憶を反芻する。確か・・・そう、確か思い当たる事と言えば・・・。
「・・・あ・・・」
そして気づいた。
懐中電灯を照らして斬りかかった時、確かにひどく軽い手ごたえを感じた。
指でも切り落としたのかと思ったが、そういえば目の前のこの男は傷一つ負っていない。
(あの時か・・・)
まさか敵に利してしまうとは・・・そんな悔しさと、まさかという驚きが胸中を深く占めた。
「なぜ気づかなんだ・・・そんな簡単な事に・・・」
「疲労と油断・・・だろうな。木を切り倒してオレを見つけた時、勝ちを確信したんだろ?
剣を上段に構えたのも、跳躍と剣の重さに助けられる振り下ろしが一番楽だから・・・違うか?
稀代の軍略家、徐元直らしくない失敗だったな」
確かにそうだ。
玩具の剣を持った男を見た時、当たろうとも痛くも痒くもないと確かに慢心していた。
懐中電灯の光を己に向けた時、同じ策を二度使う阿呆と侮っていた。
曹操の犬だと侮り、目の前の男の力など度外視していた。
油断はいつ何時、いかなる時も決してしてはいけないと教わっていたのに。教わっていたのに!
「・・・がっ・・・」
動かない右肩に見切りをつけ、左手に剣を持ち返る。
「だが・・・まだ右腕を奪われただけだ・・・!」
「左腕一本で今までの様には振り回せないだろう。それを狙ったんだ。
一瞬視界を奪っても、さすがに振り下ろしに真っ向から行けば真っ二つだからな」
わずかに嬉しさと侮蔑を含蓄させるように呟くと、張コウはまた尖った竹刀を構えた。
「だが、次は殺す・・・決して逃がさない。来るなら来い。来ないならこちらから刺す」
その言葉を受け徐庶は立ち上がり、剣を構える。
- 455 名前:忘却の空 10/11 投稿日:2006/07/29(土) 20:42:09
- (・・・孔明・・・士元・・・)
懐かしい記憶が頭を過ぎる。過去、大切な友人達と語り合った、かけがえのない過去を。
「孔明・・・!士元・・・!・・・お前たちと会うまで・・・ッ!」
「三度目の正直ってなぁッ!」
叫び、張コウは足元の土を蹴り上げた。眼に入り照準が狂い、徐庶の斬鉄剣は地を斬る。
張コウはすぐ接近し、その地を斬った斬鉄剣の棟を足で押さえつけ
「俺は死なっ・・・」
「死ね」
勢い良く竹刀をノドに突き刺した。
「さよならだ、徐元直」
喉からの返り血を浴びながらそう言い放った張コウの顔には、どこか歪んだ笑みが浮かんでいた。
(さすがに・・・疲れたな)
倒れ伏した徐庶を一瞥し、動かない事を確認すると、途端に緊張の糸が切れた。
そのままどっと疲れが押し寄せ、冷や汗が流れてくる。
もし徐庶の疲労がたまっていなかったら?
もし徐庶が油断せず、軽々に飛び込んでこなかったら?
もし竹刀が皮膚に刺さるほど鋭角に削ぎ取られなかったら?
偶然に偶然、もう一つ偶然が重なった上での勝利だ。もう、奇跡といっていい。
(もう、こんな勝ち方は絶対できないだろうな)
運命に感謝すると、張コウは徐庶が持っていた斬鉄剣を手に取る。
多少血脂が付着し、腰が伸びているのが気に入らないが
先ほどの戦闘で束が完全にばらけ、もう刺さらないだろう竹刀よりははるかにマシだ。
(これじゃもう拷問ぐらいにしか使えそうもないよな、この武器)
軽く竹刀で地面を叩きそれを確認すると、少し離れたところにある徐庶のバッグを手に取る。
(やっぱり備品はこの中に入れたほうがいいな・・・持ち運ぶか)
そう思いながらバッグを手に取り、張コウは徐庶の死体を一瞥し声をかけた。